世界が黒の力に蝕まれて行く中、遂にアスラとロン、史上最強のブラックフォースとなったウィルによる最終決戦が幕を開けた。
セイバーの力を中心に対抗していくアスラとロンだったが、カードを新たに生成する力を持つウィルには歯が立たず、次第に追い詰められて行く…………
絶望的な状況の中、ロンは「たった1つだけ勝つ方法がある」とアスラに告げて………
******
「……もう何をしても手遅れだ。黒の力を手にした私には誰も勝てない」
美しい蝶の羽を持つ終末の騎士、ラグナロック。
強靭な黒い鱗に身を包んだ怪獣王、ゴジラ。
白き翼を持つ聖騎士、インペリアルドラモンパラディンモード。
そして双頭の龍を従える時の支配者、ロンバルディア・Ω。
以上4体の強力なスピリットを従えているばかりかロンバルディア・Ωとパラディンモードには異魔神ブレイヴである海魔神も合体している。
対するアスラとロンの盤面には変身のカードと赤の世界と言ったネクサスカードのみ。
はっきり言って、ここまで戦力差が開いた今、どう足掻いても勝利するのは不可能である。普通に考えたら勝てるわけがない……………
しかし「諦める」と言う選択肢が最初から無いアスラとロンは、前を向いて走り続ける、挑み続ける…………
「行くぞ天才イケメンヤロー!!……オマエの言った作戦に全て賭ける!!」
「着いて来いよ一点突破バカ!!……このターンに、オレ達の全身全霊を叩き込む!!」
オレ達のターン!!
2人の最後のターンが幕を開ける。このターンに世界の命運が託されていると言っても過言ではない。
2人はそのプレッシャーにも負けず、勢いよくカードをドローして行く…………
[ターン10]アスラ&ロン
「っしゃぁ!!……オレはドラグレッダーを……」
「オレは転醒ナイトを……」
召喚!!
ー【ドラグレッダー】LV1(1)BP6000
ー【仮面ライダーナイト】LV2(3)BP6000
アスラは龍騎に宿る赤いドラゴン、ドラグレッダーを、対するロンは自身が最も信頼するエースカード、仮面ライダーナイトを召喚した。ドラグレッダーが咆哮を張り上げ、ナイトが手に持つ剣を構え、戦闘態勢を整える。
「ゾゾ……馬鹿め。今更そんなスピリットを召喚しても無意味!!……私が生み出したこの究極のスピリットが踏み潰してくれる!!」
「余裕ぶっこいていられるのも今のうちだぜ!!……今だロン!!」
「!?」
「あぁ、オレは………仮面ライダーナイトに、アスラのドラグレッダーを合体!!」
「なに!?……ナイトにドラグレッダーを合体だと!?!」
ー【仮面ライダーナイト+ドラグレッダー】LV3(4)BP13000
アスラのドラグレッダーが、ロンのナイトの背後に回り、鳥栖を巻く。その光景はまるで、ナイトがドラグレッダーを新たなパートナーとして従えているように見える…………
ドラグレッダーはアスラのデッキに入っている都合上、龍騎との連携に使用されて来た。それ故の先入観として「ドラグレッダーはナイトにも合体できる」と言う考え方が今まで生まれなかった。
しかし、この土壇場でロンがそれを閃いた。今まで努力して来た事が全て繋がった。この合体スピリットは、アスラとロン、2人の努力の結晶とも言えるべき存在。
「くっ……だがそんな急拵えの合体で………」
「アタックステップ!!……ドラグレッダーと合体したナイトでアタック!!……ナイトのアタック時効果、ラグナ・ロックのコア2つをリザーブに置き、ターンに一度回復する。よってラグナ・ロックのLVは2にダウン」
ー【終焉の騎神ラグナ・ロック〈R〉】(5➡︎3)LV3➡︎2
ー【仮面ライダーナイト+ドラグレッダー】(疲労➡︎回復)
ドラグレッダーが身体全体を使ってラグナ・ロックを縛り上げ、その隙を突き、ナイトが剣で一閃。ラグナ・ロックのLVは下がり、そのBPは15000となる。
「そしてここからだ。ナイトの【零転醒】を発揮。手札にあるアドベントカードを1枚破壊する事で、ナイトは転醒し、サバイブとなる!」
「ぬっ……!!」
ナイトはすかさずサバイブのアドベントカードを剣のバイザー部に装填。疾風の風がその身を包み込み、青い鎧を持つナイトの強化形態、ナイトサバイブへと強化を遂げる………
だがまだその強化は止まる事を知らない…………
「でもって、ドラグレッダーはドラグランザーとなって、ロンのナイトサバイブと一体化する!!」
アスラが叫ぶとドラグレッダーは烈火の炎の中、武装龍、ドラグランザーへと進化を遂げる。そしてその直後にその装甲やパーツは分解されていき、ロンのナイトサバイブへとドッキングして行って………
赫き夜が、世界を照らす!!……来い、ナイトサバイブランザーッッ!!
