バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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6コア「ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!」

オオカブ町にて、緑のカラーリーダーを倒し、緑のカラーカードを手に入れたアスラ。早速次なるカラーカードを得るべく、エール、ムエと共に次の街へと歩みを進めていた。

 

 

「ちょ…ちょっと!?…あんまり早く歩かないでよ!!」

「バカヤロー!…どんだけ急いでも時間が足りねーんだよ………つかなんでくっつくの?」

「むえーー……ZZZ」⬅︎すぴーー

 

 

時刻は真夜中。アスラ達は闇に包まれた真っ黒な森の中を突き進む。

 

実力的にも集めているカラーカード的にもロンに先を越されているアスラは急いでいた。少しでもロスした時間を取り戻すべく、こんな夜中まで歩みを進めていたのだ。その手にはランプ機能を発揮させたBパッドが握られており、前方が明るく照らされていた。

 

一方、暗い所が苦手なのか、無意識のうちにアスラの腕にしがみ付いているエール。

 

そして、謎のオレンジ小動物ムエはアスラの頭の上で健やかな眠りについていた。

 

 

「こ、ここってオオカブ町とナミラ町の間にある『レイデル森』よね?………幽霊が出るって言うので有名な………」

「幽霊?」

 

 

エールが震えた声でアスラに言った。

 

そう。今アスラ達が歩んでいるこの森の名前は『レイデル森』………幽霊の未確認情報が多数ある場所だ。ここを抜かなければ次の目的地である『ナミラ町』へと辿り着く事はできない。

 

致し方ない事はエールとて理解しているが、何もこんな真っ暗闇な夜ではなく、どうせなら白昼堂々と安堵に心を満たして歩きたかった。

 

 

「ふ〜ん、オレ幽霊って見た事ねぇな〜」

「私も無いわよ!!このバカスラ!!」

 

 

暗闇に怯えながらも、アスラのおバカな発言に思わずツッコミを入れるエール。

 

何が「幽霊って見た事ねぇな〜」だ。誰も見た事ある訳ないし、見たくもない。

 

 

「ん〜〜そんなに幽霊が怖いならこの辺に家があるみたいだし、今日はそこに泊まるか?」

「べ、別に怖くなんて………ま、まぁ、あんたがそこまで言うなら家に泊まってあげてもいいけど………」

 

 

アスラなりにエールを気遣って見る。エールは幽霊が怖い事は全力で否定してかかるものの、家に泊まるのは賛成だった。アスラが自分を気遣っているのがわかったからだろうか、なんか少しだけ顔を赤くして嬉しそうにしていた。

 

こじらせ女子は色々とめんどくさいのだ。

 

 

「よし!!んじゃ行くか!!」

 

 

アスラとエールはその家に行くことにした。アスラはBパッドのナビ機能を使ってそこまでの道のりを先行して進んでいった。無意識で彼の腕にしがみつくエールもその後をついていく。

 

エールは正直安堵していた。これ以上怖い思いはしなくていいと考えていた。

 

が…………

 

 

 

******

 

 

 

「っしゃぁ!!着いたぞ、ここがこの森唯一の民家『レイデル寺』だァァァー!!」

「…………」

「結構デケーな!!」

 

 

バカスラを信じた私がバカだった………

 

エールは考えを改める。

 

アスラが唯一の民家と呼称して紹介したこの家。これは家ではなく寺だ。明かりもなければ人の気配すら感じないため、どこをどう見ても単なる不気味な心霊スポットにしか見えなくて………

 

 

「ここ民家じゃなくてお寺じゃないのこのバカスラァァァー!!!」

「えぇぇぇえ!?…民家もお寺も対して変わんねぇよ!!」

「変わるわよ!!!」

 

 

生まれた時から贅沢な暮らししかした事ないエール。市民の家にはそこまで期待していなかったが、お寺では話が全く変わってくる。冗談抜きで幽霊が出ると言われている場所にしか見えない。

 

 

「まぁまぁ、幽霊なんか出たらオレがどうにかしてやるから安心しろって〜」

「だから怖くないわよ!!」

「んじゃ、行くか」

「行くなァァァー!!!」

 

 

言ってる事が矛盾してくるエール。アスラは見てもわかるくらいこの夜を怖がっているエールを安堵させるべくそのお寺へと足を進めた。

 

エールは行きたくなかったが、この場でアスラの腕を離す方がよっぽど怖かったので、その腕に導かれるままについていってしまって…………

 

 

「こんばんはァァァー!!!……今晩寝泊まりさせて欲しいんすけど〜!!」

「バカ!!何デッカイ声出してんのよ!?」

 

 

アスラはお寺の扉とも呼べる障子を横に開け、腹の底から全力の声で叫んだ。いつ幽霊やお化けが出てきてもおかしくない状況であるため、エールはビビるにビビっていた。

 

しかし、一向に人が出でくる気配もなくて…………

 

 

「誰もいねーのかな?……」

「いないんじゃない?…このお寺だいぶ古そうだし」

「んじゃ許可取る必要もねーな!!ここで寝るか!!」

「嫌よ!!」

「おいおい、だったらどこで夜を過ごすんだよ………」

「大体あんたが急いで森を抜けようとするからじゃない!!」

「だってそうしねぇぇとロンに追いつけねぇんだよ!!」

「あんたの事情なんか知らないわよ!!私はエックスよ!!」

「だからなに!?」

 

