65コア「明けぬ夜ブラックゲイン、アスラVSオブシディアン」
「おい、どこまで行くんだよロン」
「…………」
王国の中心都市であるオウドウ都。その中でも人気が全くない裏道がある。アスラはロンの話を聞くために、2人でそこを歩いていて…………
「………ここら辺でいいか」
「で、話ってなんだよ。お金貸してくれとか?」
「別に金に困ってないし、つーかオマエはオレよりも金ないだろ」
「なにをォォォー!!!……オレだってこう見えていろんな人達にバトルで勝ってお金貯めたんだぞォォォー!!」
Bパッドに記されたそれなりの残高をロンに見せつけるアスラ。だがそんな事はどうでもいい。
ロンはそう言わんばかりに話を始める…………
「単刀直入に聞くぞ」
アスラ、オマエは頂点王になってどうする?
王国最強のカードバトラーとなって何を望む?
ー!!
それは凄まじく簡素で、尚且つ深い質問だった。今までガムシャラに目指して来た最強カードバトラー『頂点王』の称号。ロンは如何にしてそれになるかの話ではなく、なった後にどうしたいかをアスラに尋ねたのだ…………
「頂点王になってどうするって………んなもんわかんねぇよ。だってオレはシイナとの約束を果たすために、コモンでも、ソウルコアが使えないヤツでも最強になれるって事を証明したいから頂点王になりたいんだ。なった後の事は考えた事ねぇ………」
そうだ。アスラにはそれがない。頂点王になると言う大きな夢こそ掲げてはいたが、それになった後にどんな事をしようか考えたこともなかった。
「やはりな。オマエはどんなに強くなっても、そこだけは絶対に考えたりしないと思っていた」
「………なんかオレの事バカにしてる?」
「してる」
「オイ!!……じゃあオマエにはあんのかよ、頂点王になった後にやりたい事」
確かに。話し方からして、アスラとは違い、ロンには頂点王になった後にやりたい事がある事になる。
ロンは薄く笑みを浮かべると、その質問に返答する。
「あぁ、ある。オレは…………」
だが、返答しようとしたその直後、アスラの加減からブラックフォースの1人、オニキスが現れ…………
『ゼゼゼ………おい、夢について語るのは後にしてもらおうか』
「………アスラの中にいるブラックフォースか」
『あぁ、オレはアスラの中にずっといた。オマエの事もよーく知ってるぜ』
顔合わせは初めてとなるオニキスとロン。オニキスがこの変なタイミングで突然現れたのには理由があって………
『アスラ、今他のブラックフォースの力を感じ取った』
「ッ……じゃあ」
『あぁ、遂に来るぞ………ブラックゲインが』
ブラックゲイン………
この世の全てを黒属性の力で染め上げ、黒属性の力に対応し切れない人間を滅ぼすと言う計画。王国のどこかでブラックフォースの力を感じ取ったオニキスは、遂にそれがやって来ると確信した。
「一旦この話は終わりか。だがアスラ、これだけは覚えておけ」
「ん?」
「先を見ているヤツと見てないヤツとでは力の差が違う。頂点王になった後の事を考えた事もないオマエでは、オレには決して勝てない………」
「………勝手な事言うんじゃねぇコノヤロー……オレはそれでも頂点王になる。オマエを倒してな」
「………フ、それでこそアスラだ。行くぞ、この国を救いに」
「おう!!」
ロンが頂点王になった後、何を成そうとしているのかは結局わからず終いだったが、今はそれどころではない。もっと大きな厄災から世界を救うべく、アスラとロンは風のように走り去って行った…………
******
一方、オウドウ都の中心部には異常事態が発生していた。
まるで街を見下ろすかのように巨大な黒い球体が宙に浮かんでいたのだ。誰も見た事がない見たなる物体に王国中の皆が興味本位でそれを眺めていた………
それが厄災の始まりだとも知らずに…………
黒く、巨大な球体はやがて中から同じくらい黒いガスを上へと放出。瞬く間に晴天だった空全体を黒く塗りつぶして見せる。
そして、一瞬にして黒く染まった大空より、これまた未知なる黒い怪物達が現れる。それはスピリットではなく、黒属性の力によって固められた人形………
だが、人間達によって封印されたと言うブラックフォース達の昔年の恨みが詰まっている。故に、それらは人間を襲わんと地上へと降り立ち、破壊を開始した……………
逃げ惑う人々。最早レアやマスターなどの身分は関係ない。こうなってしまえば、人は人。力によって淘汰されるだけの無力な存在に成り下がる…………
しかし、それでも抗う者達はいる…………
「行きなさい、オメガモン!!」
崩壊した都市の中、白い聖騎士型のデジタルスピリット、オメガモンが黒い怪物達を次々と斬り裂いていく。
オメガモンを操る少女の名はエール・オメガ。エックスの身分を持つ者として、街を守護するためにその身を賭ける………
「出撃せよ、フリーダムガンダム!!」
オメガモンに続き、青き機翼を羽ばたかせるモビルスピリット、フリーダムガンダムが怪物達をビームサーベルを振い葬っていく。
操っているのはエールの実兄、この王国の三王でもあるエレン・オメガ。
「生き残りたくば早く逃げろ!!……出来るだけ遠くに!!」
街の人々にそう呼び掛けながら戦闘を続けるエレン。
エールと彼女の操るオメガモンと共に、エックスとして、三王として国民の皆を守る。
「来た……本当に来た。アスラ達は今頃どこに………」
「余計な事を考えるなエール。ヤツらが必ず主犯を倒すと言うのであれば、我らでその時間を稼ぐまで。国民には指一本触れさせるな」
「はい!!」
黒属性の力は余り理解はしていなかったものの、今のこの異常な事態から、これこそがオニキスの言っていたブラックゲインなのだと言う事を理解していた2人。
エレンは続け様に「それに……」と呟くと………
「助太刀も用意してある」
「え……助太刀って……?」
「ワイらの事やで、エールちゃん!!」
「!!」
聞き覚えのある声がエールの耳を通過する。その方へと振り向くと、巨大な体格を持つ黄金の甲虫型のデジタルスピリットが黒い怪物達を次々と撃破している光景が目に浮かんで来た…………
