黒き空が世界中を覆い続ける中、その中心となっているオウドウ都に現れた黒き巨大な球体…………
そこの内部にて、仮面ライダーウィザードに変身した仮面Zと、最早怪物の領域に達した元人間、ウィル…………
この2人が戦闘と言う名のバトルスピリッツを繰り広げていた………
次はウィルの第2ターンからだ。
[ターン02]ウィル
「メインステップ……ゾゾゾ、私はエイプウィップを召喚。コストにソウルコアを支払った事で、リザーブにコア1つ、トラッシュに2つ追加」
ー【エイプウィップ〈R〉】LV1(1)BP1000
緑色の毛色で覆われた4本腕の猿型スピリット、エイプウィップがウィルのフィールドに出現。その効果で合計3つものコアを増やして見せた。
「さらにバーストをセットして、ターンエンドです」
手札:3
場:【エイプウィップ〈R〉】LV1
バースト:【有】
バーストを張り、ターンを早々に終える。
仮面Zはその宣言を聞くなり、再び己のターンを開始して行く。
[ターン03]仮面Z
「メインステップ……私は知っている、ウィル、君がブラックフォースのオブシディアンと出会い、手を組み、ここまで世界を引っ掻き回してきた事を……」
「へぇ、通だね」
「君は何故悪魔に全てを委ねてまで世界をリセットしようとする?」
ターン開始直後に、仮面Zがウィルに聞いた。彼は薄気味悪い笑顔を浮かべながら返答する。
「ゾゾ……貴方が誰なのかは知りませんがね、わかりませんか?……この世は不平等だ」
「!」
「コモンやマスター、生まれながらに力の差が存在し、下にいる者達が淘汰されなければならない。さらに必然的と言うか、同時に貧富の差も広がり、弱き者たちは、まともな食も取れず、反面、強き者たちはもう食べきれないとその食料を捨てる」
「………」
「だから黒属性の力を手に入れた。オブシディアン様たちに分け続けていただいた!!……これでこの世界を創り直す事ができる、真の神たる……この私が!!」
彼の言う事はもっともではあった。
この世界は余りにも不平等だった。身分がレア、コモンの人間たちは弱いからと言う理由で差別され、淘汰される。
実際には頂点王シイナの努力の影響でその考え方は薄れつつある、と言うのが現状ではあるが、未だ根強く蔓延っていると言うのもまた事実。
だが、仮面Zは知っている。アスラとロンの2人が、最初はコモンの身分で皆から差別されてきた者たちが認められ、親しまれて来た事を………
それ故に確信している。この国は黒の力に、ブラックフォースなんぞに頼らずとも、変えられると。
「神とは大きく出たね。返答次第によっては……と思ったが、どうやら君と僕とでは価値観が合わないらしい………本当に世界を創り直したけば、黒属性なんかに頼らず、己の力だけで前を向き続けるべきだった………アスラみたいに」
「は!?……何を言っている、奴も黒属性の力に頼らなければ、ただの泥臭いガキではないか」
アスラの事を話題に上げる仮面Z。しかし、ウィルは奴も黒属性に頼っていると一蹴…………
「決定的な違いがある。自らの欲望のために黒属性を手に入れた君とは違い、あの子は生まれながらに……赤ん坊の頃からオニキスがいた。それを知らずに15年も暮らして来たんだ」
「………」
「そうだ。今思えば、あの日………あの日から、僕はアスラとロンに縋っていた。良い大人が、だらしない」
「………何を言っているのか、理解できないね」
15年前の吹雪の中、アスラの母であるキョーラが死に、復讐を誓ったオニキスが赤ん坊だったアスラの中に入っていった時の事を鮮烈に思い出す。
あの日から、仮面Zは心のどこかで、アスラとロンをブラックフォースを退けるための兵器として見ていた。
今更、とてつもない罪悪感が身体の中を駆け巡っている。だからこそ、今ここで、このバトルに勝ち、絶たねばならない…………
「ライダーマジック、ウィザードフレイムスタイルを使用、効果でBP4000以下のエイプウィップを破壊!」
「ッ……ライダーマジックだと」
エイプウィップの足元に火柱が迸り、それを焼却。彼が使ったのはライダースピリットでもあり、マジックカードでもある大変珍しいカード。
そしてその真骨頂は、その後の召喚にある。
「この効果発揮後、自身をノーコスト召喚する!!……現れよ、フレイムスタイル!!」
ー【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル】LV2(2)BP4000
変身した仮面Zと全く同じ姿をしたライダースピリット、ウィザードフレイムスタイルが赤き魔法陣の中より出現。
「召喚時効果、デッキから3枚オープン、その中にある対象カードを3枚まで手元に置く………よって私は、オープンされたウィザードウォーター、ハリケーン、ランドスタイルの3枚全てを手元に」