 

軽く言い争いに発展してしまう2人。

 

と、そんな時だ。

 

 

「いらっしゃーい」

 

 

と、アスラとエールのすぐ横で若い女性の不気味な声が聞こえてきたのは………

 

 

「キャァァー!!?!」

「ギャァァァー!?」

 

 

恐怖に染み付いたアスラとエールの悲鳴がその寺内で鳴り響いた。2人が悲鳴を上げるのも無理はない。何せ、今まで人の気配一つなかったずなのに、足音も呼吸音も無く、こんな近くに女性が立っていたなど誰が想像できたか…………

 

しかし、当然ながらこの女性は幽霊ではなくて…………

 

 

******

 

 

「いや〜悪い悪い!!驚かせてしまったなぁ〜!!…ここは私の別荘なんだ〜」

「いいんすよそんな事〜!!んな事より泊まらせていただいてありがとうございまァァァーす!!」

「いいっていいって〜気にすんな!!」

「………ビックリしたわ……ホントに………って言うか趣味の悪い別荘ね」

 

 

お寺、もとい別荘の中

 

取り敢えず落ち着きを取り戻した2人にその女性が大声で笑いながら謝罪の言葉を並べた。あまり謝罪しているようには聞こえない。おそらく最初から驚かすつもりであったのだろう。

 

女性の歳は大体二十歳も無いくらいだろうか。アスラとエールよりかは上に見える。髪の毛は黒くて一本に結ばれており、肌はエールにも負けないくらい白く、また絶世とも呼べる美女であった………

 

 

「私の名は『カゲミツ』……親しみを込めて『カゲミツ姐さん』と呼んでもいいぞ!!」

「オッすカゲミツ姐さん!!オレはスーミ村のアスラ!!…でもって頭の上に乗っかっている変な小動物がムエだ」

「私はエール………エール・オメガ……エックスよ」

 

 

初見だと言うのに図々しくアスラ達に接してくるカゲミツ。ただ、アスラ達はなんの抵抗もなく自分達もまた自己紹介を始めた。

 

 

「スーミ村??…あの最果てで隅っこの村か?……凄いな。そんなとっから旅して来たのか」

「あぁ!!オレは頂点王になるからな!!」

「っ!?……頂点王………」

「ん?どうかしましたかカゲミツ姐さん??」

「………ふふ、いや、なんでも………」

 

 

頂点王になると言うアスラの野望を耳に入れるなり、一瞬だけだが不適に笑ったカゲミツ。その理由が何故なのかは今のアスラ達には知る由はなくて…………

 

 

「ところでアスラ、オマエ、ライダースピリットを持ってるな?」

「え?………」

 

 

急に話を切り替えて来たカゲミツ。その内容はアスラもエールも驚かざるを得ないもの。まだ教えても無いのにアスラがライダースピリットを持っているとズバリ言い当てて来たのだ。

 

 

「な、なんでそんな事わかるんすかァァァー!?」

「ふふ、私はそう言う『目』が良いんだよ!……そしてエールは噂に名高い『オメガ』のデジタルスピリットか〜……でも、まだ上手く扱えてないみたいだな」

「………!!」

 

 

エールの事もズバリ言い当てる。エール自身も自分がまだ『オメガ』のデジタルスピリットを上手く扱えない事を言い当てられるとは思ってもいない事であっただろう。

 

 

「もったいないな〜折角進化の力はふんだんにあるのに」

「べ、別に好きでもったいなくしてるわけじゃ無いわよ!!」

 

 

実際。エールの身体自体は凄まじいセンスがある。仮にデッキが進化したとしたらいったいどのようなスピリットが生まれてくるのか想像もできない。が、その代償なのか、エールは究極進化させるのがどうしようも無く下手くそだった。

 

 

「ふふ、私はそう言う扱い辛いカードには慣れてるから、手取り足取り教えてやっても良いぞ」

「!!」

「まぁでも、今のところ私が興味あるのはオマエだアスラ」

「え?オレ??」

 

 

カゲミツのアスラに対する声が若干熱を含んでいるように聞こえ、エールは少しむすっとした顔になる。

 

 

「あぁ、宿泊料代わりと言えば聞こえはいいがどうだ??……この私と一戦やらんか??」

 

 

わかりやすく説明すれば、今アスラはカゲミツにバトルスピリッツを要求されていた。カゲミツの目をギラギラと輝かせるその様子から、ヘラクレスに負けず劣らずの戦闘狂である事と、相当な実力者である事が伺える。

 

ただ、アスラも引く理由は無い。今晩止めてもらう御礼がバトルスピリッツのみなら安いものだ。

 

 

「わかった!!いいぜカゲミツ姐さん!!」

「ふふ、そうこなくてはな!!」

 

 

そう言うと、お寺から出て地に赴く2人。アスラは頭の上で眠っているムエをエールに預けた。そんなエールも眠っているムエを抱えながらお寺の前で腰を下ろした。

 

 

「なんでこんな夜中にまでバトルしてんのよあのバカスラ………」

 

 

最もな意見である。

 

ただ、既に承諾されたバトルスピリッツはライフがゼロになるまで終わる事はない。アスラとカゲミツは自身のBパッドを展開し、デッキをセットした。

 

 

「じゃあ行くかアスラ!!見せてもらうぞ、その実力!!」

「おう!!こっちだって負ける気はないからな!!」

 

 

……ゲートオープン、界放!!

