主人公に勝てなくても幸せにはなったオリ主 作:ヅダはISなんぞに劣る筈がない!!
「「舞い上がっれ〜舞い上がっれ〜舞い上がっれ〜♪白式ぃ〜♪」」
「君よ〜♪」
「はしれ〜♪」
「まだ勝利を求める〜♪闘志があるなら〜♪」
「ひかりのーつるぎで〜♪」
「「勝てよ♪勝てよ♪勝てよ〜♪」」
「しろい〜つばさで〜♪宇宙(そら)へ〜♪びゃくしぃ〜き〜♪」
「インフィニット〜♪ストラトぉス~♪白式ぃ♪白式っ!!♪」
「のほほんさんとラウラは何を歌ってるんだ?」
「おりむー知らないの?クラス代表を決める試合でおりむーがセッシーと戦ってる時にあっきーが歌ってた応援歌『跳べ!白式』だよ?」
「本音さんがハミングしていたから曲を教えてもらうついでに歌ってたのだ。」
「そうなんだ…全然知らなかった。」
「学園の流行歌だぞ?遅れてるな一夏。」
「中学の頃から思ってたけど、秋十はさぁ…お兄ちゃん好き過ぎじゃない…?」
「気にするな鈴、秋十の奴は小学校の頃からライバルポジ気取りな癖してそんな感じだったからな。」
シャルの一件も一段落して俺は秋十が改造してくれた白式の訓練を…あぁそうそう、秋十はIS委員会直属のパイロットであり、そこそこIS開発もできるので「すいません、消防署『の方』から来たんですけど」みたいな感じで色々口出しできる立場を手に入れたらしく、秋十がIS委員会を通して倉持技研へ
『近接武器だけのISで一夏を野放しにすると収集できるデータが偏るのでは』
という懸念の声があり、結果、秋十ちゃんが定期的に俺の白式用に新兵装を開発してくれるようになった。
しかし秋十ちゃんはなんだか格闘専用機のことがキライみたいで、いつもいつも不愛想にビックリドッキリメカばっかりお出して、お予算足りない足りないなのだった。
……話は戻すけど秋十がやっと真面目に作ってくれた白式用の射撃兵装が…「右腕部内蔵二連装グレネードランチャー(単発)、左肩部サブアームシールド+内蔵マシンガン、両脚部補助スラスター兼用荷電粒子砲」とガンダムで例えると白式にZガンダムの右腕、ザクウォーリアのシールド(裏側にマシンガンポン付け)、リバウのフレキシブル・ビーム・ガン追加………剣1本の白式があっという間に重武装になったわけだ……え?イコライザが無いのにどうやって武装を追加したか?……あぁ、元々あった装甲を全部剥がして、武装を取り付けて、それに合わせて装甲を貼り直して白式の外装パーツとして登録し直したんだとか。元々パワーも推進力も高い白式だからこそ元々の性能はほとんど落とさずにここまで豊富な武装を実現させたんだとか。…欠点としてはどの武装も弾切れしたらパーツ丸ごと取り外さないと補給できないらしい……。
整備性悪くないか?…簪さんにまた色々教えてもらわないとなぁ…。
とか考えてたら俺に影がさしてきた…物理的に。
「よう兄貴!敗北の苦渋を味わう準備はできたか?」
「ごめんね一夏、今大丈夫かな?」
IS学園ベストバカップル賞で前大会優勝の代表候補生カップルにトリプルスコアを決めて優勝した日仏コンビがやってきた…いや、シャルの方は覗き込むように顔を出してなきゃ分からなかったけど…。
ちなみにシャルと呼んでるのは本人が女子として転入したときに『これからは気軽にシャルって呼んでください』とクラスのみんなに言ってたからそう呼んでる。…誰に言い訳してるんだろ俺。
「なぁ秋十。俺にはお前がMGSPWのコクーンのAIポッドを丸ごとISの上半身に付け替えたような機体に乗ってるように見えるんだけど…。」
「良くぞ聞いてくれた!これが本来兄貴に渡す予定だった白式用射撃兵装『分離合体式単独要塞:一夜城』だ!どうだ!でっかいだろ?」
