ロクでなし魔術師たちの奇妙な冒険   作:焼き餃子・改

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第十九話 「小さな『決意』で大きな罪を犯す」

 ジョレンがルミアについていく中、ルミアはどんどん人気のない方に進んでいく。元々、魔術競技祭中で学院内は閑散としているが、それでも教職員だとか、参加も観戦もしていない四年次生などはほんの少し見かけたからだ。

 そして、学院敷地の南西端、学院を覆う鉄柵のかたわら、等間隔に植えられた木々の木陰に背を預けたルミアを見て、ジョレンも同じようにその隣に背を預けた。

 ここに来て、ジョレンは自分が勢いだけでルミアに話しかけてしまって、具体的に何を離したらいいのか何も考えていないことに気づいた。

 ルミアの方も、ジョレンの方から話しかけてくるのを待っているのか、何も言ってはこなかったが、不意に首に鎖を離し、衣服の下から何かを取り出した。

 

「それは……? ロケットか?」

 

 ルミアが取り出したのは簡素な作りをしたロケット・ペンダントで、ジョレンが見ている中でルミアはロケットの蓋を開けて見せる。しかし、その中には何も入っていない。空っぽだった。

 

「……昔は、誰か大事な人たちの肖像画が入っていたような気がするんだけど……いつの間にかなくなっちゃってて」

 

 それを聞いて、沈黙してしまうジョレンの隣で、それを握りしめた。

 

「これ自体、特に価値のあるものでもないのに……変だよね、こんなものを今でも大事に肌身離さず持ち歩いているなんて」

「そんなことはないと思う」

 

 ルミアの言葉に対して、ジョレンは即答していた。

 

「その中身を失くした経緯はよく知らないけど……今でも大事なものが詰まってるんじゃないのか?」

 

 そう言いながら、ジョレンは無意識に鉄球を握りしめていた。

 その様子を見たルミアは少し驚いたようにしてから、意を決したように。

 

「……レン君は私と女王陛下の関係について知ってるんだよね?」

「うん、あの事件の後に、政府上層部の人から」

 

 また、二人の間に沈黙が流れる。二人の髪が風にたなびき、一瞬だけジョレンの視界を塞いで。

 

「……結局さ……ルミアは女王陛下のことをどう思ってるんだ?」

「え……?」

 

 その少しの間に、ジョレンは思い切って言いたいことをぶつけ―――風が収まり、髪が降りた時、ジョレンの視界に入ったルミアの表情は―――とても寂し気なようで、困惑しているようで。それでも、ゆっくりと口を開き、静かに話し始め。

 

「……どう、なのかな……陛下が私を捨てた理由……分かるんだ。王室のために、国の未来のためにやらなければならない必要なことだったって。それでも……私は心のどこかで陛下を許せなかった……怒っているんだと思う」

「じゃあ、文句の一つも言いたいのか?」

「それもあるんだと思う、けど……あの人を再び母と呼びたい、抱きしめてもらいたい……そんな思いも、どこかにあるの……ずるい、よね……私」

「そんなこと……ないだろ」

 

 そんなジョレンの否定の言葉に、一瞬ルミアの言葉が止まるが―――すぐにまた言葉を連ねて。

 

「でも、あの人を母って呼んだら、私を引き取って、本当の両親のように私を愛してくれたシスティのお母様とお父様を裏切ってしまうようで……それが申し訳なくて……」

「……」

「だから、私、分からなくて……どうしたらよいのか、どうすればよかったのか……」

 

 そう言って、目を伏せるルミアに、ジョレンは少し、考えているかのような沈黙を経てから口を開いた。

 

「ルミアは……それを後悔しているか?」

「……? それは……?」

「後悔すら出来ない時っていうのがある。しても無駄だって身体が覚えてしまって、二度と後悔できなくなる時が」

 

 ルミアがその時、覗き込んだジョレンの顔には、確かに苦しんでいる様子だとか、後悔しているというものは感じられなかった。だが、その表情はどこまでも―――虚ろで。

 

