シャルバはテロリストになっていたとは言え純血悪魔、それも魔王ベルゼブブの正式な血統だった。それを、如何なる理由があろうと悪魔ですら無い部外者が殺した、と言うのは悪魔上層部の間で問題になったらしい。
これがリアス・グレモリーとその眷属であったのならここまで問題視はされなかっただろう。同じ純血悪魔で、名門グレモリー家の姫君、何より現魔王ルシファーが溺愛する妹なのだ。しかし羽衣狐と黒歌は悪魔ですら無い部外者にも関わらず、魔王すら斃しうる力を持っている。この点も、取分け面子を重視する悪魔至上主義な連中にとって大層気に食わなかったのだ。
悪魔上層部にとって看過しかねる、場合によっては脅威になり得る集団と見做された。悪魔陣営に下り従う意志がないのなら危険分子として処刑すべきだと宣う奴等まで居たらしい。
その所為で羽衣狐と黒歌と
羽衣狐の正体が葛の葉の生まれ変わりであることや、黒歌と白音が猫又の上位種の猫魈であることが露見してしまった。まあ、この程度の情報漏洩は想定済みで許容範囲内だが。
無論、全てをバカ正直に話すわけは無い。
『回道』についても黙秘する事にした。この世界では治療回復に特化した術式の類いはほぼ存在せず、基本的には
「(
「(殺れる前に殺れば無問題って事?どんだけ能筋揃いなのにゃ?そんなんだから、どの陣営も頭数減りまくって困った事になってるんだにゃん。)」
取り調べの休憩時間中に念話で愚痴り合ったりしていると、清明と
元々は悪魔からの緊急要請を受け、その仕事の最中に巻き込まれた形である。そもそもの依頼自体は完璧とは行かずとも達成は出来ているし、結果的にではあるがシャルバを斃した事でリアス・グレモリーと眷属達の命は助かったのだ。おまけに妖刀『魔王の小槌』まで
謝罪と魔王ルシファーの「今後も出来るだけ協力し合える関係を築いていきたい。」という言伝を受け取り、一同は漸く帰宅する。
その後は、案の定と言うべきか、やはりと言うべきか、悪魔共が執拗に干渉してくるようになった。
時折、はぐれ悪魔や強大な魔獣の討伐の協力要請などがある。報酬も前払いの上に色付きなので引き受けては居る。しかし、確かに悪魔陣営との接点は過多とさえ言えるが、だからといって全面的に賛同し協調しているわけでは無い。
伝説の妖狐の生まれ変わりである羽衣狐、仙術に秀でた種族と名高い猫魈である黒歌と白音、その誰もが既に上級悪魔に相当ないし凌駕し得る戦闘能力を誇るが故に、勧誘が多く煩わしい事この上無い。偶に強硬手段に及ぼうとする不埒な輩も居るが、その手合いは
そういった細々とした面倒事は多々あれど、今のところは取り立てて目立つような大きなトラブルなどは無い。
『
あれから数年。
今日はリアス・グレモリーに
安倍家次期当主の清芽は高等部の3年、白音は高等部の1年、どちらもオカルト研究部には所属せず悪魔達とは一定の距離を保ったビジネスライクな付き合い方を徹している。羽衣狐と黒歌に到っては駒王学園の生徒ですら無い。
態々足を運んでみれば、教会から派遣されてきた使者という、聖剣使いを謳う2人の小娘。
曰く、堕天使組織『
話の内容はやや想像以上で気になる点は幾つかあったが、会議の展開は寧ろ興醒めだった。
仮にも土地の管理を任された上級悪魔を相手に、随分と一方的に要求を突きつける。その様子は端から見れば「虎の威を借る子狐」と言った風情だ。それに対して、悪魔のガキ共は随分と舐められていると感じた様で、魔剣の小僧と助平丸出しな餓鬼は特に突っ掛かっていく。
結局、2VS2の模擬戦闘が行われる事になった。
自慢気に見せびらかしていたエクスカリバ―とやらも別段脅威と言うほどでは無く、小娘2人の実力もやはり大したものでは無かった。
ただ、何かしらの切り札を隠し持って何時のは明白。流石にそれまで見せびらかす考え無しの自信過剰では無かった。
教会が今回の案件で派遣してきた雑魚エクソシストの所為で町に滞在している怪異達はピリピリしている。
大人しく犯人一味の捜査とメインアタッカー達のサポートに徹しているのなら未だしも良かったのだが、中には異端と見るや侮蔑し得物をちらつかせる輩も居る。
怪異の類いとは人間に畏れられてこそ価値がある。舐められて見下されて、虚仮にされたままで終わらせられるわけが無い。売り言葉に買い言葉で小競り合いになる事もしばしば。
更に言えば、コカビエル一味は雑魚エクソシストを積極的に狩って回っており、品の無い血のニオイが町中の彼方此方から漂う有様。
町に連中が死の間際に抱いた怨念が沈澱していき、どんどん陰気に倦んでいく。まるで地獄の瘴気の様に、秘めたる本能や衝動を暴き立てようとしてくる。
この地に災禍を呼び込むための呪法の下拵えなのだろうが、
思い出す。そもそも、羽衣狐自身も前世では幾多もの人間の生き肝を喰らい、怨念で漆黒に染まった池の水を
コカビエルは確かに堕天使組織『
「やれやれ・・・全く、ままならぬものよのぅ」