「よし、トゥエンティ。オレは先ず妹野郎をどっかに避難させっから、取り敢えずオマエは小僧共を追って、あの黒くてデカイ球の中に行け」
「!」
ウィルによって、ブラックフォースのヘタマイトに取り憑かれていた恋人、カナを見事に助け出したトゥエンティ。彼女との感動の再会の余韻に浸る間もなく、彼女の兄であるテンドウ・ヒロミがそう提案した。
「ちょっと兄さん、何言ってるのよ!……トゥエンティは私のせいでボロボロなのに………」
「いや、だってオレのデッキじゃもうあのちょび髭シルクハットには勝てないし」
「頑張りなさいよ、三王でしょ?」
野生的な感を持つテンドウ・ヒロミ。おそらく彼は己が既にアスラ達よりも実力が劣ってしまっている事に気がついている様子。
しかし、だからといって彼も何もしないわけではない。妹であるカナを無事避難させた後は、黒い怪物達が暴れ回る街を守り抜く予定でいる。
「いや、いいんだカナ。オレは行くよ、アスラには大き過ぎる借りがある」
「………アスラって、あのエールちゃんが好きな男の子でしょ?…一度病院に来た」
「あぁ、アイツはいずれ頂点王になる男で、オレの好敵手だ。アイツのピンチは、オレが救う………だからカナ、もう少しだけ待っていてくれ」
「トゥエンティ………」
トゥエンティの言葉に、カナは頷く。そんな彼らの会話に「イチャイチャすんな」とテンドウ。
「そうそうトゥエンティ、ついでにコレも渡して置く」
「ッ……このカードは」
「餞別だ、大事に使えよ。捨てたら殺す」
「あぁ、大事に使いますよ」
トゥエンティに1枚のカードを与えた直後、テンドウはカナを抱き抱え、避難場所まで走り出し、トゥエンティはアスラとロン、そして因縁の宿敵であるウィルがいるであろう、黒い球体へと急いだ…………
******
そこからほんの少しだけ時は戻り、無事はトゥエンティとヘタマイトの激闘からそう遠くない場所…………
街を破壊しようと攻め込んで来た黒い怪物達をカラーリーダーの6人が食い止めていた中、エールとエレンのオメガ兄妹は、金髪の「クズ」と言う言葉が似合う青年、フリソデの身体を奪ったブラックフォース「シャーマン」と対峙し、2対1のレイドバトルが開始していた。
先行はシャーマンだ。ブラックフォースの中でも最も人間に対しての恨みが強い彼は、目の前の2人の人間を潰すべく、己のターンを開始していく………
[ターン01]シャーマン
「ズズズ……メインステップ、レウルーラをLV1で配置してターンエンド」
ー【レウルーラ[UC]】LV2(1S)
「ッ……デッキのカードはフリソデのままなのね」
シャーマンの背後に配置されたのは赤い母艦、レウルーラ。エールもリアクションした通り、どうやら彼のデッキの原型は器たるフリソデのモノのままらしい。
「臆するなエール、余と特訓した時の事を思い出せ………このバトル、必ず勝つぞ」
「お兄様………はい!」
三王である兄、エレンがそばに居る安心感を感じつつ、エールは共にターンを進めていく。
[ターン02]エール&エレン
「メインステップ……先ずは余から行くぞ、母艦ネクサス、アークエンジェルを配置」
ー【アークエンジェル】LV1
「ズズ、オレ様が赤の母艦に対し、貴様は白の母艦か」
エレン達の背後に颯爽と出現したのは白き母艦アークエンジェル。自分のバトルでは殆どの確率で配置する、このいつものネクサスをエレンは視認しながら、謎の放浪者「仮面Z」から言われた言葉を思い出して………
ー『はっきり言いましょう、ブラックフォースを討伐するのはこのアスラとその中にいるオニキス、そして僕だけで十分。普通の人間である貴方達には不可能です』
「………余は三王にして誇り高きオメガ家、エレン。この国のため、貴様には負けん。ターンエンドだ」
エレン手札:2
エール手札:3
場:【アークエンジェル】LV1
バースト:【無】
「ズズ、ただの雑魚人間如きがほざくな」
仮面Zの助言を覆すと言う意味を含めた言葉を口にし、エレンはそのターンを終了。再びシャーマンへとターンが回る。
[ターン03]シャーマン
「メインステップ、レウルーラからコアを取り、赤マジック、ソウルドロー。コストにソウルコアを支払い、デッキから3枚ドロー………ズズ、さらに2枚目の母艦ネクサス、ガランシェールをLV1で配置してターンエンド」
手札:6
場:【レウルーラ[UC]】LV1
【ガランシェール[UC]】LV1
バースト:【無】
黒色のもう一つの母艦、ガランシェールを配置し、シャーマンはそのターンを終える。
[ターン04]エール&エレン
「メインステップ……今度は私が行きます、お兄様!」
「あぁ、好きに動け」
エレンの言葉に、エールは「はい!」と力強く答えると、彼女は2枚のカードを引き抜き、Bパッドに置く。
「ネクサス、勇気の紋章と友情の紋章を配置!!」
ー【勇気の紋章】LV1
ー【友情の紋章】LV1
エールがこれまで使用して来た紋章の名が刻まれたネクサスカードを配置していく。これで彼らの場には赤と紫と白のシンボルが1つずつ並んだ。
「ターンエンドよ!!」
エール手札:2
エレン手札:3
場:【勇気の紋章】LV1
【友情の紋章】LV1
【アークエンジェル】LV1
バースト:【無】
4ターンに渡り展開されるネクサス配置合戦。互いに足場を固めていくその様子は、さながら嵐の前の静けさのよう…………
[ターン05]シャーマン
「ズズ、メインステップ。さぁ、ここいらでちょっと本気を見せてやるか………レウルーラのLVを2に上げ、ドラッツェを召喚。レウルーラの効果でドロー」
ー【ドラッツェ[UC]】LV1(1)BP1000