ー【仮面ライダーナイトサバイブ+ドラグレッダー】LV3(4)BP17000
アスラとロンが声を重ね合わせ、叫ぶと同時に、赤いドラゴンの翼の羽ばたきが黒い空間を赤く照らし出す。
そのスピリットの名は「ナイトサバイブレイダー」の亜種形態「ナイトサバイブランザー」………
その鎧はナイトの黒とドラグランザーの赤が絶妙な配色で混ざり合っており、手にはドラグランザーの頭部を模した、身の丈程はある大剣が握られていて…………
「………美しい、これがアスラとロンの絆………」
ただ1人このバトルを傍観しているゾン・アーサーは、ナイトサバイブランザーを見てそう言葉を落とした。
「ナイトとドラグレッダーの融合??……だがしかし、そのスピリットでもまだ私のスピリットには遠く及ばない!!」
「ナイトサバイブランザーの転醒時効果!!……相手は相手のスピリット1体を指定、その後、そのスピリットとナイトサバイブランザー以外のスピリットを全て破壊する」
「ッ………!!」
発揮されたのは転醒ナイトが持つ転醒時効果。多くのスピリットを一度に破壊してしまう豪快な効果だ。
残すスピリットはウィル自身が選べる。彼の選択は………
「ラグナ・ロックを指定!!……残りは破壊する!!」
「行くぞ、レッドドラグストームッッ!!」
アスラの声に合わせ、龍の大剣を天に掲げるナイトサバイブランザー。そこから黒をも唸らせる赤い炎の竜巻を発生させ、ウィルの場のラグナ・ロック以外のスピリット達を飲み込んで行く。
だがその竜巻の中、1人だけ眼光を輝かせるスピリットが1体………
ロンバルディア・Ωだ。
「ロンバルディア・Ωは相手の効果を受けん。ゾゾ、つまりその効果でも破壊されずに生き残る!!」
「だがこの瞬間、オマエのスピリットを破壊した事により、ドラグレッダーの効果を発揮させる。ライフに1点のダメージだ」
「ッ……!!」
〈ライフ4➡︎3〉ウィル
ナイトサバイブランザーは龍の大剣の先端から炎の弾丸を発射。それはウィルのライフを1つ射抜く。
「ドラグレッダーの更なる効果!!……ラグナ・ロックに指定アタックだ!!」
アスラの叫びと共にドラゴンの翼を羽ばたかせ、ナイトサバイブランザーが飛翔する。目指す先はウィルの場のスピリット、ラグナ・ロック。彼もまた蝶の羽で飛び立ち、ナイトサバイブランザーを迎え撃つ………
上空で幾度となく剣を交える両者。しかし、体格はラグナ・ロックに部があると言うのに、徐々にナイトサバイブランザーに押され始める。そして一瞬の隙を突かれ、蝶の羽が切断される。
真っ逆さまになって地面に叩きつけられるラグナ・ロックに、ナイトサバイブランザーは追い討ちをかけるように大剣をその腹部へと突き刺す。ラグナ・ロックは堪らず爆散し、ウィルの場には、海魔人と合体した自身のエース、ロンバルディア・Ωのみとなる。
「………再び、合体したドラグレッダーの効果でオマエに1点のダメージを与える」
「くっ……!」
〈ライフ3➡︎2〉ウィル
ウィルのライフバリアが1つ破裂するように割れて行く。そのライフは遂に半数を下回るものの、ウィルはこのタイミングを逃さず、トラッシュに眠るあのスピリットの効果を発揮させる…………
「トラッシュに眠るゴジラの効果!!……私のライフが減った時、トラッシュから復活する!!」
「!!」
ー【ゴジラ(2004)】LV3(7)BP22000
地中から勢い良く飛び出して来たのはナイトサバイブランザーが転醒時効果で破壊したはずのゴジラ。その張り上げる咆哮はこの黒いフィールド全体に響き渡る………
おそらくウィルはこの効果を見越して、前の選択でラグナ・ロックを対象にしたのだろう。
「構うモノか。続けて行くぞ、ナイトサバイブランザー!!」
ゴジラが復活しても、アスラとロンの勢いが止まる事はない。ロンの指示を聞き入れ、再びナイトサバイブランザーは羽ばたき、飛翔する。
そしてその瞬間に、アスラが手札にある最後のカードを切って、Bパッドに叩きつける。
『アスラ、マジックカードだ!!』
「おうわかってるぜ、フラッシュマジック、シュートベントッッ!!」
「!!」
「効果により、ゴジラをデッキの下に戻す!!」
「なに!?」
上空に飛び立ったナイトサバイブランザーは、今一度龍の大剣の先端から炎の弾丸を発射。それはゴジラの頭部を射抜き、内部から爆散させる。そしてそのカードはトラッシュではなく、デッキの下に送られる…………
つまり、トラッシュでしか効果を発揮できないゴジラはこれ以上復活が不可能となったのだ。
「さらに転醒ナイトの効果。アドベントカードを使用した時、回復する………ネクスト・イストリア!!」
ー【仮面ライダーナイトサバイブ+ドラグレッダー】(疲労➡︎回復)