「宇宙服の筈のISがなんでガソリンの臭いガンガン吐きながらキャタピラ駆動してるんだよ…え?今それ白式用の装備って言わなかった?」
「おう!白式そのものを脱出装置に見立てて、超火力、重装甲、オールレンジを実現した夢のようなISだぜ!どうだ凄いだろ?」
「そりゃ自動操縦のミサイルだのガトリング砲だの沢山積んでおけばオールレンジ(笑)って言えるかもしれないけど、アリーナの6割がお前のISで埋めつくされてるんだけど…。」
「ちなみにこれの最高速度は時速20kmだよ。」
「原チャリより遅いIS初めて見た…。」
これキャタピラで移動してるって事は飛べないんだよな……原チャリ以下の速度でキャタピラで縦横大型トラック数台分のスペースないと動けないISを俺に渡すつもりだったのかコイツ。
「ま、完成が遅れに遅れたから兄貴に渡すことなく試作機作っただけで計画が凍結されたんだけどさ。」
少なくともこんなもん完成させるまでの予算は降りてたのか…。
「そんなわけでこいつの試運転ついでに兄貴!!お前を倒して俺が織斑家のニューリーダーになってやるぜ!あ、ハニーは危ないから下がっててね♡」
「わかったよダーリン♡、愛情たっぷり込めて応援するから頑張ってね!」
「うん!ハニー宇宙で1番大好き!!…さぁ!来いッッ!!」
(BGM:水○奈々『恋の抑止○』)
結果から言えば秋十の惨敗だった。秋十の機体は90度旋回するのに1分かかるし自動操縦のミサイルもガトリング砲もISで振り切れるIS登場前の兵器の使い回しだしついでに脱出装置とコクピットを兼ねてるIS本体は上半身が無防備でむき出しの超ポンコツだったのだ。
だが秋十はすぐさまガトリング砲を手動に切り替えては自分で発射したミサイルを撃ち落とすことで白式を爆風に巻き込もうとしたりミサイルをばらまいて足止めに使う事に専念してはガトリング砲を当ててきたり、IS自体もアサルトライフルとバズーカを装備して近づかれてもある程度戦えるようにとスピード自慢の白式への対策を思いついては使いこなしてみせた……だが、巨大すぎる機体は1度近づかれるとどの武装もガトリング砲では近すぎて攻撃できずミサイルは避けられる上に自分自身に直撃する……ぶっちゃけそれに気づいてはガトリング砲とIS本体の武器の射線が届かない足元で零落白夜をチクチクするだけで勝てた。
そもそも相手が近づけば全力で逃げ回り、距離を取ろうとすれば追いかけ回して射撃兵装でガンガン削る感じの一撃離脱戦法モドキが得意な秋十に鈍足すぎる機体は罰ゲームだと思う。
「こ、これで勝ったと思うなよ!やーい!お前のIS学園初の男友達女の子ーっ!」
「なんだと!やーい!お前の彼女……ぱ、パリジェンヌー!」
「どっちも僕の事だよね!?あと一夏は思いつかないなら無理に捻りださなくていいから!」
「その時たまたまグラサン外してノースリーブ脱いでたから気づかなかったんだと思うんだ。……だから生徒会長に言ってやったよ。『あの…俺、秋十ですけど?』ってさ。」
「確かにあっきーって、声も見た目もおりむーと瓜二つだもんね〜。ひょっとしてサングラス付けてるのっておりむーと見分けつくように?」
「その通り、だから織斑先生は俺がグラサン付けてても何も言わないってわけ。」
「いやいや、流石に織斑先生は見分けついてるでしょ?」
「…………兄弟二人揃って風邪引いてさ…途中トイレ行って戻ってきた時に兄貴もトイレに行ってさ、怠くて自分の布団じゃなくて近くの兄貴が寝てた布団に入ったんだよ……そしたら台所からお粥を持ってきた姉ちゃんが『ほら一夏、食欲はあるか?これだけでも食べておけ。』って俺に…。」
「えぇ……。」
タッグトーナメントに備えて俺と箒はセシリアと鈴のペアを相手にラウラ指導の元で連携を意識した戦い方を練習していた、その時またあいつが来た。