シャーマンの場に召喚されたのは赤き装甲を持つ小さなモビルスピリット、ドラッツェ。このスピリットで軽減シンボルを確保し、彼は新たなスピリットを呼び寄せる…………
「そして赤き彗星の再来、シナンジュをLV1で召喚!!」
ー【シナンジュ】LV1(1)BP6000
上空より飛来して来たのは正しく赤き彗星。
ドラッツェとは比較できない程、透き通るように澄んだ深紅のボディ。長いレーザービーム砲とボディと同じ色をした盾を所持する強力なモビルスピリット、シナンジュがここに顕現した。緑色をした一つ目の眼光がエールとエレンを威嚇するように睨みつける。
「ズズ、召喚時効果、このターンのみ、袖付きのスピリットは相手効果を受けない。アタックステップ、シナンジュ、早速行ってこい。ブラックフォースにたてつく愚かな人間共に恐怖と絶望を与えるんだ」
シャーマンの指示を受け、シナンジュが低空飛行で地を駆け抜ける。前のターンにネクサスを配置する事に全力を注いだエールとエレンは、これをライフで受ける他なくて…………
「ライフで受ける!!………ぐっ!…ぁぁ」
「ぬっ」
〈ライフ5➡︎4〉エール&エレン
至近距離から放たれるシナンジュのビームライフルによる一撃は、彼らのライフを焼き切り、撃ち抜いた。
ブラックフォースであるシャーマンの攻撃はとても重く、エールはおろか、流石のエレンも僅かばかり堪えた様子。
「………無事かエール?」
「は、はい、大丈夫ですお兄様………今頃、アスラはきっともっと辛い戦いをしているはず………それに比べればこんな痛みなんて」
「ターンエンドだ。ズズ、さぁ、オマエ達も本領を発揮してみろ!!……全部出し切った後に、ぶっ殺してやる!!」
手札:6
場:【ドラッツェ[UC]】LV1
【シナンジュ】LV1
【レウルーラ[UC]】LV2
【ガランシェール】LV1
バースト:【無】
狂気の笑みを浮かべながらそのターンをエンドとするシャーマン。言動からして、やはり彼がどのブラックフォースよりも人間に対する恨みが強いのが見て取れる…………
しかし、彼らを封印したのは大昔にいたアスラの先祖『ギアの一族』
今を生きるエール達には何も関係はない。
[ターン06]エール&エレン
「勇気の紋章をLV2にアップ!……バーストをセット!」
「余は手札からネクサスカード、要塞都市ナウマンシティーを配置!」
ー【要塞都市ナウマンシティー】LV1
エレンの背後に機械仕掛けの巨大な像がバックに映る巨大都市が出現。その効果は白属性を強力にサポートするモノであり…………
「配置時効果、手札にある白のスピリットを1体、ノーコスト召喚する………エール、オマエがこの効果を使え!」
「はい、お兄様!!……絆の進化の軌跡、オメガモンをLV1で召喚!!」
「!」
ー【オメガモン】LV1(1)BP12000
エレンの背後に聳え立つナウマンシティーから飛び立ち、フィールドへと姿を現したのは、エールのエースカード「オメガモン」………
「さらに余はストライクガンダムをLV1で召喚!」
ー【ストライクガンダム】LV1(1S)BP4000
オメガモンの横でダイヤモンドを模した白シンボルが砕け散り、白きモビルスピリット「ストライクガンダム」がその姿を見せる。
「アタックステップ!!……出撃せよストライクガンダム、効果によりコアブースト、自身のLVを2にアップさせる」
ー【ストライクガンダム】(1S➡︎2S)LV1➡︎2
エレンの指示を受け、ストライクガンダムが背中のブースターを逆噴射させ、低空を駆け抜ける。そしてその間に、エレンは再びカードを1枚切って………
「フラッシュ煌臨発揮、対象はストライクガンダム!!」
「ズ……煌臨か」
「自由の翼で飛翔せよ、フリーダムガンダム!!」
ー【フリーダムガンダム】LV1(1)BP7000
ストライクガンダムが一瞬、黒を塗り替える程の白の眩い光に包み込まれると、その姿は雄々しく美しい青い機翼を持つ最高級のモビルスピリット「フリーダムガンダム」へと進化を遂げた。
「煌臨時効果、スピリット2体をデッキの下に……ドラッチェとシナンジュには退場してもらう」
「!?」
瞬きをする間もなく、フリーダムガンダムはビームサーベルでドラッチェとシナンジュを一刀両断。2体は強制的に粒子へと変換され、シャーマンのデッキの下へと消えてしまった。
「……モビルスピリットのアタックはライフで受けてやる」
〈ライフ5➡︎4〉シャーマン
フリーダムガンダムは飛翔し、機翼でシャーマンのライフバリアを1つ切り裂いた。
「奴のライフは残り4点、決めろエール!!」
「オメガモン!!……効果で回復!!」
エレンがエールに託し、彼女もまた瞬時に理解してオメガモンでアタック宣言を行う。
「オメガモンは赤と白のダブルシンボル!!……その2回攻撃で、あんたは終わりよ!!」
「…………」
オメガモンがマントを翻し、左手のグレイソードと呼ばれる聖剣を展開。シャーマンのライフバリアへと飛び込んで行く…………
「ライフで受ける……ぐっ!?」
〈ライフ4➡︎2〉シャーマン
オメガモンはグレイソードを横一線に振い、彼のライフバリアを一気に2つ、紙切れのように斬り裂いた。
強烈な一撃に半歩あとずさるシャーマンであったが、直後に手札にあるカードを切った。
「ライフ減少により、手札から絶甲氷盾の効果!!」
「!!」
「このバトル終了時に、オマエ達のアタックステップは終わる!!」
オメガモンの巨体をも吹き飛ばす冷寒な強風。これにより、このターンのエレンとエールのアタックステップは強制的に終了となる。
「くっ……仕留め切れなかった」
「だが良い攻撃だった。このまま押し切るぞ」
