バトルスピリッツ コラボストーリーズ   作:バナナ 

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9コア「青カラー戦!!VSズドモン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレは頂点王になるッッ!!!

 

だからゴミだろうがそれ以下だろうが!!!

 

先ずはオマエを超える男になるァァァッ!!!

 

 

 

 

 

「……っ!!!」

 

 

 

〈ライフ1➡︎0〉謎の青年

 

 

 

刹那。

 

アスラやその仲間や友の想い全てを乗せた、第二の龍騎の太刀筋は青年の最後のライフを斬り裂いた…………

 

 

 

 

………ピー

 

 

 

 

 

バトルに敗北した青年のBパッドからそれを告げるような無機質な機械音が鳴り響いた。

 

アスラはエールと協力し、遂に強敵であった謎の青年に勝利を収めた。

 

 

「っしゃぁ!!……オレ達の勝ちダァァァァー!!!!」

 

 

限界を超えた末の勝利。アスラはボロボロになった身体を奮い立たせ、雄叫びを上げた。

 

対する多大なバトルダメージを被った青年は打ちどころが悪かったのか、その場で気を失い、倒れていた。

 

 

「すごいですわアスラさん…………本当にソウルコアが使えない身で、あのライダースピリットのデッキを………倒しました!!」

「………アスラ………また、強くなったみたいだな………やっぱり、オマエを倒せるのはこのオレだけだ………!!」

 

 

アスラの勝利に歓喜するローザとロン。

 

ロンは最初からアスラが勝利すると信じて止まなかったが、ローザは違う。

 

正直『敵うわけが無い』と思った……

 

この世界において最も重要なソウルコアが使えない少年と、

ライダースピリットを少なくとも3種類も所有できる文字通りの化物。

どちらが強いかは幼子でもわかるほどに単純。

 

しかし、そんなソウルコアが使えない少年アスラはそれでも揺るがない気迫とデッキと仲間を信じる力で勝利して見せた。そんな素晴らしい光景に、ローザは内心で驚愕と感動でいっぱいになっていて………

 

 

「このヤロォ何がゴミ以下だ!!なめやがってコンチクショー!!」

「アンタ、もう気絶した相手に何言ってんのよ…うっさいわね」

 

 

何とか意識を取り戻したエールがアスラに言った。今のアスラはどうやら一種の興奮状態に陥ってるようだ。あれだけのバトルを行なったのだから無理もない。

 

 

「エールさん、もう動いて大丈夫なんですか??」

「えぇ、もういいわ………そ、その、あ、ありがとう……ッッ!」

「っ!!……えぇ!!どういたしまして!!」

 

 

エールは少し照れながらも、気を失っていた自分に必死に呼びかけてくれたローザに礼を告げた。

 

 

「エールッ!!無事だったんだな!!ホント良かったぜ!」

「フン……別にコモンに心配される覚えはないわ!……って言うかアンタが一番ボロボロじゃない!!」

「大丈夫だって!!オレは頂点王になるんだ!!このくらいじゃへこたれねェェェー!!!」

「………ホント、体力お化けよねアンタ…呆れるわ…(だ、大丈夫そうね…良かった〜!)」

 

 

アスラもエールの意識が戻り、無事だった事を大いに喜んで見せた。そんなエールもいつものように肩にかかった髪をファサッと靡かせながら偉そうにしているが、内心ではアスラの無事に安心している。

 

因みに、今回ばかりは体力バカのアスラも限界である。割と虚勢を張っているし、もう一度あのバトルをやれと言われたら多分死ぬ。

 

そんな彼らは周囲に溢れている金銀財宝などに目もくれず、ただひたすらに談笑を繰り返していた。

 

 

………と、そんな時だ………

 

 

「まさか……あのトゥエンティが負けるなんてね……」

 

ー!!!

 

 

突然耳に入ってきた聴き慣れない声に思わず警戒心を抱くアスラ達。その声のする倒れた青年の方へと首を向けると、そこには長身で細身の男性がいて…………

 

特徴と言えば英国紳士のような長いシルクハットや清潔感のあるちょび髭か……………

 

 

「アンタ誰!?どっから!!」

「おやおや、オメガのお嬢様が「アンタ」なんて品のないお言葉を使うんですね〜……いやはや、これに限らず最近の若者はみんなそうなんでしょうか?」

「っ!!……なんで私のこと知ってんのよ!?」

 

 

細身の男性は冗談を交えながらも、エールを………いや、どちらかと言えば『オメガ家』を知っているかのような口振りをした。

 

 

「それはまぁ、その『顔』はね………」

「はぁ!?何言って…………」

「やいヤァァァイ!!……おっさん誰なんだァァァー!!!その顔色悪いヤツの仲間かなんかかァァァー!?」

 

 

細身の男の言い分にまるで意味がわからないエールだったが、その会話を遮るようにアスラが絡んで来た。細身の男性は「やれやれ」と言った表情でアスラの方へと首と目線を向けて………

 

 

「薄汚いコモンが………オマエはいい加減口を動かすだけで罪だと言う事を自覚なさい」

「んだとコラァァァァァァ!!!……コモンとか薄汚いとか関係あるかァァァー!!……ってか薄汚くねぇ!!」

「………いや、アンタ今ボロボロで汚いわよ」

 

 

エールとは全く正反対の態度でアスラに接する男性。まるで本物の汚物を見ているかのように見下した態度を取った。アスラはそんな彼に対して条件反射的に全力でかかずらった。

 

 

「いずれオマエとそこのもう1人のコモンの持つライダースピリットもいただきます………精々首を洗って待ってる事です………!!」

 

ー!!

