終わりからの始まり   作:神信陸

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前書いていたこれの素になった話が行き詰まった(思い付いた設定が破綻しまくっていた)のでリメイクすることしました。
最近アニメ見返していてアニオリのある所を見て「あ、こここうしたらいいじゃん」と思ったのですがすぐ気付きました。それやったら設定が破綻すると。
そこ関係なく破綻していた部分もあったのですが。
なんかもう恥ずかしかったので消したかったんですけど戒めとして残したくもあったのでこうしました。
前作を読んでいた方も初めての方も稚拙な文ではございますがお付き合いのほどお願いします。


X793年

 簡素な造りの小屋の一室。

 開いた窓から入ってくる陽光は室内を照らし、風は住人たちの頬を撫で髪を揺らした。

 この数ヶ月の間で目に掛かる程に伸びた髪を見て、切るべきかと前髪を一房摘まんで考える。

 考えついでにベッドで眠る彼を撫でたりして遊ぶ。

 けれど彼は眠り続ける。

 寝息は乱れることなく一定のペースを保ち続けていて一貫して穏やかだ。

 

 ゆっくりと休んでほしい。けど、早く目を覚ましてほしい。

 

 矛盾した考え。

 けれどどっちも私にとっては重要だ。

 目を覚ましたら彼はきっと、いや絶対に無茶をする。目的の為なら自分の命だって簡単に投げ出す。そんな男なんだから。

 

 何でも出来る天才で、何にも気付けない阿呆で。

 一途で、一途すぎて無鉄砲を繰り返す。

 人の心配なんてどこ吹く風で。

 頼んでもいないお節介を焼いて。

 自分のことを(ないがし)ろにして。

 挙げ句の果てには一度死んだ男。

 

 無理なことをやり遂げて、無茶なことを繰り返して、無謀なことに突っ込んでいく。

 

 心臓で、尻尾で、罪で。

 悪魔で、妖精で、魔女で。

 終わりすぎる程に終わっていて。

 足掻いて、藻掻いて、苦労して。

 行き着いた現在は意識不明。

 

 辛い。

 二十余年。彼は生きたその年月の大半を私の為に注いだと、そう言っていた。

 より正確に、厳密には半分違うと笑っていたけれど、だとしても彼の無謀さの元凶が私なんだと思うと、やっぱり辛い。

 こんな考え、彼は知ったら確実に自分を責めるので彼には告げず、墓まで持っていかないと。

 もうこれ以上、彼に重荷を背負わせたくない。

 

 ──守るなんて死んどいことさせたくない

 

 ──仲間を守るのが当然なら、オレはアイツを仲間にはしない

 

 ──守られるなんて死んでもゴメンだ

 

 そう、言っていた。

 けれど。

 けれど、現在(いま)は──これからは守らせてほしい。

 嫌ってもいい。

 軽蔑してもいい。

 見放してもいい。

 でも、

 

「守らせて」

 

 昔の貴方がそうしたかったように。

 今まで貴方がそうしてきたように。

 恩を返したいから。

 対等になりたいから。

 頼られたいから。

 

 貴方のことが──好きだから。

 

 だから私は貴方の為に生きる。

 それが私のやりたいこと。

 貴方の生き甲斐が私を守ることなら、私の生き甲斐は貴方を守ること。

 

 きっと貴方は怒るでしょうね。

 怒って、睨んで、「ふざけるな」とでも言うのかしら。

 そう言ってきたらなんて返そうか。

 「貴方には言われたくない」と言うか。いや、いっそのことキスでもして黙らせてから無理矢理納得させようか。

 考えたら胸が踊る。

 

 だから、

 

「早く身体を治して目を覚ましてね」

 

 貴方を待ってる多くの人たちの為に。

 そして何より私の為に。

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