ロンが技名を叫ぶと、ナイトサバイブランザーは体内から赤い光を爆発させる。それ即ち疲労状態から回復状態になったと言う何よりの証…………
「くっ……ゴミのマジック如きに私のゴジラが………だがしかし!!……貴様らの猛追もここまでだ!!……奴を迎え撃て、ロンバルディア・Ω!!!」
ここに来てウィルはロンバルディア・Ωでブロック宣言。ナイトサバイブランザーの迎撃に出陣させる。
背中から生えた、青き双頭の龍を伸ばし、上空のナイトサバイブランザーを捕らえようとするロンバルディア・Ω。しかしナイトサバイブランザーは龍の大剣を振い、ドラゴンの翼で翻し、その攻撃を難なく回避して行く。
「ロンバルディア・ΩのBPは海魔神との合体により21000!!……対するオマエ達の合体スピリットはBP17000!!……勝負あったな!!」
ロンバルディア・Ωの攻撃を幾度となく交わし続けるナイトサバイブランザーだが、BPの格差の問題でそれも時間の問題だろう…………
しかし、そんなウィルの度肝を抜く、新手のマジックカードをロンが発揮させる。
「マジック、ソードベント!!」
「なッ!?!」
「効果により、ナイトサバイブランザーのBPを5000アップ………合計BP、22000となる!!」
ー【仮面ライダーナイトサバイブランザー】BP17000➡︎22000
瞬間。ナイトサバイブランザーの手元に、龍騎がいつも使用している柳葉型の剣が出現。ナイトサバイブランザーはそれを強く握り締め二刀流となる。
そして迫り来るロンバルディア・Ωの双頭龍をその二振りの剣で斬り裂き、消滅させた。これで残りはロンバルディア・Ω本体のみ…………
ナイトサバイブランザーはドラゴンの翼で羽ばたく。ロンバルディア・Ωは近づきさせまいと両手からエネルギー弾を連射するが、全て剣で斬り落とされ、その勢いが弱まる事はない…………
「そ、そんな馬鹿な………わからない、これはきっと何かの冗談だ……」
ぶった斬れ………
ナイトサバイブランザー!!!
目の前の信じられない光景に、現実逃避を仕掛けるウィル。そしてナイトサバイブランザーはアスラとロンの叫びに応えるようにロンバルディア・Ωを捉える…………
龍騎の剣を投げ、ロンバルディア・Ωの胸部に突き刺すと、残った龍の大剣に赤い炎のエネルギーを溜め、それごとロンバルディア・Ωの巨大な身体を一刀両断。それは絶望の嘆きを轟かせながら、無惨にもこの場から爆散し、消えていった…………
「………ドラグレッダーの効果で、オマエのライフ1つは破壊される」
「…………」
〈ライフ2➡︎1〉ウィル
砕け散るライフバリア。その音がウィルにも聞こえて来る。
この音は、自身の敗北が近づいて来ている音なのだと、直ぐに理解した。だが理解はできても、認めたくはない……………
「ナイトサバイブランザーでラストアタック!!」
「これで終わりだァァァァァァ!!!」
「何故だ………何故オマエ達は諦めない。何故折れない!!……何故だァァァー!!!」
折れたり、諦めてる暇なんてどこにもねぇ…………
オレ達は頂点王になるまで、負けるわけにはいかないんだァァァァァァァァァ!!!!!
「!!」
何度倒しても、叩き潰しても直ぐに立ち上がって向かって来る…………
コイツらは………コイツらこそが本物のバケモノだ。
〈ライフ1➡︎0〉ウィル
ナイトサバイブランザーのトドメの一撃がウィルのライフバリアを破壊する。彼はその間に、自分がいくら黒の力で強くなっても、何度でも立ち上がり、何度でも向かって来るアスラとロンの強さには勝てない事を悟る……………
これにより、勝者はアスラとロンだ。彼らの16年間で築き上げて来た絆の力が勝敗を分けた……………
「っしゃぁ!!」
アスラがいつもの掛け声で叫び、ロンと共に拳を合わせる。ロンもこの勝利に満族気な表情を浮かべていた。
敗北したウィルはダメージによる疲労困憊からか、片膝を突き、そこからピクリとも動かない。
「……アスラ、ロン。君達2人は、僕の誇りだ……!!」
これまで2人を陰から見守って来たゾン・アーサー。目に涙を浮かべながらこの瞬間に感激している。
この間にバトル終了に伴い、ナイトサバイブランザーがゆっくりと消滅して行くが、アスラとロンにとって嬉しい事はその勝利だけではなかった。
「アスラ、ロン!!」
「ッ……トゥエンティ!?」
「オマエ………」
駆けつけて来たのは短い銀髪の青年トゥエンティ。これまでライダーハンターズの一員として、アスラとロンのライダースピリットを狙っていたが、今は互いに敵意は一切なく、寧ろ仲間とも思っている。
「トゥエンティ、どうしてここに?」
「テンドウさんから言われてな。安心しろ、ヘタマイトはオレが倒した」