そして、そのスピリットを操る事ができるのはただ1人…………
「へ、ヘラクレス!?」
「お久やな!……また綺麗になったんとちゃうか!?……いつでもワイの嫁に来てもええんやで!」
「…………アンタが助っ人?」
「あれ、そこ無視すんの………まぁええわ。助っ人はワイだけやないでぇ!!」
「!!」
そこにいたのはこの国の緑のカラーリーダー、ヘラクレス。彼にそう言われ、エールは辺一帯を見渡していく…………
するとそこには…………
「行きます、わたくしはズドモンを召喚!!」
長いブランドヘアの少女がBパッドにそっとカードを置き、亀のような頑丈な甲羅を持つ青の完全体デジタルスピリット、ズドモンを召喚した。
彼女の名は『ローザ・アルファ』…………
この国の青属性のカラーリーダーだ。
「ワシがいる限り、王国のライフには傷1つ付けさせん。メカゴジラを召喚じゃ!」
歳を感じさせる喋り方の白銀の髪の男性、Bパッドにカードを配置し、鋼鉄の大怪獣、メカゴジラを召喚した。
彼の名は『ゴゴ・シラミネ』…………
この国の白属性のカラーリーダー………
「次はオレ様だぜYEAHH!!!!……ホーリーエンジェモンをサモン!!」
金髪のトサカ頭、テンションの高い男性がBパッドにカードを叩きつけ、大天使の如き完全体デジタルスピリット、ホーリーエンジェモンを召喚して見せる。
彼の名は『スピーカー・ヘブン』………
この国の黄属性のカラーリーダー………
『HAY HAY HAY HAY HAY!!!!!!……みんな揃ってgoingマイウェイ!!!!」
「喧しいぞスピーカー!!……次は私だ、命は燃やしません。変身、仮面ライダーゴースト!!」
一本に結った黒くて長い髪の女性が、スピーカーをどかしながらBパッドにカードを叩きつける。
………カクゴ、ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!!
と言う音声が流れると、彼女は頭部に一角を持ち、パーカーを着こなすライダースピリット、ゴーストに変身した。
彼女の名は『カゲミツ・ブゲイ』………
この国の紫のカラーリーダー………
そして最後は…………
「………可能性の獣、ユニコーンガンダムを召喚」
赤髪の青年がBパッドにカードを置き、一角を備えた白きモビルスピリット、ユニコーンガンダムを召喚する。そのユニコーンガンダムは登場するなりビーム銃で周囲の黒い怪物達を薙ぎ払っていく………
彼の名は『イッカク・アカバネ』………
この国の赤属性のカラーリーダー…………
「…す、凄い……これって……」
「あぁエールよ。王国のカラーリーダーはここに集結した」
エレンが呼び寄せたのは王国にいる6人のカラーリーダー。オウドウ都を守護すべく、こうして皆集まってくれたのだ…………
「ほなみんな行くでぇ!!!…このヘラクレス様に続きな!!」
「なんでオマエが指揮るんだヘラクレス。カラーリーダーのリーダーはどう考えてもこのオレ、最後の赤のカラーリーダー、イッカクだろ。リーダーになりたくば100万円寄越すんだな」
「そんなに払えるかァァァー!!!」
「うっふふ、多分ですけど誰がリーダーでも対して変わらないと思いますわ」
「………ローザちゃんって意外と手厳しいよね………」
誰がカラーリーダーを指揮するかで揉めるヘラクレスとイッカク。それに対してローザが無自覚ながら釘を刺していく。
「ほっほっほ。なんかよくわからんが、アスラがこの事件の大元を叩いてくれるのじゃろ?」
「え………あ、うん……そうよ」
白のカラーリーダーであるゴゴがエールに訊いた。エールも軽く首を縦に振りながら返答する。
「アイツが帰って来た時に、安心して頂点王になれるよう、王国はしっかり守護しないとな」
「カゲミツ………」
「つまりオレ達ヒアウィーゴー!!…つまりアスラは頂点王!!……YEAHHー!!!」
「………ごめん、アンタはちょっと何言ってるかわからないわ」
紫のカラーリーダーであるカゲミツと、黄のカラーリーダーであるスピーカーがエールにそう言った。
「………ヤツなら必ず諸悪を倒す。皆の者よ、それまで信じて戦い抜け………これは三王命令だ」
エレンがそう告げると、6人のカラーリーダー達は各々が召喚したスピリットと共に黒き怪物達と本格的な戦闘を始めた。
皆気持ちは同じ、王国を守るため、そしてアスラのため…………
「………ねぇ見てるバカスラ?……みんなアンタみたいなコモンのために戦うんだって………凄いじゃない、この国を変えたのよアンタは。本当にアンタが見てきたバカな夢は現実になろうとしてる。もう少しで頂点王になれるのよ?………だから絶対に帰って来なさいよね」
「…………我らも行くぞエール。この国を、守り抜け」
「はい、お兄様!!」
エールはそう願い、オメガモンと共に戦場と化したオウドウ都を駆け抜けていった…………
彼女はアスラなら必ずこの国を救い、頂点王になると誰よりも信じている…………
******
一方でアスラとロン。おそらくブラックフォースがいるであろう黒い球体目掛けて走っていた。そしてその間、エール達が戦っている戦場から爆発音や爆炎が上がっている事を確認して…………
「みんな、戦ってんのか……!?」
「多分な………オマエ、まさかあの戦いに助太刀を入れようとしているんじゃないだろうな?」
ロンがアスラに訊いた。だがアスラは否定するように首を横に振る。
「そんな馬鹿な事はやらねぇ。みんなオレ達が大元をぶっ倒すのを待ってるんだ………オレはそんなみんなの期待にぜってぇ応える」
「フ……だったらもっと急ぐぞ」
「おう!!」
アスラは皆の考えを理解している。ここでエール達を助けたらみんなの期待を裏切る事になる。
だからこそ、ブラックゲインの原因になっているであろう目の前の黒い球体をぶっ壊す…………
そう誓いながら、走り行くのだが…………
ある声によって、それは止められる…………
「ザザザ………誰が、誰をぶっ倒すって?」
ー!!!