「俺の両親は……昔、外道魔術師に殺された」

「!」

「俺の目の前で何もできずに殺されていった。妹も足を撃たれて、まともに逃げれるのは俺だけになって……俺は妹を背負って必死に逃げた。それだけしか出来なかった。両親の形見だとか、買ってくれたものだとかは何一つ持っていくなんてことは出来なかった。言ってしまえば、妹が唯一の忘れ形見だと言えるのかもしれないけれど……それでも、俺にとって家族の温もりっていうのか……お母さんもお父さんも……もう会うことは二度と出来ないから……」

「そんな……」

 

 ジョレンの言葉は悲壮感溢れるものだが、それを語る口調はそんなことはまるでない。どこまでも虚ろで、空っぽで、それが悲しさよりも更に深い絶望だったことをルミアに容易に伝えていた。悲しさも、怒りも、取り返しのつかないものが全て通り過ぎてしまって、そこに喪失感しか残っていない。後悔しても全く足りず、後悔そのものが無意味になってしまう。そんなジョレンの心境が痛いほど分かった。

 

「だからさ、ルミア。後悔してもいいんだよ」

「後悔、しても……?」

「後悔できるうちは、まだやりなおせる」

「ッ……」

「後悔も怒りも……何も残らないよりはきっとマシなんだよ。そこに何もなくちゃあ、どこに向かっていいかも分からなくなるから。俺は(さいわ)い、そんな俺を助けてくれた人がいたから、今こうやっていれるけれど。それも無かったら、そもそもここにはいなかっただろうから」

 

 それが自分が少ない人生の中でどうしようもなく思い知らされた一つの事実。後悔だらけの世界の中、それすら出来なかった自分が分かったことだった。

 

「後悔することはとても多いけれど、それすら出来ないなんてことが起きるよりはずっといい……可能性が途切れてしまえば、後悔も無意味になって、前がどこかも分からなくなる。後悔して歩けなくなるなんてこともあるかもしれないけど、きっと、それよりも残酷なことだ。もし、さっき会ったのが最後のチャンスなんだとしたら……ルミアも同じことを思うんじゃないか?」

「……」

 

 黙り込んでしまうルミア。今やルミアもアリシアも、いついかなる時も外道魔術師に命を狙われるような存在だ。アリシアの方も、王室親衛隊が護っているとはいえ、『もしも』が確実にある。自分に至っては護衛なんてものが無い分、特にだ。それを分かっているからジョレンはルミアに話しかけ、ルミアもそれが分かっているから、話を聞いても、今どうすればいいのか分からずにいる。

 

「……選べば、きっとどちらでも後悔する。もう片方を選べばよかったんじゃないか、って。でも選ばないことは、もっと不本意なところに流れて行ってしまうと思う。時間っていうのは止まらないから」

「……」

「でも、それじゃあ、どっちを選べばいいのかって思った時に……そうだな、本音を道しるべにしてみるのはどうかな」

「本音……?」

「前に進めなくなるのも、前が分からなくなるのも嫌なら……せめて、自分がしたいことを選べばいいんじゃないか? そうすれば、後悔しながらでも、前に進めるんじゃないか? 俺は……一応、今はそうしているんだけれど」

「……でも、私……自分の気持ちが分からなくて……」

「そう、か……」

 

 そう言われてしまえば、ジョレンも再び静かになるしかない。ルミアの気持ちが本当はどうなのかなんて、自分には分かりようがなく、それを導き出せるのはルミア自身か、それか何かの切っ掛けでもなければいけない。だが、ジョレンには自分がその切っ掛けを与えられるとも思えなかった、その時。

 

「何やってんだ、お前ら」

「「先生!?」」

 

 そんな二人の所に突如現れたグレンに二人が驚愕していると。

 

「ルミア、俺はな、昔は帝国軍に所属する魔導士だった」

「え? そ、そうなん……ですか?」

 