「ッ………手札ではなく、手元に置く効果………しかし、バーストは貰いますよ、召喚時発揮後のバーストでキングスコマンド!!……3枚ドローし、1枚捨てます」
ここまでの流れで、仮面Zは手元に新たに3枚のカードを手元に追加し、ウィルもまた3枚の新たなカードをドローした。
「今ここで、僕が君を倒す。アスラとロンにはこれ以上、何も背負わせない!!……アタックステップ、行け、フレイムスタイル!!」
「……ライフで受けましょう」
〈ライフ5➡︎4〉ウィル
フレイムスタイルが掌から火炎弾を放ち、ウィルのライフ1つを粉砕してみせる。
「………ふむ、この程度ですか。言ってた割には大した事ありませんね………これだとまだあのゴミ共の方がましですよ」
彼の言う『あのゴミ共』とは、アスラたちの事だろう。ダメージの痛みからして、仮面Zが今の己の力には到底及ばない事を悟り、余裕の笑みを浮かべるウィルであったが…………
本当の痛みは、これからであって…………
「フ……それはどうかな?」
「なに?………ぐっ!?……な、なんだ!?」
突如、脳が揺らぎ、まるで精神と肉体が離れていくような痛みを感じ取るウィル。それは直ぐに収まるが、あのウィザードと言うライダースピリットが、生半可な力でない事に気がつく………
「………貴様、何をした?」
「ライダースピリットにはライダーとはまた別の力が隠されている………龍騎で言う赤き龍、ナイトで言う黒き翼みたいにね。その中でも一部のライダースピリットには異能染みた力を持つものもある……君も経験上、知っているはずだよね?」
「…………」
確かに、数多く存在しているミラーライダーを操るオーディンや、全てのライダースピリットを内包できるジオウなど。
ライダーハンターズの主任として、これまで数多くのライダースピリットを見てきた自分だからこそ、わかる…………
「このウィザードもその1つさ。精神と肉体が離れていくのを感じただろう?……君のライフが0になれば、完全にそれは切り離され、君の精神は、君自身の心の世界『アンダーワールド』に幽閉される」
「……!!」
「そうなれば、いくらブラックフォースの加護を受けていおうと意味はない」
ウィザードは特殊なライダースピリットの一種。アンダーワールドと言う人間の精神世界を操る事ができる。アスラも一度連れて行ってもらい、そこで修行を積むと言う経験もしている。
仮面Zはウィザードのその力を使い、ウィルを完全にアンダーワールドに閉じ込めようと言うのだ。
「………成る程、それが貴方の勝算と言う事ですか………しかし」
「?」
「ライフが減った事により、トラッシュにあるゴジラの効果……2コストを支払い、召喚する!!……現れ出でよ、怪獣王!!」
ー【ゴジラ(2004)】LV1(1)BP10000
蠢く地の底より、咆哮を張り上げながら現れたのは黒い体に大きな尾を持つシンプルな怪獣と言った見た目のスピリット、ゴジラ。
だが、そこから感じられる迫力やオーラは美しくも凄まじく、神にも匹敵すると言って過言ではない程だ。
「ゴジラ。メカゴジラの元になったと言われる伝説のカード……アスラから聞いた通り、所持していたか、僕はこれでターンエンドだ」
手札:4
場:【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル】LV2
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV2(2)
手元:【仮面ライダーウィザードウォータースタイル】
【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】
【仮面ライダーウィザードランドスタイル】
バースト:【無】
[ターン04]ウィル
「ゾゾ、別世界に幽閉とは考えましたね〜……だが、全ては貴方が私に勝てればの話!!……そして……」
〈ライフ4➡︎5〉ウィル
「ッ……ライフが回復した!?」
「これぞブラックフォースの力!!……同じ総量の黒属性の力をぶつけない限り、私のライフは1ターンで回復する!!」
せっかく破壊したライフバリアがたちまちまた形を形成し、復活する。そう、これこそが黒に勝てるのは黒しかないと言われている所以の1つ………
アスラとオニキスのような特別な力がない限りは勝つ事が極めて困難である。
「フ……それがどうした。だったら1ターンで君のライフを全て消し飛ばすまでだ」
「……ゾゾゾ、できるかな?……メインステップでバーストを伏せ、そのままアタックステップ……行きなさいゴジラ!!…効果でウィザードフレイムスタイルに指定アタック!」
「!」
「効果でコアを追加し、回復する」