「ッ………ヘタマイトってブラックフォースの……確かカナさんが器にされたたんじゃ………」
ブラックフォースの1人、ヘタマイトはトゥエンティが倒した事を知るアスラ。驚くが、そんな彼にトゥエンティは珍しく笑みを見せる。
「あぁ、当然カナは取り返した。ようやく、カナとまた一緒に暮らす事ができる………オマエのお陰だ、アスラ」
「え、オレ何もしてないけど?………へへ、でもそっか、よかったな。オマエの夢が叶って!!」
「あぁ」
カナを取り戻すためなら他人を傷つけても構わない。そこまで良心を捨ててしまっていたトゥエンティを今の優しい彼に戻したのは他でもないアスラ………
だとトゥエンティは思っているが、とうの本人にはそれが理解できていない様子。だが、あの悲しみを背負って戦っていたトゥエンティがこうして自分の前で笑っていてくれるだけで嬉しい様子で…………
「………と言う事は後はシャーマンだけか」
ロンがそう呟くと、また彼方より聞き慣れた声が耳に入って来る。
「シャーマンは私とお兄様が倒したわ……!!」
「!!」
「おぉエール!!……無事だったか〜!」
ここでエール・オメガも合流。これでブラックフォース達と直接激闘を繰り広げた面々が集った。
周囲の光景を視認するなり、エールはアスラ達もまた勝利したのだと理解して…………
「………勝ったのね、アンタ達も」
「おう当然だぜ!!」
「じゃあこれでブラックフォースは全滅か」
互いの勝利を喜び合うアスラとエール。その間、トゥエンティはただ1人、片膝を突いたウィルの方へと目を向けて……………
「………ウィル」
「……………トゥエンティですか。今更また何を………いやわかる。敗北した私を笑いに来たのでしょう?」
首を軽く横に振り「そんな事はない」とトゥエンティ。
「………負けた。何もかもお終いだ。次第に得て来た黒の力はなくなり、私は人間に戻ってしまう………世界を黒く塗り潰し、新世界を切り拓く夢はここで潰えたのだ」
「そうだな。オマエはカナとオレを利用し、めちゃくちゃにした。そんなオマエを、オレは許せない」
「………ならどうするのです?」
「……………」
思い出しただけで怒りが込み上げて来る。無理もない、カナの病気になったのも、自分がライダーハンターズに入ってライダースピリットを集めなくてはならなくなったのも、全部はこの男のせいなのだ…………
だが同時に込み上げて来るのは、アスラ達と戦って来た記憶。アスラとのバトルは、彼の本当の気持ちを思い出させてくれた。
「どうもしない。オレではなく、アスラに聞け」
「!?!」
「…………え、オレ?」
「アスラ、オマエならウィルをどうする?」
ウィルをどうするかアスラに問いかけるトゥエンティ。その言葉を聞き入れると、軽く笑みを浮かべながら膝を突くウィルの元まで歩み寄る…………
「………オレもトゥエンティと同じだ。どうもしない」
「!!」
「なんかまぁ、色々あったけどさ。世界を変えたいって言う気持ちはわからない事もないんだ。オレもコモンで、貧しくて、しかもソウルコアが使えないから、馬鹿にされて、悔しくて………でもさ。だからって1人でずっと背追い込もうとするなよ。1人で変えられないって言うなら、みんなで一緒に変えようぜ?」
「………」
「オレは……オレ達はずっとそうして来た。だからブラックフォースにだって、オマエにだって勝てたんだ。みんなでやれば、きっとできない事なんてない」
「へへ、手始めに、先ずはオレが頂点王になってやっからよ!!」と言葉を足しながらその手をウィルへと向ける。その手は誰がどう見ても和解を求める手だ。
ウィルは信じられなかった。仮にも自分は彼らにとって大事な存在である「頂点王シイナ」を殺害した存在であると言うのに…………
「………やっぱ大バカのバカスラよね、アスラって」
「あぁ、世界一の一点突破バカだ」
エールとロンもまたアスラが敵だったウィルに手を差し伸ばす光景に笑みを浮かべていた。もちろん、トゥエンティとゾンもだ。ブラックフォースのオニキスも霊体となって彼の背後でほくそ笑んでいる。
ここにいる誰もがアスラの諦めない心に変えられて来た。だからこそここまで奇跡を起こし続けて来たのだ。
「………もし、君ともっと早く出会っていたら、こんな愚かな事をしてなかったのかな。アスラ…………」
「どうだろうな?……でもまたウィルが間違ったら止めてやるよ、オレ達が!!」
「…………ふふ」
完敗だ。信じてみよう。この少年を。いつか自分の夢だった世界を作れるのではないかと…………
そう信じてその差し出された手を取ろうとした。
その瞬間だった……………
『ザザ……余興は終わりだよ、ウィル』
ー!!!