 

 

エールが見届けている中、2人のコールと共に、レイデル寺の前でバトルスピリッツが開始された。

 

先行はアスラだ。

 

 

 

[ターン01]アスラ

 

 

 

「メインステップゥゥゥー!!……早速行くぜ!!…仮面ライダー龍騎を召喚!!」

 

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP3000

 

 

 

今回のアスラは最初からフルスロットル。赤きライダースピリット、龍騎を早くも召喚して見せる。この時、召喚時効果でデッキからカードがオープンされたが全てハズレ。トラッシュへと叩き込まれた。

 

 

「ふふ、聞いてた通りソウルコアは使わないんだな〜〜……面白い!!」

「あれ??オレがソウルコア使えないの知ってたんスね?」

「え?……あ、あぁ!!そうだ。私はそう言う『目』が良いからな!!」

「スッゲェェ!!流石カゲミツ姐さん!!」

「だろう?…もっと褒めてもいいぞ〜」

 

 

まるで最初からアスラがソウルコアを使えない事を知っていたかのような口振りを見せるカゲミツ。『目』が良いとは言ってはいるが、その戸惑い振りからは誤魔化しているようにも見えなくもなくて…………

 

 

「っしゃぁ!!…オレはこれでターンエンド!!……さぁ、カゲミツ姐さん、どんといらっしゃいませぇぇ!!」

手札:4

場:【仮面ライダー龍騎】LV1(1)BP3000(回復)

バースト:【無】

 

 

ただ、アスラはそんな事など全く気付かない。颯爽とそのターンをエンドとした。次はカゲミツのターンとなる。

 

 

 

[ターン02]カゲミツ

 

 

 

「メインステップ……ではでは、楽しい一時を過ごそうか!!…ネクサスカード、『大天空寺の地下』をLV2で配置!!」

 

 

 

ー【大天空寺の地下】LV2(1S)

 

 

 

カゲミツの背後に眼球のようなワンポイントが入った墓のような形をした何かが現れる。

 

 

「配置時効果、デッキから3枚オープンし、その中の対象となる『ライダースピリット』を手札に加える!!」

「えぇぇぇえ!?…『ライダースピリット』!?」

「カゲミツもライダースピリットを!?」

 

 

アスラとエールはカゲミツが流れるように口に出した単語を聞き逃さなかった。瞬間的に理解した。このカゲミツもアスラと同じライダースピリットの所持者であると言うことが………

 

エールよりもアスラの方が気になるとはそう言う事だったのだ。同じライダースピリットを持つ者ならば一度はバトルして見たくもなるだろう。

 

 

「私はこの中にある『仮面ライダーゴースト オレ魂[2]』を手札に加え、それ以外はトラッシュへ」

 

 

カゲミツは対象となるカードをゲットし、手札に加えた。アスラ視点ではそれが紫のカードである事以外全く持ってわからなかった。

 

 

「あぁ、言ってなかったっけ?……そうそう、私もライダースピリットの所持者だ!!」

「そっか………っしゃぁ!!…めっちゃ夜だけどめっちゃ燃えてきた!!」

「ふふ、そう来なくては困る……私はさらにユルセンを召喚!!」

 

 

 

ー【ユルセン】LV1(1)BP1000

 

 

 

「おぉ!?…小さい幽霊!?」

「ちょ、ちょっとかわいいじゃない……!!」

 

 

カゲミツが立て続けに場に出してきたのはライダースピリットでは無い通常のスピリットカード。まるでてるてる坊主をお化けにしたような容姿をした『ユルセン』が現れる。

 

このバトルを観ているエールは「これくらいのお化けなら別に出てきても良かったわね」と今更ながらにボソッと呟いた。

 

 

「ユルセンの効果。アタックとブロック、合体できず、維持コアを0にする………でもってエンドステップ時にこの大天空寺の地下とほぼ同じ効果を発揮!!………対象のライダースピリットを探す!!」

 

 

ユルセンの効果だ。再びカゲミツのデッキから3枚のカードがオープンされる。が、今回はどれもハズレ。トラッシュへと流された。

 

 

「ふむ。まぁこんな日もあるか………ターンエンドだ」

手札:4

場:【ユルセン】LV1

【大天空寺の地下】LV2

バースト:【無】

 

 

オープンカードにいちゃもんをつける事は無く、勝手に納得して、そのターンをエンドとするカゲミツ。次なるは一周回ってアスラのターンだ。さっきよりも勢いがついた彼はそのターンシークエンスを進行させていく………

 

 

 

[ターン03]アスラ

 

 

 

「メインステップ!!……シャムシーザーを召喚し、ネクサスカード、ミラーワールドをLV2で配置!!」

 

 

 

ー【シャムシーザー】LV1(1)BP2000

ー【ミラーワールド】LV2(2)

 

 

 

「っ!?……空間が鏡向きに?」

 

 

アスラは背中に数本の鋭利なトゲを生やしたトカゲ型のスピリット、シャムシーザーを召喚すると共に、ネクサスカードであるミラーワールドを配置。その演出により空間が鏡向きへと変化した。

