自らを正義であると錯覚する為には
己以外の何者かを 己以上の悪であると
錯覚するより 他にないのだ
確信した正義とは、悪である
正義が正義たり得る為には
常に自らの正義を疑い続けなければならない
「貴様は
安倍 雄呂血は不服そうではあったが、渋々ながらも大人しく従い、撤退する。
シャルバ・ベルゼブブはそれを確認し、強固な結界を展開した。外からの邪魔が入らない様に、獲物を決して逃がさない様に。
「ふん!まあ、ちょうど
あの斬魄刀はその銘の通り、鈴虫の鳴き声の様な音波による攻撃を旨とする様だ。共鳴によってオーラの流れを掻き乱し、暴発を誘導し自滅に誘う事すら可能とする。
もっとも、その手が通じるのは未熟者だけ。実力者ならばその程度でコントロールをかき乱される事など無いのだから。
しかしながら、その未熟者にはリアス・グレモリーや姫島 朱乃、残念ながらクリスティと雪娘が含まれてしまっていた。特にリアス・グレモリーは魔力操作が雑なくせにポテンシャルが高いのが仇となっていた。
「フハハハハ!!無様だな、グレモリーの姫君よ!滑稽な姿をさらしたまま、死ぬが良いわ!!―――清虫二式・紅飛蝗!!!」
斬魄刀を振り、斬撃軌道に大量の刃が形成され、広範囲に降り注ぐ。
破壊力そのものは大したことは無く、ステファニーの氷雪の楯だけでも辛うじてだが防ぎきれる威力である。もっとも、奴にとって最重要なのはリアス・グレモリーとその眷属であり、刃の大半をその3名に割り振っていた、というのも大きいだろう。そして集中攻撃を受けた3名は、先のギリアン戦での消耗やダメージと併せて満身創痍の有様。
更には、『鈴虫』の副次効果と自身の持つ権能『蠅の王』を併用する事で、羽虫の大群を召喚し使役しだした。
「小娘、貴様はただ殺すだけでは飽き足りん。生きたまま少しずつ、熔かすように咀嚼される気分を、存分に堪能させてくれるわ!!」
蒼空を埋め尽くす程の鈴虫、蟋蟀、蝗虫、蠅の大群。全てが魔蟲であり、通常の羽虫とは一線を画す。それが一斉に我等全員の事を貪喰しに殺到してくる。
成程、七大罪の暴食を司り、
だが、しかし
「「五月蠅い!!」」
羽衣狐の呪層界・怨天祝祭で強化された双蓮蒼火墜が、その大半をあっさりと消し飛ばした。
そして黒歌の、詠唱の代わりに
「!!?」
しかし、曲がり形にも真の魔王を自称するだけはあり、本人のスペックだけは無駄に高く、防御障壁を咄嗟に展開した所為で無傷である。だが、両掌は痺れ、顔を顰め
「っ!何処の馬の骨とも知れぬ下女風情が、真の魔王たるこの私に、何をした―――!!!」
キレた。
「こうも容易く剥げるとは、安い鍍金じゃの。」
「こんなに簡単に溢れちゃうなんて、狭量な器だにゃん。」
ステレオで煽られた事で更に激昂し、幾重のも魔方陣を展開し多属性同時砲撃を行ってきた。下手な術者では反属性同士が対消滅を起し、攻撃が成立すらしない。しかしシャルバは、粗いながらも一応は相乗させ一纏めに出来ている。ソレを考えるとセンスも相応にあるのだろう。
上手く挑発に乗ってくれて助かった。もしも卍解『清虫終式・閻魔蟋蟀』を使われていたなら、厄介この上無かった。その内心をおくびにも出さず、あくまで余裕の態度で煽り続ける。
「いや、それは悪手じゃろう。のう、
三尾の太刀を抜刀一閃。それだけでシャルバの攻撃は完全消滅した。その実、下位十刃の
「・・・・・・なん・・だと・・?」
「どうしてって表情してるけど、わかんないかにゃあ?アンタの攻撃、確かに見てくれは派手なんだけどさぁ、その割に中身が詰ってないのよね。スッカスカにゃん。」
「バカなっ!?今の私の力は
シャルバの全身が黒い体毛で覆われ、腕が四本に増え、背中には二本の大角と四枚の蠅翅、目は大きな複眼に、魔力の量も質も劇的に上昇した。しかし、頭に血が上りすぎていて、己の失言に気付いていない。