『この声、まさか!?!』
その乾いた笑い声にいち早く反応したのはオニキスだった。
だが時すでに遅し、その声の主人は黒い煙となってウィルの身体を捕らえ、それに伴う衝撃波でアスラを吹き飛ばす。
「ぐぅ……ぐぁぁぁぁあ!?!」
「ウィル!?……くっ……なんなんだ!?」
アスラやウィル、オニキスだけではない、エールやロン、トゥエンティやゾンもいったい何が目の前で起こっているのかを全く理解できない。
やがて、ウィルの身動きを封じ込めた黒い煙はまた声を発して………
『……この時だ。オレはずっとこの時を待っていたんだ。ザザ、ザザザザ………待ち侘びていたぞォォォォォォー!!!!!』
「今、ザザって………」
『あぁ、アイツは間違いない………オブシディアンだ』
「ッ………でもなんで、アイツはオレとオマエで倒したはずじゃ」
そう。
今アスラ達の目の前でウィルの肉体を捕らえたのは他でもないブラックフォースのトップに君臨するオブシディアン。一人称も「私」から「オレ」に変わってだいぶ性格の変化に印象を受けるが、笑い方の「ザザ」で理解できる。
『貴様らにわざと負け、消滅した振りをしていたのだよ!!……その方が都合が良かったからな!!』
「お、オブシディアン様……い、いったいなぜ……!?!」
『ザザ……待ちに待っていたぞウィル。オマエに貸し与え、膨れ上がった黒の力をオレが喰らうこの時を………!!』
「………!?」
この中でおそらく一番困惑しているのはウィルだろう。苦しみながらも出て来た声でオブシディアンに問うた。
『言ってなかったなウィル。黒の力を人間が使うと代償が付き纏う。まぁ代償と言っても、ソイツが不幸になる程度だがな』
「な、なにを………!?」
『ザザ………まぁ要するにオマエはもう不要ってこった。返してもらうぜ、オレの黒の力!!』
「そ、そんな………今まで私は貴方に…………う、うぁぁぁぁあ!?!!」
「ウィルッッ!?……クソ、近づけねぇ!!」
ウィルの叫びも虚しく、オブシディアンがウィルの黒の力を肉体ごと吸収し始める。そから奏でられる響きはまるで絶望の音色………
そこから発せられる凄まじい衝撃波の中、アスラ達はただそれを見ている事しかできなくて…………
『ザザ。いいぞ、力が回復していく『誠の肉体』が蘇ろうとしている。さらにここから倒されたヘタマイトとシャーマンの力も喰らえば………!!』
徐々に人型の体型に近づいていくオブシディアン。その間に、おそらくヘタマイトとシャーマンの力の源であろう黒い玉をもたいらげていく。
そしてやがてオブシディアンから発せられていた衝撃波は終息し、アスラ達もその方へと目を向ける…………
「収まった……!?」
「………ウィルは」
エール、トゥエンティの順に言葉を発する。しかし、その場にもうウィルはおらず、そこにいるのは全長3メートルはある巨大な人影…………
それは、この世で最も蘇らせてはならない存在…………
ザ………ジ………ズ…………ゾ…………
鋭く、悍ましく、禍々しいその声に誰もが背筋を凍らせる。
『………テメェは、オブシディアン………なのか?』
オニキスが目の前の生命体にそう質問した。おそらくオブシディアンであろうその生命体はすぐさま答える…………
「いや、オレはオブシディアンではない。取り戻したんだ、本当の姿を………それもあの時以上の力となって…………」
『………何言ってんだよテメェ……』
「我が名は『ブラックフォース』!!……黒の力を操る、古代の魔物だ!!」
『ブラックフォース』…………
そう名乗る生命体。その名に最も強く反応を示したのはブラックフォースに属するオニキスだ。冷や汗を流しながらも、勇んでその口を開く………
『………ど、どう言う事だ………!?』
「ザ、ジ、ズ、ゾ………オマエにもわかるように順を追って説明していこうか。そもそも、ブラックフォースとはオレの名前だ。本当はもうなんとなく気づいているんじゃないのかオニキス?」
『………』
「オマエは、いや……オマエとシャーマン、ヘタマイト、オブシディアンの4人はオレの分身体だ」
ー!!!
「オブシディアンはその中でも主人格だったと言うわけだ」
ブラックフォースの口から放たれたのは衝撃の事実。黒の力を操る4体の集団であるブラックフォースだったが、その存在は元々1つだった。
「オニキス………」
『………』
アスラが心配してオニキスの顔色を伺う。しかし、その顔色はあまり良くはない。ここまで衝撃的な事実を突きつけられたのだ、無理もない………
きっと、その身も張り裂けそうな想いなのだろう…………
『う、嘘だ。そんなわけはない………』
「オマエに、幼少の時の記憶はあるか?」
『ッ………!?』
「気づけばオマエはオニキスとして存在していた。他の2人も同じだ………オマエ達は元々オレの分身体、大昔にギアの一族と戦っていた時、数で勝る奴らを蹴散らそうと思ってオマエ達を作ったんだよ」
オブシディアン、いや、ブラックフォースは「だが」と言葉を続ける………
「だが負けた。それこそが奴らの作戦だった。4人となったオレは黒の世界と言う何もない世界に幽閉された………この話はオマエでもわかるだろう……?」
『………』
「オブシディアンとなって封印されてしまったオレは、人間達に復讐しようと考えに考え抜いた。そして閃いた………分裂したオマエ達をさらに強くしようとな」
『………なに?』
「簡単な考えだ。元々4だったものを1に分裂させ、その1が2となり再び結集すればどうなる?………答えは8だ。より強くなった個体が出現するってこった」
オブシディアンのその言葉に、トゥエンティがハッとなって気づく………
「まさか貴様はそのためにウィルを………」
「勘がいい。流石ウィルに見込まれただけはあるなトゥエンティ………そう。ウィルはは黒の力を扱える程の大きな器を持っていた。だから奴の愚かな思想に乗っかる振りをして、黒の力を与え続けていた……いやはや滑稽だったよ。いずれオレの元に戻ってくる力とも知らずに、騙され続ける奴の顔がな」
ブラックフォースはずっとこの計画を考えていたのだ。封印されてからの何千年もの間、ずっと……………