「はい!!……ターンエンド!」
エール手札:1
エレン手札:1
場:【フリーダムガンダム】LV1
【オメガモン】LV1
【アークエンジェル】LV1
【要塞都市ナウマンシティー】LV1
【勇気の紋章】LV2
【友情の紋章】LV1
バースト:有
ここ数週間でエレンに修行をつけてもらっていた事もあってか、兄妹ならではのコンビネーションを見せつける2人。
シャーマンの残りライフを2にまで追い詰め、そのターンをエンドとする。
だが…………
[ターン07]シャーマン
「ズズズ!!……オレ様のライフが、ただの人間如きに砕けるわけないだろ!!」
〈ライフ2➡︎5〉シャーマン
「なに!?」
「ウソ……ライフが5に戻った!?!」
同等の力を持たぬ者の攻撃では、ライフは1ターンで回復すると言うブラックフォース本来の特性を発揮するシャーマン。これにはエールはおろか、流石のエレンも愕然として表情を見せる…………
「思い知ったかゴミ共が。オレ様と同等以上の黒の力がなければ、オレ様のライフは砕けない!!」
「………成る程な。黒を持たぬ者がブラックフォースには勝てないとはそう言う事だったか………まぁいい、1ターンで貴様のライフを全て破壊すればいいだけの話だ」
「えぇ、アスラだったら、この程度じゃ諦めない!!」
驚愕はするが、すぐさま希望を見い出す2人。そんな決して諦めないと言う表情を見せつけてくる2人に、シャーマンは苛立って…………
「なんだその目は、なんだその顔付きは………本気で勝てると思ってんのか、これだから人間はよぉ、1人残らずクズなんだ!!……メインステップ、ネクサス、オリン円錐山を配置!」
ー【オリン円錐山】LV1
2隻の母艦と同じく背後に配置されたのは円錐の形をした山。オリン円錐山。
「これがある限り、オレ様のスピリットは手札とデッキに戻らねぇ!!……さらに絶望を呼び込む機体、ローゼン・ズールを召喚!」
「!!」
ー【ローゼン・ズール】LV1(1)BP5000
赤い一つ目を輝かせる紫の装甲を持つスピリット、ローゼン・ズールがシャーマンのフィールドへと降り立った。
そしてその効果は彼の言う通り、絶望を呼び込むモノであり………
「召喚時効果、デッキから5枚オープンして、その中のシナンジュかネオ・ジオングを好きなだけ召喚する!!」
「なんだと?」
ローゼン・ズールの効果でデッキの上から5枚を見るシャーマン。そしてその中には、対象となるカードが1枚だけある事を確認して…………
「ズズズ……見よ、これがオレ様の黒属性の力の象徴!!……ネオ・ジオング・サイコシャード!!」
「!!」
「LV3で召喚、不足コストはローゼン・ズールを潰して確保する」
ー【ネオ・ジオング[サイコシャード]】LV3(5)BP25000
ローゼン・ズールを踏み潰しながや、上空から現れた1体の深紅の巨兵。オウドウ都で最も高い建物である三王塔をも凌ぐその巨体に、エールもエレンを上を見上げながら驚愕する…………
「ネオ・ジオング………サイコシャード!?………アスラが倒したネオ・ジオングよりもさらにデカい……!?」
「ズズ、サイコシャードが存在する限り、互いにコスト6以下のスピリットでアタック及びブロックができない」
その後シャーマンはバーストカードを伏せると「アタックステップ……」と静かに宣言して…………
「サイコシャードでアタック!!……効果によりBP12000までスピリットを破壊!!……ズズ、オメガモンを砕け!!」
「!!」
サイコシャードは背部と指先からミサイル、バックにある光輪からはレーザー光線を照射、オメガモンは受け止めようと身構えるが、それも全て無駄に終わる………
それは全てオメガモンの強固な装甲を貫き、爆散させた。
「さらにサイコシャードはダブルシンボル、一度に2つのライフを破壊する!!」
「……ライフで受けるわ………ぐっ!」
〈ライフ4➡︎2〉エール&エレン
サイコシャードが次に狙いを定めたのはエール達のライフバリア。再びミサイルやレーザーなどのありとあらゆる兵器を駆使し、それを2つ粉砕する。
だがこのライフ減少が、エールの伏せていたバーストのトリガーとなる………
「やってくれたわね……ライフ減少によりバースト発動、妖華吸血爪!!」
「!」
「効果により、デッキからカードを2枚ドローする……この効果をお兄様に適用!!……カードを引いてください、お兄様!!」
「あぁ」
エールが反転させたバーストカードは、エレンをサポートするために伏せたモノ。少しでもブラックフォースに勝つために、より強いカードバトラーの手札を回復させようと言う彼女の考え方が窺える。
「………ターンエンド。手札が増えた所で、オマエらにサイコシャードは突破できん!!」
手札:5
場:【ネオ・ジオング[サイコシャード]】LV3
【レウルーラ[ UC]】LV1
【ガランシェール】LV1
【オリン円錐山】LV1
バースト:【無】
サイコシャードに対する絶対的な自信を自負し、そのターンをエンドとするシャーマン。
エールとエレンのターンが巡って来る。
[ターン08]エール&エレン
このターンのドローステップ時、エールはネクサス、勇気の紋章のLV2効果により、ドロー枚数を2枚にし、その後トラッシュに1枚捨てた。
「メインステップ……見せてやろう、余の三王たる力を……!」
「おうおう、さっさと拝ませろや。そしてそのまま捻り潰してやんよ」
三王たる者が放てる圧倒的強者のオーラがこの場を制圧。本気になったコアも手札も回り、遂にエレンの本気が牙を剥く…………
「転醒フリーダムを召喚!!」
ー【フリーダムガンダム】LV2(2)BP9000
「召喚時効果により、ボイドからコア2つを自身に追加」