伝説のスピリットゴジラがウィザードフレイムスタイルに牙を向ける。噛み砕こうとするゴジラに対し、フレイムスタイルは赤い魔法壁を前方に展開し、難なく退けるが、直後に飛んで来た尾で払う攻撃に魔法壁ごと吹き飛ばされ、爆散した。
「相手スピリットを葬った時、ゴジラは赤のシンボルを1つ追加……ゾゾゾ、ダブルシンボルで再アタック!!」
「ぐっ……ライフだ……!」
変身した仮面Zにも牙を向ける。背鰭が体内に眠る核によって赤々と光り輝くと、それらのエネルギーは全て口内に移動し、ゴジラはそこから赤色熱線を放つ。
「ぐ、ぐぉぉぉ!!?!」
〈ライフ5➡︎3〉仮面Z
直撃した2つのライフバリアは消し飛び、仮面Zに多大なダメージを与えた。
意識が吹き飛びそうになる程の強烈な一撃に足元がふらつくが、己の責任を思い出し、倒れるわけにはいかないと踏み止まる。
「ターンエンドです。さぁ、貴方はどこまでこの私に喰らい付いていけるか、楽しみですね」
手札:6
場:【ゴジラ(2004)】LV2
バースト:【有】
完全に弄ばれている。
だが、ウィザードの力さえ使えば、ライフを一度でも0にできればまだ勝機は望めるのだ。ここで諦めるわけにはいかない。
[ターン05]仮面Z
「メインステップ………僕は前のターンに手元に置いた、ウィザードウォータースタイルとハリケーンスタイルを召喚!…ハリケーンスタイルの召喚時効果でボイドからコア1つをウォータースタイルに追加」
ー【仮面ライダーウィザードウォータースタイル】LV2(3)BP4000
ー【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】LV2(3)BP3000
フィールドに出現するのは、青いウィザードと緑のウィザード。いずれも小型ながら強力な効果を有しているが、ウィルのゴジラの前ではどれも霞んで見えてしまう…………
「………このターンは何もしない、ターンエンド」
手札:5
場:【仮面ライダーウィザードウォータースタイル】LV2
【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】LV2
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV2(4)
手元:【仮面ライダーウィザードランドスタイル】
バースト:【無】
無限に回復し続けるライフを前には、そのターン中に削り切れる程の攻撃力を持ったスピリットでなければ攻撃は無意味。
仮面Zはそのターンを終了とする………
[ターン06]ウィル
「メインステップはスキップし、そのままアタックステップ……再び蹴散らしなさい、ゴジラ!!」
「む……!」
迫り来る怪獣王。ウォータースタイルを尾で払い、ハリケーンスタイルを握り潰す。コアを増やし、回復して倒すを繰り返していく。
ここまで一方的な試合展開になってしまったのは、単純にウィザードとゴジラの相性が悪いせいだろう………
「破壊したスピリットは2体、よってシンボルは2つ追加され、トリプルシンボル!!……貴様の残ったライフを全て破壊する!!」
「!」
仮面Zに向かって放たれたのは、前のターンよりも遥かに強力な赤色熱線。残りライフが3つの彼は、これを受けたら敗北してしまうが…………
これを凌げない程度の軽い策で、単身乗り込んでくる訳がなくて………
「残念だが、これ以上のダメージは受けてあげられないな。フラッシュマジック、手元よりウィザードランドスタイルの効果を使用」
「!?」
「効果により、ゴジラのシンボルをこのターン0にする……よって、僕が受けるダメージも0となる」
〈ライフ3➡︎3〉仮面Z
咄嗟にシンボルが消え、ライフバリアを1つも砕けないにまで赤色熱線の威力は低下。華麗にゴジラの攻撃をいなして見せた。
「………ターンエンド。小癪とはまさにこの事ですね。一時凌ぎの効果で身を守っても、いずれ勝つのはこの私だと言うのに」
手札:7
場:【ゴジラ(2004)】LV2
バースト:【有】
「そうとも限らないさ」
「……なに?」
「さぁショータイムだ。ライダースピリットにして、魔法使い、ウィザードの真骨頂、お見せしようじゃないか」
「………ゾゾ、いいでしょう。その余興、楽しみにしていますよ」
己を選んでくれたウィザードのカード。それを信じ、仮面Zはターンを進めて行く…………
[ターン07]仮面Z
「メインステップ……変身した僕の【神域】により、トラッシュにあるカードでもウィザードは軽減シンボルを満たす事ができる」
「!」
「今、トラッシュには5枚のウィザードがいる……よってフル軽減で現れろ……仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル!!」
……イーンフィニティー!!