 

 

「アタックステップだァァァー!!!……行け龍騎!!」

 

 

アスラの勢いは止まらない。すぐさま龍騎でアタック宣言を行う。そしてこの時、事前に配置していたミラーワールドの効果が発揮されて………

 

 

「ミラーワールドの効果!!龍騎がアタックした時、カードを1枚オープン、それがアドベントカードならばコストを払わずに発揮する!!」

「ふ〜〜ん。神頼みってわけだな?」

「カード…オープンッッ!!………よし、『ストライクベント』!!……よってこれを発揮だ!!」

「ほお?…運が強いな」

「へへ、これによりユルセンを破壊してカードを1枚ドローする!!」

 

 

たった1枚のドローでアドベントカードの一種である『ストライクベント』を引き当てるアスラ。よってその効果が発揮される運びとなった。

 

 

龍騎が腰にあるベルトに装着されているカード束から1枚引き抜き、それを左手の龍の頭部を象ったバイザーへと装填。

 

すると……

 

……『ストライクベント!』

 

という無機質な音声と共に、龍騎の右腕に赤い龍の頭部のようなものが取り付けられる。

 

龍騎はその右腕をユルセンへと向け、龍の口から爆炎を放つ。勢いよく放たれたそれはユルセンを瞬く間に包み込んで、焼き尽くした。

 

 

と、思われたが………

 

ユルセンはその直撃を受けても全くの無傷で………

 

 

「え?」

「ユルセンは相手の効果を受けない。残念だったな」

「ずる!!……だけどアタックは続いてんだ、そのまま突っ込め龍騎!!」

「モチベを落とさず尚攻めるか!!いいじゃないか!!……褒美にライフをくれてやろう!!」

 

 

 

〈ライフ5➡︎4〉カゲミツ

 

 

 

ユルセンはほぼ無敵だが、その代わりアタックとブロックができない。カゲミツは龍騎のアタックをライフで受けてしまうことになる。龍騎の固く握られた拳が彼女のライフ1つを砕いた。

 

 

「まだまだァァァー!!!…シャムシーザー、オマエもいけぇぇー!!」

「それもだ。持っていくと良い!!」

 

 

 

〈ライフ4➡︎3〉カゲミツ

 

 

立て続けにシャムシーザーがカゲミツのライフへと地を這って進行する。そしてそのままそれを1つ体当たりで砕いた。小型スピリットの連続アタックとは言え、かなりのダメージがカゲミツを襲っていたが…………

 

 

「ふふ、ふひひひ!!……いいね〜この痛み、最高だ!!やっぱりバトルはこうでなくては!!」

「何あれ……ちょっと気持ち悪いんだけど………」

 

 

その痛みさえも快感のように受け取っているカゲミツに対し、エールはドン引きしていた。この様子からして、カゲミツは緑のカラーリーダーであるヘラクレスに勝ると劣らない程の戦闘狂である事が伺える。

 

 

「オレはこれでターンエンドッッ!!」

手札:4

場:【仮面ライダー龍騎】LV1

【シャムシーザー】LV1

【ミラーワールド】LV2

バースト:【無】

 

 

絶対に破壊できないスピリットがいようとお構い無し。アスラはいつものような速攻をカゲミツのライフに叩き込み、そのターンをエンドとした。

 

 

 

[ターン04]カゲミツ

 

 

 

「メインステップ………さぁ、お出ましだ。来い、仮面ライダーゴースト オレ魂!!」

「!!」

 

 

 

ー【仮面ライダーゴースト オレ魂[2]】LV2(3)BP4000

 

 

 

 

アーイ!!

 

バッチリミナ〜

 

バッチリミナ〜

 

カイガン!!オレ!!

 

覚悟!!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!

 

 

ライダースピリットの黒い素体がカゲミツの場に現れたかと思うと、その周囲に黒とオレンジのパーカーも同時に現れる。そのパーカーは妙に陽気な音声に合わせて踊るように飛び交い、最終的にはその黒い素体に被さる。

 

そして音声の通り開眼し、「仮面ライダーゴースト オレ魂」が姿を現した。

 

 

「これがカゲミツ姐さんのライダースピリット!!」

「ふふ、そうだ。これが私の仮面ライダーゴースト…………カッコいいだろ〜?」

「ハイっす!!でも召喚前の音声がクッソ長ぇぇ!!」

 

 

このライダースピリット、仮面ライダーゴーストのカードは既に[2]である事から、カゲミツのバトルの腕前はかなりの上級者である事が理解できて………

 

 

「さぁ見せ場だ!!アタックステップ!!…オレ魂でアタック!!」

「!!」

 

 

カゲミツは颯爽とアタックステップに移行し、オレ魂でアタック宣言を行う。そしてこの瞬間、オレ魂には強力なアタック時効果があって…………

 

 

「オレ魂の効果、手札かトラッシュにあるコスト6以下のゴーストと同じ状態で入れ替える!!……私はトラッシュにある『仮面ライダーゴースト ムサシ魂』を対象にし、オレ魂とチェンジする!!」

 

 

 

ー【仮面ライダーゴースト ムサシ魂】LV2(3)BP6000

 

 

カイガン! 

 

ムサシ! 