「煌臨フリーダムと転醒フリーダムが場に揃った……!」
前のターンに煌臨したフリーダムガンダムと全く同じ姿をしたもう1体のフリーダムガンダムが見参する。どちらもエレンのバトルにとって欠かせない存在であるが、どちらともフィールドに揃うのは、実妹のエールでさえも初めて見る光景であり…………
「アークエンジェルと煌臨フリーダムのLVを2に上げてアタックステップ。翔けろ、煌臨フリーダム!!……アークエンジェル、LV2の効果でコア1つをボイドから追加」
機翼を羽ばたかせ、翔か出したのは、前のターンに煌臨したフリーダムガンダム。ビームサーベルと機翼で空を切りながら前進していく…………
そして、ブラックフォースの特性故に1ターンでライフが回復するシャーマンを倒すべく、ここで更なるカードを手札から使用する…………
「フラッシュチェンジ、フリーダムガンダム・ハイマットフルバースト!!」
「!!」
「効果により、先ずはコスト40までスピリットを手札に戻す」
「ズズ、だがオリン円錐山により、サイコシャードは手札デッキに戻らん」
放たれるはチェンジの効果。サイコシャードを手札に戻さんと白いオーラがその回りを包み込むが、サイコシャードはそれを気迫だけで粉々に粉砕してしまう。
「問題ない。この効果発揮後、アタック中の煌臨フリーダムと回復した状態で入れ替える…………!!」
ー【フリーダムガンダム[ハイマットフルバースト]】LV3(4)BP17000
刹那、フリーダムガンダムは内包する全ての武装を展開。幾数モノ機関銃をシャーマンのライフバリアへと向ける。
「ハイマットフルバーストのフラッシュ効果、ターンに一度、回復するか、このターンの間白シンボルを1つ追加できる!……余は後者を選択し、ハイマットフルバーストをダブルシンボルへ!!」
「ッ……ダブルシンボル」
「そうだ。さらにハイマットフルバーストはチェンジにより回復している。くらうがいい!!」
「………!!」
〈ライフ5➡︎3〉シャーマン
ダブルシンボルになったハイマットフルバーストの攻撃。幾数モノ機関銃から繰り出される巨大なビームが彼のライフバリアをガラス玉のようにあっさりと砕いていく…………
前のターンはこのタイミングで絶甲氷盾を切り、その場を凌いだシャーマンだが、もうそれは手札にないのか、そんな素振りを一切見せず…………
「防御マジックもないか、続け、転醒フリーダム!!」
「……ライフだ」
〈ライフ3➡︎2〉シャーマン
転醒フリーダムが飛び立ち、機翼で彼のライフバリアをまた1つ切り裂いて見せる。これで再び残り2つだ。
「行ける、勝てる……お兄様!!」
「あぁ、トドメを刺せ、ハイマットフルバースト!!」
再びハイマットフルバーストが機関銃をシャーマンへと向ける。これが通ればエレン達の勝利である。
この約1年で成長した兄妹の絆による連携、それにあの伝説の怪物であるブラックフォースが破れ去る……………
かと思われた。シャーマンが手札から1枚のカードを使用するまでは…………
「ズズ、だから無理だって言ったろ!!……フラッシュマジック、光翼之太刀!!」
「なに!?」
「対象はもちろんサイコシャード。これによりこのターン、対象に取られたスピリットのBPは3000アップし、疲労状態でもブラックが可能となる…………淡い希望を踏み潰せ!!」
ー【ネオ・ジオング[サイコシャード]】BP25000➡︎28000
疲労により微動だにとしていなかったサイコシャードが一点。シャーマンのマジックカードにより再び鳴動…………
ハイマットフルバーストのビーム攻撃を全て難なく受け切ると、巨大な手を伸ばし、それを鷲掴みにすると、意図も容易く握り潰した。爆散するハイマットフルバーストの様は、まさに希望の消滅そのモノであり…………
「くっ………」
「そんな、お兄様のフリーダムガンダムが」
「ズズズ、諦めな!!……所詮人間は黒属性には、ブラックフォースには勝てねぇ!!……オレらに支配されるだけのムシケラなんだからな!!」
シャーマンのブラックフォースとしての序列は『第3位』…………
これはオニキスの次に弱い順位である。しかし、序列はどうアレ黒は黒。他の色を圧倒するその力をたった今証明したのだ。
「………ターンエンドだ」
エレン手札:2
エール手札:2
場:【フリーダムガンダム】LV2
【アークエンジェル】LV2
【要塞都市ナウマンシティー】LV1
【勇気の紋章】LV2
【友情の紋章】LV1
バースト:【無】
好機から一点、最悪の展開を迎えてしまったこのターンのアタックステップ。しかしバトルを止めるわけにもいかず、エレンはそのターンをエンドとし、シャーマンにそれを譲る。
[ターン09]シャーマン
「オレ様のターン!!……ズズ、覚醒した黒属性の力により、再びライフは5に戻る!!」
〈ライフ2➡︎5〉シャーマン
「そんな、折角また2まで追い詰める事ができたのに」
苦労して破壊して来たライフがまた振り出しに戻る。この行為が相対する側のカードバトラーにとってどれだけの心にダメージを与えるかは計り知れない。
エールも良い加減心身共に疲弊して来ている。
「ズズ、メインステップ。ここで赤のパイロットブレイヴ、フル・フロンタルでサイコシャードをさらに強化する!!」
ー【ネオ・ジオング[サイコシャード]+フル・フロンタル】LV3(5)BP31000
「フル・フロンタルの召喚時効果、オマエ達がスピリット1体を破壊しなければ、オレ様はデッキから2枚ドローする」
「………余は転醒フリーダムを破壊。貴様にドローはさせぬ」
