人間の生きる事のできない世界を目指すべく施行された明けぬ夜ブラックゲイン。
今、王国中は黒属性の力で溢れかえっている。黒属性の力は対応できない弱き人々の肉体を蝕み、やがて世界から人は消えゆくだろう…………
アスラ達はそれらを止めるために立ち上がる…………
******
明けぬ夜ブラックゲイン。その中で遂にアスラは、ブラックフォース最強のオブシディアンと対峙する。
激闘を繰り広げて行き、セイバーのカードで勝利目前まで迫るアスラだったが、オブシディアンにソウルコアを支払わなければスピリットを召喚できなくすると言う効果を持つ「バル・マスケ男爵ルーデンドルフ」を召喚されて………
「貴様はもう、スピリットを召喚できない。ザザザ、大人しくターンを私に渡すんだね」
オブシディアンが不気味な笑みを浮かべながらアスラにそう告げる。ソウルコアを消費しなければスピリットを召喚できなくすると言う効果を持つルーデンドルフ、普通のバトルならば誰もが最低でも一回は召喚できる………
それはソウルコアがルールとして、必ずそこに存在するからだ。
だがアスラは違う。彼のリザーブに、ソウルコアと言う文字はない。
先祖であるギアの一族が黒の世界に移動する際、その代償としてソウルコアを出すと言う機能そのものが失われたからだ。祖先たるアスラも、どう足掻こうがソウルコアを出す事はできない。
「………これは完全にソウルコアを出せないオマエが悪い。反省しろアスラ」
「うるせぇぞロン!!……出せねぇモンはしょうがねぇじゃねぇか!!…こう見えて結構出せるよう頑張ってたんだよ!?」
後ろで呆れた様子を見せながらぼやくのはアスラの最大のライバルであるロン。この世界を賭けた戦いであると言うのに、2人は漫才のコントの如く会話を繰り広げる。
緊張感がないと言えばそれまでだが、これは2人が冷静でいる何よりの証拠でもあって…………
『ゼゼゼ………ブラックフォース最強の男がこんな小細工を使うなんてな。最強の名が聞いて呆れるぜ』
アスラの後ろにいるブラックフォース最弱のオニキスがオブシディアンにそう告げる。
「敵の弱点を突く事は戦いにおいて鉄則だ。特にそのセイバーと言うライダースピリットはかなり厄介なのでね………ザザザ、オマエ達をウィルの所には行かせないよ?……このままゆっくりと潰してやる」
「………」
どうやらオブシディアンは少なくともアスラ達を驚異的な存在と見做してる様子。
奴も必死になっている事を悟りつつ、アスラはできる限りの手を打っていく。
「……スピリットがダメならそれ以外で対抗するまでだぜ、オレはネクサス、聖剣連山を配置!!」
「!」
ー【聖剣連山】LV1
フィールド全域を覆うように出現したのは、幾億本もの聖剣が突き刺さっている山々。それらは同じく聖剣を扱うセイバーをさらに強くしてくれる存在だ………
「アタックステップ……聖剣連山の効果、剣刃と合体しているスピリットにBPプラス3000!!」
ー【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火+雷鳴剣黄雷】BP12000➡︎15000
まるで聖剣連山がセイバーブレイブドラゴンを鼓舞するように力を与えていく、ブレイブドラゴンの手に握られた火炎剣と雷鳴剣の刀身が赤く光り輝いた。
「ッ……ルーデンドルフのBPを超えたか!!」
「行け、セイバーブレイブドラゴン!!……ダブルブレイヴアタックだ!!……火炎剣の効果で1枚ドロー」
スピリットを召喚できないのなら、今存在するスピリットとそれ以外のカードで戦い抜くまで………
オブシディアンはこの攻撃をルーデンドルフで受けるわけにはいかない。そのライフを捧げる………
「ザザザ、いいだろう……我がライフ、受け取れ!!………ッ」
〈ライフ3➡︎1〉オブシディアン
火炎剣と雷鳴剣。赤く輝いた2本の刀身でオブシディアンのライフバリアを一気に2つ木っ端微塵にして見せる………
だが、それはオブシディアンの伏せていたバーストの発動条件でもあって………
「ライフ減少によりバースト発動!」
「!」
「エクスティンクションウォール!!……効果で今減った分のライフを取り戻す」
「なに………ッ」
〈ライフ1➡︎3〉オブシディアン
勢い良く反転されたバーストカードにセイバーブレイブドラゴンの攻撃が実質の無効とされてしまう。
完全にアスラの読み違えだ。自動でライフが回復していくのなら、ライフ回復系の効果は一切デッキに入ってないと踏んでいた。
「………ターンエンドだ」
手札:7
場:【仮面ライダーセイバーブレイブドラゴン[2]+火炎剣烈火+雷鳴剣黄雷】LV2
【変身!!仮面ライダーセイバー】LV1(3)
【聖剣連山】LV1
バースト:【無】
攻撃できるスピリットはもう存在しない。このターンを半ば強制的にエンドとさせられるアスラ。
オブシディアンの反撃が待ち受ける…………
[ターン10]オブシディアン
「メインステップ……更なる絶望を貴様らに与えてやる」
「!!」
『来るか』
ターン開始早々にそう告げるオブシディアン。
言動から、オニキスは何が来るのかを察する。
「歴戦の力を統べる孤高の魔王よ………今ここに顕現せよ!!……オーマジオウ!!」
「!!」
………祝福の時!!