 そして、早速と言わんばかりに告げられたカミングアウトにルミアだけでなく、その事実を知っていたジョレンも困惑して。

 

「で、仕事柄、宮廷に赴く機会も結構あってな、今、お前が大事そうに持ってる物と全く同じ物を、宮廷内でとある偉い人が身に着けていたのを見たことがある。……意味、わかるな?」

「……ッ!」

 

 グレンが指さしたルミアの手に握っていたロケットをルミア思わず更に握って。

 

「今の今まで後生大事に肌身離さず持っていた、御揃いのそれ。捨てるタイミングなんていくらでもあったハズだ。……もう、答えはとっくに出てるんじゃないか?」

「答え……」

「恨み(つら)みでも文句でも、なんでもいい。まずは言葉をぶつけることから始めてみたらどうだ? さっきのお前みたいに向き合うことからん逃げるだけじゃ……さっきこいつが言ってたみたいに、不本意なとこに行っちまうだろ。散々向き合うことから逃げ続けてきた俺が言うのも……なんだけどな」

 

 ルミアはしばらくの間、無言で俯いた。

 その間に、グレンはジョレンに向かって。

 

「んじゃ、後は任せたぞ、ジョレン」

「え? そのまま先生がルミアの相談に乗ればいいんじゃ……」

 

 自分じゃ与えられなかった切っ掛けをいとも簡単に与えてしまったグレンを見て、ジョレンはもう完全に引き気味だったので、虚を突かれた顔をして。

 

「白猫に探してきてくれって頼まれただけだしなぁ、じっくり話聞ける奴が聞いた方が良いだろ、俺は戻るぜ」

「は、はぁ……」

 

 どうにも気の抜けた返事をしてしまったジョレンと俯いたままのルミアを後目にグレンはとっとこ帰っていく。そして―――

 

「私……怖いんだ」

 

 ぽつりと、ルミアは消え入りそうな声で、呟いた。帰りかけのグレンには何も言わず、今も隣に立っているジョレンに。

 

「私を追放した前日まで、あの人はとても優しかった。でも、私が追放されたあの日、あの人に呼び出されたら、国の偉い人たちが険しい顔でたくさん集まっていて……あの人は凄く冷たい目で私を見つめていて……まるで別人のように豹変していて……」

「…………」

「さっきのあの人はとても優しかったけど……また、いつ私に対して、突然、あの冷たい目を向けてくるかと思うと……怖くて……だから……その……」

 

 そして、意を決したように、ルミアは真っすぐにジョレンを見つめてきて。

 

「レン君……一緒についてきてくれないかな?」

「…………俺でいいのか? やっぱり先生を連れ戻してきた方が……」

「もう、何言ってるの、レン君」

 

 この期に及んでわたわたとしてしまっているジョレンに、クスッと笑いかけて。

 

「最初に話しかけてきてくれたのはレン君でしょ? 本当は……こう言うのはだめかもしれないけれど、とても嬉しかったんだよ?」

「そ、そうなのか……」

「だから、レン君がいいんだよ、ダメかな?」

「る、ルミアが俺で良いっていうなら、俺はいいけども」

「なら、よかった」

 

 ちょっと照れくさそうに視線を逸らすジョレン、おかしそうに笑うルミア。

 二人は今、とても穏やかな雰囲気に包まれていた。

 さて、とは言え、平民である自分がどうやったら再び女王陛下に会えるかなんて見当もつかない。さっきは本当にただの偶然だったことを再確認させられ、ジョレンは頭を悩ませていた。

 ―――その時、視界の中に何かが映りこむ。

 

「……ん?」

 

 よく見れば、何やら奇妙な集団が、自分たちに近づいてきているのが見えた。

 その集団は全員が全員、身体の要所を護る軽甲冑に身を包み、緋色に染め上げられた陣羽織を羽織り、腰には本物の細剣(レイピア)佩剣(はいけん)している。

 その数、総勢五騎。弧を描くような陣形を組み、通りの向こうから、足早にこちらへ向かってやって来る。

 