 

 

男はそう言うと、「テレポート」というものなのか、空気に溶け込んだかのようにコラボダンジョン内から気絶した青年共々消え去った。

 

こうして、アスラ達の初めてのコラボダンジョンの捜索は意外と呆気なく、それでいて多くの謎を残しつつ、最後を迎えた…………

 

 

「オイ、聞いたかアスラ……あのちょび髭シルクハット……オレ達のライダースピリットを奪うんだと………」

 

 

ロンがアスラに言った…………

 

 

「上等だぜ、何回でもかかって来い!!全部返り討ちにしてやるッ!!」

 

 

アスラの力強い声が金銀財宝のあるこの一室に木霊した…………

 

 

 

******

 

 

 

「ホントにもう行くのかよ、ロン」

「なんだアスラ、寂しいのか?」

「違ぇよ!!…やっと追いついたのにまた差をつけられるのがイヤなだけだ!!」

「オマエはまだローザに勝ってないから元々追いついてなかっただろ………」

「ぐっ!?……痛いところを!!」

「事実だ」

 

 

あれから約3日が経過した。とくにダメージが酷かったアスラとロンは一時の療養を経て、ようやく完璧の状態まで回復していた。

 

多くの河が流れ、水の音が絶えない町、ナミラ町。その丁度道路との境目でアスラとロンは2人で語り合っていた。因みに、その少し離れたところではそれを見届けるエールもムエの姿も確認できる。

 

 

「オマエには2つも借りができちまったな、アスラ」

「んだよ、改めやがって……何度も言わせんな!!オレとオマエは親友でライバル!!どっちが先に最強になるか勝負するんだろ!?…じゃあどっちが欠けてもダメだろうが!!」

「フン…いっちょまえみたいな事を………アスラのくせに……」

「んだよ、ロンのくせに……」

「フッ……」

「……へへ」

 

 

そんな軽い言い合いの中、2人は僅かばかりに口角を上げていた。それは彼らが親友且つライバルである何よりの証拠であると言えて………

 

 

「オレは先に3番目の『白のカラーリーダー』がいる町へ行く……じゃあなアスラ………アイツらに龍騎を盗られるなよ。じゃねぇと、つまらないからな」

「そりゃこっちのセリフだァァァー!!……おう!!直ぐに追いついてやるぜ!!……首洗って待ってな!!」

「それはあのちょび髭シルクハットのセリフだろ」

 

 

アスラは言われた言葉は使っちゃうタイプ。

 

その言葉を最後に、ロンはアスラに背を向けてナミラ町を去っていく。久しぶりのライバルとの再会にしてはあまり言葉が足らない気もするが、彼らはそれで良い、

 

何せ、お互いがお互いの目標を掲げ続けている事を再確認できたのだから。再開した時にやる事なんて、これだけで十分だ。

 

 

「ん、もういいのアスラ?」

「むえ〜」⬅︎じゃあなロン〜

「あぁいいさ!!…アイツとはいつか必ず決着をつけるし!!」

「ふーーん……アンタもアンタなりに色々あるのね」

 

 

コラボダンジョンでの彼らのやり取りや、アスラの言葉で、エールはアスラもアスラなりの葛藤がある事を何となく理解した。

 

 

「っしゃぁ!!……オレ達も行くぞエール!!」

 

 

……ローザの青のカラーカードを取りに!!

 

 

そうアスラは意気込み、エールとムエと共にローザの待つナミラ町コロシアムへと足を運んで行った………

 

 

******

 

 

「お待ちしてましたわ!!アスラさん!!エールさん!!……コラボダンジョンの捜索の際はお世話になりました!」

「いいっていいって〜お互い様だぜ!」

 

 

青い塗装で覆い尽くされているナミラ町コロシアム。アスラとエールはローザとはコラボダンジョン捜索以来3日ぶりの再会であった。

 

と言うのも、ローザはあのコラボダンジョン捜索の報告書まとめで手がいっぱいいっぱいだったため、ここ最近全くカラーリーダーとしての本業を行えていなかったからでもある。

 

 

「そう言えばどうだったのローザ。あの連中の事何かわかった?」

 

 

エールがコラボダンジョンで出会した「トゥエンティ」と呼ばれる青年や、あのシルクハットの男についてローザに聞いた。

 

 

「いえ、今のところはなんとも、ライダースピリットを所持している方々に注意を仰いがないといけなくなったくらいですかね」

「………そう……」

 

 

エールはあのシルクハットの男の言葉が少々気掛かりだった。自分に対してのあの口振りは自分を知っていたというよりかは『オメガ家』を知っていたと言った感じだからである。

 

あまり深く考えたくは無いが、彼女としてはどうしてもその点が腑に落ちなかった。

 

 

「まぁまぁ、そんな堅い話はいいだろ?……カラー戦、頼むぜローザ!!オレは早くロンのヤローに追いつきてーんだ!!」

「はい!!当然(わたくし)もそのつもりですわ!!……極力、ぶっ潰して差し上げます!!」

「えぇぇぇえ!?…急に口汚ねェェェー!!?」

 

 

アスラがBパッドを構えながら言った。ローザも明らかにエックスらしからぬ汚い言動から、やる気は十分のようだ。

 

エールとその頭の上に乗っていたムエは少し距離を置き、対戦者2人はお互いを睨み合いながらBパッド同士を向け合った…………

 

 

………そして、

 

 

…………ゲートオープン、界放!!