………最高最善!!
………最強王!!!
ー【仮面ライダーオーマジオウ】LV2(3)BP30000
地獄の門でも開かれたかのような獄炎が地を這って行く。その中心で確かな力の根源が姿を見せた。
その名は仮面ライダーオーマジオウ。
「………オーマジオウ!?……トゥエンティのジオウと何か関係あんのかよ!?」
「ザザザ……ジオウは元々私の私物。黒の世界からこの世界に来る時に私共々力を失ってしまってね。だから私はウィルにライダースピリットを集めるよう命じていた。そしてその間、一番良い働きを見せたのは、その貴様の言うトゥエンティ」
「!!」
「彼はよくライダースピリットを集めてくれたよ。面白いよね、女一人のためだけにあそこまでモチベーションを上がるなんて、ここまで完璧な捨て駒は見た事がない……近年稀に見る大馬鹿者だよ」
「………テメェ!……トゥエンティがどんな想いでライダースピリットを集めてたのか知ってんのかよ!!」
トゥエンティの想いを踏みにいじるオブシディアンに怒りを露わにするアスラ。だが、直後にオブシディアンは召喚されたばかりの最強ジオウ、オーマジオウの効果を発揮させていき…………
「知りたくないね。キモいし………オーマジオウ召喚時効果、コスト20以下のスピリット1体を破壊する」
「!」
「ザザザ、仮面ライダーセイバーブレイブドラゴンを破壊する!!」
「なに!?……セイバーッ!」
オーマジオウが両手を翳すと、緑と黒の竜巻が発生。セイバーブレイブドラゴンはそれに飲み込まれ爆散してしまう。握っていた2本の剣は切先を地面に向けて突き刺さった。
「これで唯一のスピリットは消えた。そのまま指を加えて敗北を待っていろ」
「くっ………」
「マジック、フォースブライトドロー。デッキから手札が4枚になるまでドロー、さらにマジック、ソウルドロー。コストの支払いにソウルコアを使用し、デッキから3枚ドロー!」
ドローマジックのラッシュでその手札の合計を6枚にまで増加させるオブシディアン。続けてアタックステップを宣言して…………
「アタックステップ……行くのだ、オーマジオウ!」
「!」
「オーマジオウは赤と紫のダブルシンボル、貴様達からライフを2つ奪うぞ」
オーマジオウがアスラへの視線を移す。
彼はダブルシンボルの攻撃をいなすべく、手札からカードを抜き取るが…………
「奪わせるかよ、フラッシュマジック…………」
「させん!!……ルーデンドルフの更なる効果、私のアタックステップ中、相手はソウルコアをコストとして支払わねばマジックを使えない!!」
「なに!?……マジックにもソウルコアを!?」
スピリットだけでなく、マジックカードの効果までをも封じて来るルーデンドルフ。Bパッドに叩きつけたマジックカードが早々にアスラの手札へと戻ってしまう…………
「貴様に反撃の余地はない!!」
「くそ……ライフで受ける………ぐ、ぐぁっ!?!」
〈ライフ4➡︎2〉アスラ
オーマジオウが手を翳すと、黒いオーラを纏った蝙蝠の群れが出現し、アスラのライフバリアを奪い去っていく。
何も抵抗できず、アスラはオーマジオウの強烈な一撃をもらい、流石に片膝を突いてしまう。
「ザザ、私はこれでターンエンド。最早虫の息、次のターンでトドメを刺してくれるわ」
手札:6
場:【仮面ライダーオーマジオウ】LV2
【バル・マスケ男爵ルーデンドルフ】LV3
【旅団の摩天楼】LV1
バースト:【無】
セイバーも失い、圧倒的劣勢に立たされたアスラ。蓄積されたダメージをおしのけ、なんとか立ち上がるが、すでに体はボロボロ…………
ここからの逆転など、薄い望みに感じる…………
「まだだ、まだオレは諦めねぇ……!」
だがアスラは決して諦めない。どんな状況になっても己の才能と努力を信じ、前へと進み続ける。
そんな彼だからこそ、ロンをはじめとし、ブラックフォースのオニキスまでもが彼について来たのだ…………
『ゼゼゼ、オマエならそう言うと思ってたぜ』