「あれって確か……王室親衛隊だったよな……?」

「そ、そうだったはずだけど……」

 

 王室親衛隊、それは帝国軍の精鋭中の精鋭だ。最も女王陛下に忠義厚い者たちで構成された、王室一族を何よりも優先して護衛する、王室の守護神たる存在だった。

 故に王室親衛隊は今回の女王陛下の学院訪問の際に、当然のように女王の近辺警邏と護衛を務めているはずだった。ジョレンも、貴賓席で女王陛下のすぐ近くにチラホラいたのを見ている。

 

「じゃあ、なんで女王陛下の護衛やらずにこんなところに……?」

 

 疑問に首をかしげていると。王室親衛隊の面々はジョレンたちの前で足を止め、ジョレンとルミアの二人を囲むように、音もない足捌きで素早く散開した。

 その少し異様な光景に、ジョレンは自然に腰に吊るしてある鉄球の近くに手を持ってくる。

 

「ルミア=ティンジェル……だな?」

 

 二人の正面に立った、その一隊の隊長格らしい衛士が低い声で問いかけてくる。

 訳が分からず、二人が顔を見合わせていると。

 

「……ルミア=ティンジェルに間違いないな?」

「え? は、はい……そうですけど……」

 

 念を押すように再び重ねられた問いかけに、ルミアは戸惑いながらも答える。

 そして、ルミアが応答した次の瞬間。衛士たちははじけたバネのように一斉に抜剣し、ルミアにその剣先を突きつけていた。

 

「―――ッ!?」

 

 自分に向けられた鋭い切っ先に、思わず硬直してしまうルミア。

 

「……どういうつもり、ですか」

 

 ルミアより一歩前に出たジョレンが、思わず出そうになったため口をどうにか(こら)えながらも、威圧的な声を発し、目を細めて相手を見据えた。

 

「傾聴せよ。我らは女王の意志の代行者である」

 

 一隊の隊長格らしい衛士は、そんなジョレンを忌々しそうに一瞥し、朗々と宣言した。

 

「ルミア=ティンジェル。恐れ多くもアリシア七世女王陛下を密に亡き者にせんと画策し、国家転覆を企てたその罪、もはや弁明の余地なし! よって貴殿を不敬罪および国家反逆罪によって発見次第、その場で即、手討ちにせよ。これは女王陛下の勅命である!」

 

 あまりの現実離れした言葉に、二人の身体が凍り付いたように動かなくなる。思考が混乱し、他の事の一切をシャットアウトしてしまっていた。

 そんな中、ルミアは肩を震わせながら、信じられないとばかりに口を開いて。

 

「わ、私が……陛下の暗殺を企んだ……? 手討ち……?」

「証拠は挙がっているぞ、大罪人。情状酌量の余地も弁明の機会もない。大人しく我が剣の露となってもらおう」

 

 隊長格の衛士が淡々と告げるのが事実であると、構えた白刃と濃密な殺意が伝えてくる。冗談ではない、と。

 

「抵抗することは勧めん。大人しく(おの)が罪科を認め、刑に服すならば、我らとて貴殿へ(いたずら)に苦痛を与えるつもりはない。可及的速やかにその命脈を絶つことを約束する」

 

 ルミアは額にびっしりと冷や汗を浮かべて顔色を蒼白にし、無言で俯いている。

 そして、大量格の衛士は、そんなルミアの前に立つジョレンに目を向け。

 

「そして、そこのお前。その娘は罪人だ。その娘を庇い立てするならば、お前も国家反逆罪で処分せねばならぬ。さぁ、その娘をこちらに引き渡せ」

「……ふざけたことは言うもんじゃあないですよ」

 

 もはやジョレンの言葉は敬語が後付けみたいになってしまっていた。それほどまでに苛ついていた。

 