 

 

いつもの掛け声と共に颯爽とバトルスピリッツが幕を開ける。アスラにとって大事なカラー戦、その2試合目だ。

 

先行はローザだ。そのターンシークエンスを進行させていく………

 

 

[ターン01]ローザ

 

 

 

「メインステップですわ!!……バーストをセットしてそのターンをエンドとします!!」

手札:4

バースト:【有】

 

 

「あれ?…そんだけ?」

「はい!!そんだけですわ!!」

 

 

国の代表であるカラーリーダーとしては随分と消極的にそのターンをエンドとしたローザ。

 

次は挑戦者であるアスラのターンだ。バースト以外は何も無いローザの場を攻めるべくターンシークエンスを進行させる。

 

 

[ターン02]アスラ

 

 

 

「メインステップ!!…飛ばすぜ、オレはドラゴンヘッドとシャムシーザーをLV2で召喚!!」

 

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV2(2)BP2000

ー【シャムシーザー】LV2(3)BP3000

 

 

 

アスラの場にいつもの速攻部隊、ドラゴンの頭部と翼しかない黒々としたスピリット、ドラゴンヘッドと、赤の身体に加え、背中に数本のトゲを生やしたトカゲ型のスピリット、シャムシーザーが現れる。

 

 

「行くぜ速攻!!……先ずはシャムシーザーでアタック!!」

 

 

アスラが勢い良くシャムシーザーでアタック宣言を行う。シャムシーザーはそれに従い、地を這って進んでいく。狙うは当然ローザのライフだ…………

 

 

「ふふ……ライフで受けますわ!!」

 

 

 

〈ライフ5➡︎4〉ローザ

 

 

 

堂々とした様子でそのアタックを受けるローザ。そのライフ1つはシャムシーザーの体当たりにより砕け散った………

 

だが、最初のターンにスピリットを召喚しなかった事を含め、これはローザの罠。彼女は事前に伏せていたバーストカードを発動させる………

 

 

「かかりましたわねアスラさん!!……ライフ減少によりバースト発動ですわ!!」

「!!」

 

 

ローザのバーストカードが勢い良く反転する。

 

……そのカードは………

 

 

「No.26キャピタルキャピタル!!……効果によりノーコスト配置!!」

 

 

 

ー【No.26キャピタルキャピタル】LV1(1S)

 

 

 

「っ!?」

 

 

ローザのバースト発動と共に背後へと飛来して来たのは空に浮かぶ島。ネクサスカードであるキャピタルキャピタルだ。その効果はネクサスの扱いに長けている青属性らしいものであり………

 

 

「おぉ、デッケェェ!!そしてカッケェェェー!!!」

「むえぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」⬅︎乗りたい!!

「キャピタルキャピタル………って、まずいんじゃ………」

 

 

キャピタルキャピタルに興奮するアスラとムエだが、ただ1人エールはこのキャピタルキャピタルがアスラにとってかなり厄介な存在であるネクサスカードであると察した。

 

……その理由は………

 

 

「ふふ、アスラさ〜ん……キャピタルキャピタルはソウルコアが置かれている時、相手はソウルコアが置かれていないスピリットでアタックする際にリザーブからコア2つを支払わないといけないんですよ〜」

「??」

 

 

ローザが悪戯な笑顔を浮かべながらアスラに言った。

 

アスラはあまり言っている事が理解できていないようであり………

 

 

「ん??……え〜っと……つまりソウルコアが置かれてないスピリットのアタックではコアを払わないといけない??」

「はい!!その通りですわ!!」

「あぁ!!なんだなんだ!!そう言うことか!!……ソウルコア置けばいいんだな!!………置けば…………って、オレソウルコアねェェェー!?」

「ふふ、リアクションが面白いですわ〜!」

 

 

そう。普通ならばキャピタルキャピタルの効果に引っかかるのは大抵のバトラーが初見のみ。

 

だが、アスラにはソウルコアが無い。

 

つまり、この後もアタックする際にコストを支払わなければいけない事になる。この序盤でそれがどれ程大きいデメリットかは知れたことでは無い。

 

 

「ぐぐ……まぁ、無いモノはしょうがねー………普通のコア貯めてゆっくり攻めるか……ターンエンド!!」

手札:3

場:【ドラゴンヘッド】LV2

【シャムシーザー】LV2

バースト:【無】

 

 

安直な考えに至り、そのターンをエンドとしてしまうアスラ。

 

だが、エックスであり、その中のアルファ家であるローザは悠長に待ってはくれない。アスラが逃したこの1ターンで大きく勝負に出て………

 

 

 

[ターン03]ローザ

 

 

 

「メインステップ!!………もう一度バーストを伏せてランマー・ゴレムを召喚しますわ!!」

 

 

 

ー【ランマー・ゴレム】LV1(1)BP1000

 

 

 

バーストカードと共にバネで飛び跳ねている小さなゴーレムがローザの場に現れる。

 

そしてローザは立て続けに手札からカードを引き抜いて………

 

 

「さらに(わたくし)は青のデジタルスピリット、ゴマモンを召喚しますわ!!」

 

 

ー【ゴマモン】LV2(3)BP5000

 

 

「っ!!……ローザもデジタルスピリット!?」

「はい!!召喚時効果でカードをオープンして、その中の対象カードを加えます!」

 

 

白いアザラシのような形をした成長期のスピリット、ゴマモンがローザの場へと現れた。その効果により、ローザは新たに「イッカクモン[2]」のカードを手札に加えた。

 

 

「行きますわ!!アタックステップ!!…その開始時、ゴマモンの持つ【進化:青】を発揮!!ですわ!!」

 

 

ー!!