「っしゃぁ!!…行くぜオニキス!!」
固い絆で結ばれたソウルコアの使えない人間と最弱のブラックフォースのターンが幕を開けていく…………
[ターン11]アスラ
「メインステップ!!……スピリットがダメならコイツだ!!……来い、ドラグレッダー!!」
「!」
「成る程、ブレイヴカードか」
ー【ドラグレッダー】LV1(1)BP6000
呼び出したのは全てを焼き尽くす赤き龍、ドラグレッダー。このカードはスピリットではなく、ブレイヴであるため、ルーデンドルフの効果を無視して召喚が可能なのだ。
「さらにバーストをセットして、ターンエンドだ」
手札:6
場:【ドラグレッダー】LV1
【火炎剣烈火】LV1
【雷鳴剣黄雷】LV1
バースト:【有】
………コイツに賭ける。
アスラはそう内心で意気込みながらバーストを伏せると、そのターンをエンドとした。
オーマジオウを駆るオブシディアンのターンが又しても始まる。
[ターン12]オブシディアン
「メインステップ………先ずはオードランを召喚」
ー【オードラン】LV2(3)BP3000
オブシディアンは手始めに鬼のような角を持つ小さなドラゴン、オードランを召喚。
「如何なる小細工を用意しても無駄だ。貴様達はここで敗北し、ブラックゲインは完遂、黒属性に対応できない人間は全て滅びる」
「んな事はさせねぇ!!……頂点王になるこのオレが、絶対みんなを護る!!」
「だから無駄だと言っている、マジック、フレイムテンペスト」
「!!」
オブシディアンの放った1枚のマジックカードにより、炎の竜巻が発生。アスラのドラグレッダーや聖剣達がそれに吸い込まれ、次々と爆発四散して行く…………
「マジック、フレイムテンペストはコストの支払いにソウルコアを使う事でBP7000以下のスピリットを壊滅させる。言っただろう、無駄だと」
「…………いや、無駄にはならん!!……バースト発動、双光気弾!!」
「!」
全滅したが、希望の光は潰えない。アスラは伏せていたバーストカード、双光気弾を発動させる。
「効果で2枚ドロー、コストを支払ってネクサス、旅団の摩天楼を破壊だ」
「む……」
放たれた2つの炎の弾丸が、オブシディアンのバックに存在する旅団の摩天楼を焼き尽くした。
「ザザ、だからなんだと言うのだ。さらにマジック、リカバードコア。不足コストはルーデンドルフのLVを2に下げて確保し、オーマジオウと我がライフにコアを1つずつ追加」
〈ライフ3➡︎4〉オブシディアン
「ッ……またライフ回復」
「バーストを伏せてアタックステップ、行くのだオーマジオウ!!」
進撃のオーマジオウ。残り2つしかライフを持たないアスラはこの攻撃を受けたら敗北が確定してしまう…………
仲間達から期待されている以上、ここは全力で守り抜く………
「ここは絶対に凌ぐ!!……フラッシュ!!」
「ザザ、馬鹿め、ルーデンドルフの効果でマジックカードの使用も封じられているのを忘れたか!!」
アスラは今、マジックカードでのカウンターを封殺されている。オブシディアンのアタックステップ中では身動きすら取れない…………
はずだった。
「忘れてるわけねぇだろコノヤロー……オレが使うのはこれだ、チェンジ、仮面ライダーセイバーエレメンタルプリミティブドラゴン!!」
「!!」
「効果によりシンボル1つのスピリット、ルーデンドルフを焼き尽くす!!」
アスラの背後から炎の龍と氷の龍が交差しながら飛翔する。それらはオブシディアンのルーデンドルフへと直撃し、爆散させる。その厄介な呪縛からアスラを解き放った…………
「入れ替えの対象がないエレメンタルプリミティブはそのままトラッシュへと破棄。だけどこれでルーデンドルフはいなくなった!!…心置きなくマジックを使えるぜ」
「くっ……!」
「マジック、リミテッドバリア!!…このターンの間、コスト4以上のスピリットのアタックじゃオレのライフは減らない。その攻撃はライフで受ける!!」