ゾンは「まさかブラックフォースにそんな秘密があったとは………」と口にする。長年ブラックフォースや黒の力について研究していた彼でもこの事実は知らなかったのがわかる。
エールは「酷い………」と口にし、ウィルに同情の心を示す。
ロンはずっと何も喋らない。ただただ話が終わるのを待っている。
アスラは…………
「だがこの身体も完璧ではない。最後のピースであるオニキス、オマエを吸収する事で、オレは完成するんだ」
「オイ、クソデカ真っ黒ヤロー………」
「あぁ?」
ブラックフォースがオニキスに目を向ける中、アスラがブラックフォースに啖呵を切るように声を荒げる。
「オマエは何のために人を騙してまでこんな事やってんだ……」
「何のため?……ザ、ジ、ズ、ゾ………そんなのオマエ達人間を皆殺しにするために決まってるだろ?」
「………」
「下等なムシケラ如きが、何千年も前はこのオレに支配されるがままだった癖に、このオレを封印しやがって………生意気もいいとこだ。思い出させてやるよ………本当の支配者の力って奴をな」
ブラックフォースの人間を根絶やしにしたいと言う欲望を聞くなり、またアスラが吠える。
「オマエは、みんなを殺してその先に何を見てんだ」
「あぁ?……ねぇよそんなの。目の前にある邪魔なモノを排除して、オレが生活し易い世界を作る。それが目的だ」
「…………くだらねぇ」
「は?」
「くだらねぇっつってんだよコノヤロー…ウィルの方がまだマシだ。アイツは世界をぶっ壊したその先も見ていた………オマエはアイツ以下だ」
「!!」
静かな怒りをブラックフォースにぶつけるアスラ。眼前にいる小粒のような存在如きに嘗められた口を聞かれ、ブラックフォースはその額に青筋を浮かべて…………
「このオレがウィル以下だと?……ただの傀儡よりも下だと?」
「あぁ、何回でも言ってやるぜオブシディアン、いやブラックフォース!!……オマエはウィルより下だ!!……でもってオマエじゃ、オレ達には勝てねぇ!!………そうだろ、オニキス?」
『!!』
ブラックフォースの事実に戦慄し、弱気になっていたオニキスにアスラが聞いた。
『アスラ、オレは………』
「オマエは誰が何と言おうと、オニキスだ。ブラックフォースなんて言う奴の一部なんかじゃねぇ………オレの血の繋がった方の母ちゃんの友達で、オレの仲間!!……そうだろ?」
『ッ………!』
アスラの言葉に、オニキスは心を震わせる。
まるで怯えていた自分の方が馬鹿みたいだ。いつも一緒にいてくれてるアスラの方がよっぽどバカだと言うのに…………
『ゼゼゼ………そうだなアスラ……オレはオニキスだ。それ以外の何者でもねぇ』
「おうそうだぜ!……一緒にアイツをぶっ倒すぞ!!」
『あぁ、行くぞ』
「ザ、ジ、ズ、ゾ………ムシケラが、粋がりよる」
事実に絶望しかけていたオニキスをアスラが即刻立ち直らせる。そんな2人の光景を他の仲間達が微笑ましく見守る中……………
奇跡は起こる。
「ッ………なんだ!?」
「私たちのデッキが……!?」
ロン、エール、トゥエンティの3人のデッキが直後に淡い光を放ちながら宙へと飛び交い、やがてアスラの元へと集う。
そしてアスラのデッキもまた、彼の元を離れ、彼の目の前に4つのデッキが集結した。
「な、ななななんだァァァァ〜!?!……何事ですかァァァ〜!?!」
『これは…………』
困惑する中、4つのデッキのカード達はバラバラになり、その内のデッキに必要な枚数である40枚程度が再結集。新たなデッキとなる。
残ったカードはそれぞれの持ち主の元へと帰還していく…………
アスラはその金色に光り輝く新たなデッキを前にして…………
「コレ………まさかオレに使ってくれって言ってんのか?……アイツに勝つために」
『そうかもしれねぇな』
そうだと察した。いや、それ以外に考えられない。
アスラはそのデッキを静かに手に取る。
「………これもまた、ギアの一族であるアスラの持つ、絆の力………なのかもしれないね」
不思議な現象を前にして、ゾンがそう分析する。今までアスラとロンを遠い場所から見守って来た彼は、きっとこの分析は真実であると確信している。
「………全くもってどう言う理屈かは知らんが、勝てアスラ。勝って世界を救って来い。その次は、オレと決着をつけろ、ライバルとして」
「トゥエンティ………おう、任せとけ!!」
トゥエンティがアスラに告げる。
「大丈夫。アンタならやれる!!……あんな奴、さっさと倒して頂点王にでも何でもなりなさい!!……エックスの身分である私からの命令なんだから」
「おうよエール!!……オマエの分まで戦ってくるぜ、応援よろしくな!!」
エールがアスラに告げる。
「………アスラ」
「ロン…………」
「フ………オマエはオレ達の代表だ。だが、頂点王になるのはこのオレだぞ。それを忘れるな」
「へっ……忘れるさ。だって頂点王になるのはオレだから!!……このバトルにも、オマエにもいつか勝ってやるぜ!!」
最後にロンがアスラに告げ、言葉を交わし合った。そしてアスラとオニキスは本当に本当の最後の敵、ブラックフォースへと体とデッキを向けて…………
「つーことで勝負だクソデカ真っ黒ヤロー!!……このオレとオニキス、そしてみんなのデッキがコラボした、名付けて『コラボストーリーズ』デッキでオマエをぶっ倒すッッ!!」
「いやネーミングセンスだっさ!!」
勝負を挑む。エールがアスラのセンスのなさに思わずツッコミを入れる。
「………いいだろう。全ての力を揃えるため、どちらにせよ貴様は今ここで倒さなければならないのだからな。このブラックフォースの逆鱗に触れた事を後悔させてやる」
「オマエこそ、オレ達に喧嘩売った事後悔すんなよ!!……行くぜオニキス!!」
『あぁ、これで最後だ。気合入れてくぞ』
アスラはBパッドを展開し、コラボストーリーズデッキをそこに装填。バトルの準備を行う。ブラックフォースもまた、黒の力で腕からBパッドに似た何かを展開し、そこに己のデッキを出現させた。
そして…………
………ゲートオープン、界放!!!