 

決闘!ズバット!超剣豪!

 

 

新たなパーカーがオレ魂に着せられ、オレ魂は赤色のムサシ魂へと変化した。

 

 

「姿が変わった!?」

「本来、ライダースピリットって言うのは姿を変えながら戦うのが定石なんだがな………その反応だとオマエ、まだ何も変化してないな?」

 

 

この世界において、デッキはバトラーと共に進化を重ねる。このカゲミツのゴーストも例外ではない。幾度となく進化を繰り返して来たのだろう。

 

ただ、このアスラは龍騎と出会ってまだ半年程度。進化の兆しも未だ見えずの状況であった。

 

 

「まぁオマエはコモンだしな。進化の力もあんまりないのかもしれないけどさ〜」

 

 

カゲミツは続け様に述べた。

 

アスラの身分はコモン。そもそも進化の力も無く、一度もできないおそれだってあり得る。

 

 

「…………関係ねぇ……関係ねぇよカゲミツ姐さん!!……オレはコモンでも、ソウルコアが使えなくても、進化できなくても………何がなんだろうと『頂点王』になってやる!!それだけは譲れねぇ!!」

「………アスラ……」

 

 

軽くアスラをディスっていたような発言も見受けられたカゲミツに対し、アスラは大きく笑いながら言い返してみせた。

 

『超』が付く程の硬い意思がアスラの中にはある。例え何がどうなろうと、誰に何を言われようともアスラはこの夢を諦めたりはしないだろう。

 

 

「ふふ、いいねぇ〜……オマエは見込みありだ!!アスラ!!」

「え?なんの?」

「ムサシ魂の効果!!」

「!!」

「相手スピリット2体のコアを1つずつリザーブに置く!!……龍騎とシャムシーザーから取り除き、消滅させる!!」

「なにっ!?」

 

 

『見込みあり』と言うかカゲミツの言葉に疑問を抱くアスラだったが、束の間にカゲミツがバトルを再び進行させ、ムサシ魂の効果を発揮させる。

 

Bパッド上にある龍騎とシャムシーザーの上に置かれているコアが強制的にリザーブに置かれてしまい、2体はなす術なく消滅してしまった。

 

 

「さらにトラッシュにあるブレイヴ『ガンガンセイバー』の効果発揮!!ゴーストのアタック中にトラッシュから召喚できる!!……そしてそのままムサシ魂と合体!!」

 

 

 

ー【仮面ライダーゴースト ムサシ魂+ガンガンセイバー】LV2(3)BP9000

 

 

「な!?…またトラッシュから!?」

「最初のターンで散々トラッシュにカードを送っていたのはこのためだったのね………」

 

 

ムサシ魂に1本の剣が握られる。だが、それはすぐさま分離し、形を変え、二本の刀の形に変形した。

 

 

「さぁさぁ!!スピリットは無し!!アタック中のダブルシンボル!!……この状況はどうする!?」

「どうするってライフで受けるしかねぇだろ!!………ぐっぐぁぁぁ!!」

 

 

 

〈ライフ5➡︎3〉アスラ

 

 

ムサシ魂の華麗なる二刀流の斬撃がアスラを襲い、そのライフを一気に2つを斬り裂いた。

 

 

「エンドステップ……ユルセンの効果でカードをオープン。私は2枚目のオレ魂[2]を加えてターンエンド………どうした?…まさかそれで本気とは言わないよな??」

手札:6

場:【仮面ライダーゴースト ムサシ魂+ガンガンセイバー】LV2

【ユルセン】LV1

【大天空寺の地下】LV2

バースト:【無】

 

 

明らかに段々と調子を上げて来たカゲミツ。その顔つきも狂気に満ち溢れて来ており、アスラに少なからず大きなプレッシャーを与え続けていた。

 

しかし、アスラはこの程度で怯えたりはしない。相手が強敵だろうが格上だろうが関係ない。真っ直ぐ頂点王を目指して駆け上がるだけ………

 

 

「オレのタァァァンッッ!!」

 

 

[ターン05]アスラ

《スタートステップ》

《コアステップ》リザーブ4➡︎5

《ドローステップ》手札4➡︎5

《リフレッシュステップ》

リザーブ5➡︎6

トラッシュ1➡︎0

 

 

「メインステップゥゥゥー!!!…ドラゴンヘッドと2体目の龍騎を召喚!!」

 

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV2(2)BP2000

ー【仮面ライダー龍騎】LV2(3)BP4000

 

 

 

ドラゴンが頭部のみとなって飛翔するドラゴンヘッドが現れ、本日2体目となる龍騎が姿を現した。その際に龍騎の召喚時効果が発揮されるが、今回も対象カードは無し。全て破棄された。

 

 

「アタックステップゥゥゥー!!!……龍騎でアタック!!でもってミラーワールドの効果を発揮!!…デッキを1枚オープンしてアドベントカードを使用する!!」

「またその運任せの効果か!!…2度目も同じ結果になるとは限らんぞ!!」

「いや引く!!何がなんでも!!……オレは未来の頂点王になる男だからなァァァー!!!」

 

 

強く宣言し、全力でカードをドローするアスラ。

 

命運を別けるであろうこのドロー。

 

その内容はまさかまさかの最強のアドベントカードである『ファイナルベント』であった………

 

 

「っしゃぁ!!『ファイナルベント』!!コイツを発揮だァァァー!!!」

「なにっ!?…ホントに引き当てた!?」

 

 

龍騎が再び腰のベルトからカードを1枚引き抜き、左手のバイザーにそれを装填…………

 

………『ファイナルベント』!!