〈ライフ2➡︎2〉アスラ
前のターンに腐らせたマジックカードをここで発揮。前方に展開されたバリアがオーマジオウの攻撃からアスラを守護する。
「ザザ、まだ抗うか。ルーデンドルフの呪縛から逃れられようが、貴様が味わうのは敗北だけだ……ターンエンド」
手札:3
場:【仮面ライダーオーマジオウ】LV2
【オードラン】LV2
バースト:【有】
寸前のところで息ながられるが、力の差は歴然。
「勝手に決めつけんなコノヤロー………言ったろ?…テンドウさんは必ず返してもらうし、オニキスの無念はオレが晴らす!!」
アスラには「諦める」と言う言葉が頭の辞書には存在しない。
黒属性がなんだ。
力の差がなんだ。
頭の中にあるのは常に「勝利」の二文字のみ…………
[ターン13]アスラ
「メインステップ!!……ようやく召喚できるぜ、来い!!……仮面ライダーリュウガ!!」
ー【仮面ライダーリュウガ】LV3(5)BP12000
ルーデンドルフがいなくなった隙を突き、アスラは黒いライダースピリット、仮面ライダーリュウガを召喚。様々な鏡像が重なり合い、その姿を見せる。
「召喚時効果、相手スピリット全てのコアを2つずつリザーブに送る!!」
「!!」
ー【オードラン】(3➡︎1)LV2➡︎1
ー【仮面ライダーオーマジオウ】(4➡︎2)LV2➡︎1
リュウガが登場するなり、オブシディアンの2体のスピリットの体内からコアが弾け飛ぶ。
しかしLVは後退するものの、消滅までには至らなかった。
「バーストをセットして、ネクサス、聖剣連山のLVを2にアップ!!」
ー【聖剣連山】(0➡︎1)LV1➡︎2
バーストがセットされるとほぼ同時に、アスラの背後に存在する聖剣連山が神々しい光を解き放つ。
「アタックステップ!!……行くぞ、リュウガでアタック!!…その効果でコア3個以下のスピリット、オードランを破壊して、オマエのライフ1つをボイドに送る!!」
「!!」
〈ライフ4➡︎3〉オブシディアン
一瞬にしてオードランとの間合いを詰める仮面ライダーリュウガ。そのまま怯えるオードランを鷲掴みにし、地に叩き伏せる。
オードランが呆気なく破壊されると同時に、オブシディアンのライフバリアが1つ砕け散った。
前のターンとは打って変わって攻勢に転じる事ができたアスラだったが、その攻撃がオブシディアンのカウンターを誘発してしまう…………
「ザザ、ライフが減った時……赤のマジック、シックスブレイズはノーコストで効果を発揮できる!」
「!」
「BP12000以下までスピリットを破壊……我が前から消え去れ、オニキスの怨念の塊!!」
「ぐっ………」
オブシディアンの背後から放たれる6つの火の玉が仮面ライダーリュウガに直撃、堪らず爆散してしまう…………
「そのカードはオニキスが創り上げたライダースピリットだったのだろう?……だが残念ながらその程度の力では最強のブラックフォースたる私は倒せない。傷ついたライフも次のターンで回復する………!!」
「…………」
エースたる存在、リュウガを失ったアスラ。
そんなアスラに声を掛けたのは、最大のライバルであるロンだ。
「アスラ、オマエまさかこんなところで負ける気じゃないだろうな?」
口角を上げ、煽るようにそう告げたロン。それを耳にしたアスラもまた薄く笑って…………
「………へっ……なわけねぇだろイケメン天才ヤロー!!……オレは誓ったんだ、もう誰にも負けねぇ!!……もちろんオマエにもな!!……スピリットの破壊により、バースト発動!!」
「ッ……また破壊後のバースト」
いつもそうやってアスラを鼓舞し、闘争心を昂らせるのは他でもないロンだ。彼がいるからこそ、アスラはその期待に応えようと………
いや、期待されてる以上の力を発揮するのだ。
「バースト効果により、先ずは自身を召喚する……行くぜ」
鋼纏しその衣、熱き意思で悪を貫く!!
仮面ライダーセイバードラゴニックナイト!!
LV3で召喚!!