 

 

ローザの宣言と共にゴマモンが青白く光輝いていき、姿形を変容させていく……………

 

 

「イッカクモンを召喚です!!」

 

 

 

ー【イッカクモン[2]】LV2(3)BP7000

 

 

やがて青白い光を弾き飛ばすと、その中から額に巨大な一角を生やす白き巨獣、イッカクモンが姿を現した。

 

 

「まだまだ行きますわッッ!!…イッカクモンでアタック!!その効果【超進化:青】を発揮させてイッカクモンをさらに完全体のズドモンに進化させますッ!!」

 

 

 

ー【ズドモン】LV3(3)BP14000

 

 

イッカクモンがゴマモン同様の光を纏って進化して行く。そしてそれを弾き飛ばし、新たに現れたのは頑丈な甲羅に加え、手に巨大な金槌を所持している青の完全体スピリット、ズドモンが現れた。

 

 

「おぉ!!青の完全体カッケェェェー!!!」

 

 

ローザのデッキのエースであろう完全体のスピリットが場に現れ、目を輝かせて興奮するアスラ。ローザはそんなアスラに対して「可愛いですわ〜」と呟きながらズドモンを始動させる………

 

 

「アタックステップは続行です!!……やっちゃってくださいズドモン!!」

「!!」

「その効果、【大粉砕】を発揮させますわ!!……相手のデッキの上からズドモンのLVの数1につき5枚破棄します!!」

「ん??……LVの数1につき??」

「今のズドモンのLVはイッカクモン[2]の効果で最大LVの3になってますので、3×5で合計15枚、アスラさんのデッキを破棄させてもらいますわ!!」

「じ、15枚ィィィー!?!」

 

 

ズドモンが手に持つ金槌を全力で地面に打ち付けると、その接地面から青い稲妻が迸り、アスラのデッキを襲う。アスラのデッキは一気に15枚もの数トラッシュへと送られてしまった。

 

この行為により、アスラはローザのデッキがライフを破壊せずに敵のデッキを破壊し、デッキアウトによる勝利を狙うタイプの青属性のデッキだと理解した。

 

 

「ローザのデッキは速攻デッキアウト。呑気にターン(また)いでると40枚そこそこのデッキなんて直ぐに消え去るわよ、アスラ……!」

 

 

エールがアスラに呟くように告げた。数あるデッキアウトのデッキの中でもローザのズドモンはデジタルスピリットなのもあってかなり足が速い。つまり、誰よりも素早くデッキ破壊を行える。キャピタルキャピタルで動きを制限されているアスラにとってこれ程厄介な敵はいないだろう…………

 

 

「さぁアスラさん!!【大粉砕】の追加効果です!!……破棄されたカードの中にバーストカード、「双翼乱舞」のカードがあるので、ドラゴンヘッドを破壊しますわ!!」

「っ!!」

 

 

ズドモンが一直線に走りながらアスラのドラゴンヘッドを金槌で叩き潰した。さらにその目先はアスラのライフへと向かって………

 

 

「そしてアタックは継続中ですわ!!」

「アタックはライフだ!!……っ!!」

 

 

 

〈ライフ5➡︎4〉アスラ

 

 

 

ズドモンはアスラのライフ1つを金槌で叩き壊した。

 

 

「ふふ、ターンエンド……ですわ!!」

手札:4

場:【ランマー・ゴレム】LV1

【ズドモン】LV2

【No.26キャピタルキャピタル】LV1

バースト:【有】

 

 

余裕の表情を浮かべながらローザはそのターンをエンドとした。次はアスラのターンだが、あのズドモンがある限り、長くターンは回って来ないだろう。

 

彼も小さい脳味噌でそう考えながらターンを開始する。

 

 

[ターン04]アスラ

 

 

 

「メインステップ!!……兎に角デッキがぶっ飛ぶ前に倒さねーと………オレは2体目のドラゴンヘッドをLV2で召喚!!…でもってバーストを伏せる!!」

 

 

 

ー【ドラゴンヘッド】LV2(2)BP2000

 

 

 

アスラの場に2体目のドラゴンヘッドが現れる。

 

 

「シャムシーザーのLVを下げてリザーブのコアを確保!!」

 

 

さらにアスラはローザのキャピタルキャピタルに与えられるアタック時のコストを確保すべく、シャムシーザーのLVを下げてリザーブにコアを置いた。

 

 

「アタックステップゥゥゥー!!!リザーブのコア2つを払ってドラゴンヘッドでアタック!!」

 

 

リザーブのコア2つを支払い、アスラはドラゴンヘッドでアタックを仕掛ける。

 

 

「ライフで受けますわ!!……っ」

 

 

〈ライフ4➡︎3〉ローザ

 

 

ドラゴンヘッドが上空から急降下し、ローザのライフ1つに噛み砕いた。だが、ここでもローザの伏せていたバーストが反応して………

 

 

「ライフ減少時のバースト発動!!アルティメットウォールですわ!!」

「!!」

「この効果でこのターンのアタックステップを終了させます!!」

 

 

気が遠くなる程の巨大な氷山の一角がアスラ達の前に立ち塞がる。その巨大な壁はアスラがこのターンを終了させるまでは絶対に消えず…………

 

 

「くっ!!……ターンエンドだ」

手札:2

場:【ドラゴンヘッド】LV2(2)BP2000(疲労)