思わずその足が止まる………
声の方へと身体ごと振り向く………
そこにいたのはブラックフォース最強の男、オブシディアンだった。今はこの国の三王の1人であり、アスラの恩人でもあるテンドウ・ヒロミの身体を乗っ取っている…………
「……オブシディアン……!!」
「シャーマンから聞いたよ。君たち、まだ私らに歯向かうつもりみたいだね」
「あったり前だ!!……ブラックゲインとか言うふざけた計画は、このオレとロン……そしてオニキスがぶっ潰す!!!……つーかオマエはテンドウさんの身体から離れやがれ!!」
拳を握り、強く宣言するアスラ。
オブシディアンは不敵な笑みを浮かべながら、まるでアスラの中を見通しているかの如く…………
「ブラックゲインの事はオニキスから聞いたのかな?……随分と仲が良くなったんだね………出て来いよ、裏切り者」
「!」
アスラではなく、オニキスに告げたその言葉。やはりオブシディアンとて裏切り者は許せない様子…………
そしてその言葉に合わせ、アスラの影から霊体のオニキスが姿を見せる………
『ゼゼゼ……よう、待ちわびたぜオブシディアン。オマエ達がまだブラックゲインなんてくだらねぇこと考えてたとはな」
「ザッザッザ………くだらないのはお互い様ではないかオニキス。君こそまだあの時殺した人間の事が忘れられないのかい?」
『…………』
「だからこうして私たちに復讐しようとやって来たのだろう?……すっかり人間に毒されたね」
オブシディアンの言う『人間』とは、アスラの実の母親である「キョーラ・ギア」の事だ。
「そこにいる少年は、あの時の人間の子供か何かなんだろ?」
「!!」
『………あぁ、そうだ』
「お、おいどう言う事だよオニキス??……いったいなんの話だ!?」
サラッと口にするには余りにも衝撃過ぎる内容。流石のアスラも困惑してしまう。
オニキスは遂にこの時が来てしまったかと言わんばかりに、16年前のあの出来事を説明する…………
『………オマエの本当の母親と、オレは親友だった」
「マジ!?」
『あぁ、名前はキョーラ』
「……キョーラ」
『………だがある日、復活したオブシディアンが、ギアの一族の末裔と言う理由だけで……キョーラを殺そうとした」
「!!」
『キョーラは最後の力を振り絞り、オレと共にこの世界に来た。だが、直後にオブシディアンから受けた傷が原因で死んだ………生まれたばかりのオマエの事を心から愛していた』
「………」
全てを話した…………
アスラは遂に自分の本当の母親であるキョーラの事を知る。彼は今何を思っているのか、斜め下を向き、黙り込む。
興味がないのか、ロンもただその後ろ姿を無言で眺めるだけだ…………
「ザッザッザ……まさか絶滅させたはずのギアの一族がこうして生き残っているとは思ってもいなかったよ。まぁ、それも直ぐにあの世に行く事になる………ちゃんと私の手で母親の後を合わせてあげましょう」
『………今まで黙っていてすまなかったアスラ、行けるか?』
ここで会った時から簡単に推測できたが、オブシディアンがここに来た理由はアスラを消す事。黒の力で腕にBパッドのようなモノを纏い、バトルのスタンバイを行う。
それを見ても尚戦闘態勢を取らないアスラにオニキスが訊いた。彼はどうやらキョーラの事を黙っていた事に罪悪感を覚えている様子………
だがしかし、直後に何故かアスラは薄く口角を上げて…………
「ヤベェよオニキス、どうしよ。オレ今めちゃくちゃ嬉しい……!」
ー!!
赤ん坊の頃に血の繋がった母親を失ったと言う過去を知らされた後、そして目の前にはその殺害した張本人がいると言うにもかかわらず、アスラは笑ってしまった…………
この行動には流石のオブシディアンも動揺する。
「オレ、今までソウルコアが使えなくてめちゃくちゃ悔しかったんだ。なんでオレだけがこんな不幸なんだって思ってたんだ」
『…………』
「でも違った、不幸なんかじゃなかった………オレは、2人の母ちゃんに愛されていた………こんな幸せなヤツ、他にいねぇよな?」
自分は他の誰よりも幸せ者だった…………
その事を噛み締めると、嬉しくて嬉しくてしょうがなかった。
そんなアスラを見てロンは鼻で笑いながら「……やっぱバカだなアイツは」と呟きながら彼の元まで歩み寄り…………
「アスラ。このバトル、オレは一切手を出さない………オマエがやって、勝て」
「あぁ、サンキューな親友」
オブシディアンとのバトルには手を貸さない事を告げるロン。今の自分がアスラにしてやれる事はこのくらいだと思っている。
『ゼゼゼ……なんだ、てっきりビビってやる気を失ったのかと思ったぜ。心配して損したわ』
「な訳ねぇだろ。待たせたな、オニキス!!」
『あぁ、このバトル……勝つぞアスラ!!』
「おう!!」
相棒であるオニキスともそう語り合い、アスラは直後に己のBパッドを腕にはめ、展開。デッキをセットしてバトルの準備を行う…………
やる気は十分。目標は最強最大のブラックフォース「オブシディアン」の討伐…………
「ザザザ………愚か者とはオマエ達のような言葉を指すんだろうね。最弱のブラックフォースと、ソウルコアが使えない最弱の人間如き、このオブシディアンが軽く捻り潰してくれる」
「うるせぇぞコノヤロー!!…テンドウさんの身体は絶対返してもらう!!……でもってオレは必ずオニキスの無念を晴らす!!」
『ゼゼゼ……決着だオブシディアン!!』
………ゲートオープン、界放!!!
そのコールはまさにこれから始まる激闘の狼煙。
戦場と化したオウドウ都にて、アスラとオニキス、そして最強のブラックフォースであるオブシディアンがバトルを始める。
先行はアスラだ。ロンが後ろで黙って見守る中、ターンを進めていく………
[ターン01]アスラ
「メインステップ!!…オレは、オレ自身を仮面ライダーセイバーに変身させる!!」
「!」
ー【変身!!仮面ライダーセイバー】LV1
………烈火抜刀!!