ー【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト】LV3(6)BP14000
「………バースト効果持ちのライダースピリットだと!?」
荒ぶる火球が地を熱するように出現。中よりそれを振り払いながら現れたのは、仮面ライダーセイバーの強化形態、ドラゴニックナイト。重厚感のある白銀の鎧がオブシディアンの目に焼き付けられる。
そして悟らせる、コイツはヤバいと…………
「バースト効果はまだ続くぜ、その後手札にある剣刃のブレイヴをノーコストで召喚する………」
オレ達が呼ぶのは第三の剣………
暗黒剣月闇!!!
ー【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト+暗黒剣月闇】LV3(6)BP18000
ドラゴニックナイトは現れるなり鋼の拳で地を穿つ。
そしてその中より第三の剣、暗黒剣を生成し、己がブレイヴとしてその手に握りしめる。
「暗黒剣の召喚時効果!!…相手スピリット1体のコアを3つリザーブに置く!!」
「!」
「オレはオーマジオウからコアを3つ取り除く、よって消滅だ!!」
ー【仮面ライダーオーマジオウ】(2➡︎0)消滅
暗黒剣に黒き力を束ねるセイバードラゴニックナイト。そのままオーマジオウへと距離を詰め一線………
黒の力でオーマジオウを一刀両断し、爆散させた。
「消滅後、オレはカードをドロー」
「ッ……オニキスのカード如きが、私のオーマジオウを葬り去るだと!?」
『ゼゼゼ、皮肉なもんだなオブシディアン。史上最強のオマエのスピリットをぶっ倒したのは、この世界で一番努力しただけの大バカヤロウだ』
敗北を喫するオーマジオウを前に、愕然とする最強のオブシディアン。オニキスが嬉しそうにそう呟くと、アスラはさらに効果を発揮させ…………
「まだまだァァァァ!!!…変身したオレの【神技】!!…トラッシュにある剣刃のカードをノーコストで復活!!」
「またブレイヴ!?」
「トラッシュから第二の剣、雷鳴剣を召喚し、ドラゴニックナイトに直接合体!!……ダブル合体だ!!」
ー【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト+暗黒剣月闇+雷鳴剣黄雷】LV3(6)BP21000
己の気迫を天上に響かせるように放ち続けるドラゴニックナイト。やがてそここら雷鳴剣が降り注ぐと、ドラゴニックナイトは左手にそれを強く握り、暗黒剣と合わせてダブルブレイヴスピリットと化した。
「土壇場でダブルブレイヴか。フ、やるなアスラ」
「さらに聖剣連山の効果で、ドラゴニックナイトのBPは3000アップ……合計BP24000だ!!」
ー【仮面ライダーセイバードラゴニックナイト+暗黒剣月闇+雷鳴剣黄雷】BP21000➡︎24000
より強い存在となったアスラ、それを我が事のように喜ぶロン。
そしてドラゴニックナイトは二本の剣を構え、場がガラ空きとなったオブシディアンへと視線を向ける…………
「これで決める!!……アタックだドラゴニックナイト!!…効果で1枚ドロー!!」
残り3つのオブシディアンのライフバリアを目掛けて走り出すドラゴニックナイト。
ダブルブレイヴにつき、その合計シンボルは3つ。一撃で彼のライフを葬り去る事ができる…………
「………図に乗るなよ小童が、アタック後のバースト、覇王爆炎撃!」
「!」
オブシディアンとて、その一撃を易々と受けるわけにはいかない。格下に敗北仕掛けている現状に怒り、伏せていたバーストカードを勢いよく反転させる。
「覇王爆炎撃のバースト効果はBP12000以下のスピリット3体を破壊する」
「バカ言え、オレのドラゴニックナイトのBPは24000、その倍だぜ」
「バカは貴様だ、だからこそ私はその後のフラッシュ効果を発揮!!…合体スピリット1体を爆撃!!」
「!」
赤のマジックカード『覇王爆炎撃〈R〉』………
そのマジック効果により、爆炎の炎が容赦なくドラゴニックナイトに襲い掛かる…………
このドラゴニックナイトが破壊されて仕舞えばもうアスラに攻め手はない。
だが、万事休すかと思われたその時、アスラの手札が光る………
「この程度の炎でオレ達の絆は焼き殺されたりしねぇ!!……ネクサス、聖剣連山のLV2効果発揮!!」
「!!」
「コスト13以上の合体スピリットが相手のスピリットかマジックカードの対象になる時、自分の手札のカード1枚を破棄する事で、それを無効とする!!」