頂点王になるために努力を重ね続けて来た少年アスラと、人々を駆逐せんとオニキスの力を欲するブラックフォースによる最後の決戦が幕を開ける。
バトルの先行はアスラ。これまでの旅の中で強い絆で結ばれていった仲間達が見守る中、勇んでターンを進めて行く。
[ターン01]アスラ
「メインステップ!!……早速行くぜ。オレは仮面ライダーナイトを召喚!!」
ー【仮面ライダーナイト】LV1(1)BP2000
様々な鏡像が重なり合い、アスラの場にロンのライダースピリット、ナイトが出現する。本来であればライダースピリットは1人につき1種類しか使えないが、オニキスの黒の力を持つアスラはそれを無視できて…………
「召喚時効果、使わせてもらうぜロン!!」
「あぁ、存分に使え、アスラ!!」
「デッキから1枚ドロー!!……ターンエンド!!」
手札:5
場:【仮面ライダーナイト】LV1
バースト:【無】
『………アスラ』
「ん?……どうしたオニキス」
『奴の、ブラックフォースの中からウィルとか言う奴の力を感じる』
「ッ……それってつまり」
『あぁ、まだ助けられるかもしれねぇって事だ。オレは奴の命なんざどうだっていいが、お人好しのオマエは違うんだろ?』
オニキスにそう告げられ、アスラは「おうよ、ぜってぇウィルの命を諦めたりはしねぇ」と笑みを浮かべながら一言。
ウィルを救う事を決意し、ターンをエンド。ブラックフォースが巡って来たターンを進めて行く。
[ターン02]ブラックフォース
「メインステップ……ネクサス、旅団の摩天楼を2枚連続配置する」
ー【旅団の摩天楼】LV1
ー【旅団の摩天楼】LV1
「配置時効果により、デッキから1枚ずつドローする」
ブラックフォースの背後に聳え立つのは不気味な摩天楼。これは彼がオブシディアンだった時も使用していたため、デッキ自体はオブシディアンのモノがベースなのがわかる。
「さらにバーストをセット。ザ、ジ、ズ、ゾ………確かに未だウィルの残滓はオレの中を泳いでいる。だが、決して助かる事はない。何せ貴様らの相手はこの最強の生命体ブラックフォースなのだから!!……ターンエンド」
手札:4
場:【旅団の摩天楼】LV1
【旅団の摩天楼】LV1
バースト:【有】
「んなモン、やってみねぇとわかんねぇだろ!!」
ブラックフォースに反発するように叫ぶアスラ。二度目のターンが巡って来る。
[ターン03]アスラ
「ドローステップ!!………ッ!?」
このターンのドローステップ。アスラは思わずそのドローカードに目を疑った。
「コレ……なんでデッキに」
『ゼゼゼ………どうやら単に複数のデッキのカードが混ざっただけじゃねぇみてぇだな。久し振りに使ってやるぞ、アスラ!!』
「おう、オレのメインステップ!!」
何故か知らぬ間にアスラのデッキに入っていたカード。それはアスラとオニキスの2人にとっても思い入れのあるカードであり…………
「第一の龍騎を召喚!!」
ー【仮面ライダー龍騎】LV2(2)BP4000
様々な鏡像が重なり合い、赤きライダースピリット、仮面ライダー龍騎が登場する。しかもただの龍騎ではなく、第一の龍騎。
これは、アスラが一番最初に召喚したライダースピリットである。異世界での進化の影響で消えてしまっていたのだが、何故か今になって復活を果たして…………
「第一の龍騎………懐かしいな。今思えばアレがアスラの始まりだったな」
「凄い、まるで私たちの記憶を辿るようなデッキね……」
ロンとエールがそう感想を呟く中、アスラは感動の気持ちを抑えつつ、久し振りに第一の龍騎の召喚時効果を発揮させていく。
「へへ、久し振りだな第一の龍騎!!……使わせてもらうぜ召喚時効果!!……デッキから3枚オープンし、その中にある対象のカードを手札に加える!!……オレは『仮面ライダーリュウガ』と『ソードベント』のカードを手札に加えて、残りは破棄する」
その召喚時効果は謂わゆるサーチ効果。アスラは合計で2枚のカードを新たに加えた。
しかしそれは、ブラックフォースの伏せたバーストカードの発動条件でもあって………
「召喚時効果発揮後のバースト、双翼乱舞。デッキから2枚ドローする」
そのバーストカードは汎用性の高いバーストマジック。効果により彼もまた2枚のカードを新たに加える。
「最後にバーストをセットして、アタックステップ!!……行くぞ龍騎、ナイト!!」