その音声が流れると、アスラは炎をその身に纏い、変身する。その姿は右肩に赤き龍が刻まれた新たなるライダースピリット、仮面ライダーセイバー。
「………シャーマンが言っていた、ジオウを持つこの私でさえも知らぬライダー………成る程、オニキスの黒の力が宿っているのか」
「アレがアスラの新しい力か」
オブシディアンが存在を知らないのも無理はない。何せセイバーはアスラとオニキスの絆で誕生した奇跡のライダースピリットなのだから。
ロンもアスラの新しいライダーの姿を認識した所で変身のカードの神託が発揮。デッキからカードがトラッシュへと送られるが、今回の対象はなかったため、追加コアも0だ。
「………ターンエンド」
手札:4
場:【変身!!仮面ライダーセイバー】LV1
バースト:【無】
緊張感が張り詰める中、アスラの第1ターンが幕を閉じ、最強のブラックフォース、オブシディアンのターンが始まる。
[ターン02]オブシディアン
「メインステップ。私もネクサスカード、旅団の摩天楼。これを2枚配置だ………効果により2枚ドロー」
ー【旅団の摩天楼】LV1
ー【旅団の摩天楼】LV1
オブシディアンの背後に二棟の摩天楼が聳え立つ。彼はその効果でカードを引き、己のデッキを回した。
「ターンエンド」
手札:5
場:【旅団の摩天楼】LV1
【旅団の摩天楼】LV1
バースト:【無】
すぐさまターンエンドが宣言され、アスラのターンが巡って来る。
[ターン03]アスラ
「メインステップ!!……オレはドラグノ突撃兵をLV2で召喚!!」
ー【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV2(3)BP6000
アスラが呼び出したのは身の丈と同等の大剣を構える竜人、ドラグノ突撃兵。
彼が恩人であるテンドウから譲り受けたカードである。今までどれだけこのカードに序盤を支えてもらっていたかは計り知れない。
「アタックステップ!!……テンドウさんから貰ったこのカードでぶつかる!!……行くぞ突撃兵!!…効果で1枚ドロー!」
「………ほぉ、ライフで受けよう………ッ」
〈ライフ5➡︎4〉オブシディアン
ドラグノ突撃兵が大剣を振い、オブシディアンのライフバリアを1つ砕く。
そしてこれだけでは終わらない。
「【追撃】の効果、重疲労状態にする事でもう一度攻撃だ!……でもってカードもまたドロー!」
「面白い効果だ。それもライフで受けよう………ッ」
〈ライフ4➡︎3〉オブシディアン
ドラグノ突撃兵の二度目の攻撃もヒット。僅か3ターン目にして2つのライフを捥ぎ取る事に成功した。
「どうだクロキモヤロー!!……オレはこれでターンエンドだ!!」
手札:6
場:【ドラグノ突撃兵〈R〉】LV2
【変身!!仮面ライダーセイバー】
バースト:【無】
アスラの怒りも込められた渾身の二撃。それはオブシディアンに確かなダメージを負わせ、彼を優勢に立たせた……………
はずだった。
この直後に、アスラ達は人間とブラックフォースの生物としての格の違いを思い知る事になる………
[ターン04]オブシディアン
「私のターン……今のは少し痛かったぞ」
「………」
「だが、痛いだけだがね」
〈ライフ3➡︎5〉オブシディアン
「………は?」
呆気に囚われた声が漏れるアスラ。無理もない、何せ、壊したはずのオブシディアンのライフバリアが自分の目の前で新たに形成されていくのだから…………
いったい何のカード効果なのかとアスラは考える。だが違う…………
これは決してカードの効果ではない…………
ブラックフォースと人間の格の違いなのである。
「ザザザ、驚いたかい?……かなり長い期間この肉体で過ごして来たからね。ようやく、本来の力を発揮できる」
「…………どう言う事だよ」
「端的に言うと、ライフの再生」
「!!」
「貴様がどれだけ私のライフを破壊しようとも、次の私のターンまでにそれは回復する」
「………マジかよ」
ブラックフォース本来の力、それ即ち『ライフの再生』………
アスラがどれだけ攻撃を行おうとも、オブシディアンは瞬時にそれを回復してしまうのだ。
「………カード効果でもない、ライフの自動回復。最早ただのチートだな」
バトルを傍観しているロンが一人、そう呟く。アスラとは違って対して驚いてはいない様子。
「チートか。ザザザ、そうだな………我々ブラックフォースと人間とでは生物としての格が違う!!」
人間は下等種族。黒属性の力を容易く扱えるブラックフォースこそ至高の生物。そう言いたげな表情で高笑いするオブシディアン。
ライフ再生の原因は間違いなく彼の体内を駆け巡る、強大な黒属性の力。
同じくオニキスの影響で黒属性の力を持つアスラだが、果たして勝機はあるのか…………
******
私の身分はレアだった。どこにでも存在する、普通の人間、普通の子供、普通の存在だった。
ただ他の者達と違う事があるとすれば、それは身寄りの方々、例えば両親が物心ついた時から誰もいなかった事でしょうか…………
生きていくのに必死だった。
毎日毎日、食べ物を盗み、ドブに挟むネズミを食べては嘔吐し、川の水を啜った。その繰り返しだ。
本当に辛かった。地獄だった。この世に自分が生まれた意味を見出せなかった。他の人間は違った。裕福だった。通りかかった裕福な人間は偶に「食べきれないから」と言う理由で食べ物を捨てていた。
不思議な話だ。食べ物に困っている者がいるのに、別の人間は食べきれないからとそれを投げ捨てる。
そんな光景を見る度に思った。
この世界はいったいなんだと??
何故こんなにも醜い人間が貧乏なだけの美しい人間達を支配している気になっているのかと…………思い出しただけでも腹立たしい。胸糞が悪過ぎる。今すぐ殺してやりたいと思った。
だができなかった。自分にその力がないからだ。
逆に自分が死のうとも思った。だが死ねなかった。なんでかって?