「ッ………バカな!?」
「弾き返せ、ドラゴニックナイト!!」
アスラの雄叫びに応えるように、ドラゴニックナイトの赤い眼光が光り輝くと、二本の剣を力強く振い、周囲の爆炎を吹き飛ばして見せる…………
「これでドラゴニックナイトは生還!!…トリプルシンボルのアタックを食らえ!!」
「ッ………!」
ドラゴニックナイトの手に持つ暗黒剣と雷鳴剣…………
その二本が遂にオブシディアンのライフバリアを捉える。オブシディアンのライフバリアは今にも砕けんと亀裂が生じていく…………
トリプルシンボルの強烈な一撃、流石のオブシディアンもこれにはひとたまりもない…………
はずだった。
「ザザ………一度に3つ以上のライフが減る時、手札からフェイタルダメージコントロールの効果を発揮………!!」
「ッ……なに!?」
「自身を破棄すれば、このターンの間、一度に減るライフの上限は1となる…………ザザ、まさか勝てると思ったのか?……なぁ思ってたのか!?…仮にもギアの一族如きが、このオブシディアン様に!!」
「!!」
ここに来てまさかの白マジック、まさかのカウンター………
これを受け切られるとかなりマズイ…………
冷や汗が流れるアスラとオニキス。オブシディアンを甘く見積もっていた。やはりコイツは最強なのだ。史上最強の生命体なのだ…………
「ザザ、オマエ達の努力は全く意味がなかった。それがたった今証明されたねぇ〜………結局オマエ達は生まれながらの負け犬なんだよォォォ!!!」
「くっ………」
アスラ達のこれまでの努力を全否定するオブシディアン。その嘲笑は余りにも耳障り…………
だがダメだ。
悔しいがこれ以上は手の打ちようがない。
しかしその時だった。アスラにとって耳馴染みのある声色が聞こえてきたのは…………
コイツの努力が意味ねぇわけねぇだろこのクロキモヤロー………
ー!!!
「て、テンドウさん……!?」
「ザザ!?…バカな、何故貴様が……完全に意識は消したはず!?」
他でもない、今現在オブシディアンに肉体を乗っ取られているこの国のライダースピリットを司る三王テンドウ・ヒロミの声だった。不思議な事に、今彼らはテンドウとオブシディアン、2人の意識が混同している…………
「ワハハハハハハ!!!…残念だったな、このくらいじゃオレは負けん、55話から出番消し去りやがって、絶対許さねぇからな、覚悟しろよ」
「訳の分からん事を……!!」
「つーかそう、コイツの努力は無駄なんかじゃねぇ………なんてったって、アイツは諦めなかった。だからこそ、アイツと知り合った他のヤツらも諦めなかった。バカ弟子も変えられた………そしてかく言うオレも、変えられた!!」
「ッ………テンドウさん……!!」
今思えばそう………
エールもトゥエンティも、決して諦めないアスラがいたからこそ、今の彼らがいる。
そんなアスラを見ていたら、自分自身もまた変えられた………
「見せつけてやれ小僧、いやアスラッッ!!……このクロキモヤローに、オマエの旅は無駄じゃなかったってな!!」
「!!」
「ぐ……やめ、やめろぉぉぉ!!」
そう叫びながらテンドウは一時的に肉体を取り戻し、手に持つフェイタルダメージコントロールのカードを破り捨てる………
これでその効果は無効…………
ドラゴニックナイトの攻撃を遮るモノは全て消え去った…………
「やれやァァァァー!!!」
「うぉぉお!!……ドラゴニックナイトッッ!!」
「バカな………このオレが、貴様ら人間如きにィィィィィィ!!!!」
〈ライフ3➡︎0〉オブシディアン
「ぐっ………ぐぁぁぁぁあ!?!」
ドラゴニックナイトの怒涛の猛攻…………
振り下ろされた二本の聖剣が、オブシディアンのライフバリアをその叫びごと打ち砕く…………
そのライフは遂に0となり、遂に最強の生命体は敗北を喫した。しかも皮肉な事に、彼に勝利したのはこの世で最も弱いと思われていた存在、スーミ村のアスラ…………
「………勝った………勝てた……!」
『……オレ達が、オブシディアンに……!!』
バトルの終了に伴い、フィールドのカードが次々と消滅していく中、アスラとオニキスはお互いに勝利を掴んだのだと自覚する。
そして、まるで息もがくように、倒れたテンドウの肉体から、オブシディアンの正体である実体の無い黒い靄が現れて…………
「ザザ……ザザ、負けただと!?……最強のブラックフォースにして、史上最強の生命体である、このオレが!?」