……イーンフィニティー!!
ヒースイーフードー、ボゥザバビュードゴーン!!
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル】LV3(3)BP16000
魔法陣から美しいダイヤモンドでできた白銀のドラゴンが現れ、天高く舞い上がったかと思えば、地へと急速に落下。それは砕け散って行き、中から仮面ライダーウィザードの最強の形態、仮面ライダーウィザードインフィニティースタイルが出現した。
その鎧はダイヤモンドで光り輝き、その手には斧のような、はたまた剣のような武器が握られている。
「………美しい」
「その余裕、いつまで持つかな?……召喚時効果発揮!!……我がトラッシュに眠るライダーマジックを全て手元に置く」
「ッ……全て?」
「そう、全てだ」
神託や召喚時でめくれ、使用され続けて来たライダーマジック、もといウィザードのカード。それら全てがインフィニティーの効果で今再び彼の手元へと舞い戻る。
「さらにブレイヴ、ウィザーソードガンをインフィニティーに直接合体するように召喚!」
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】LV3(3)BP19000
インフィニティーは銃剣ウィザーソードガンを魔力で作り出し、片手でそれを握り締める。二振りの武器を手に携えたその姿は最早、鬼神と呼べるものを感じさせる。
「アタックステップ、インフィニティーで合体アタック!!」
遂に攻撃を再開する仮面Z。馴染みきった黒の力で回復し続けるライフを討つべく、インフィニティーに突撃させる。
そしてこの瞬間、発揮できる力があって………
「フラッシュ、ウィザーソードガンの効果発揮!……手札か手元にあるライダーマジックを1コストで使用できる」
「?」
「僕はこの効果で手元にあるウィザードウォータースタイルの効果を使用。このターンの間、インフィニティーは如何なる場合であっても最高LVを維持し続ける」
合体中のブレイヴ、ウィザーソードガンの効果が発揮。ほぼ無意味に等しいライダーマジックを今ここで使用する。
だが、そのマジック効果は無意味であっても、インフィニティーにとっては全く無意味ではなくて…………
「インフィニティーの効果、マジックを使用した時回復。さらにバトル中、ブロックされなくなる」
「ッ………成る程、そう言う事ですか」
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】(疲労➡︎回復)
インフィニティーの眼光が光り、疲労より回復状態となる。これでこの攻撃の後も再び攻撃を行うことが可能となる。
「無限の名を持つインフィニティー………貴方はマジックを最小限のコストで打ち続け、回復効果を連打。私のライフを1ターンで削り切ろうと言う作戦ですか」
「あぁ、しかもインフィニティーはエンドステップ時にも召喚時効果を使用可能。これで再びトラッシュから防御用にライダーマジックを手元に置ける。いくら君が僕の攻撃を凌ぎ、ターンを迎えようとも、その数だけ僕も君の攻撃を凌ぐ。そしてまたインフィニティーが君のライフを穿つ」
ウィルを屠るための永久機関は既に完成していた。
インフィニティーさえいればライダーマジックと言う名の魔力は枯渇する事はない。さらにこちらは一度のターンにコアの続く限り攻撃が可能…………
これならば、いくら無敵に近い黒属性の力を持つウィルと言えども突破するのは困難であろう…………
「………一度目の攻撃はライフで受けましょう………ッ……」
〈ライフ5➡︎3〉ウィル
ウィザーソードガンを装備し、己の武器と合わせて二刀流となっているインフィニティーがウィルのライフバリアを2つ両断。
ライフが消えた事により、またアンダーワールドへの魂追放が早まり、肉体と精神が離れて行くのを感じる。
「二撃目だ、アタック!!……フラッシュで今度はハリケーンスタイルを使用。インフィニティーは回復する!!」
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】(疲労➡︎回復)