【シャムシーザー】LV1(1)BP2000(回復)

バースト:【有】

 

 

致し方なくそのターンをエンドとしたアスラ。そしてその宣言と共に氷山の一角が消え失せると、再びローザのターンが幕を開ける………

 

 

[ターン05]ローザ

 

 

「メインステップ!!……バーストを伏せ、リザーブのコア全部を使ってズドモンのLVを最大の3に上げます!!」

 

 

ー【ズドモン】(3➡︎6)LV2➡︎3

 

 

前のターンはイッカクモン[2]の効果で最大LVになっていたズドモンが今度は正規の方法でそこまで到達した。これで大粉砕の効果が最大限に余すことなく発揮できる。

 

 

「アタックステップ!!…もう一度お願いします、ズドモン!!……そのアタック時効果、【大粉砕】!!またまたデッキを15枚破棄します!!」

「ぐっ!?……またデッキが………!?」

 

 

ズドモンが前のターンと同じ動作でアスラのデッキを吹き飛ばす。アスラの残りデッキ枚数はとうとう5枚を切った。

 

あと一撃でもズドモンがアタックして仕舞えばアスラのデッキは完全に消え去る…………

 

 

「さらに破棄カードの中にバーストカードがありますのでシャムシーザーを破壊しますわ!!」

「!!」

 

 

ズドモンがアスラの場のシャムシーザーを金槌で叩き潰す。だが、この破壊はアスラのバーストを輝かせる。

 

 

「待ってたぜその破壊!!バースト発動!!」

「!!……まさか」

 

 

アスラの口振りとその条件から咄嗟に何が伏せられているのかを察したローザ。しかしそれを止める術は無く、発動する。

 

 

「バースト効果で最もBPの低いランマー・ゴレムを破壊してコイツを……第二の龍騎を召喚する!!」

 

 

 

ー【仮面ライダー龍騎[2]】LV2(3)BP7000

 

 

 

「っ!!」

 

 

バーストが勢い良く反転したと共にローザの場のランマー・ゴレムが焼却される。そしてアスラの場にコラボダンジョンにて偶然見つけてそのままデッキに宿った第二の龍騎が現れた………

 

普通の龍騎との違いは最初から柳葉型の剣を備えている点だ。

 

 

「来ましたわね……第二の龍騎………」

「あっ……そう言えばこれ、コラボダンジョンのカード………オレが持ってて大丈夫だったか!?」

 

 

コラボダンジョンい行ったのは飽くまでも捜索。カードや財宝を得るために行ったわけではない。偶然とは言え、デッキにその重要遺物が宿ってしまった事に対して、アスラはどこか罪悪感を常々募らせていた。

 

 

「はい!!私からも報告しましたし、何よりそれはアスラさんの龍騎と同名のカード、何もアスラさんが引目を感じる事はありませんよ」

「おぉ!!そっか!!ありがとなローザ!!」

 

 

その点に関してローザはしっかりと対処していた。アスラは明るい様子でローザに感謝した。

 

………しかし……

 

 

「はい!!どういたしまして!!………ですが……このバトルの勝利は差し上げませんわ〜」

「っ!?」

 

 

アスラはローザから悪寒を感じ取った。それは彼女のこのターンで決めるという熱意が伝わって来る凄まじい気迫………

 

 

「フラッシュマジック、爆砕轟神掌!!……ズドモンを回復させて、このターンの間そのLVを1つ上のモノとします!!」

 

 

 

ー【ズドモン】(疲労➡︎回復)

 

 

 

「なにぃ!?…回復!?」

 

 

ローザが手札から発揮させたマジックにより、ズドモンが回復状態となる。これは完全に予想外だった。これではライフは残ってもデッキがこのターンだけで粉砕される………

 

だが、それを止める手が、アスラにはあった…………

 

彼は反射的にそれを使用する………

 

 

「くっ……フラッシュマジック、ファイアーウォール!!」

「!!」

 

「この効果で赤のスピリット、ドラゴンヘッドを破壊して、アタックステップを終了させる!!」

 

 

ドラゴンヘッドが赤き炎により焼却される。

 

 

「そのアタックはライフだ!!……っ!!」

 

 

 

〈ライフ4➡︎3〉アスラ

 

 

ズドモンが手に握りしめた金槌でアスラのライフを叩き壊した。

 

だが、その直後、ドラゴンヘッドを焼き尽くしたその炎が山の如き壁を形成。ズドモンの行手を阻んで見せた………

 

 

「よし!!アスラもウォール系マジックでローザのターンを凌いだわ!!」

 

 

ローザの怒涛のデッキ破壊を凌いだアスラに対して、エールも嬉しそうに喜んだ表情を見せる。

 

 

「っしゃぁ!!どうだァァァー!!!」

 

「ふふ、やりますわねアスラさん!!……ですが、次で決められなかったら正真正銘……デッキアウトですわよ?………ターンエンド」

手札:2

場:【ズドモン】LV2

【No.26キャピタルキャピタル】LV2

バースト:【有】

 

 

だが、それでも余裕のあるローザ。

 

それもそのはず、何せ、アスラのデッキは既にデッキアウト寸前な上に、防ぎようのないキャピタルキャピタル。それに加え、現在伏せているバーストカードは…………

 

………さっきも使って見せた『アルティメットウォール』………

 

 

(……このバトル……どう転がっても私の勝ちですわ!!……アスラさんには悪いですけど、また出直して来てもらいます!!)