今にも消えそうな靄。オブシディアンは自分の敗北が信じられないと言いたげに叫び出す。一人称も「私」から「オレ」に変わっている事から、かなり余裕がなくなっているのが窺える。
『ゼゼゼ、そうだ。オマエは負けたんだオブシディアン……このオレにな』
「………オニキス。だが、オレが死んでも、ブラックゲインは終わらん………手塩にかけて育てたウィルはオマエ達でも止められんぞ。あの子が望む通り、この世界は間もなく黒に染まるのだ」
「そんな事させるわけねぇだろ。オレが……オレ達が必ず止める!!」
「その強がりも、いつまで続くかな…………ザザ、ザザザ………ッ!」
そう告げると、オブシディアンは塵となり消滅した。彼のカードである「オーマジオウ」のカードもまたそれに伴い消え去っていく。
その消えゆく塵を眺めながら、オニキスは「じゃあな、オブシディアン」と昔の仲間に別れを言い残す。
アスラは倒れたテンドウの身を案じ、倒れる彼の元へと大急ぎで駆け寄る。
「テンドウさん!!……大丈夫すか!?」
「………タバコ、酒……」
「よかった!!…めっちゃ元気そう!!」
テンドウもどうやら無事のよう、気怠そうにしながらもゆっくりと起き上がり…………
「………まだ頭ガンガンすんだけど、あのクロキモヤロー、仮に生き返ったらぶち殺してやる」
「テンドウさん………うぉぉお!!よかったっす!!…ご無事で何より!!」
「………オレ、男同士の熱い何かとか凄く苦手なんだけど」
「えぇぇぇぇ!?」
助けられて早々にいつものマイペースぶりを発揮するテンドウ。だが直後に口角を上げて笑顔になると…………
「まぁでも、今回はよくやった………強くなったな、アスラ!!」
「ッ………おうっす!!…でもまだまだ!!…オレはもっと強くなります!!」
「へっ……借りができちまったな」
アスラの頭の上に手をポンっと置き、そう告げた。しかしアスラのリアクションを聞くなりすぐさま不機嫌になって………
「あぁ?…このオレが褒めてやってんだから素直に喜べや元気小僧」
「えぇぇぇぇ!?…めっちゃ喜んでるんですけど!?」
「……ゆっくり話してる暇はないぞアスラ。早くあの黒い球体の中に行かないと」
「ッ……おっと、そうだった」
話が一向に進まない中、ロンが話題を変える。
「テンドウさん、今、王国が大変な事になっててっすね………」
「あぁ要らない要らない。概ね理解してるから、別にそこら辺の説明しなくていいわ」
「あ、そうなんすか」
さっきまで洗脳されていたテンドウに、アスラがこの状況を説明しようとするが、テンドウは昼間なのに黒い空などで色々ともう察している様子。
「役割分担だ。小僧とイケメンライバル君はあの球体の中に行け、世界でもなんでもさっさと救って来い」
「最初からそのつもりだ」
「おうっす!……テンドウさんは?」
アスラがテンドウに訊いた。
「あぁ?……言うまでもねぇだろ。ちょっとタバコ買って来る」
「役割分担って何!?」
「オレが何ヶ月出番なかったと思ってんだ、いい加減ニコチン摂取しないとオレが世界滅ぼしそうなのよ」
「まためちゃくちゃな事言ってるよこの人ォォォー!?!」
「つーかタバコ屋開いてるかな?」
ボケるテンドウとツッコむアスラ。ロンが内心で「漫才かな」と呟く中、ブラックゲイン、世界が黒に染まる怪奇現象は、オブシディアンの言葉通り、まだまだ続いていく…………
******
一方その頃、ブラックゲインにより出現した黒い異形達と戦っているエール達。
知らずの内にカラーリーダー達と分断されてしまっていたエールとその兄、エレンはある人物と遭遇していた。
「ズズ、待ち侘びたぜ。この肉体でオレ様が愚かな人間共をまたぶち殺して周る事をな……!」
「フリソデ、いや……ブラックフォースのシャーマン」
それはまるで獲物に飢えた獣の如く………
ブラックフォースのシャーマンは念願だった人間狩りを行うべく、エール、エレンと対峙を果たす。もちろん、2人とも黙って狩られる側ではない。
「ブラックフォースは黒属性を持たぬ者では倒せない。仮面Zはそう申していたが…………」
「王国を守るため、私達だけで戦うしかない。ですよね、お兄様?」
「…………フ、オマエもわかって来たなエールよ」
兄妹2人はそう話し合うと、同時にBパッドをフリソデの肉体で動くシャーマンの方へと向ける。
「どんな戦いでも、必ず敗北する戦いは存在しない。我々2人でヤツを屠るぞ、エール!!」
「はい!!……私もアスラに負けてられないわ!!」
「ズズ、歯向かって来るか……いいぜ、その調子で抗って見せろ!!」
………ゲートオープン、界放!!!