ハリケーンスタイルの効果はスピリットを疲労させるもの。この効果は全く意味がないが、使用した事で、インフィニティーは再び回復状態となる。
「さぁどう受けるウィル!!」
「ふむ。ライフで受けましょう………ぐ、ぐっぁ」
〈ライフ3➡︎1〉ウィル
二度目の攻撃も炸裂。残りライフが1となった事により、その意識は天上へと向かい掛ける……………
「………打つ手なしか………ならこれで終わりだ、インフィニティー!!」
ここまでの展開から、防御用のカードが引けていない事を察した仮面Z。最後の一撃をお見舞いすべく、インフィニティーに指示を送った。
この攻撃でライフを0にさえできれば、無敵の黒属性を持つウィルもアンダーワールドに封印できる…………
だが…………
「ゾゾゾ………アタック後のバースト、煌星銃ヴルムシューター!!」
「なに!?」
「効果で1枚ドローし、召喚」
ー【煌星銃ヴルムシューター】LV1(5)BP6000
ここに来てまさかのバーストが発動。Bパッド上にあるカードを勢い良く反転させ、場に伝説の救世龍を模した銃、ヴルムシューターを呼び寄せる。
三度目のアタックで敢えてのバースト発動。この意味深なタイミングは、仮面Zに何かがあると予感させるには十分すぎるものがあって…………
「アンダーワールドと言う世界は良くわからなかったが、肉体と精神が離脱しそうになる感覚は生まれて初めてでちょっと刺激的だったよ」
「…………」
「だが残念、やっぱり今の私と貴方では力の差がありすぎる………余興は終わりだ。煌臨発揮、対象はヴルムシューター」
「!!」
ウィルの煌臨の宣言に合わせ、ヴルムシューターが烈火の如く炎を纏いながら姿形を大きく変化して行く。
そして彼はその名を呼ぶ…………
「伝説の救世龍……悪しき傀儡となりて我の前に現れよ、超新星龍ジークヴルムノヴァ!!」
「ッ………な、なんだって!?」
ー【超新星龍ジークヴルムノヴァ〈R〉】LV3(5)BP25000
炎を吹き飛ばし、まるで宇宙創造のビックバンとも思わしき衝撃の中から出現したのは、白き聖装を見に纏う赤きドラゴン。
その名もジークヴルムノヴァ…………
この王国の名前、ノヴァ王国の由来にもなっている伝説のカードだ。
「………馬鹿な、ゴジラに続いてノヴァまで………君はいったい………」
「貴方達は黒属性の力を単なる悪しき力と認識しているようですが、それは違う。黒属性とは、言わば進化の力の塊、結集。その力が高まれば高まる程、自在に様々なカードを形成できるのです…………ジークヴルムノヴァ煌臨時効果、トラッシュのコア全てを自身に置き、ライフを5になるまで回復」
「!?」
〈ライフ1➡︎5〉ウィル
地が砕けんとする程の強烈な咆哮を張り上げるジークヴルムノヴァ。しかしその咆哮は聖なる癒し、ウィルのライフを一気に初期値である5まで回復させた。
「………だがまだだ。まだインフィニティーの攻撃は生きている……ウィザーソードガンの効果でランドスタイルの効果を使用。インフィニティーは回復し、相手が伝説のスピリット、ノヴァであろうともブロックはできない!!」
ー【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】(疲労➡︎回復)
ライフが5に戻ろうともまた1から破壊して行くのみ。そう言わんばかりに果敢に効果を使って行く仮面Zであったが…………
「ライフで受けましょう…………さらにこのライフ減少時、手札からマジックカード絶甲氷盾を発揮」
「!?」
「効果によりこのアタックステップを強制的に終了」
インフィニティーがライフを斬り裂くも、ここでマジックカード『絶甲氷盾〈R〉』の効果が発揮。これにより彼のアタックステップは有無を言わずに終了となる。
「……エンドステップ。僕はインフィニティーの効果で召喚時効果を発揮、トラッシュからウォーター、ハリケーン、ランドのカードを手元に置く。ターンエンド」
手札:5
場:【仮面ライダーウィザードインフィニティースタイル+ウィザーソードガン】LV3
【変身!!仮面ライダーウィザード】LV2(5)
手元:【仮面ライダーウィザードフレイムスタイル】
