その夜、悪魔から夕刻の出来事の顛末が伝えられた。
あの後、聖剣使いの小娘二人と魔剣の小僧と末端のエクソシスト数名で逃走するフリードを追跡し、アジトの一つを突き止めたらしい。しかし、意気揚々と突入して、結果は惨敗。雑魚数名はその場で惨殺され、エクスカリバ―は2振りとも強奪され、小娘2人と小僧は辛うじて五体満足なものの身心共に重傷。
コカビエル等はリアス・グレモリー等の目の前で3人をゴミ同然に投げ捨て、侮蔑と嘲笑が多分に入り交じった宣戦布告をしたらしい。曰く、深夜に駒王学園にて聖剣を統合し、ついでにリアス・グレモリー眷属とソーナ・シトリー眷属を蹂躙して、あわよくば休戦状態だった戦争を再開させるつもりなのだとか。
直接布告を受けたリアス・グレモリーは眷属揃って嚇怒を滾らせながらも、3人の応急処置と、各方面に対する報告と、曲がり形にも駒王町の管理者として住民に対する緊急事態警告にと、大忙しのようだ。
とは言え、連中の実力では素のコカビエル1人にすら敵わぬのは明白だった。おまけに、夕刻の小競り合いで連中は
悪魔の餓鬼共も流石にそれは理解しているのか、上層部に戦力増援要請を打診したのだが、中々決らないらしい。
此方としては、仕事を受けるのは吝かでは無い。無論、相当以上に吹っ掛けてやったが。相手方も、この際金銭で片付くのなら背に腹は代えられぬと、此方の要求した報酬を確約したのだった。
コカビエル一党との決戦において、ディフェンスチームとして
討伐の為のアタッカーチームとして、教会の使徒として派遣された
既にして戦陣の中央に座するは堕天使組織『
成程、砕け散ったなれの果てで、2振りを欠いた不完全な状態とは言えど伝説の聖剣。5振り統合状態でも、使い熟せればそれだけで死神の副隊長レベルに達し得るかも知れない。加えて、『蛇』に因る強化。更には
此方は2人が既に
「さて、
「ふん!お生憎様だけど、貴方達程度に魔王様方が態々お越しになるまでも無い
轟音と共に巨大な光槍が体育館を爆散させた。苛立ち紛れに放った攻撃ですら無い1撃で、だ。
「・・・ふん、まあいい。聖剣を失った小娘共だけならオードブルが精々だが、
ちょうどエクスカリバーの統合が完了したらしく、コカビエルは即座に気を取り直し、まるで高級フルコースディナーを前にしたかのように心躍らせてさえ居る。
「さて、先ずは食前酒だ。フリード!」
「へいへい。まーったく、ボスってば人使い荒いよねぇ。でもでも、伝説の聖剣ちゃんを使えるなんて光栄の極みってなもんだぜ!ところでさ、ボス?何なら連中みぃんな俺っちが喰っちまって良いんですかねぇ?」
「ふはっ、出来るものならやってみるが良い。貴様程度に殺せるのであれば、だがなあ?」
「オーケーオーケー、それじゃ…いっちゃいまショウタ―イム!!」
フリードが哄笑を上げながらエクスカリバ―を握った途端、剣が黒く薄汚れていく。この町に澱のように堆積していた黯い瘴気と、彼奴自身の邪悪さとが合わさり、聖剣を犯し貶めたのだろう。
聖剣を巡る多種族混合戦線の幕は切り落された。
だが、この期に及んで自身の感情に固執して問答を開始する餓鬼が居た。
魔剣の小僧は敵の老神父に詰め寄り、老神父は小僧の悲憤を嘲笑っている。挙句の果てに老神父は強化アイテムらしき結晶体を侮蔑と共に小僧の元に投げ捨てる。
トドメも刺してない相手に慢心を晒し、反撃の余地を与える。それも、乱戦状態で敵は他にも居ると言うのに。大物ぶって余裕を醸しているつもりなのが一層、愚劣極まる。
結果として、魔剣の小僧は覚醒を果たし、
成程、
「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ……我が声に耳を傾けてくれ。―――デュランダル!」
存外に上等な切り札だったようだ。
紫藤 イリナの刀。間違いなく、あれは
だが、更に言えば、女悪魔3人と、赤龍帝の餓鬼も控えている。
コカビエルは座したまま笑みを浮かべて観覧、まだ本格参戦する気は無いらしい。老神父は端から戦力外。つまり、
流石にこれだけの好条件が揃えば、いくら何でも負ける事は有り得まい。