「よう兄貴!優勝は俺とハニーが頂くからな!」
「ダーリン、素直に一緒に訓練したいって言えば?一夏達なら普通にOKしてくれるよ?」
「あぁ…大丈夫よシャル、秋十のそれは『ただ構って欲しいだけだから』って一夏と千冬さんからみんな聞いてるから。まぁあたしは中学の頃から知ってたけどさ。」
「ち、ちげぇし!俺は兄貴を倒してどちらが上かハッキリさせてぇんだよ!!」
「専用機持ちでもない私が言うもの何だが何回も負けたり引き分けでも機体が大破してたりと散々ではないか、お前の戦績は。」
「うっさい!と、とにかく!この束さんの無人機の残骸をガメて作った『ゴーレム・リペアカスタム』で全員けちょんけちょんにしてやるからな!!」
「そのジオングとギャン・バルカンのミキシングプラモみたいなISあの無人機ベースなのか…。」
「今ガメたって言わなかったか…?お前まさか学園の押収品の無人機をそのままベース機に使ったのか!?」
「大丈夫大丈夫、俺はIS学園より上の立場の『IS委員会直属』のテストパイロットだから。それより見ろよこのブルー・ティアーズの残骸パーツから解析したデータを元に作った有線ビット、両腕が文字通りジオングになってるんだよね。両肩のビームバルカンは発射速度と射程範囲を従来の機体装備より向上してるし…いやぁ、俺の才能が怖いわぁ~。」
「凄いよダーリン!あんなボロボロのスクラップと整備科が廃棄したジャンク品でIS作っちゃうなんて、学園の物を無許可で使う所は控えて欲しいけど技術は本当に尊敬しちゃうよ!」
「いやぁ、ハニーに褒められると照れるなぁ……というわけで!タッグトーナメント覚えてろよ!!」
「何しに来たんだあいつは…。」
結果から言えば秋十はトーナメント前日に出場禁止処分になった、やっぱり無人機の残骸を勝手に使ったのがいけなかったらしい。出場禁止だけでお咎め無しなのは秋十が遠隔操作と無人操縦可能な部分を完全に破壊していたから『テロリストに奪われる前に無人機を破壊処分した。』というお粗末な言い訳が通ったとの話だが俺は生徒指導室で仁王立ちする千冬姉に土下座する秋十とIS委員会のお偉いさんを見てしまったから多分千冬姉がブリュンヒルデ的なアレで秋十を庇ってくれたんだと思う。
ちなみに優勝したのは普段の訓練の成果を余すことなく発揮した箒と軍人としての経験と千冬の指導をみっちり受けた事で自他共に認める実力を持つラウラのペアだった。
元々抽選で相方を決めるつもりだった俺は秋十と組めなくて意気消沈したシャルと組むことになったんだが……初戦の相手が山田先生にボロ負けしてから訓練しまくって息ぴったりのセシリア&鈴のペア…即席チームの俺達じゃ勝てなかったよ。
「それで裸エプロンの簪さんに似てる女の人がいてさ、びっくりしてつい…『俺、秋十だけど…?』って言ったらなんかショック受けた顔して帰っちゃったんだよな。」
「ドアを開けたら裸エプロンって……そういや兄貴、優勝した篠ノ之さんがなんか兄貴を屋上に呼び出してたけど何かあったの?」
「あぁ、実はトーナメント前に『優勝したら付き合ってくれ。』って言われててさ、今度の休み箒と2人で遊園地行くことにしたんだ。」
「へぇ…可哀想に。」
「……………何が?」
「はい…はい…それが…転んだ拍子にすっぽり入ったと言ってまして…。冗談ではなくて…いえ、娘はお風呂上がりにファイト一発決めるつもりだったと言ってます……はい…やろうとはしたんですけど…奥まで入り込んで…はい、お願いします…。」
「束様、救急車がサイレン鳴らして来てくれるそうですよ。」
「何もしてない…束さん何もしてないのに…うぅ…あんまりだぁ…。」
「娘が久しぶりに家に帰って来たかと思ったら風呂場で悶絶してる……あと私のコーヒー牛乳が見当たらないんだが…。」