【仮面ライダーウィザードウォータースタイル】
【仮面ライダーウィザードハリケーンスタイル】
【仮面ライダーウィザードランドスタイル】
バースト:【無】
ゴジラとノヴァ。並び立つ2体の伝説のスピリットに困惑するも、やる事は何一つ変わらない。トラッシュから防御マジックを手元に戻し、万全を尽くした状態でそのターンをエンドとする。
しかし…………
彼はまだ知らないが、最早その努力さえも無に帰してしまう程に彼は成長を遂げていて…………
[ターン08]ウィル
「我がターン。ここで黒き力により、ライフは5に戻る」
「くっ………」
〈ライフ3➡︎5〉ウィル
再び1から、いや、5から戻される。ここまでライフを回復されると最早自分が何とバトスピをしてるのかさえわからなくなる。
「メインステップ………先ずはマジック、ゴッドブレイク」
「!!」
「カードを1枚ドローし、目障りな変身のカードを解除します」
メインステップ開始と同時に放たれたのは創界神ネクサスを破壊すると言う効果を持つ異端なカードゴッドブレイク。
天より怒りの鉄槌が降り注ぎ…………
「ぐっ………ぐぉぁぁぁ!?!」
ウィザードに変身している仮面Zを叩き潰し、その変身を強制的に解除させた。そしてその際、仮面Zの被っている狐の面に亀裂が生じ、破損。やがて彼の『ゾン・アーサー』としての素顔が露わになって…………
「その顔……………あぁ、思い出しましたよ。貴方、ゾン・アーサーですね。失われたエックスのアーサー家の最後のトップではありませんか。ミラーワールドでシスイ・メイキョウと協力していた際に資料で知りましたよ。まさかこんな形で顔を合わせる時が来るなんてね」
「…………」
ウィルもゾンについては知っていたようで、素顔を見るなり思い出した。
「今までの会話ぶりからして、貴方はあのゴミに手を貸していたみたいですね〜〜……しかしそれも間もなく無駄に終わります。何せ、ゴミ共の始末はあのブラックフォース最強にして我が恩人、オブシディアン様が向かいましたからね」
「!」
「ゾゾ、最弱のオニキスの力しかない彼に先ず間違いなく勝ち目はない。終わりだよ、この世界は間もなくこの私が創り変える………この黒き力で!!」
己が野望を今一度叫ぶと、ウィルは手札から更なるカードを展開する。
「さらに砲竜バルガンナーを召喚し、ジークヴルムノヴァに直接合体」
ー【超新星龍ジークヴルムノヴァ〈R〉+咆竜バルガンナー〈R〉】LV3(6S)BP29000
ブレイヴカード、バルガンナー。それにより、ノヴァの背中に2つの砲手が装着され、より強力な合体スピリットとなる。
「アタックステップ………」
「来るか……だが、僕の手元と手札にはまだ多量のマジックカードが仕込まれている……このターンを凌ぎ、必ず次のターンで………」
「次のターンなどない!!……貴様には確実にこのターンで死んでもらう!!」
「!!」
そう強く、高らかに宣言しながら、ウィルはアタックステップへと移行。ノヴァのカードを横向きにし、アタックを行う…………
「アタックだ、ジークヴルムノヴァ!!……そしてその効果、ゲーム中に一度、互いの手札と手元のカードを全て破棄する!!」
「ッ!?……なんだとぉ!?!……ぐうっ!?」
空が張り裂ける程の強烈な咆哮。それは全てを破壊するための咆哮………
仮面Zはおろか、主人であるウィルの手札のカードまで全てをトラッシュへと破棄してみせる。だがこの状況、手元も破棄された仮面Zの方が圧倒的に不利であり………
「バルガンナーの効果でまたドロー………ゾゾ、さらに面白いモノを見せてやろう」
「……今度は何を………」
「フラッシュチェンジ!!……対象はジークヴルムノヴァ!!」
「な………ノヴァを対象にチェンジ……!?」
本来ならばライダースピリットの十八番であるはずのチェンジの効果。それがノヴァを対象に発揮される…………
「チェンジ効果、最もコストの高いスピリット、ウィザードインフィニティーを破壊!!……その後トラッシュを除外」
「ッ……インフィニティー!?!」
