漆黒の妖狐   作:千本虚刀 斬月

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授業参観

 

 

 

 駒王学園の高等部は授業参観が明日に控えている。

 

羽衣狐と黒歌はその衣装合わせをしている。定番のセミフォーマルか、少しくだけたカジュアルスーツか、簡易和装かいっそ浴衣で行くか。etc.

 

魔王2名も妹の参観に来るらしいが、鉢合わせたとしても、話し合いは晴明の担当だ。余り気にする必要は無かろう。

 

会合場の視察を兼ねていると言っても、明日のメインはあくまで授業参観なのだから。

 

「むふふふ。青臭い男共をまとめて魅了しちゃうかもにゃあ。困っちゃうにゃん♡」

 

確かに、豊満な身体に奔放な仕草の妖艶な美女というのは青二才には刺激が強いかも知れない。

 

「……まあ、程々にな?」

 

 

 

 

 

 

 午前中の授業参観は、多少の響めきはあれど恙無く修了した。

 

ちなみに、羽衣狐はポニーテールでノースリーブの白いタートルネックに黒のミニスカートとニーソックスという格好。黒歌は黒留め袖を盛大に着崩して熟れた肢体を見せつけるようにさらけ出していたが、流石に周囲が止め、白音に怒られたので着流す程度にとどめた。晴明は真っ当にダークブラウンのスリーピーススーツである。他の面々は人化の術が不十分ゆえに不参加だ。

 

問題は昼休みの最中に起きた。

 

いわく、魔女っ子が撮影会をしているのだと。ちょっと何を言っているのか分からない。

 

騒ぎの方向には魔王級の悪魔の魔力。更に他の魔王や上級悪魔も引き寄せられて集まっていく。

 

一同はアイコンタクトで、全力でスルーすることに決めた。見えてる地雷原に突撃敢行する気は無いのだ。

 

「さて、妾達は帰るとするか。主等は、午後の授業も引き続き励むが良いぞ。……彼方は気にせずともよい」

 

清芽と白音はなんとも言えない表情で食堂に向かった。

 

「昼餉は、途中で何処ぞに寄るか?少し遅くなるが屋敷に着いてからか?」

 

「ん~~…お腹空いたし、たまにはレストランも乙なものにゃ♪」

 

「……まあ、たまには良いでしょう。……ちょうどあの事を相談したかったし

 

しかし、そういうときに限って厄介事の方からやってくるのは世の常というもの。

 

食堂に行った2人と入れ替わるように可笑しな輩が猛進してきた。それは、件の騒ぎの張本人であろう魔法少女もとい魔王少女であった。

 

羽衣狐と黒歌はさっと晴明の後ろに下がり、当主を前に立たせる自分らは後ろに控えるという体裁を整える。予定通りに晴明を矢面に立たせて面倒くさい話役を押付けたとも言うが。

 

「――直接の顔合わせは初めてですな、魔王レヴィアタン様。そのように急がれて、如何されましたかな?」

 

「うん。君達、今(私たちを無視して)帰ろうとしてたよね?」

 

「…………さて」

 

「アハッ☆」

 

「「いいから早く切り上げろ!」」

 

魔王少女レヴィアたんは急に真剣な面持ちになって姿勢を正し

 

「ごめんなさい。先日の件、首謀者二人はこちらでも確認したわ。クルゼレイ・アスモデウスとカテレア・レヴィアタンで間違いない。シャルバ・ベルゼブブの件を筆頭に、身内の不祥事で重ね重ね迷惑をかけてしまって、本当にごめんなさい」

 

急にしおらしく謝罪されても、正直反応に困る。魔法少女アニメのコスプレ衣装のままだから尚更に。

 

「謝罪は確かに受け取りました。顔をお上げください」

 

「…うん。悪魔陣営としての正式な謝罪は後日の会談の場でさせて貰うわ。じゃ、皆またね☆」

 

言いたい事を言って颯爽と去って行った。

 

しっかり、絶対揃って出席するように再度釘を刺された。

 

「……食事に行きますか」

 

「…うむ」

 

「…にゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 羽衣狐達一行の名声は妖怪社会にも急速に広がりつつある。

 

今までは悪魔陣営の不祥事と言う事で悪魔が情報統制をしていたのだが、堕天使幹部のコカビエル打倒に、間髪入れずにクルゼレイ・アスモデウスとカテレア・レヴィアタンの急襲撃退だ。『禍の団(カオス・ブリゲード)』暗躍に聖書の陣営全体が大きく動き出した事もあって、ついに情報統制しきれなくなったのだ。

 

 

3名はガ○トに来ていた。

 

肉か魚か、和か中か仏か伊で少々もめたが、各々の占いで揃ってフレンチが吉とでたのだ。

 

当人等は与り知らぬ事実だが、びっくりド○キーにはこっそりオーフィスと美猴が、魚○(う○たみ)にはこっそりシャルバとカテレアが居たりする。他にも、サ○ゼリヤには底辺貴族悪魔が、和食さ○には天使の幹部が、バーミ○ンにはヴァーリとアザゼルが居たのだった。

 

 

席に案内され、メニュー画面を一通り弄くり回し、注文し終えたタイミングで、晴明は話を切り出した。

 

「実は、清芽の将来の事で相談があるのです…」

 

至極真面目な雰囲気ゆえ、羽衣狐と黒歌は姿勢を正し耳を傾ける。

 

「――京都の名門、陰陽師の家系の次期当主との見合い話を持ちかけられまして……」

 

「…ふむ、清芽ももう直十八歳。男を知るには充分な歳か」

 

「むしろ、遅いって。今まで浮いた話が全くなかったのがおかしいくらいにゃ。実際に結婚まで行くかはともかく、恋愛を経験しておく良い機会じゃない?」

 

「そうじゃな。取り敢えず会ってみて、暫くは様子見。反りが合わぬようなら断れば良かろうて」

 

「ぬうぅ……」

 

中々飲み込めないのか、唸る晴明。どうにも過保護な気がする。それとも、年頃の娘を持つ父親とは皆がこうなのだろうか?

 

「見合いをするにしても、今すぐというわけでもあるまい?」

 

「……ええ。この縁談をうけたとして、おそらく、夏休み中に顔合わせするかどうか…でしょうな」

 

「ふうん。で、相手の顔とスペックは?」

 

晴明は黙ったままタブレットを差し出してきた。液晶画面には、相手の顔写真とプロフィールが表示されている。

 

「「……ううん…?」」

 

良くも悪くも突出点は見当たらない、何とも評価に困る微妙な案配。強いてあげるなら実家のコネクションくらいか。

 

「時期的に、聖書の陣営が外交戦略上の理由で何かしら干渉してくるやもしれませぬ」

 

「政略結婚狙いか…ふん、連中に口出しされる筋合いなど無いわ」

 

「まったくにゃ!女の子の恋愛は自由であるべきだにゃ!!」

 

つまり、結局は清芽自身が決めるべき。そういうことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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