「ルミアが陛下の暗殺を企んだ? それが本当なら、証拠を見せてもらいたいんですが」

「部外者に開示義務はないな。これはお前のような一般市民が触れてはならぬ、高度に政治的な問題なのだ」

「ふざけたことは言うもんじゃあない、って言ったよな?」

 

 衛士の一方的な言葉にかろうじて被せてあった敬語もポロリと剥がれ、完全に敵対的な態度を取り始める。

 

「それでも令状も裁判もなしに、その場で処刑? そんなのが通るもんか」

「ふん、帝国憲章をきちんと読んだことがあるか? 女王陛下は国家最高元首。その言葉はあらゆる法規を越え、全てに優先するのだ」

「法解釈議論でもする気か? そんなことをここで言い合うつもりはない」

「ふん、それは我らとて同じこと。どこの馬の骨か知らぬが貴様、これ以上、その重罪人を庇い立てするようならば、貴様も共犯者としてこの場で処分するが?」

「……いい加減にしろ」

「そもそも、女王陛下の忠実なる臣たる我らに対するその無礼な物言い、陛下に対する侮辱も同義。貴様にも立派な不敬罪が成立するのだが?」

「図に乗るもんじゃあないぜ、あんたら」

 

 両者ともに収まりがつかず、もうどちらが先に手を出すかというような空気になってきた、その時だ。

 

「待って、レン君!」

 

 ジョレンの後ろからルミアが叫んでいた。そして、すぐさま意を決したように言葉を重ねて。

 

「……おおせの通りに致します」

 

 手を震わせながらも、それを握りこぶしでどうにか抑えて、ルミアは毅然と言い放った。

 

「……は? ……ルミア、何を……?」

 

 ジョレンが一瞬、ルミアが何を言ったのか理解できずに困惑にまみれた顔で振り返って。

 

「恐れ多くも女王陛下に仇為そうとしたこと、今思えば、そのあまりもの不遜さには恥じ入るばかりです。ゆえに我が命を持って償いといたします。だから、どうか、御慈悲を。レン君は……この人は何も関係な―――」

「ふざけたことを言ってんじゃあないぞ、ルミアッ!」

「ッ!?」

 

 怒りのあまりにジョレンはルミアの声に被せるようにして叫び―――

 

「おい……」

「なッ……!?」

 

 振り向いた隙に乗じて、剣の柄でジョレンの後頭部を打とうとしていた衛士の腕を左手で掴み上げる。ジョレンの右手にはシュルシュルと鉄球が回転して収まっていて。

 

「あんたら、つまりは何か? 法を守れってことだよな? この国の法は絶対順守の『ルール』だ……それは守らなくっちゃあいけない。そういうことだよな……?」

「き、貴様、一体何を……」

 

 不意に思い出す、外道魔術師から逃げていたあの時―――突如現れた彼が自分にしてくれたこと―――

 

「確かに、ルールは『厳格』だ。だが約束は絶対に守らなくちゃいけないわけじゃあない。でもな、約束は『神聖』だ。だから俺はそれこそを護る。俺は約束を護る。他の誰もが諦めても、だ」

「ぁ……」

 

 ルミアの眼に映ったジョレンの眼は―――覚悟していた。

 自分が護りたいもののためなら、自分の命すら投げ出す覚悟。その護りたいものっていうのは最初に交わしたルミアとの約束で。そして、きっと―――

 

『ジョレン君も仲良くしてあげてください』

 

 アリシアが別れ際に放った言葉も、きっとジョレンは護ろうとしているのだ。ジョレンの中で、それも覚悟の一部となっていた。それがジョレンの眼から簡単に読み取ることが出来た。ジョレンはそういう人なのだと、ルミアはもう分かっていた。

 

「俺はルミアを護る。俺は『約束』は護るぞ……!」

 

 憧れの人から教わった意志の灯った眼で、ジョレンは衛士たちを睨みつけた。

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