白く、巨大な剣が天空より現れ、インフィニティーの胸部に突き刺さる。流石にこれには耐えられず、インフィニティーはたまらず爆散、手に持っていたウィザーソードガンは主人を失い地に突き刺さる。
しかもそれだけでは終わらず、ゾンのトラッシュにあるカードをゲームから除外、このバトルでは使えなくしてしまう…………
「さらにこの効果発揮後、対象としたスピリットと入れ替える…………究極モードチェンジ、悪しき傀儡となりて現れろ……インペリアルドラモンパラディンモード!!」
「………い、インペリアル……!?!」
ー【インペリアルドラモンパラディンモード+砲竜バルガンナー〈R〉】LV3(5)BP27000
フィールドにいたジークヴルムノヴァが粒子化し、分解。再び結合していくと、新たに出現したのは白き翼と大剣を持つ聖なる竜騎士、インペリアルドラモンパラディンモード。黒き力を内包しているからか、その身体からは黒きオーラを常に放っている。
そしてこのスピリットはかの有名なカードバトラー、頂点王シイナの持つモノと全く同じであり……………
「インペリアルの名を持つデジタルスピリットは頂点王シイナの手にしかないはず…………まさか貴様はそれさえも黒の力で創り出したと言うのか!?」
「もちろん。今の私に不可能と言う文字はありませんよ……彼女には決してバトルでは勝てないと思っていましたが、案外楽勝だったのかもしれませんね〜」
目の前にいるのは、黒属性という力に魅入られ、人間ではなくなったバケモノ…………
それをたった今自覚し直した。こんなの、普通の人間でどうこうできるレベルではない。
「さぁ、パラディンモードのアタックは健在ですよ?……バルガンナーとの合体でトリプルシンボル」
「くっ……残ったウィザーソードガンでブロック」
だが抵抗を止めるわけにはいかない。ウィザーソードガンでブロックするが、握るべき主人もいないただの武器が太刀打ちできるはずもなく、背中に装着されたバルガンナーの砲弾で爆散させられる。
そして、この瞬間、仮面Zの場は全滅。手札と手元も全て捨てられ、トラッシュも除外。最早打つ手など残っているはずがない…………
諦めるしか、選択肢はない。
本来ならば…………
「終わりです。ただの人にしては良くやった方なんじゃないですかね?」
「………まだだ」
「は?」
「まだ僕は諦めない。例えどんな状況になろうと、今更諦める事なんてできない!!……あの粉雪が降る日、誓ったんだ。あの親子、キョーラさんとアスラのために……自分の息子、ロンのために生きようと!!」
思い出すのは全ての始まり。あの日、死にかけていたキョーラと出会い、アスラを託された日から全てが始まった。
我ながら最高身分のエックスらしからぬ、泥臭くて醜い人生だと思う。だけどそれでもよかった…………
全てはあの子達のためだと思えば、幾らでも頑張れた…………
「あの子達の夢が叶うまで、見届けるまで……僕は死ねないんだ!!」
「ゾゾ、そうか。じゃあ逝こう」
「!!」
「いい加減、最後まで諦めないとか言う茶番には飽き飽きしてるんだよ。パラディンモードで再アタック。バルガンナーの効果でドローし、トラッシュにあるコア全てを自身に追加」
その魂の叫びも虚しく、ウィルはトドメの一撃を宣言。
「伝説の一撃……オメガ・ザ・レジェンダリィィィ!!」
パラディンモードは手に持つ身の丈程はある大剣を豪快に地面に突き刺す。そしてその接地面からゾン目掛けて溢れんばかりの黒き波動が放たれて…………
「…………すまないアスラ………ロン………!!」
迫り来る死を感じるゾン。真っ先に思い浮かべたのは唯一真実を打ち明けた存在アスラと、息子のロン。
だが…………
神は彼を見逃してはいなかった…………
「うぉぉお!!………っらぁぁぁ!!!」
「!!」
「………なに?」
一瞬だった。
ほんの一瞬でゾンの前に現れた小さな影が手に持つ剣でインペリアルドラモンパラディンモードの奥義、オメガザレジェンダリーを弾き返した。
そしてその小さな存在、当然アイツだ…………
「落ちるとこまで落ちたな、このちょび髭シルクハット…………オレの、オレの恩人に……手を出すんじゃねぇ!!」
「アスラ………!!」