怖いからに決まってるだろう。
そんな私を偶然見つけたのはエックスの身分を持ち、尚且つデジタルスピリットを司る三王、エレナ・オメガ。
彼女は空腹で今にも生き絶えそうな私を優しく抱き、実の子のように世話をしてくれた。そして私はあの方の元で暮らすようになり、恩人であるエレナ・オメガの事を、敬意を込めて「お師匠」と呼ぶ事にした。
保証されたは裕福な暮らし。正直言って毎日が幸せだった。お師匠は偶にサイコパスだったが、本当に良い人だった。
しかし、私の中にあった「この世界の抱えた愚かさ」の考え方が消えることはなく……………
今日、ここまでやって来た。バトルスピリッツ第七の属性、黒属性を操る古の怪物達、ブラックフォースと協定を結び、それを成し得るだけの力を遂に私は手に入れたのだ……………
「…今更こんな事を思い出すなんてね………もう、あの時の無力な私ではない。力を得た。最早他の人間……いや、猿共には到達できない神の領域にまで手を伸ばしたのだ」
ここは、オウドウ都に現れた黒き球体。その中にある巨大な空間の中、玉座のような座椅子に腰を掛けているのはブラックフォースと化したちょび髭シルクハット、ウィル。
そこには彼だけが存在し、他のオリジナルのブラックフォース達の姿は一切確認できない。
「必ず世界を創り変える。今いる人間を全て排除、理想郷をこの手に………」
全ては己の夢のため…………
どうしようもなく捻じ曲がった世界を正すため………
ウィルはただ1人狂気の道沿いを歩んでいる…………
だがその直後、足音が聞こえて来た。その音は徐々に大きくなっていき、こちらに近づいて来るのがわかった。
「………残念だけど、簡単にこの世界を渡すわけにはいかないな」
「……………誰だ貴様。どうやってこの空間に入って来た?」
「通りすがりのイカしたマスクマンさ」
ウィルの目の前に現れた男は、不気味な狐の面を被った男性、仮面Z。どう言うわけか、彼は黒い球体の中へと単身で侵入して来たようだ。
あれだけアスラを戦わせようとしていたはずなのに、いったいどう言う風の吹き回しか…………
「ところで、他のブラックフォースがいないみたいだけど、どうかしたのかな?」
「………何故ブラックフォースの事まで知っている。貴様、三王やカラーリーダーなどのこの国の中枢に存在する人間か?」
「ガン無視はやめて欲しいな」
今まで仮面で正体を隠しながらブラックフォースや黒属性、アスラ達の事を調べ尽くし、今日この日のために準備をして来た仮面Z…………
本名、ゾン・アーサー。
ウィルに対し、バトルをしろと言わんばかりに己のBパッドを構える。
「まぁ良い、他のブラックフォースは後で始末するとして、先ずは一番厄介そうな君から倒させてもらおう。その玉座から降りたまえ」
「………つくづく偉そうに。これだから現代人は嫌いなんだ、虫唾が走る」
「勝手に走ってるがいい。それに君も人間だろ?」
「何を言う。私は最早神に等しい存在だ。人間などと言うしょうもない枠組みに収まって良いわけがない」
自分の存在は神に近い存在である事を自負するウィル。
同じく黒の力を手にした存在として、Zは真っ先にアスラの顔を浮かべる。
あの子は違った。こうはならなかった。10年以上、己の弱さと向き合い続け、自分のまま強くなってみせた。
だがウィルはどうだ。
これ程までに愚かに成り果てた人間を知らない。哀れみの目を向けながら、己のデッキをBパッドにセットする。
「OK……じゃあやろうか、神様」
「………丁度いい。暇潰しに消し去ってやろう」
………ゲートオープン、界放!!
突如出現した黒い球体の中でひっそりと、世界の命運を分けた戦いが勃発。アスラとは違い、黒の力を一切持たないZに勝機は見出せるのか…………
必ず勝つ。アスラとロンをこれ以上危険な目に合わせるわけにはいかない………
そう願いつつ、バトルへと意識を向ける仮面Z。彼はどうやらアスラやロンにもう危険な目には遭って欲しくない様子。全てを自分だけで解決するためにこうやってここに来たらしい。
優柔不断と言って仕舞えばそれまでだが、彼本来の性格である心の優しさが垣間見えたとも言えて…………
******
場面は戻り、オウドウ都。ロンが見守る中、オニキスを宿したアスラとテンドウの肉体を依代とした最強のブラックフォース、オブシディアンの激闘が続く。
アスラの攻撃が実質の無効になる中、オブシディアンが己の第4ターン目を本格的に開始していて…………
「ザザザ………メインステップ。緑のスピリット、ヤン・オーガをLV2で召喚」
ー【ヤン・オーガ】LV2(3)BP4000
オブシディアンがこのバトル初めて呼び出したスピリットはトンボの姿をしたヤン・オーガ。
「マジックカード、ライフチャージ。効果で今召喚したヤン・オーガを自壊させ、ボイドからコア3つをリザーブに追加、さらにヤン・オーガ破壊時効果、破壊直前のLVの数分だけコアをリザーブに追加、よって計5個のコアをリザーブに」
「ッ……一気に5個も!?」
マジックカードの効果により、召喚ほやほやのヤン・オーガは緑の光を纏いながら爆散。だが払った代償に見合う見返りがオブシディアンのリザーブに施された。
「まだ行くぞ。龍星の矢で射抜け、龍星の射手リュキオースをLV1で召喚」
「!!」
【龍星の射手リュキオース】LV1(1)BP6000
フィールドから吹き上げる火柱、それらは美しく、滑らかに左右へと分かれ展開。そしてその狭間より現れ出たのは、白獣に跨って駆け抜ける龍、リュキオース。
このスピリットの強さはアスラも異世界で経験済みであって………
「召喚時効果。BP20000以下のスピリット、ドラグノ突撃兵を破壊」
「くっ……!」
リュキオースの豪腕から放たれる強烈な矢。それはドラグノ突撃兵を容易く射抜き、爆散させた。
「アタックステップ……行け、リュキオース」
すかさずアタックステップに移行し、リュキオースで攻撃を仕掛けるオブシディアン。スピリットがいないアスラはこの攻撃をライフで受ける他ない………
「ライフで受ける!!………ぐ、ぐぁッ!?」
『ぐぉっ!?』
〈ライフ5➡︎4〉アスラ
リュキオースの矢が再び放たれ、今度はアスラのライフバリアを1つ射抜く。
その今までとは比較のしようもない強烈な一撃、まるで身体の中で爆竹が爆裂したような痛みをアスラとオニキスは受けて…………
「い、いってぇ……マジかよ、たったの1ダメージで」