 

と、また無機質な音声が流れた……

 

龍騎の背後に赤き龍が身体を唸らせ、咆哮を上げながら現れる。

 

 

「この効果によりBP15000以下のスピリット、ムサシ魂を破壊!!」

「!!」

「ドラゴンライダーキックッッ!!」

 

 

高い脚力を活かし、赤き龍と共に上空へと跳び上がり宙を舞う龍騎。そして、ムサシ魂へと狙いを定め、直後に繰り出される赤い龍の口内から放たれた火炎弾に背中を押され、加速しながらキックを放つ。ムサシ魂はその強烈な一撃を受けて堪らず爆散してしまい、カゲミツの場には合体していたガンガンセイバーが取り残されてしまう。

 

 

「ファイナルベントのさらなる効果で龍騎は赤のダブルシンボル!!…このアタックとドラゴンヘッドのアタックで一気に3点ダメージだァァァー!!!」

 

 

このターンで勝って見せると強い意気込みを見せるアスラ。

 

だが、このカゲミツに勝つと言う事は生半可な実力では叶わなくて………

 

 

「ふふ、ふひひひ!!……アスラ〜!!オマエやっぱり良い!!…ちょっと本気出しちゃおうかな〜〜フラッシュマジック……!!」

「っ!?……ここから反撃するのか!?」

 

 

カゲミツのフラッシュマジックの宣言でさらなるカウンターを予測するアスラ。正直これ以上何かされると手詰まりだ。

 

しかし、そんな時だ…………

 

 

「おいおい、新人相手にそれはマズイんじゃねぇの?」

 

ー!!

 

 

図太い男性の声がバトルの流れを止めるかの如く割って入って来た。当然エールのものではない。ただ、この声主はアスラもエールも聞き覚えがあるものであって…………

 

 

「あ、あんた………テンドウさん!?」

「テンドウ!?…なんでここに!?」

「なんでここにって…………迷子です」

 

 

迷子は嘘だ。

 

そこにいたのは筋肉質な厳つい男で、この世界に君臨する三王の1人、テンドウ・ヒロミ。アスラとエールが一緒に旅をする事になった原因の人物でもある。

 

 

「おぉ!!テンドウではないか!!久し振りだな!!……なんだ、私と一戦やりに来たのか!?…そうだ、やろうではないか!!血が滲む程のバトルスピリッツを!!」

「イヤです。勘弁してください」

「ふふ、そうやって無表情でお茶を濁してくるところも変わらんな」

「知り合い………なの?」

「あぁ、ちょっとな」

 

 

カゲミツとテンドウの会話によって、なんとなく彼らが知人同士である事が理解できた。

 

 

「コイツは私の婿候補だ!!」

「なんでテメェみてぇなアバズレと結婚しねぇといけねぇんだよ!!殺すぞ!!」

「おぉ!!調子出て来たな!!どうだ!!一戦やらんか??楽しいぞ〜!!」

「やるわけねぇだろ!!」

「すごいカゲミツ……あのテンドウがツッコミに回ってる………」

 

 

エールはこんな風に誰かにツッコミを入れるテンドウを見た事が無かった。

 

 

「あれ………なんかオレ……忘れられてねぇっすか??」

「ふふ、バトルはまた今度のお預けだなアスラ」

「えぇぇぇえ!?…めっちゃいいとこだったのに!!」

「気にするな。オマエが前へと進む限りいつか必ずまた戦える…………その時オマエがどれだけ成長してるか楽しみだ…………ふひひひ」

「??」

 

 

龍騎のアタック中だったが、テンドウがわって入って来た事により、一時中断され、再びバトル続行と言う雰囲気では無くなっていた。アスラだけでなくスピリットである龍騎も立ち尽くして困惑していた。

 

カゲミツの言葉の意味が理解できず、頭の上に疑問符を浮かべるアスラ。ただ、この意味は後に判明する事になる。

 

 

「おぉどうだ小僧!!調子はいいか!!」

「ハイっす!!めちゃくちゃ頑張ってますが頂点王にはまだまだっス!!」

「ワッハッハッハ!!そうだその息だ!!……じゃなきゃ殺す!!」

「なんで!?」

 

 

テンドウが煙草を咥えながらアスラに声をかけて来た。アスラは反射的に頭を下げる。彼の意にそぐわない事をしたら頭を握り潰される事を知っているからである。

 

 

「って言うかテンドウ!!なんで私がこんなチビでコモンの奴と一緒に旅しないといけなかったのよ!!」

「誰がチビだァァァー!!!」

 

 

エールは久し振りに会ったテンドウに対し、アスラと旅をしなければならなかった理由を聞いて来た。

 

 

「あぁ?それを探すのも旅の理由だろうが。自分で考えろエール。じゃなきゃ殺す」

「えぇぇぇえ!?」

 

 

煙草の煙を吐きながら不条理キャラを発揮するテンドウ。さっきから二言目には必ず「殺すぞ」だ。カゲミツによってペースを乱されていたが、どうやら少しずついつもの調子に戻って来ているみたいである。