しかしオーフィスとは、思わぬ大物の名が出て来たものだ。もしこれが戯言で、あの焦った態度が演技であったのなら、シャルバは滑稽な道化を敢て演じていることになる。相当な役者だ。ゴールデンラズベリー賞間違いなしと思いきや、ゴールデングローブ賞だって受賞出来るだろう。まあ、流石にソレは無いか。
だが、それを黙って聞き流せなかったらしい
「せっかく奴の意識を我等に集中させ、矛先が向かぬ様に立ち回っておったのにのぅ。格が違うことくらい理解できようにな・・・」
「いや本当、台無しだにゃん。空気読めなさすぎでしょ。そのまま寝てなさいよね、まったく・・・」
だがしかし、案の定と言うべきか、やはりと言うべきか、稚拙な罵り合いが展開された。お互いが相手に対して捻りの無い罵倒をぶつけるだけで、無駄にヒートアップしていく。
そしてとうとう我慢できなくなった連中は、物理的言語に訴えだした。
木場 祐斗が
「ククククク、この程度かね?では、お返しだ。なに、遠慮せず受け取ってくれ給えよ!―――
為す術無く直撃を受け、倒れ伏す3人。しかしながら、辛うじて生きている。否、敢て生かされている。
「フハハハハハハハハハ!!先程も言ったであろう?ただ殺すだけでは飽き足りん、となあ!!そうやって無様を晒しながら待っているがいい。丹念に嬲ってサーゼスクへの宣戦布告にしてくれるわ!」
つい先程まで羽衣狐と黒歌の2人の事は脅威と見なしていたのに、リアス・グレモリーに気をとられすぎて失念するような愚は犯すなど、全く度し難い愚かさだ。
だがこれで
「これで此方も、気兼ねなく全力を出せるというものじゃ!」
羽衣狐は虚化する。霊圧はより強大となり重厚濃密、常闇の如き禍々しい
「滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧きあがり・否定し 痺れ・瞬き 眠りを妨げる 爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ――」
「こっちもいい加減、我慢の限界だにゃ!!――縛道の六十三・鎖条鎖縛!!」
「!!?グウッ、私とした事が・・・だが、今の私にこの程度の術など「遅いわ!――破道の九十・黒棺!!」
しかし
「隙アリにゃん♪―――滅活黯燒!!」
黒歌の誇る奥義が完全に決まった。相手の物理的強度も魔術的防壁も一切無視して、活力源(魔力、体力、生命力等を含めた全エネルギー)を無に帰する。しかし、対象の内在エネルギーが膨大である場合、完全な活動停止に致までに幾何かのタイムラグが生じる。その間に何かしらの方法でエネルギーを補充されれば無為となってしまうのだ。
「グッゴウ、ヴァア゛ア゛アアア゛ア゛ア゛ア!?な、何なのだこれは――!!しっ、死ぬ!死んでしまう?真の魔王たる、この私が、こんなところで?否、断じて否だ!!」
既に『鈴虫』の開放状態を保てず、オーフィスの蛇も消失。尚も、シャルバは往生際悪く足掻こうとする。最後の力を振り絞って転移用魔方陣を描き、しかし甲高い波砕音を響かせ砕け散った。
シャルバの面貌が絶望に染まり、せめて誰か一人でも道連れにしようと視線を彷徨わせ
「疾く逝ね。―――
後に残っているのは斬魄刀『清虫』のみ。
こうして旧魔王派の筆頭だったシャルバ・ベルゼブブは死亡した。
今後出す予定のある(出るとはいっていない)キャラ
ウルキオラ、ギン、バラガン、土蜘蛛、草冠宗次郎の氷輪丸
検討中
九条望実、シエル、安倍吉平、ネロ・カオス、スターク&リリネット、蒼崎橙子、獅子劫界離、イリーガルレアのキャラ
出さないつもりのキャラ
ノイトラ(原作以上の散り様ハードル高すぎ)、サーヴァント、BLEACHの原作生存組、型月作品主人公達