 

 

ローザの内に秘めていた想いは絶対的な勝利の確信。

 

だが…………

 

 

「じゃあ次で決めるッ!!……オレはロンに追いついて……いや追い越して頂点王にならねーと行けねーからなッッ!!」

「!!」

 

 

強気に宣言するアスラに、思わずローザは無理だと思ってしまった。

 

それもそうだ。この状況、どう見ても敵うわけがない。だが、不思議とその考えたほぼ同時に「この方ならもしかして………」とも思ってしまった………

 

それはあの複数のライダースピリットを入れたデッキを操っていた男に死ぬ気で勝って見せたアスラだからこそ、芽生えた微かな感情…………

 

そしてアスラは残り少ないデッキと共にターンシークエンスを進行する。

 

 

 

[ターン06]アスラ

 

 

 

「メインステップ!!……行くぜローザ!!…オレは仮面ライダー龍騎をLV2で召喚!!」

 

 

ー【仮面ライダー龍騎】LV2(2)BP4000

 

 

「っ!?……最初の龍騎!!」

 

 

アスラは最初に手に入れたコスト3の龍騎を召喚した。

 

これで新旧………2体の龍騎が揃い踏みとなる。

 

 

「………ですが、忘れましたかアスラさん!!キャピタルキャピタルがある限り、アタックする回数は限られますわ!!」

 

 

そう………

 

如何に強力な効果を備えているライダースピリットと言えども、キャピタルキャピタルの効果は及ぶ………

 

しかし…………

 

 

「ローザ、オマエこそ忘れてんじゃねーか??」

「!?」

 

「オレのデッキは『赤』………ネクサス破壊が一番得意な色属性なんだぜ!!……マジック、バスターランス!!」

「なっ!?」

「この効果によりネクサス1つを破壊する!!……オレは………」

 

 

アスラのそばに彼よりも大きな槍が突き刺さる。アスラはそれを引き抜いて、槍投げの如く構えて見せて…………

 

 

「キャピタルキャピタルを破壊だァァァー!!!」

 

 

ローザの背後に聳え立つキャピタルキャピタルの方へとそれをぶん投げた………

 

その槍は炎を纏い、さらに勢いも増していき…………

 

空に浮かぶ孤島……キャピタルキャピタルを………貫き、焼き尽くした…………

 

 

「追加効果で2枚ドロー!!……っしゃぁ!!これで足枷は消えたぜ!!アタックステップ!!第一の龍騎でアタックだァァァー!!!」

「!!」

 

 

勢い付いたアスラが第一の龍騎でアタックを行う。ローザは咄嗟に問題無いと思考を切り替えた。

 

何故なら、今伏せているバーストカードはアタックステップを終了できるウォール系マジック、『アルティメットウォール』なのだから………

 

 

「フラッシュマジック!!…ファイナルベント!!」

「!!」

「この効果によりBP15000以下のズドモンを破壊だ!!」

 

 

アスラが手札から勢い良く引き抜いて使用してきたのは最強のアドベントカードであるファイルベントのカード。それはバスターランスの効果で引き当てて見せた起死回生の一手だ。

 

第一の龍騎が腰のベルトからカードを1枚引き抜き、左手のバイザーにそれを装填…………

 

………『ファイナルベント』!!

 

と、無機質な音声が流れた……

 

龍騎の背後に赤き龍が身体を唸らせ、咆哮を上げながら現れる。龍騎はそれと共に上空を跳び上がる。そしてそのまま赤き龍の火炎弾に背中を押されながらズドモン目掛けて跳び蹴りをぶちかました。ズドモンはその跳び蹴りに貫かれ、堪らず爆発四散してしまう。

 

 

「ズドモンが!?……っ、ですが、デッキ破壊のカードはこれだけではありませんわ!!…次のターンで………」

「関係ねェェェー!!このターンで勝つ!!……ファイナルベントのさらなる効果で龍騎にシンボル1つを追加!!ダブルシンボルになる!!」

 

 

着地した龍騎がアスラの叫びと共にローザのライフを狙うべく走り出した。

 

 

「ライフで受けますわ!!……っ!!」

 

 

 

〈ライフ3➡︎1〉ローザ

 

 

龍騎がローザのライフを殴りつけ、それを一気に2つ破壊して見せる………彼女のライフはとうとう残り1つ…………

 

だが、これはローザの伏せたバーストカードの発動条件でもあり………

 

 

「っしゃぁ!!残りライフ1!!」

「素晴らしい快進撃ですわアスラさん…………ですがそれもここまで、ライフ減少によりバースト発動!!……2枚目のアルティメットウォール!!」

「!!」

「効果により、アタックステップを強制終了!!……これで私の勝ちですわ!!」

 

 

ローザのバーストカードが反転すると共に再び氷山の一角がアスラのスピリットを……龍騎達の道を阻む…………

 

………しかし………

 

 

「………へ??」

 

 

目の前の氷山の一角………氷の壁………

 

アスラだけでなく、当然ながらローザの目の前にも見えるわけだが…………

 

龍騎がファイナルベントで呼び出した赤き龍がそれを突進で粉々に砕て見せた。ローザはその光景に思わず目を丸くしてしまい…………

 

 

「い、いったい何が………!?」

「へへ、ファイナルベントの効果!!……このバトルの間、相手はアタックステップを終了できない!!……つまりアルティメットウォールの効果は無効って事だァァァー!!!」

「ッ……そんな!?」

「オレと龍騎に不可能は無い!!」

 

 