転醒フリーダムが赤い粒子と化して次第に消滅。ここで場に残しても結局は合体もしたサイコシャードには敵わないため、妥当な判断であると言える。
「母艦ネクサス、ガランシェールをLV2にアップしてアタックステップだ!!………オマエ達人間は、必ずオレ様が潰す!!……昔年の怨みを晴らさせてもらうぜ!!……攻撃だ、サイコシャード!!」
完全強化されたサイコシャードが緑色に輝く一つ目の眼光をエレンとエールへ向ける。
今のサイコシャードは合体につきシンボルはトリプル、一度に3つのライフバリアを粉砕できる。残り2つしかライフを持たないエレンとエールがまともに受けて仕舞えばひとたまりもないのは必至。
だが流石は三王エレン。この攻撃を読み、新たな手を打つ。
「フラッシュマジック、リミテッドバリア」
「!」
「このターンの間、貴様はコスト4以上のスピリットのアタックではライフを減らせない。さらにコストの支払いにソウルコアを使用していた時、ネクサス1枚を手札に戻す………対象はガランシェール」
ガランシェールが粒子化してシャーマンの手札へと戻る。そしてライフバリアとはまた違う別の半透明なバリアが展開され、それがサイコシャードの拳の一撃からエレンとエールを守護して見せる。
「流石です、お兄様!」
「これで貴様の攻撃は凌いだ」
「ズズ………何勝手に防いだ気でいやがる」
「?」
アタックを凌がれたと言うのに余裕の笑みを浮かべるシャーマン。その笑みの理由は直ぐに明らかとなり…………
「フル・フロンタルと合体した、サイコシャードの真の力を発揮!!……このターンの終わり、オレ様はもう一度ターンを行う!!」
「なッ……!?」
「エクストラターン効果!?……テンドウのカブトと同じ」
「リミテッドバリアの効果が持続するのはこのターンのみ、次のターンには引き継がれねぇよなぁ!!……さぁ、もう一度だ!!」
まさか過ぎるエクストラターンの効果。
おそらくどの効果よりも強い効果であるソレは、全世界的に見てもテンドウの持つカブトしか確認されていなかった。黒属性を持つシャーマンはソレと同等の存在をも容易く作り出してしまえるのだ。
[ターン10]シャーマン
「再アタック!!……サイコシャード!!」
再び迫り来るサイコシャード。指先と背中の光輪からミサイルやビームをフルバーストし、エレンやエールを狙い撃つ…………
何か手はないかと己の手札を見直すエールだったが…………
「……わ、私の手札にアレを防ぐ手段は………ない。そんな………」
「エール!!」
「!」
エールが敗北を悟り、エレンが声を荒げた次の瞬間、ミサイルやビームが次々と直撃していく。舞い上がる砂埃は彼らの敗北を確信させるには余りに十分過ぎる要素…………
しかし…………
「………ッ!?」
「………無事か、エール?」
「お兄様!?」
不思議と痛みのなかったエールは目を開けると、その眼前にはエレンがいた。そして直ぐに察した。己が受けるはずだったダメージを全て彼が庇ってくれていたのだ。
エレンは今の攻撃で、エックスの者とは思えない程傷だらけになり、羽織っていた三王のマントもボロボロになっていた。その光景は余りにも痛々しい…………
だが、エレンはあるカードをまた発揮させていたようで…………
「フラッシュマジック、ブリザードウォール。このターンアタックによってライフは1しか減らない」
「なに!?」
〈ライフ2➡︎1〉エール&エレン
「くっ………」
「お兄様、しっかりして下さい!!……なんで私のためなんかに、こんな」
「………そんなの、妹だからに決まっている」
「!!」
よろよろになりながらも歯を食いしばり立ち上がるエレン。その間に己のエールに対する本当の思いを打ち明ける。
「シャーマン。オマエは余の事を愚かだと言っていたな………あぁ愚かだ、余は愚かを極めた男だ。母が亡くなり、その面影を残す妹にバトルを遠ざけるようしむけ、敢えて突き放していた」
「…………お兄様」
「しかも努力を重ねた者達もコモンだからと、異邦人だからと言う理由だけで認めず。つまらん意地を張り続けていた…………」
エレンがここで言う「努力を重ねた者達」とは、アスラとテンドウ、シイナの事だろう。
本当にここ1年の話、自分が今までどれだけ惨めで愚か者だった事を痛感していたみたいだ。
「もう一度言わせてもらう、余はどうしようもない愚か者だ!!……こうして妹の横に立てるような立派な男ではない!!……だが、ここで負けてはあの者達に顔向けもできぬ!!………だからこそこのバトル、負けられないのだ!!」
「お兄様………」
「ぐっ………」
「お兄様!?」
気迫はあっても体力は残っていないか、エレンは思いを叫ぶと、その場で膝から崩れ落ちてしまう。
「ズズ、だからなんだってんだ。オレ様が知ったこっちゃねぇ………オマエ達は今から死ぬんだよ!!……希望を見出せぬまま、絶望のどん底に落ちて!!」
「私たちは、諦めない!!」
「!?」
シャーマンに対して声を荒げたのは、他でもないエレンの妹、エール・オメガ。
「絶望したりしない。少なくとも今戦っている人達は誰もアンタなんかに絶望したりしない!!……アイツが、バカ正直に自分の夢を追い掛けるアイツが教えてくれた、諦めなければ、どんな困難だって乗り越えられる!!」
「………エール」
エールの言う「アイツ」とは間違いなくアスラの事だ。彼の絶対に諦めないと言う気持ちが飛び火し、エールもロンもトゥエンティも、そして彼らに関わって来た者達にも今がある…………
「だから愚かなんだよ!!……気持ちだけでどうにかなると思ってんのか、ムシケラが!!……オマエらにもうこのサイコシャードを倒せる可能性のあるスピリットは残ってねぇだろう!!」
「…………」