スーミ村のアスラ、ここに参上。Bパッドで召喚した火炎剣烈火で見事トドメの一撃を凌いで見せた。
さらに彼のライバルであるロンも少し遅れてこの場にやって来る。
「無事か?」
「ロン………」
初めて………
いや、17年ぶりに息子と仮面無しで顔を合わせるゾン。元々はシスイにバレないよう装着していた仮面。ロンに素顔は見られても平気だと思っていたが…………
「アンタ、オレの親父、ゾン・アーサーなんだろ?」
「ッ………な、何故それを……!?」
バレていた。冷静すぎるほどの口調であっさりとそれを口にする。
「オレには赤ん坊の頃の記憶が朧気ながら残ってる。初めて会った時からなんか引っかかってて、ひょっとしたらと思ってな」
「………すまない。僕は君を捨てたも同然の行いをした………今更許してくれとは言わない………」
いつかは言わなければならなかった事である謝罪を今ここでするゾン。ロンは無表情でそれを受け止め…………
「ぶっちゃけ、オレはアンタを父親だとは思えねぇ、無理もないよな。赤ん坊の頃の記憶でしかオレはアンタを知らないんだから」
「…………」
「でも、アンタには感謝もしている」
「!」
「あの日、オレを捨てなかったら、オレはアスラとは出会えなかった。アイツの存在が、オレを大きくしてくれた。たったそれだけ、その一点のみで、オレはアンタに感謝している………フ、これが終わったら一緒に飯でも行かないか?……奢ってやるよ」
「………ロン」
息子の言葉に思わず目に涙を浮かべる。ゾンの事情を全て知っていたアスラはそれを見て「よかったな、おっちゃん」と優しい笑みを浮かべながらそう呟く…………
だが直後にウィルが口を開き…………
「何故だ。何故貴様らがいる!?……貴様らはオブシディアン様が始末しに向かった筈だ」
そう。彼の中で、既にアスラは死んでいた。
己が最も信頼しているあの最強のブラックフォース、オブシディアンが自ら息の根を止めると言っていたのだから無理もない。
しかし、その理由は簡潔なモノで、尚且つウィルが望まぬモノ…………
『ゼゼゼ……オブシディアンは消えた。残りはオマエとシャーマン、ヘタマイトだけだ』
「!?!」
アスラの影からブラックフォース、オニキスが霊体として姿を現し、ウィルにそう宣告する。
受け入れ難い真実に、ウィルは口と腕を震わせて…………
「馬鹿なァァァァァァ!!!……そんなわけがないだろう、あのオブシディアン様が、貴様らみたいな下等な生き物に!!」
「だったら試してみろよちょび髭ヤロウ………!」
「オレとこのチビでな………!!」
アスラとロンがゾンを庇うようにウィルの前に立ちはだかる…………
幾度となくバトルと言う名の激戦を繰り広げて来た彼ら、その最終決戦が間もなく開始されようとしていた……………
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
次回もよろしくお願いします!!
・現状の確認
1「アスラのロンはオブシディアンを撃破、テンドウを解放。その後ウィルと対峙」
2「トゥエンティはヘタマイトと対峙」
3「エールとエレンがシャーマンと衝突」
4「カラーリーダー達が黒き怪物達と激闘」
5「ムエ、喋る」
と言った感じですね。次回はトゥエンティに焦点を当てていきたいと思っております。
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#クロスセイバーが煌臨だった件について
はい。大方予想通り、クロスセイバーは煌臨スピリットでした笑
正直登場するかは未定だった事もあり、大したダメージは入ってません。寧ろ積極的にネタにしようと思ってるくらいモチベが高いです( ̄∀ ̄)
それ以上に普通に強そうなのが嬉しい(*´∀`*)
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前作「バトルスピリッツ オーバーエヴォリューションズ」の正統続編「バトルスピリッツ 王者の鉄華」もよろしくお願いします!!↓
最近ではダブルオーとスサノオが激突!!
https://syosetu.org/novel/250009/