ここに来て勝利への絶対的な確信があったローザの様子は一変。このバトル、自分が敗北してしまう事を悟る。

 

天才的な若きカラーリーダーも、まさかあの状況をひっくり返されるとは思ってもいなかったに違いない。

 

 

「トドメだ、決めろ……第二の龍騎!!」

 

 

アスラの指示により、第二の龍騎が柳葉型の剣を手に握り、地を駆けた。狙いは当然ローザのライフ…………

 

そして…………

 

 

「凄い!!お見事ですわ!!これが!!これがソウルコアの使えないアスラさんのバトル!!……………ライフで受けます!!」

 

 

 

〈ライフ1➡︎0〉ローザ

 

 

刹那。

 

第二の龍騎の振るった横一線の太刀筋が、アスラを称賛していたローザの最後のライフを斬り裂いた……………

 

 

………ピー…

 

 

「っしゃぁァァァー!!!」

 

 

ローザのBパッドから彼女の敗北を告げる音声が鳴り響く。アスラはそれを聞くなり思わずガッツポーズをして見せる………

 

アスラはこの国のカラーリーダー、そして尚且つエックスであるローザ・アルファに勝利を収めたのだった……………

 

 

ー…

 

 

「アスラさん、おめでとうございます!!……これは私の持つカラーカード『ブルーカード』です!!」

「おぉぉぉぉ!!サンキューローザ!!これで2枚目!!残り4枚だ!!」

「まさかあそこから逆転されるだなんて、アスラさんの底知れない力が身に染みましたわ〜」

「おうよ!!良いバトルだったな!!」

 

 

バトルが終わり一段落したところで、ローザはアスラに自分の勝利した証である『ブルーカード』を贈呈した。アスラはそれを受け取るなり、飛び跳ねて喜んで見せた。

 

 

「よし!!んじゃエール、次の町行くか!」

「切替早!?……少しは休んで行きなさいよチビスラ!!」

「誰がチビだァァァー!?」

「ふふ……」

 

 

アスラとエールのいつものやり取りに、ローザは思わず微笑むと、手を曲げてアスラを呼び出し、「耳を貸してください」と告げると………

 

 

「アスラさん。今後もできる限りでいいですのでエールさんのそばにいてあげてくださいね!!…エールさん、アスラさんといるとすごく楽しそうですので!!」

「えぇ!?…そうか??……まぁいいや、おうよ!!任せとけ!!」

「………ちょっと、アンタ達何こそこそ話してんのよ!!」

 

 

ボソッとアスラにその事を伝えた。

 

アスラは未だにエールが落ちこぼれという理由だけで家族からも蔑んだ目で見られている事を知らない。だが、その事を知っているローザだからこそ、エールの明らかな変わりようを理解していて…………

 

そして、それもこれもアスラのお陰だと言うこともわかっている。まぁ、当の本人には自覚なんて絶対に無いだろうが………

 

 

「エールさんは早く究極進化できるようになってくださいね!!」

「ぐっ!?……言われなくてもやってやるわよ!!」

 

 

天然な様子でエールに失礼な言葉を浴びせるローザ。エールは思わず顔を赤くして強気に宣言してしまう。

 

 

「よし!!……待ってろよロン!!……必ず追いついてやるぜェェェー!!!」

 

 

一段と気合を入れたアスラは今も自分より前の道を進んでいくロンに対してそう叫ぶのだった…………

 

だがしかし、アスラのその雄叫びの腰を折るかのように、いや、どちらかと言えば旅路の腰を折るかのように……が的確か………

 

ローザが何かを思い出し、ニコニコと笑いながら彼らに告げた。

 

 

「あっそうそう、アスラさんとエールさんは一度「オウドウ都に戻れ」との御達しが届いていますわよ〜」

「………え?」

 

 

オウドウ都………

 

アスラも一度は訪れた国の中心部且つ最大都市であるが、ローザは何故か今回のコラボダンジョン捜索の報告書を提出した際に、その事を伝えるように言われていて…………

 

 

「なんでだァァァー!!次の街までめっちゃ遠回りじゃねぇか!?」

「えぇっと……おそらく今回のコラボダンジョン捜索の件でお話を伺いたいのだと思いますわ……(わたくし)は役職上ここを離れられないですし」

 

 

別にこれまで来た長い道のりに沿って戻る必要は無い。カラーリーダーの住う6つの町はどれもオウドウ都の周辺にあるからである。そのため、このナミラ町から直接オウドウ都に向かう事は可能。

 

しかし、それでもかなり道のりが長引く事になるのはアスラの小さい脳味噌でも安易に想像ができて………

 

 

「………『御達し』って誰からなの?」

 

 

エールがローザにその事をわざわざ彼女に命令した人物の事を聞いた。

 

ただ、エールはこの時点で何となく察していた。

 

この国において………

 

カラーリーダーに、しかも身分がエックスであるローザに命令ができる人間なんて………

 

最早あの「4人」以外では考えられない…………

 

 

「はい!!三王の方々と現・頂点王のシイナ・メザ様からです!!」

「えぇぇぇえ!?」

「むえぇぇぇぇぇぇぇええ!!!」⬅︎便乗

「………」

 

 

そう。この国において最高の立場である「三王」と「頂点王」をおいて他は無いだろう。

 

ローザが笑いながら告げて来た報告に、驚愕して声を荒げるアスラ。そしてそれを面白がって同じように鳴き声を上げるムエ。

 

1人と1匹が騒がしい中、エールはただ1人焦るように汗を流し、黙り込んでいた………その様子はまるで何かに怯えているかのようであり…………

 

