漆黒の妖狐   作:千本虚刀 斬月

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駒王会談

 

 

 

 三大勢力による和平会談当日。

 

正式に招待された一行ゲストルームで待機していた。喪服のような全身黒コーデの羽衣狐、黒留め袖を派手にアレンジした着熟しの黒歌、駒王学園制服の清芽と白音がトランプで暇つぶしをしていた。しかし、当主たる晴明は気後れしている様子だ。それではせっかくこの日のために誂えた純白の衣冠*1が台無しだ。

 

「晴明、今はお主こそが魑魅魍魎の主、百鬼夜行を総べる者であろう。なればこそ、畏怖される側の者であり、相手を恐れるなどあってはならぬ。しゃんとせい」

 

「ウチらみたいのは舐められたらお終いだからね。気合い入れるにゃ」

 

「その通りですわ、お父様!ビシッと魅せ付けてやりましょう!」

 

「ですです。あ、それダウトです」

 

「うにゃ!バレたにゃ!」

 

……しかし、羽衣狐は先程から10尾がちょくちょく反応し、平然と押さえ込むのに少々苦心していた。

 

それはつまり、明確に己に対する敵意を抱く者が居ると言う事。

 

先ず、面子至上主義な半端物共の嫉妬。コレは何時もの事なので捨て置く。

 

次いで、『白龍皇』ヴァーリ。まあ此奴は土蜘蛛の同類だろうし、多少煩わしいが分り易い部類だ。宿敵という赤龍帝の餓鬼に押付けるか、いざとなれば自分か黒歌が相手をしてやれば済むだろう。

 

問題は――――

 

 

 

 ついに会談が開始された。

 

駒王学園職員会議室のて特別に誂えられた絢爛豪華な円卓と座椅子。

 

悪魔側からは現魔王の2名、サーゼクス・ルシファーとセラフォルー・レヴィアタン。天使側からは大天使の2名、長のミカエルとガブリエル。堕天使側からは神の子を見張る者(グリゴリ)の2名、総督のアザゼルと白龍皇ヴァーリが。

 

そして、給仕役と進行役としてグレイフィア・ルキフグス、議題の重要参考人として安倍晴明一行、リアス・グレモリーとその眷属(内1名欠席)、ソーナ・シトリーとその眷属。

 

 

挨拶もそこそこに、会談自体は大凡事前の想定通り、特に問題なく進行していく。

 

所々アザゼルが茶々を入れながらも和平締結が成され、議題は『禍の団(カオス・ブリゲード)』の話に移る。

 

「と、その前に、世界に影響を及ぼしかねない奴らの意見も訊いておこうか。なあ、無敵の二天龍様と伝説の妖狐様?」

 

しかし、その質疑応答が最後まで為される事は無かった。何故なら、赤龍帝のターンの終盤で事態は動き出したからだ。

 

「っ!――――」

 

羽衣狐が不意に旧校舎を睨め付ける。

 

「?どうした、何かあったか?」

 

「…来たぞ」

 

同時に、校庭にに多数の魔方陣が発生し、人間の魔法使いや妖術師、はぐれとなったエクソシストや悪魔、ついには魔獣の類いまで続々と顕現する。

 

「ッ!やはり仕掛けてきたか。グレイフィア!」

 

だが、少し遅かった。

 

停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』によって最上級未満の実力者達は軒並み停止させられたのだ。

 

リアス・グレモリー眷属のハーフヴァンパイアが拉致され、その身に宿る神器を悪用されたらしい。

 

当然相手側は過半数が停止して戦力減少した状態を黙ってみているだけの訳がない。一斉に傾れ寄ってくる。

 

アザゼルが舌打ちしながらも即座に強固な防御結界を校舎全体に張り、魔王や大天使達が補強する。

 

守りは抜群だが、攻勢に転じるのが困難となって、結果膠着状態に陥った。

 

相手の連中はまず『禍の団(カオス・ブリゲード)』の先兵と見て間違いない。このまま立て籠もり続けたとて、流石に無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)オーフィスは出て来ないだろうが、幹部級と目される旧魔王の子孫なら痺れを切らせてくるかも知れない。時間が経つほどに動ける者が増えて此方が有利になっていくのだから。

 

数十分後には白音、リアス・グレモリーと赤龍帝の餓鬼、聖魔剣の小僧とデュランダルの小娘と祢々切丸の娘が復活。

 

その間、大規模攻撃で敵軍を一掃、即座に敵軍再入の繰り返しだ。むしろ黒歌の方が焦れてきている。

 