 

 

「んな事よりオレはオマエ達2人に用があって来たんだよ。わざわざオウドウ都から直接出向いてやったわけ。感謝しろよ?」

「なんでよ!?」

「まぁまぁ、そんなにカリカリすんなって〜」

「うっさいわねこのバカスラ!!」

「誰がバカスラだァァァー!!!」

「ふふ、喧しい連中だ……でも良いな。久し振りにこのレイデル森の夜が明るい気がする」

 

 

真夜中には幽霊が出るなどと恐れられているこの森はアスラ達の喧しい声に包まれ、確かに賑やかになっていた…………

 

ここに長居するカゲミツはその事を誰よりも早く理解し、干渉に浸っていた。

 

 

「でさ、テンドウさん!!用ってなんすか!?」

 

 

いつの間にかBパッドを閉じていたアスラがテンドウの前まで迫りながら聞いて来た。エールも一応聞いておこうと、そこまで足を伸ばしており…………

 

テンドウは煙草の煙をまた吐き出すと、その内容を口にした。

 

 

「この三王テンドウ・ヒロミ直々の命令だ。……オマエら、ナミラ町の青のカラーリーダー『ローザ・アルファ』と一緒に新しく発見された『コラボダンジョン』の捜索に行って来い」

「えぇ!?コラボダンジョン!?」

「すげぇぇ!!」

 

 

『コラボダンジョンの捜索』………そうテンドウに言われ、驚くアスラとエールだったが………

 

 

「コラボダンジョンってなんすか!?」

「………あんたなんで一緒に驚いたのよ」

「いや〜ノリで!!」

 

 

アスラは全くコラボダンジョンについて知らなかった。この世界においては常識の範疇ではあるが、彼が15年もの間田舎暮らしだった事が影響したのだろう。

 

 

「コラボダンジョンっつうのは昔の人間共が死ぬ前に作った迷宮の事だ。その中には多くのお宝があると言われている。ライダースピリットやデジタルスピリットも発見された例もあるぞ」

「うぉぉぉぉお!!!スッゲェェェェエ!!!」

「ふふ、そして自分達以外の人間に使われぬよう様々な罠が仕掛けられている危険で面白い場所でもある!!」

「えぇぇぇえ!?……面白くねぇぇぇえ!!!」

 

 

テンドウとカゲミツが順に説明して行った。

 

コラボダンジョンとは、現代で言うところの古墳と言ったところか。彼らの言う通り、そこにはレアなカードも大勢あると言われているが、同時に様々な罠もある。

 

邪な理由で取られないためにも、カラーリーダーや三王が率先して探索に向かうのだ。

 

 

「でもなんで私たちが行かないといけないのよ?」

「うるせぇ、オレが行けと言ったら行け」

「ハイィィィィー!!!…不肖アスラ!!誠心誠意努めさせていただきまァァァーす!!!」

 

 

完全に乗り気なアスラ。対してエールは少々不満気である。

 

別にコラボダンジョンに行きたくないわけではない。寧ろレアなカードがあるなら一度はこの目に入れてみたいものだ。

 

ただ、問題はその青のカラーリーダー(一緒に行くヤツ)だ。

 

 

「………あいつ、苦手なのよね………」

 

 

真夜中。

 

アスラとエールはテンドウからの依頼を承諾………というか無理矢理承諾させられたが、エールは一抹の不安を抱えていた…………

 

その理由は、その一緒に行くという青のカラーリーダーが自分と同じエックスの身分を持ち、同い年の少女でもあるからだ…………

 

 

******

 

 

ここはレイデル森を抜けた先にあるナミラ町のカラーリーダーの住う家。

 

 

「ふっふふ〜ん♪………ふぅっ、もう少しですわ〜」

 

 

その中では背中まで薄い青色の髪を伸ばしたお嬢様口調の少女がこれでもかと積まれた資料を整理していた。大変な仕事ではあるが、彼女は鼻歌交じえながらマイペースに仕事をこなしていた……………

 

 

「慣れないカラーリーダーのお仕事も大分慣れて来ましたわね…………あっ、そう言えばテンドウさんから今度のコラボダンジョンの捜索に参加する同行人をお一人決めておけと言われてましたっけ?」

 

 

終わりかけたカラーリーダーの仕事。その途端に、青髪の少女は上司の三王であるテンドウに言われていた事を思い出す。

 

このナミラ町近辺にコラボダンジョンが発見されたため、彼女は必ず参加しなければならないが、それでは何かあれば問題になるため、腕利きのバトラーの同行は必要不可欠であったのだ。

 

青髪の少女は人差し指で顎を押さえながら「う〜ん」と悩んでみる。そうすれば1人だけ思いついた………彼ならば申し分ないだろう…………

 

 

「そうですわ!!……先日対戦していただいたロンさん!!…あの方がまだこの町に滞在中でしたら同行させていただく事にしましょう!!」

 

 

その彼とはロンの事である。

 

なんと彼はすでに第二のカラーリーダーであるこの少女、しかもエックスの身分の者を倒していた。

 

 

これは運命なのか………いや、これを運命と言わずしてどうなる。

 

アスラとロンはまるで何かに導かれるように同じコラボダンジョンに足を運ぶ事となった……………

 