アスラの指示を受け、第一の龍騎、ナイトの2体が走り出した。狙うは当然ブラックフォースのライフバリア。
前のターン、アタックもブロックもできないネクサスの配置のみを行ったブラックフォース。この攻撃はライフで受ける他なくて…………
「ライフで受ける」
〈ライフ5➡︎4➡︎3〉ブラックフォース
龍騎の炎を纏った飛び蹴りが、ナイトの剣先に紫を纏った斬撃が、それぞれ1つずつブラックフォースのライフバリアを破壊して行く。
「っしゃぁ!!……オレはこれでターンエンドだ!!」
『さぁどう来る?』
手札:6
場:【仮面ライダー龍騎】LV2
【仮面ライダーナイト】LV1
バースト:【有】
最後のバトル、最初のアタックステップ。アスラはフルアタックでブラックフォースのライフを2つ破壊し、そのターンをエンドとする。
[ターン04]ブラックフォース
〈ライフ3➡︎5〉
ブラックフォースの開始のターン。膨大な黒の力により、彼のライフは瞬く間に復活して行く。
「ザ、ジ、ズ、ゾ……愚か者め、いくら攻撃してもオレのライフは5に戻る。オブシディアンの時に教えてやったろ」
「くっ……やっぱ回復すんのかよ」
『焦るなアスラ。ここまでは予想の範囲内だ、次の作戦を考える』
やはり大は小を兼ねるか。ブラックフォースもまたオブシディアン達が持っていたライフを回復する能力を有していた。
アスラが彼のライフに傷をつけるためには1ターン以内で全てのライフを砕き決着を着けるか、セイバーで破壊するしかない。
「メインステップ!!……先ずは小手調べと行こうか。タマムッシュをLV2で召喚。召喚時効果でボイドからコア2つを自身に追加」
ー【タマムッシュ】LV2(6)BP5000
玉虫のような緑のスピリット、タマムッシュが登場。その効果によりブラックフォースはコアを2つ増やす。
そしてそのコアを活かし、手札からスピリットを呼ぶ。
それはオブシディアンの時から使用していたあのカードだ………
「歴戦の力を統べる孤高の魔王よ………今ここに顕現せよ!!……オーマジオウ!!」
「!!」
………祝福の時!!
………最高最善!!
………最強王!!!
ー【仮面ライダーオーマジオウ】LV1(1)BP20000
地獄の門でも開かれたかのような獄炎が地を這って行く。その中心で確かな力の根源が姿を見せた。
その名は仮面ライダーオーマジオウ。強力無比な力を持つ、仮面ライダージオウの最強の姿だ。
「アレがオーマジオウか」
その存在にいち早く反応を示したのは他でもないトゥエンティ。自分がライダースピリットを集めさせられていた理由の一つがコレの復活だったのだから、やはりどこか思う所があるのだろう。
「召喚時効果、コスト20以下のスピリット1体を破壊する!!……仮面ライダーナイト!!」
「!!」
オーマジオウは登場するなりアスラの場にいるナイトへと視線を向ける。そしてその瞬間、ナイトの足元から黒い稲妻が迸り、それを飲み込んだ。
「アタックステップ。オーマジオウ、力の差を思い知らせて来るのだ」
ブラックフォースのアタックステップ。オーマジオウが指示を聞き入れアスラの元へと走り出す。唯一のスピリットである龍騎が疲労状態につきブロック不可であるため、ライフで受ける以外の選択肢はない。
「………ライフで受ける!!」
「ならばダブルシンボルを喰らうがいい!!」
「ぐっ……ぐぁぁぁぁあ!?!」
〈ライフ5➡︎3〉アスラ
オーマジオウの重たい拳の一撃がアスラのライフバリアを一気に2つ砕く。オブシディアンやウィルの時と比べようがないダメージがアスラとオニキスを襲うが…………
単純な肉体の痛みだけでは終わらなくて…………
「ッ………!?!」
『な、なんだ。この感覚!?……まるで魂が抜けようとしているような……』
そう。肉体の痛みの後、2人が味わったのは幽体離脱でも始まったのではないかと錯覚してしまう程の不思議な感覚。
これもまた当然、全ての元凶であるブラックフォースによるものであり………
「ザ、ジ、ズ、ゾ………言ったはずだ、オニキスは返して貰うと。ライフが減るたびにオニキスは1つ1つこのオレの元に近づいていくのだ」
「!!」
それは、このバトルの中でオニキスの力を得て、完全体になろうとしているブラックフォースの巧妙な作戦。
世界の命運を賭けたバトルスピリッツはまだ始まったばかり…………