『まだ行けるかアスラ?』
「おうもちろんだぜオニキス。オマエこそ、へばんなよ!」
それでも尚立ち上がれるのはアスラの凄いところだ。こう言った所でも無駄に鍛えていた肉体が役に立つ。
「つーかアイツみたいにオレ達のライフも回復できねぇのか?」
『………!!』
「向こうが回復すんなら、こっちもやろうぜ!!」
アスラがオニキスに訊いた。オブシディアンみたく、黒属性の力でライフを補えないかと…………
だがそれは直ぐに否定される。
『それは無理だな』
「マジ!?…なんで!?」
『………』
アスラの質問に黙るオニキス。だが直後にオブシディアンが2人の会話に入り………
「ザザザ……ギアの一族、そんなヤツに期待しても無駄だ。何度も言うが、オニキスはブラックフォースの中で最も弱い、貴様のライフを回復してあげられる程の力を有していないのだよ」
「!」
ブラックフォースにも序列がある。
オブシディアンはその中で最も高い1番目の序列の持ち主。だが反対にオニキスは最も下の序列、4番目だ。彼らの中での序列とは、一つ違うだけでも天と地程の差がある。
オニキスとて、回復したいのは山々だ。だが、単純に力がないと言う理由で、彼はそれをしてやれないのだ。
「ザザザ……本当にオマエは昔からそうだオニキス、なんで生きているのかわからない。その程度の力しか持たぬオマエが何故ブラックフォースの枠組みに収まっているのだ……?」
ライフの回復程度、本当の力さえ取り戻せれば、他のブラックフォースでも容易に行える。
下衆の笑い声を上げながらオニキスを見下すオブシディアン。だが、そんな中でもオニキスは笑みを浮かべて…………
『ゼゼゼ……生きてる意味なんざ、オレもわからなかったさ』
「む?」
『今思えばなんでテメェらみたいなクズ共と一緒にいたのかもわかりゃしねぇ………だがあの日、キョーラのお陰で理解した。アイツはオレの恩人でもある、だからオレは今日も生きるんだ、オレの記憶の中にいる、アイツのために』
オニキスの頭の中に浮かんで来たのは黒の世界を共に旅したキョーラとの記憶。
力の有無、質などは関係ない…………
あの日出会った親友、キョーラ・ギアのために、今日も強く生き抜く…………
それだけだ。
「へっ……そうだよなオニキス。生きようぜ一緒に……でもってその前に先ずはアイツをぶっ倒すぞ!!」
『ゼゼゼ……おう、オレを……オレとオマエのカードを信じて全力で駆けろ!!』
今の相棒であるアスラが己の手札をより強く握り、より強かにBパッドを構える。
「ザザザ………これはもう重症だなオニキス。ブラックフォース最弱の男とソウルコアが使えないこの世界の落ちこぼれ、よく考えたら良いコンビじゃないか。ブラックフォース最強である私に刃向かう事、後悔するなよ?……ターンエンドだ」
手札:2
場:【龍星射手リュキオース】LV1
【旅団の摩天楼】LV1
【旅団の摩天楼】LV1
バースト:【無】
オブシディアンが嫌味を言いながらそのターンを終える。
次は決して諦めない精神を持っているアスラのターン。オニキスのためにもオブシディアンを討つべく、それを進めていく…………
[ターン05]アスラ
「メインステップ………来たぜオニキス、オマエとの絆のカードだ」
「!」
「龍を纏いしその衣、仮面ライダーセイバーブレイブドラゴンをLV2で召喚!」
ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]】LV2(3)BP5000
変身したアスラの今の姿と全く同じ姿をしたライダースピリット、セイバーブレイブドラゴンが召喚される。
「対象スピリットの召喚により、変身したオレに1コア追加。召喚時効果発揮!…デッキからカードを3枚オープンし、オレはその中のカード、火炎剣烈火を手札に加えて、残りを破棄する」
召喚時効果を発揮させ、手札を増やすアスラ。
そんな彼が次に目を向けたのは当然、オブシディアンとそのフィールド…………
「アタックステップ!!……攻撃だ、仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン!!」
アスラの指示により、セイバーブレイブドラゴンがオブシディアンのライフを目掛けて地を駆け抜ける。そして、この瞬間に発揮できる効果がセイバーブレイブドラゴンにはあって…………
「フラッシュ!!…セイバーブレイブドラゴンのLV2効果、手札にある系統、剣刃を持つブレイヴをセイバーブレイブドラゴンに直接合体させる事で、セイバーブレイブドラゴンの召喚時効果をもう一度発揮する!!」
「!!」
「オレは!!…さっき加えた火炎剣烈火を、セイバーブレイブドラゴンと合体させる!!」
ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火】LV2(3)BP9000
セイバーブレイブドラゴンが腰にあるベルトから引き抜いた赤い剣、その名は火炎剣烈火。
これにより、もう一度召喚時効果を発揮させるが、今回は不発。オープンカードは全てトラッシュへと破棄された。
しかし、それだけでは終わらないのがこの仮面ライダーセイバーだ。
「火炎剣烈火の召喚によりオレに神託!!……さらにここで、火炎剣烈火、召喚時効果!!……ネクサス1つを破壊する!」
「……!」
「オレはこの効果でこの効果で旅団の摩天楼を1つを破壊!!」
火炎剣烈火を振い、炎の斬撃を発生させるセイバーブレイブドラゴン。その斬撃はオブシディアンの配置した旅団の摩天楼を1つ焼き切った………
「まだだ!!……こんなもんじゃ終わらせねぇ!!……フラッシュマジック、火炎十字斬!!」
「む……!」
「この効果でリュキオースを破壊!!」
セイバーが存在する事でその真価を発揮するマジックカード、火炎十字斬。
セイバーブレイブドラゴンは、火炎剣烈火に炎の力を溜め込むと、それをリュキオースに向けて十字に二撃。そして斬り口から溢れんばかりの炎が吹き上がり、リュキオースは堪らず爆散した。
「ザザザ、やるね」
「アタックは当然続行!!……くらいやがれ!!」
「……ライフで受ける」
〈ライフ5➡︎4〉オブシディアン
オブシディアンの眼前に迫るセイバーブレイブドラゴン。火炎剣烈火を横一線に払い、彼のライフにダメージを負わせる。
「どうだコノヤロー!!……ターンエンドだ!」
手札:5