エールは考える。
アスラならこの状況どうするか………
この1年間の旅の中で彼を誰よりも見て来たエール。ふとした瞬間に彼との楽しかった旅の日々を思い出していく。そうすると、不思議と答えが出て来て…………
「えぇ、そうよねアスラ。兎に角がガムシャラに立ち向かう!!……っしゃぁ!!……行くわよ、私のデッキ!!……ここからが本当の戦いよ!!」
アスラの事を思い、成長して来たエール。そんな彼女のデッキ「オメガのカード」達が又しても奇跡を起こさんと淡い光を放ち始めて…………
「エールのデッキがまた進化?……これで何度目だ」
「ズ………なんだ、この違和感」
「私の………ターン!!!」
エレンが繋ぎ、ターンが巡って来る。エールは勇気の紋章の効果により2枚のカードをドローして、その後1枚のカードを捨てる。
[ターン11]エール&エレン
「メインステップ、マジック、コールオブロストでトラッシュにあるオメガモンを手札に戻し、そのまま再召喚!!」
ー【オメガモン】LV3(6)BP21000
疾風迅雷の如く復活を果たしたのは、白き装甲を見に纏うオメガモン。
しかしデジタルスピリットを超えた性能を誇るものの、目の前のサイコシャードと比べて仕舞えばちっぽけな存在に思えてしまう。
「ズズ、今更そんなスピリットに何ができる………オマエ達人間如きが」
「さっきから人間人間って……そんなに私たちが怖いの?」
「ッ………なんだと!?」
エールに煽り返されるシャーマン。図星と言わんばかりの表情を見せるがすぐさま反論して見せる。
「ざけんなよ!!……何故オレ様がムシケラなんぞに」
「アタックステップ、オメガモンでアタック!!……効果でターンに一度回復!!」
エールの攻撃の指示を受け入れるオメガモン。眼光を輝かせ、視線をシャーマンとサイコシャードへと向ける…………
そしてこの時、この瞬間。エールは手札から新たなるカードを引き抜く。それは当然、進化したカードだ。
「フラッシュ煌臨発揮、対象はオメガモン!!」
「なに!?……オメガモンに更なる煌臨だと!?」
「こ、これは………」
究極を超えるデジタルスピリットオメガモン。それがエールやその仲間達の絆の力により更なる進化を遂げる…………
この世界におけるデッキの進化条件。
1つ目は『高身分であればある程存在するセンス』
2つ目は『努力や研鑽の日々』
3つ目は『仲間の思いや絆』
エール・オメガは、最高位に立つエックスの身分でありながら、幼少期から煌臨ができないと言う理由で努力を重ね、さらに今ではアスラ達と深い絆を結んだ…………
それ故に……………
無敵である。その力がたった今、覚醒したのだ。
「オメガモン・マーシフルモード!!」
ー【オメガモン マーシフルモード】LV3(6)BP27000
オメガモンはエールがこれまで培って来た力を得て、全てが純白に包まれた姿、マーシフルモードへと姿を変えた。
マントは白き翼へと変化し、その両翼は辺りに散らばっている黒の力を浄化させている。
「な、なんだコイツは………辺りの黒属性の力が掻き消されている!?」
「美しい、そして素晴らしい……エール、余はオマエが妹なのを誇りに思うぞ」
この場にいる誰もがエールとマーシフルモードに魅了されていく中で、彼女は掌を翳し、その効果を発揮させていく…………
「マーシフルモードの煌臨時効果!!……トラッシュにある究極体のカードを好きなだけこのカードの煌臨元に追加……!!」
「!!」
「今の私のトラッシュには、勇気の紋章で送っておいたウォーグレイモンとメタルガルルモンがいる。よってこの2枚を追加するわ」
ウォーグレイモンとメタルガルルモンの残影が出現し、マーシフルモードに重なり合うように吸収されていく。これにより、マーシフルモードは己のその力をより強力なモノとする。
「煌臨したスピリットは、その煌臨元にしたスピリットから全ての情報を引き継ぐ………つまり、アタック中のオメガモンに煌臨したマーシフルモードもまた、アタック中!!」
「………ライフだ。ライフに来やがれ……!!」
「絶対零度の咆哮………雅琉々砲!!」
マーシフルモードは元々ガルルキャノンと呼ばれていた右手の砲手から絶対零度の冷気をレーザー状に打ち出す。その攻撃はサイコシャードを素通りし、真っ直ぐシャーマンのライフへと向かって…………
「ぐっ………ぐぉぉぉおお!!!?!」
〈ライフ5➡︎3〉シャーマン
打ち破って見せた。ライフバリア2つは凍りつき、バラバラに砕け散って行った……………
しかもこれまでと違って、シャーマンは痛がっている。マーシフルモードのこの攻撃が余程有効打となっているのだろう…………
「こ、この痛み………どこかで覚えが、いや、まさかそんな事………いやでもそうなのか!?……馬鹿な、だとしたら何故!?」
激しい痛みの中、シャーマンは何千年と昔の事を思い出していた。無敵と思われていた我らブラックフォース達…………
しかし突如、彗星の如く現れ、自分達を圧倒したあの連中から受けた痛み。この痛みはそれに似ていた。
「………ギアの一族。オマエは、オマエ達はまさかギアの一族の末裔なのか!?……だが何故!?……奴らの殆どは黒の世界で滅び、今はあのクソチビだけじゃ」
「回復しているマーシフルモードで再度アタック!!」
「くっ………!」
「このフラッシュタイミング、マーシフルモードの更なる効果。煌臨元カード1枚を破棄する事で何度でも回復できる!!……メタルガルルモンのカードを破棄して回復」
シャーマンがマーシフルモードから受けた傷は、まさにギアの一族の力そのモノであった。彼の言う通り、確かに何故黒の世界出身でもないエールがギアの一族、若しくはその力を扱える者なのかが疑問に残る…………
