漆黒の妖狐   作:千本虚刀 斬月

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後始末

 決着はついた。しかし、駒王学園を被っていた結界は完全に崩壊。

 

だが

 

「ふふふふ、面白い!実に面白いぞ!面倒なおつかいでも引き受けてみるものだな。よもや、これ程の強者と見えることが出来るなんてな!」

 

その者は、純白の全身鎧、8枚の光翼、各所の宝玉、人間とドラゴンと悪魔の気配を包括していた。

 

「随分と意気軒昂な事よ。…それで、貴様は何者だ?」

 

「おっと、そうだった。俺は『白龍皇』アルビオンを宿す者、ヴァーリ。『神の子を見張る者(グリゴリ)』から派遣されてきた。アザゼルからコカビエル達を無理矢理にでも連れ帰るように言われてたんだ。――もっとも、首謀者のコカビエルは辛うじて生存。フリードとバルパーは死んでしまっているか…」

 

ヴァーリは倒れ伏したままのコカビエルを回収しようと降り立つ。

 

コカビエルを担ぎ上げ、羽衣狐と黒歌を見やる。

 

「個人的には何時か戦ってみたいが、少なくとも今じゃ無い。今回は、遅れてしまった俺に落ち度がある。貴方の存在を知れただけでも収穫だとしておこう。」

 

ヴァーリは残念そうに肩をすくめ、立ち去ろうとするが

 

「おっと、そう言えば、貴女達の名を訊いておきたい。そのくらいは良いだろう?」

 

「・・・信田 羽衣」

 

「黒歌にゃん♪」

 

「成程。ああ、覚えたよ。では、()()()()また会おう。」

 

『無視か、白いの』

 

事態の急変についてこれずに呆けたままの餓鬼の赤い籠手からだ。赤龍帝が己の意志を発露させたと言うことか。

 

『起きていたか、赤いの』

 

対し、白龍皇もまた己の意志を発露させた。

 

『せっかく出会ったというのに、この状況下ではな』

 

『…まあいいさ、どのみち何時か戦う宿命だ。たまには、こういう事もあるだろう』

 

『また会おう、ドライグ』

 

『じゃあな、アルビオン』

 

今度こそ、白龍皇ヴァーリは飛び去っていった。警戒していた『禍の団(カオス・ブリゲード)』乱入の様子も無い。

 

「では、グレモリー先輩方、私達はこれで失礼させて頂きます。申し訳ありませんが、諸々の後始末はそちらでお願いします。」

 

()()管理責任者であり、学園の先輩でもあるリアス・グレモリーに挨拶を済ませる白音。

 

「ッま、待ちなさい!」

 

「「「・・・・・」」」

 

心底煩わしいと言わんばかりの視線に晒され、あっさり押し黙って目を逸らしてしまう。せっかく一皮剥けて、ようやく統治者として見れるようになってきたかと思いきや、あまり無様を晒さないで欲しいものだ。

 

「皆さん、負傷し、消耗も著しい様子。今夜は身体を労る事を優先した方が良いのでは?」

 

「~~~~~ッッ!!後日、ちゃんと訊かせて貰うわよっ!?色々とね!」

 

「…はい。それでは、さようなら」

 

 

 

 

 

 

 

 数日後の放課後、旧校舎の応接間にて今案件についての事後処理報告と今後に対するミーティングが催された。参加メンバーは以下の通り。

 

(キング)』リアス・グレモリー、『女王(クイーン)』姫島 朱乃、『騎士(ナイト)』木場 祐斗、『僧侶(ビショップ)』アーシア・アルジェント、『兵士(ポーン)』兵藤 一誠。そして、新たに2名。『騎士(ナイト)』ゼノヴィア・クァルタ、『戦車(ルーク)』紫藤 イリナ。ちなみにこの両名、神の『死』を知り異端認定された挙句、悪魔に転生したにも拘わらず聖剣適正値は変らずである。デュランダルもそのまま保持し続けているらしい。

 

(キング)支取 蒼那(ソーナ・シトリー)、『女王(クイーン)』真羅 椿姫、『騎士(ナイト)』巡 巴柄、『僧侶(ビショップ)』花戒 桃と草下 憐耶、『戦車(ルーク)』由良 翼紗、『兵士(ポーン)』匙 元士郎。ちなみに、近々戦力増強も兼ねてルー・ガルーと言う男を勧誘予定らしい。

 

安倍家次期当主兼当主代行の安倍 清芽、信田 羽衣、信田 黒歌、信田 白音。

 

先ず事後処理について。5つのエクスカリバ―は剣身は破砕したが核は回収出来たため、空輸便で送りつけたらしい。校舎は六~七割程度は損壊していたはずだが、始業までのたった数時間で修復。バルパー・ガリレイとフリード・セルゼンやその他エクソシスト達の遺体は教会が引き取ったそうだ。

 

堕天使の総督であるアザゼルから「本案件はコカビエルの独断専行であり、他の幹部達は直接関与はしていない。現にコカビエルの身勝手な暴走を止めるべく白龍皇を派遣した」と声明があったらしい。

 

今後について話しあうリアス・グレモリー眷属、やや顔を顰めながら思慮に没頭しているソーナ・シトリー他数名、話しについて来れずどうリアクションして良いか分らない様子の馬鹿、泰然自若と紅茶や菓子を口にしている者達、等といった具合だ。

 

暫くして、一通り考えが纏ったらしい。

 

「さて、皆聞いてちょうだい!近々、聖書の三大勢力の代表達が集まって会談を開く予定なの。今回の案件も議題に上る事になるわ。その際に、当事者である私達に直接報告をして欲しいと要望があったのよ。無論、貴方達もだからね!」

 

「・・・とおっしゃいましても、私達にだって都合というものが御座いますわ。せめて具体的な日取りを教えてくださらないかしら?」

 

「細かい日程調整はこれからだけど、一応は授業参観日の後くらいになりそうだと聞いてるわ」

 

「そうですか。当主である父にもその様に報告して、予定を空けておくようにしておきますわ」

 

「よろしく頼むわね。本当に、絶対だからね!?」

 

「それはもしかして、フリなのかにゃ?」

 

「違うわよ!!!」

 

「黒歌、揶揄いたくなる気持ちも分かるが、漸く終わりかけていた話が、無駄に拗れて長引くのはつまらん。今は流石に控えよ?」

 

ブチ切れ寸前のリアス・グレモリーと、何とか宥め賺そうとする他の悪魔達。その様子を愉しんでいる悪い大人の女達、呆れる他の面々。

 

 

多少ぐだついた場面もありはしたものの、まあ何はともあれ、本日の会合談議は終了。深夜と言って差し支えない時刻だった。

 

宙には欠けゆく月に叢雲が翳らす。この後の往く道程を暗喩しているような気がした。

 

 

 

 

 

 

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