王国を、いや、世界存亡の片棒を背負った2対1のレイドバトルがコールと共に幕を開ける。黒属性の力を持たないエレン、そしてその妹エールはブラックフォースであるシャーマンを倒す事ができるのか…………
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「あ〜〜あ、せっかく強そうなヤツと戦えると思って地上に降りたのに、ここら辺誰もいないじゃん」
一方、また別の場所では、テンドウ・ヒロミの妹、カナの肉体で動くブラックフォース、ヘタマイトが暇そうにしていた。
「オブシディアンもシャーマンも今頃ハッスルしてるんだろな〜〜……ちょっと面倒だけど、ボクも誰か殺したいし、良さげな人間でも見つけて来るか。できればアスラ君がいいな〜」
そう独り言を呟き、殺害する相手を探すべく歩みを進めようとするヘタマイト。
だが、その直後に、彼女にとっても、器であるカナにとっても記憶に残っているあの人物の呼ぶ声が聞こえて来て…………
「おい、オマエの相手はこのオレだ」
「ん?」
「その身体を使って誰かを殺す事は、このオレが決して許さない………!」
それはトゥエンティだ。
薄汚れた服装をその身に纏い、リベンジに燃えている様子。もちろん、全ては恋人であるカナのためだ…………
「ジジ、誰かと思えばトゥエンティか。よく生きてたね」
「オレは不死身だ。カナをこの手に取り戻すまでは何度だって蘇り続けてやる」
「キモ。小物の操り人形如きがこのボクに偉そうな口聞くなよ」
ここで言うヘタマイトの「小物」とはウィルの事。オブシディアンが彼に心酔しているだけで、彼女は彼の事を余り信用していない様子。
「ただまぁ、そうだね。準備運動くらいにはちょうどいいかな?……さっさと殺してやるからかかって来いよ、この死に損ない」
「この間までのオレとジオウだと思うなよ。オレはもう、二度と負けない………!!」
………ゲートオープン、界放!!
互いにBパッドを展開し、コールと共にそれを開始する。世界存亡の片棒を担がされたトゥエンティのリベンジマッチ…………
果たしてその結果は…………
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王国に突如として出現した黒い球体の内部。蠢く黒属性の力が支配するこの空間で、ブラックフォースに力を与えられ、オブシディアンをも凌ぐ力を手に入れたウィルと、狐の面を被ったアスラの恩人、仮面Zの2人がバトルスピリッツを開始していた。
先行は仮面Zだ。ウィルをこの手で葬るべく、そのターンを進めていく。
[ターン01]仮面Z
「メインステップ。僕は、僕自身を仮面ライダーウィザードに変身させる」
「!」
……シャバドゥビタッチヘンシーン!!
……シャバドゥビタッチヘンシーン!!
………ヒー!ヒー!…ヒーヒーヒー!!
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV1
右側から赤い魔法陣が仮面Zを通り過ぎると、仮面Zは黒い衣装に赤い宝石のような仮面を装着した魔法使いのようなライダースピリット、仮面ライダーウィザードへと変身を遂げた。
「……貴方もライダースピリットの使い手でしたか。ただ、たかがライダースピリット1体では私には到底敵いませんよ?」
「ウィザードをただのライダースピリットと考えるのはやめた方が良い。このスピリットは特別なんだ」
「ゾゾ、それはそれは……また面白い事を抜かす」
余裕しかないウィル。ウィザードに何か秘訣を見出している仮面Z。彼らの戦いはまだ始まったばかり…………
アスラとオブシディアンの戦いを節目に、それぞれが、それぞれだけの戦いに身を投じていく…………
王国は、世界は、そんな彼らの手に掛かっている…………
最後までお読みいただき、ありがとうございます!!
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バトルスピリッツ王者の鉄華もよろしくお願いします!!
最近ではアスラ以外のセイバー使いが登場!?
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