だがこう考えれば全て辻褄が合うのだ。
例えば、ブラックフォースを黒の世界に封印した直後、ソウルコアを失ってまで黒の世界に向かったギアの一族が全員でなかったとすれば、何名かはこの世界に残っていたのだと考えれば…………
そして、その末裔こそが今を生きるエール達『オメガ家』なのだとしたら…………
「クソが!!……フラッシュマジック、光翼之太刀!!」
「!!」
「再びサイコシャードのBPを3000アップさせ、疲労状態でのブロックを可能とする。奴らの希望を捻り潰せ!!」
ー【ネオ・ジオング[サイコシャード]+フル・フロンタル】BP31000➡︎34000
ここに来て2枚目の光翼之太刀。サイコシャードが再び鳴動し、エールのマーシフルモードを迎え撃つ。
マーシフルモードは絶対零度の雅流々砲を放つも、サイコシャードはそれを片手を振るうだけで相殺してしまう。そしてそのままマーシフルモードを両手で掴み、圧殺せんと力を込める…………
「BP27000と34000!!……オレ様の勝ちだ………!!」
圧倒的なBP差に勝ちを確信するシャーマン。しかし、ここでエールが更なる一手を繰り出す。
「フラッシュマジック、黄色のカードフルーツチェンジ!!」
「!」
「不足コストはマーシフルモードをLV2に下げて確保。このバトルでBPを比べる時、互いのスピリットのBPを入れ替える」
「なんだと!?」
ー【オメガモン マーシフルモード】LV3➡︎2(6➡︎3)BP27000➡︎16000
「これにより、あんたのサイコシャードのBPは16000となり、逆に私のマーシフルモードはBP34000となる!!」
現れた黄色の2つの光球がそれぞれマーシフルモードとサイコシャードの身体を通う。それによりサイコシャードはパワーダウン、力を失った事で手が緩んでしまい、マーシフルモードの脱出を許してしまう。
さらにマーシフルモードは逆にパワーアップ。サイコシャードのBPを軽々と超えた。
「その一振りは天下無敵………虞怜刀一閃!!!」
グレイソードを展開していた左腕から、代わりに鋭い日本刀が伸びる。マーシフルモードはそこに己の白いオーラを纏わせ、一線。
サイコシャードを顔から真っ二つに一刀両断して見せる。これには流石に耐えられなかったか、遂に黒属性で強化されたネオ・ジオング・サイコシャードは爆散して行った……………
残ったのは白き翼羽ばたかせるオメガモン・マーシフルモードのみ。
「お、オレの………オレの最強のスピリットが」
「回復したマーシフルモードで再度アタック!!……フラッシュタイミングで今度はウォーグレイモンを破棄して回復」
「……ライフだ、ライフで受ける!!……ぐ、ぐぁぁあ!?!」
〈ライフ3➡︎1〉シャーマン
マーシフルモードの体内から解き放たれたウォーグレイモンの残影がシャーマンのライフバリアへと体当たり。それを2つ砕くと、消滅した。
これでシャーマンのライフは残り1つ。無論、まだマーシフルモードはアタックが可能である。そして、サイコシャードを失ったシャーマンに、もうこれをどうにかする方法は残っていなくて…………
「トドメよ………どんな事があっても絶対に諦めない、それがアスラから教わった、私のバトルスピリッツだァァァー!!!」
エールの叫びを聞き入れ、マーシフルモードが最後の攻撃を仕掛けるべく白き翼で飛翔する。
「い、嫌だ。嫌だ嫌だ………またこのオレ様が、人間なんかに………ぐ、ぐぉぁぁ!!!」
〈ライフ1➡︎0〉シャーマン
マーシフルモードの虞怜刀による斬撃が、シャーマンの最後となるライフバリアを木っ端微塵に粉砕。
彼はその心の中に刻み込まれたギアの一族、人間に対する恐怖心を思い出しながら吹き飛ばされる。
「……ハァッ、ハァッ……か、勝った!?」
「あぁ、我らの勝ちだエール。見事なバトルだったぞ」
結果はエレンとエールの勝利に終わったこのバトル。終了に伴ってフィールドに出現していた全てのスピリットとネクサスは消滅していく。
無我夢中だったエールは、その光景を目にすると、徐々にその喜びを感じていく。
「ふ、ふざけんな……このオレ様が又してもムシケラ如きに!!」
「!!」
まだ完全に消え去っていなかったシャーマン。最後の気力を振り絞り、立ち上がる。しかし、今にも消えてしまいそうだ。
「今に見ていろ、オブシディアンが必ずこの世界を変える………オレ様の代わりに、必ずこの世界を黒に染め上げる………ズズ、ズズズ……!!」
最後にそう言い残すと、シャーマンはフリソデの身体から抜けて行き、消滅。フリソデは目覚めぬまま、その場に倒れ込んだ。様子からして眠っているだけで、命に別状はなさそうである。
「これでウィルを含めれば、ブラックフォースは残り3人か」
「……大丈夫です。アスラが絶対にやってくれます、あいつはいつだって私達の切札なんだから」
シャーマンの消滅を見届け、そう会話する2人。エールがどれだけアスラを信用しているのかがわかる。
そしてその時、彼らの背後から歩み寄って来る。その足音が耳に入ると、2人は思わずその方へと体を向ける…………
だがそこにいたのは…………
「よぉ、元気そうじゃねぇか。ツンデレお兄様」
「ッ……う、ウソ?」
「テンドウ……なのか!?」
「あぁ?…どっからどう見てもそうだろうが。オマエらの目どうなってんの?」
まさかのテンドウ・ヒロミ。2人が愕然とするのも無理はない。何せ彼は今までブラックフォースの最強格であるオブシディアンに身体を奪われていたのだから…………
しかし、発言や言い回しからして、彼本人なのは最早確定。エールにとって、こんなに嬉しい事はない。