場:【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火】LV2
【変身!!仮面ライダーセイバー】LV1(2)
バースト:【無】
コントロールされつつあった盤面をひっくり返し、そのターンをエンドとしたアスラ。
次はオブシディアンのターンだ。おそらく、またライフが復活するに違いない…………
と、思われていたが…………
[ターン06]オブシディアン
「スタートステップ………む?」
〈ライフ4➡︎4〉オブシディアン
「……ライフが回復しないだと………?」
そのライフバリアは修復されず、合計の数は4のままだ。
オブシディアンはブラックフォース最強。二番目に強いとされるヘタマイトの攻撃を受けたとしても即座に回復できると言うのに、一番弱いオニキスのカードの攻撃で傷が癒えないなどあるわけがない…………
改めて自分のライフを傷つけた仮面ライダーセイバーを見る彼、その時、セイバーのまた別の特徴に気がついて………
「………成る程、そのライダースピリット、オニキスの力だけではなく、貴様のギアの一族の力も注ぎ込まれているのか」
「おう!!…だから言ったろ、これはオレとオニキスの絆のカードだ!!」
「ザザザ……それがどう言った原理で私のライフに傷をつけたのかは定かではないが、少なくともそのカードは私にとっての天敵みたいだ」
「だったらもうちょっと驚きやがれコノヤロー!!」
セイバーは、オブシディアンにとっての天敵。たった今それが判明した。
アスラの持つ、他者との絆でカードを進化させるギアの一族の力。そして、オニキスの持つ、全てを塗り替える黒属性の力が合わさったこの仮面ライダーセイバーは、この世で唯一オブシディアンに対抗できるカードであると言える。
アスラにオニキスの力を使いこなせるよう助言した仮面Zは結果的にファインプレイであったに違いない。
「最弱同士が力を合わせ、私と言う最強を相手に希望を見出すか………面白い、ならば一度様子を見よう、ターンエンドだ」
手札:3
場:【旅団の摩天楼】LV1
バースト:【無】
セイバーの特性を理解しても尚、冷静さを失わず、余裕を見せるオブシディアン。多量のコアをリザーブに残しながらこのターンはエンド。
そんな折、常にアスラの側にいる相棒、オニキスはアスラの背中を見ながら、彼から告げられたある言葉を思い出して…………
ー『オマエに直接会えたら言っておきたい事はあった………今まで、オレの力になってくれて、ありがとう!!』
アンダーワールドにて初めて対面した際、アスラがオニキスに掛けた言葉だ。直後に母であるシイナが自分の黒の力による代償で殺害された直後だと言うのにもかかわらず、アスラは自分に今まで力を貸して来た事に感謝して来た…………
だが…………
………ゼゼゼ、そりゃこっちのセリフだ。オマエのおかげで、オレはあのオブシディアンと戦える!!
内心でそう叫ぶオニキス。アスラには感謝しても仕切れない。ブラックフォース最弱であった自分が、最強であるオブシディアンと対等に戦えている事に対して、愉悦に浸っていた………
そんな最強タッグ、アスラとオニキスのターンが幕を開ける…………
[ターン07]アスラ
「オレのターン、メインステップはすっ飛ばしてそのままアタックステップだ!!」
己のターン開始直後、すぐさまアタックステップへと移行…………
「このまま一気に行くぜ、セイバーブレイブドラゴンッ!!…火炎剣烈火の効果でデッキから1枚ドロー!」
セイバーが火炎剣烈火を構え、戦闘態勢に入る。さらにアスラは「フラッシュ!!」と力強く宣言し…………
「セイバーブレイブドラゴンのLV2効果、このスピリットと合体可能な剣刃をノーコストで合体させる事で、召喚時効果をもう一度発揮できる!」
「ッ………なに、2枚目のブレイヴを付けると言うのか!?」
「あぁ付けてやるさ!!」
オレはこのカード…………
第二の剣、雷鳴剣黄雷をセイバーブレイブドラゴンに合体!!!
空いている左手を天に掲げるセイバー。その先から雷雲が集い、一閃の落雷が迸る。セイバーはその落雷を強く掴み取ると、そこには火炎剣烈火の次なる剣、雷鳴剣黄雷が存在していて……………
ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火+雷鳴剣黄雷】LV2(3)BP12000
「………2体のブレイヴと合体だと?」
「オマエだけじゃねぇ、オレ達のデッキも常に進化している。雷鳴剣黄雷はセイバーの2枚目のブレイヴカードとして合体が可能!」
新たな剣を呼び出し、ダブルブレイヴを決めるアスラ。
だがこんな時、大事な戦いの時であると言うのにもかかわらず、アスラはついさっき耳にしたロンの質問を思い出していた…………
ー『アスラ、オマエは頂点王になってどうする?』
ー『王国最強のカードバトラーとなって何を望む?』
「……なぁオブシディアン、オマエは強くなって何を望んでいる?……既に最強のオマエは、いったいその力で何がしたいんだ?」
今度は逆にそれと全く同じ質問をアスラがした。オブシディアンはそれを聞くなり口角を不気味な角度に上げ、返答する…………
「ザザザ……そんな願いなど無い。私はウィルの育成に全てを注いている、あの子は強い、きっと私を凌ぐブラックフォースに成長する。私はあの子が創造する世界が見たくて力を貸したのだ」
そう己の心中を謳いながら、彼は1枚のカードを手札から切ってみせ………
「フラッシュマジック、ブリザードウォール!」
「!」
「このターンの間、スピリットのアタックによって減少するダメージは1つのみとなる!!……その攻撃はライフで受けよう!!………ッ!」
〈ライフ4➡︎3〉オブシディアン
二本の剣を用いてオブシディアンのライフを斬り裂こうとするセイバーだったが、前方に出現した猛吹雪の防壁がそれを阻む。
ダブルシンボルであったがそのライフバリアは1つしか砕けなかった。が、あのオブシディアンのライフを3にした事はかなり大きい。
「オマエと違って、オレには強くなって、最強になりたい理由がある………いや、思い出したんだ………オレは………」
直前、アスラが脳裏に浮かべたのは母であるシイナが死んだあの日。
自分の腕の中で消えていった感覚は今でも覚えている…………
そうだ。あんな事、もう二度と起こさせてたまるか……………
オレは、大事なモン全部護るために頂点王になるんだ!!