 

 

******

 

 

翌朝。照り付ける太陽の中…………

 

 

「一泊宿泊させていただき、ありがとうございましたァァァー!!!」

「あ、ありがとうと言ってあげても良いわよ……!!」

「うむ、2人ともまた来なよ」

「ハイッ!!必ず来ます!!」

「しょ、しょうがないわね!!あなたがそこまで言うなら来てあげなくもないわ!!」

「むや〜」⬅︎欠伸

 

 

アスラとエール、そしてアスラの頭の上のムエは、このレイデル寺の宿主であるカゲミツに別れの挨拶をしていた。なんだかんだ2人ともカゲミツには泊めてもらった事に感謝している。

 

因みに、テンドウはあの夜、泊まる事なくそのまま帰った。泊まったらカゲミツに「バトルをしろ」と追い回されるからである。

 

 

「………よし、ここでこのカゲミツ姐さんが先輩バトラーとして少しアドバイスをくれてやろう!!」

「「!!」」

「アスラ、オマエは豪快なヤツだ。でも、それがオマエの取り柄だとしても何も考え無しに動くのはやめろ………諦めないのは良い事だが、考え無しだと、ただ単に無策で無謀なだけの男に成り下がる」

「!!」

 

 

アスラはふと昨日の夜のバトルを始め、今までの自分のバトルを思い出してみる。確かに言われた通り、自分とスピリット達を信じて真っ直ぐ豪快に突き進んできたが、結局はそれだけだ。

 

 

「ふふ、一旦冷静になる事を忘れるな……そうすればオマエはもっと強くなれるだろう。ソウルコアが無くてもな」

「ッッ!!……ハイッー!!」

 

 

カゲミツに認められた気がして嬉しくなったアスラは力一杯の返事をした。

 

自分はまだまだ強くなれる。これからまたさらに頑張ろう。

 

そう志しをその胸に刻んだ。

 

 

「後エール、オマエはもう少し心を落ち着かせてみろ。慌ただしいぞ」

「心を?」

「あぁ、人間、真の力を発揮する時は必ず心安らいだ時だ。肝に銘じておけ」

「…………はい……」

 

 

イマイチカゲミツの言っている事が理解できなかったエール。教えた側のカゲミツもなんとなくエールが理解していない事をわかっている。

 

が、いずれわかるだろう。多分この真っ直ぐな少年と旅をしていくうちに。

 

カゲミツは彼らのなんとなくの事情をテンドウから聞かされていたため、実は初めから知っていたのだが、おそらくテンドウはこのアスラだからこそ、エールと一緒に旅をさせたんだろうと察していた。

 

因みに、『目』が良いは嘘。

 

 

「そんじゃ、カゲミツ姐さん、色々ありがとうございましたァァァー!!!」

「むえぇぇぇぇぇぇぇええ!?!」⬅︎なんか便乗

「あぁ、達者でな〜」

 

 

その挨拶を最後にアスラとエールはカゲミツの元を去って行った。カゲミツは彼らが見えなくなるまで見送っていた。

 

 

「…………ふふ、ふひひ!!………2人とも深くて良い目をしてたなぁ〜」

 

 

完全に2人の姿が見えなくなった頃、カゲミツはまたうっとりしながら不気味に笑って見せる。

 

 

「話を聞く限り、アスラは『オオカブ町』からスタートした…………つまり、私は『5番目』か〜〜……どれだけ強くなって現れてくるか楽しみだな〜………こんなに心躍ったのは最後にテンドウとバトルした時以来だ。待ち遠しい…………ふひひ」

 

 

二十歳にもままならないカゲミツと言う少女の正体は『紫のカラーリーダー』………身分はマスター。『ブゲイ家』の1人。そのバトルの腕前は6人いるカラーリーダーの中でも2番目に強いと言われている。

 

いずれは戦わなければならない猛者に、アスラとエールは知らずして偶然出会ってしまっていた。

 

 

 

 




《キャラクタープロフィール》
【カゲミツ・ブゲイ】
性別:女
年齢:19歳
身長:164cm
身分:マスター
使用デッキ:『仮面ライダーゴースト』
好きなモノ:ギリギリの死闘、自分より強い者
概要:実は紫のカラーリーダーだけどまだ出番は先。性格は簡単に言うと変態。おそらくヘラクレス以上の戦闘狂。絶賛婿探し中。

《用語設定》
【オウドウ都】
この国の中心部にある最大都市。周囲にはカラーリーダーの住う6つの町が存在する。挑戦者達は6人のカラーリーダーを倒した後にここまで戻り、三王にバトルを挑む。



******


最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


平成二期のライダーの音声は長過ぎて描写しない時もあるかも知れません。
何かミスがあった場合は感想欄ではなく、メッセージボックス等からお願いします。


先日、『レイちゃんは強いバトラーと戦いたい』にコラボストーリーズとのコラボ回が更新されました!!
⬇︎ここから飛べます
https://syosetu.org/novel/207036/
コラボ回を執筆してくださったOZo-Niさん、ありがとうございました!!


OZo-Niさんとのコラボについてですが、
あれだけ素晴らしく執筆なさってくれたOZo-Niさんのためにお返しとしてこの物語の中盤に私もコラボ回を執筆する予定です。

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