 

「マジ!?シイナに会えんの!!」

「はい!!…ホントはロンさんも来るように言われたのですが、その前に旅路を再開なされてしまって」

「あのイケメン天才ヤロー、もうちょっと待ってたらシイナに会えたのに……もったいねー」

「むえー」⬅︎せやな

 

 

アスラが喜び過ぎて興奮してしまうのも無理はない。

 

何せ、育ての親と呼べるに等しいあのシイナ・メザに約10年ぶりの再会ができるのだから………

 

 

「…………」

「あの……エールさん?」

「っ!!」

 

 

何かに怯えている様子のエールに、ローザが声をかけた。

 

 

「無理してオウドウ都に帰る必要はありませんわ………」

「い、いいわよ!!別に気を使わなくたって……私も呼ばれたんでしょ?……ならこのバカスラと行ってあげるわよ!!」

「………??」

 

 

エールとローザのこのやり取りは………

 

正直今のアスラではさっぱりわからなかった…………

 

だが、オウドウ都に帰ったら直ぐにわかる事になる…………

 

エールが抱え込んでいるその内容も…………

 

彼女の家族の事も全部……………

 

 

 

 

******

 

 

 

「オイオイイ!!随分とボロボロじゃねぇかトゥエンティ!!珍しいな!!」

「………」

「ハッ!!……無口なのは変わんねぇのな!!」

 

 

荒れ果てた荒廃。

 

これでもかと倒壊した瓦礫の山。本来ならば人1人の気配すら感じ得ないこの場所にて、コラボダンジョンでアスラ達と激闘を繰り広げた青年「トゥエンティ」はいた。

 

だが、それだけではない。筋肉質な男性もそこにはいて………おそらくちょび髭シルクハットの男同様、彼に関連する人物なのだろう………

 

 

「でよ!!誰にやられたんだぁ!?……まさかライダースピリット使いか??」

 

 

筋肉質な男は、まるでトゥエンティを小馬鹿にするようなニュアンスで語りかけてきた。トゥエンティは変わらず硬い表情を崩さないまま………

 

 

「………道端で転んだ」

「ガハハハハハ!!!な訳ねぇだろ!!……オマエも冗談言うんだな!!」

 

 

トゥエンティがついた嘘に、男性は思わずゲラゲラと笑い出した。

 

 

「トゥエンティィィィ〜!!オレは『ライダーハンターズ』No.1のオマエを超えたいわけ??この意味わかる??」

「………」

 

 

男の声から『ライダーハンターズ』と言う聞き慣れない単語が飛び出してくる。おそらくは彼らの組織の名称なのだろう………

 

 

「………知らん……オレはライダースピリットを『20枚』集めるだけだ………」

「あっ……そう」

 

 

トゥエンティはそう告げると、男の元を去って行った。

 

 

(………そうだオレは……)

 

 

…………オレは必ず20枚のライダースピリットを集めて……

 

………恋人を………

 

………カナの病気を治す!!

 

 

去り際、トゥエンティは内心で自分の覚悟を改めて思い直した。クールな外見とは裏腹にその内には真に熱い感情が確かに詰まっていた…………

 

『ライダーハンターズ』………

 

それは今後もアスラとロンの目の前に幾度と無く、厄介極まりない壁として立ち塞がって来る事であろう…………

 

 

 

「………ガハハハハハ!!!……相変わらずクールだね〜……まぁいいや。あのトゥエンティを倒す程のバトラー…………俄然興味が湧いて来たぜ〜………(そそ)るなぁ〜……」

 

 

………オマエもそうだろ??

 

 

「………王蛇!!」

 

 

筋肉質な男性は去り際のトゥエンティの背中を目に移しながら己のカードを手に握った。そのカードの名は「仮面ライダー王蛇」………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




《オマケストーリーズ!!》

【療養】

コラボダンジョンでのトゥエンティとの激闘により傷ついたアスラとロンは3日の間ナミラ町の病院のベッドで体を休ませていた。

「いや〜にしたって入院って暇だな〜……なぁロン!!暇潰しにしりとりでもしねぇか??」
「やらない」
「龍騎の「き」からな!!」
「だからやらない」
「あっ「ぎ」からでもいいタイプな!!」
「…………キツツキ」
「出た!!同じ文字を繰り返してイジメるクソ戦法!!」

結局アスラに乗せられて結局しりとりを始めてしまうロン。この後10回くらいアスラに「き」を回した。

特に面白いオチがあるわけでもないため、

これにて今回のオマケストーリーズ

終了…………






******

《キャラクタープロフィール》
【ローザ・アルファ】
性別:女
年齢:15歳
身長:159cm
身分:エックス
使用デッキ:『ズドモン』
好きなモノ:スイーツ、カワイイモノ
概要:エックスの1つ「アルファ家」の少女。15の若さにして青のカラーリーダーを任される程の実力者だが、超が付く程のド天然。しかしその性格もあってか、身分が高い者に見られるコモンやレアを蔑む様子は一切無い。

《用語設定》
【仮面ライダー龍騎】
ライダースピリットの1種。BPはそれほどでも無いが、「アドベントカード」と言う特殊なマジックカードで柔軟に対応するタイプ。最初からあった第一の龍騎とコラボダンジョンでムエが拾ってきた第二の龍騎が存在する。ソウルコアが使えないアスラに宿った事も含めてトータル的に他のライダースピリットよりも異端さが目立つ。




******


最後までお読みくださり、ありがとうございました!

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