もう二度と、オレの好きなモンは壊させやしねぇ!!
未知の力「黒属性」を操る究極の生命体ブラックフォース、その中で最も強いオブシディアンに向かって獣の如く咆哮を上げたのは、ソウルコアも使えない世界最弱の少年…………
今まで格上相手にも幾度となく戦い、デッキのカードを含めた仲間達と共に勝利を重ねて来た。
そんな彼を見て、ライバルのロンは薄く笑みを浮かべながらこう思った。
きっと、今回も勝つと。
「ターンエンド!!……っしゃぁ!!…来いやぁ!!」
手札:6
場:【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火+雷鳴剣黄雷】LV2
【変身!!仮面ライダーセイバー】LV1(3)
バースト:【無】
想いを叫び、セイバーのダブルブレイヴを決めたアスラ。依然優勢のままそのターンをエンドとした。
次は未だ余裕の笑みを浮かべ続ける最強の男オブシディアン………
[ターン08]オブシディアン
「メインステップ………ザザザ、堂々と吠え続けられるのも今のうちだ。貴様ら弱者が相手をしているのは誰かと言うことを思い知らせてやる」
「!」
「抱かれた淡い希望を砕け、LV3で召喚…………」
バル・マスケ男爵…………
ルーデンドルフ
淡い紫に光る粒子の群れ。それらはオブシディアンのフィールドで結合し、その本当の姿を表す…………
その名はルーデンドルフ。目と鼻が隠れる黒きマスクを纏う、夜族のスピリット……………
ー【バル・マスケ男爵ルーデンドルフ】LV3(6)BP13000
世界三大スピリットであるライダー、デジタル、モビルのいずれにも属していないスピリットと思われ、見た限りでは堂々と宣言して召喚するスピリットには見えない…………
「……なんだ、コイツ……?」
「ザザザ、バーストを伏せてターンエンドだ。ルーデンドルフの恐ろしさは今にわかる」
手札:1
場:【バル・マスケ男爵ルーデンドルフ】LV3
【旅団の摩天楼】LV1
バースト:【有】
世界三大スピリットでもない普通のスピリットを召喚しただけでそのターンを終えるオブシディアン。
あのスピリットが何をしてくるか想像もできないが、警戒ばかりもしてられない。アスラはオブシディアンとの決着をつけるべく、己に巡って来たターンを進めていく…………
[ターン09]アスラ
「ドローステップ、ドロー!!………ッ」
『ゼゼゼ、来たか』
アスラがドローしたのは最初に黒属性の力を使った時に爆誕したあのライダースピリット………
セイバー、龍騎と並びオニキスとの絆の象徴とも呼べるそのカードの召喚を宣言していく…………
「おう!!……メインステップ、次はオマエだ、黒きを纏うライダースピリット、仮面ライダーリュウガッッ!!」
アスラのフィールドで様々な鏡像が重なり合い、黒属性の力を纏った黒い仮面ライダー龍騎、リュウガがその姿を見せる…………
はずだった。
………パリィンッ!!
「ッ………な、なに!?」
重なり合った鏡像はアスラの目の前で音を立てながら砕け散っていく。
これ即ち召喚の不発。アスラはリュウガの召喚に失敗したのだ。そのリュウガのカードはアスラのBパッドを離れて手札へと戻る。
この光景にオブシディアン以外が思わず目を丸くする。そう、この召喚の不発も全て彼の呼び出したスピリットにある………
「ザザザ、ルーデンドルフは存在する限り、相手はメインステップ中、ソウルコアをコストとして支払わなければスピリットカードを召喚できない」
「!!」
ふとオブシディアンのフィールドに目をやると、先程召喚されたルーデンドルフの身体が淡い紫色に発光している。効果発揮中である証拠だ。
ソウルコアを支払わなければスピリットを召喚できない。この制約は決してプレイヤーにとって重たいわけではない。ソウルコアの性質上、最低でも一回は召喚が可能だからだ…………
だが、それを受けたプレイヤーがアスラだと話は変わってくる………
「貴様はソウルコアが使えない。もう言うまでもないな………」
「…………」
貴様はもう二度とスピリットを召喚できない!!
自分にとって、これでもかと驚異的な効果を持つスピリットの登場に、冷や汗が止まらない。このルーデンドルフをどうにかしない限り、アスラ達に勝ち目はないだろう…………
明けぬ夜、ブラックゲインが続く中、アスラとオブシディアンの激闘はまだまだ続く…………
******
ブラックゲインが始まって以降、王国は地獄と化した。
黒き球体から現れ続ける黒き怪物。そんな怪物達から王国と人々を護るために立ち向かうカラーリーダーや三王。彼らは強い、だが無限に沸き続ける怪物達に勝ち目はないだろう。きっと、その内押し切られて敗北してしまう………
この国は今、歴史上最大の危機に瀕している………
「むえ………」
この国で一番巨大な建物三王塔。その頂、頂点王とそれに挑む挑戦者しか立つ事が許されない、その場所にて、地獄となった王国を眺めるのは、これまでアスラ達と共に旅をして来たオレンジ色の犬みたいな生き物「ムエ」…………
「むえ…………遂に始まったか」
ムエ、人語を喋る。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます!!
「バトルスピリッツ ニュージェネレーション」の方もよろしくお願いします!!最近ではウルトラマンジードが初登場!!
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