リアス・グレモリーと兵藤 一誠がハーフヴァンパイアの奪還に向かうこととなり、陽動も兼ねて白龍皇ともう数名が出撃することに。

 

羽衣狐と黒歌が無言で手を出す。

 

羽衣狐はパー、黒歌はチョキ。

 

「にゃはは。んじゃ、いってくるにゃん♪」

 

「むぅ…致し方ない。白音、お主も行くが良い」

 

「はい。行って参ります」

 

ついでにリアス・グレモリー眷属の3名も雑兵掃討に参戦した。晴明と姫島 朱乃とソーナ・シトリーの3人も復活の兆候が見られる。これで戦力的には釣りが出るくらいだろう。

 

リアス・グレモリーと兵藤 一誠がキャスリングで出撃すると同時に、悪魔式転移魔方陣が複数浮かび上がり、余裕たっぷりに出現するクルゼレイ・アスモデウスとカテレア・レヴィアタン、そして校庭を埋め付くさんほどのキメラの大群。登場早々に変り映えの無い罵詈雑言を撒散らす。だが、言の葉に乗る呪詛の念はどうにも薄くて軽い。

 

しかし、今度はちゃんと事前にオーフィスの『蛇』で強化済みのようだ。他にも何かしらの策を用意してきた様子。これなら以前よりは愉しめるか。

 

堕天使総督のアザゼルはあからさまに挑発し、喧嘩を吹っ掛ける。

 

それに堪らず反応したクルゼレイ・アスモデウスは怒りに任せアザゼルと空中大決戦を繰り広げ出す。それに対して、カテレア・レヴィアタンはキメラの軍勢の号令を下した。そいつらは、この間のキメラに伝説の邪龍の細胞を埋め込んで凶暴性を突き詰めた改良型だった。恐怖も苦痛も疲労も感じない戦術兵器だ。

 

「命令よキメラ共!眼前の敵全てを蹂躙し、鏖殺なさい!!」

 

▇▇▅▇▅▅▂▂!!▇▇▅▇▅▅▂▂!▇▅▅▇▅▇▇▇▅▅▂▂▅▂!!

 

「ちっ!晴明、コレを貸す故、其奴等を連れて行け」

 

四尾の槍 "虎退治" を受け取った晴明と姫島 朱乃とソーナ・シトリーの3人もまたキメラ掃討に加わる。

 

残るカテレア・レヴィアタンの怒りはやはり現魔王の2名、特にセラフォルー・レヴィアタンに向いている。今にも暴れ出しそうだ。

 

念のため、まだ停止している清芽と下級悪魔達に守護結界を張る。しかし、外で停止したままの雑兵共は襲われ喰われるモノも少なくない。

 

さて、如何したものか?クルゼレイ・アスモデウスはアザゼルに持って行かれてしまったし、カテレア・レヴィアタンはセラフォルー・レヴィアタンに執心な様子。考えながら何気なく外を見やると、違和感に気付いた。

 

外で戦っているクルゼレイ・アスモデウスが襲撃対象から除外されているのは当然だが、『白龍皇』ヴァーリもまた全く襲われる様子が無いのはどういうことだ?龍王の鎧を纏ったアザゼルに対してすら、どれだけやられようが躊躇無く襲いかかっているというのに?

 

猜疑的な視線に気付いたのか、ヴァーリが此方に振り返り、目が合う。すると、悪戯が成功した童子のような笑みを浮かべた。

 

すると、襲い来るキメラ共をけ散らしながらクルゼレイ・アスモデウスを斃した直後で僅かながらも気が緩んでいたアザゼルに奇襲を仕掛けた。元々時間限界なのもあって龍王の鎧は砕け散り、何故かそこでカテレア・レヴィアタンがドヤ顔で自信満々にネタばらしをする。

 

成程、ヴァーリ・ルシファーとは。もっとも、他の3名と違って鬱屈した怨恨は感じ取れない辺り、当の本人はルシファーに対して然程の執着は無さそうではあるが…

 

自分の言いたいことだけ言い切って、クルゼレイ・アスモデウスを討ち取ったアザゼルにブチ切れるカテレア・レヴィアタン。ヒステリックにキメラ共に号令を下し、無防備となったアザゼルにキメラ共が殺到する。そして、カテレアVSセラフォルーのレヴィアタンを賭けた女悪魔頂上決戦と相成った。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
平安貴族のビジネススーツに該当

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