「……アスラだよ」
「!!」
「アイツがオレを救い出した。デカい借りを作っちまったな」
「アスラ……じゃあもうオブシディアンは倒したのね!」
「あぁ、だがまだそれよりも強くなったちょび髭シルクハットが残っているらしい。とりまアイツとイケメン天才君、そしてなんかいたトゥエンティを先に行かせた」
「…………何はともあれ、貴様は相変わらず悪運の強い奴だな」
一応状況を説明しておくテンドウ。エレンにそう言われると「フッ……テメェもな」と鼻で笑い返した。
エールはいつものテンドウが帰って来てくれた喜びで胸いっぱいだ。
「つーわけでだ。ラスボスは強くなったアイツらに任せるとして、オレらはそこら中で暴れ回っている真っ黒怪人どもを蹴散らそうじゃねぇか」
「無論だ」
「……ツンデレお兄様、もう既にボロボロっぽいけどいけんの?……大好きな妹の目の前だからってちょっと無理してね?」
「無理はしていない」
テンドウとエレンがありきたりな会話を繰り広げていく中、彼らの足元からある人物の声がまた聞こえて来た。
その姿はエールも知っている者だが…………
「むえ………エールちゃんはアスラ達の所に行った方がいいんじゃない?」
「………え、ムエ?………え!?…今喋って」
どこからともなく現れていたのはオレンジ色の犬みたいな生き物『ムエ』………
アスラとエールと共に旅をしていたへんちくりんな生き物だ。それが何故今このタイミングで自分達の前に出て来たのかも疑問に残るが、それ以上に何故「むえ〜」としか鳴かなかったくせに急に人間語を流暢に話せるようになったのかと言う疑問が何よりも先行してしまう。
「オウドウ都にあの黒い球が出現してから、ようやく話せるようになったよ。いや実に不憫だったね」
「……ど、どう言う事?……て言うかこの喋り方、聞き覚えが」
エールはムエの喋り方に聞き覚えを感じる。
「………やっぱこのクソ犬、アイツか」
そんな折、テンドウがムエの正体に勘づく。いや、元からそうではないかと考えてはいたような口振りなので、確信したと言うべきか…………
「フッ……流石テンドウだな。勘がいい………丁度いい、多分元に戻れようになったと思うし、ここでネタを明かそうか」
「!!」
ムエはそう言うと、己の身体を白く発光させる。その間にその小さな生き物の形は徐々に人間の女性の形へと変化していき……………
今、ムエはその真の姿を露わにする。
「き、貴様は………!?」
「ウソ……し、シイナ様!?!」
「いや〜〜久し振りに人間の姿になったな〜…なんか逆に慣れない、二足歩行に」
その正体はまさかの死亡したはずの頂点王シイナ・メザ。白いラフなTシャツと短パン姿と言う頂点王と言う立場の者とは思えない格好でまさかの再登場を果たす。
死亡したと思われていた大切な存在に、エレンは唖然とし、エールは思わず口に手を当て、涙を浮かべる。
「な、なんで……なんでムエが……シイナ様なんですか……?」
「お〜よしよし。可愛い妹よ〜」
ムエだった者シイナは、泣き崩れるエールを軽く抱きしめる。
「………しかし何故、どうやって。後エールは余の妹だ」
未だ驚きを隠せないエレンがシイナに訊いた。
「いやまぁ、理屈はわからないんだけど、兎に角死んだら過去にタイムスリップしてて、なんか犬になってた」
「は、話がぶっ飛び過ぎてついていけん。本当に貴様は人間なのか?」
「犬になってたね」
「そう言う意味じゃないんだが」
「……でもこれはこれで、いいだろ?」
「……………フッ、そうだな」
全く理解が追いつかないが、兎に角彼女が生きていた事を素直にエレンは喜ぶ。
シイナは死後、何故か過去に戻り、ムエに転生していた。そしてアスラ達と共に旅をし、彼らの成長を見守っていたのだ…………ずっと。
「………ここは任せてエールちゃんはあの黒い球の中に行って。今の私に力はない。でも今のエールちゃんならきっとアスラ達の力になれる…………!」
「ッ……!」
「私は、やれない子にそんな事は言わない………今まで死に物狂いで頑張って来たエールちゃんだからこそ言ってるんだ」
「………はい、わかってます。私、アスラ達を追い掛けます。そして一緒に世界を救って、必ずアイツとシイナ様を会わせます!!」
「よし」
そう言うと、エールはBパッドを再展開、オメガモンを召喚し、その肩に飛び乗って黒い球へと目指した。エレン、テンドウ、シイナはその背中を最後まで見送った…………
「止めないんだねエレン」
「止めても無駄な事は知っている………それに、もうエールは余より強い。強者がこの国を護るのは当然の事だ」
「まぁやれる事はやったなオレ達。後はあのバケモノ共をできるだけ食い止めるだけだ。アイツらも帰って来た時にボロボロになった国なんざ見たかねぇだろうからな」
3人はそれぞれ己のBパッドを構える。
「フリーダムガンダムを召喚」
「変身、仮面ライダーカブト」
「燃え上がる勇気、フレイドラモン!!」
エレンが白きモビルスピリット、フリーダムガンダムを召喚する。
テンドウが赤き一角を持つライダースピリット、カブトに変身する。
シイナが青き肉体に赤き炎を模した装甲を身につけたスマートな竜人型アーマー体スピリット、フレイドラモンを召喚する。
彼らは弟子や妹や息子にこの国の全てを託し、自分達は国を護るため、黒の力で固められた怪物達と戦いを繰り広げていくのであった…………
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
次回もよろしくお願いします!!
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