バンドリ 無口なギタリスト Re:Try 作:NoMuSoN34
「大規、オリコン見たか?」
蒼二が唐突に聞いてきた。
内容は知っている。
オリコンの1位から3位が、俺達の曲で埋められたということ。
この事実を蒼二は受け止められないのだろう。
「なんか、なんとも言えねぇよな。俺達が時の人になるとは。」
ご最もである。
俺もオリコンに入ったら嬉しいな位の気持ちだったよ。
まさか1位から3位だからな。
「これはパーティーだな!」
俺は蒼二の顔を見て笑う。
俺達は、スタートを切ったんだと。
その日の昼に3人がパーティーを今夜やろうとのことで俺の家に集まることが決まった。
トントン拍子で話は決まったが、食材などが不足していたのは明らかで、今から買い出しへと向かうのだった。
やって来たのは商店街。ここなら沢山の新鮮な食材が手に入るからな。
さてとたくさん買うのは良いのだが、1人ではとても持てそうに無いな……、蒼二を呼ぶか。
俺はスマホを手に取り蒼二に来て貰えるよう連絡をとった。
「わりぃ!ちと遅れたな。」
30分程で蒼二は到着した。
走ってきたのにも関わらず、全く息を切らしていないところを見ると、ドラマーよりアスリートに見えてくるのは俺だけではないだろう。
「うるせ!それより食材の買い出しだな。どこから行く?」
とりあえずメインに食材を確保する事にした。
肉とかな。
北沢さんの家が安牌だな。世話になってるし。
「あ、のむ先輩!いらっしゃい!」
タイミング良く、北沢さん本人が店番をしてくれていた。
「あ!大規、他のバンドのメンバーも呼ぼうぜ!多い方が楽しいからな!」
成程確かに一理ある。俺はまたスマホで悠博にRoselia、雫にはパスパレ、ポピパを誘うように連絡を入れ、蒼二にはぐみと交渉してもらうように頼んだ。俺は羽沢さんの店に向かい交渉しに行く。ワンチャン5人いる可能性もしあるしな。
「いらっしゃいませ…野村先輩!?」
戸を開けると羽沢さんが驚いた顔をしている。
チラリと後ろを見ると、ビンゴだった。
羽沢さんが俺の心を読めないと悟ったのか、蘭が歩いてきた。
「大規さん、どうしたの?」
言っていなかったが、蘭は俺の心が読める。昔色々あってな。
俺は蘭に今夜打ち上げパーティーするから5人で来ないと伝える。
「ちょっと待ってて。」
すると5人で円陣を組み話し合いが数十秒した後にまた蘭が寄ってきた。
「皆行きたいって、何時に行けばいいの?」
18時に俺の家に来るよう伝え、このまま帰るのも失礼なのでアイスティーを1杯だけ頂いた。
しかも羽沢さんが入れてくれたとの事、とても美味しかったと伝えると少し頬を赤らめてお礼を言われた。
それを見た蘭が少し頬を膨らませていたがあえてスルーした。
店を出たあと、3人からも連絡がきて、どのバンドも予定が空いていたので俺の家に集合が決まった。
はぐみと沙綾とこころが祝いの品で沢山の食材をもって来てくれるそうなので俺は普段の買い物程度で終わった。
さてと、準備しますかね。
実はパーティーの中でミニライブをしようと考えている。
蒼二と雫にはそれを伝えており、楽譜も少し前に送った。あの二人なら30分もあれば暗記できるだろう。
音楽に関しては2人ともそこらのプロより全然レベルは上だ。
やる楽曲は俺のインストから3曲だけやる。
楽しんでくれたらいいのだが…。
ステージのセッティングを終えて。これからご飯の準備を始める。
勿論1人では何かと厳しいので、助っ人を呼んでいる。
「野村君!これテーブルにお願い!」
「リサちゃん、そっちは俺がやるよ。あっちの料理作り始めてくれ!」
「分かった!悠博そっちはよろしく!」
「飲み物の準備も終わりました!」
「つぐ!それなら足りないもの買ってきてくれない?」
「分かった!」
今井さんに悠博、羽沢さんに、山吹さんがわざわざ手伝いに来てくれたので進行は上々だ。
みんな知らないのだが悠博は料理が上手だ。
従姉は全く料理が出来ない分こっちにステ振りされているのだろう。
「大規、姉さんにそれ言うとキレるぞ?」
大丈夫、適当にあしらうから。
「あら、私の悪口を言っているのかしら、悠博?」
すると悠博は冷や汗をかきながらゆっくり後ろを見た。
案の定腕組みした湊さんが睨んでいたのだ。
悠博よ骨は拾うからな。
「大規ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「それでは!本日は皆集まってくれてありがとう!これからもAXELLをお願いします!!乾杯!」
乾杯!!
さて、パーティーは始まった。
にしてもこの人数よく入ったな、合計30人だぞ?
poppin party
after glow
pastel Palette
Roselia
ハロー、ハッピーワールド
にしてもガールズバンドばっかりだと野郎である俺ら3人は何かと気を使う、ので3人で別席を構えて粛々と祝い事にした。
「あっという間だったな。」
「あぁ、普通なら下積み生活をするんだろうけど時代の発展があるからこそだな。」
元々、動画投稿でやっていた悠博、蒼二、雫は人気もあったからね。
「そうか、大規は下積みしてるんだよな〜」
まぁ、人気は貴方達とは月とすっぽんだった。
そこの氷川さんとかは見に来てた様だけど。
「それはない、俺が見に行った時客が入り切ってなかっただろう?」
ソレでも、だよ。
なんせ曲は良くても喋らんし、無愛想で結構叩かれてた。てゆーか今もな。
「嫉妬だろ?大物には付きもんだよ。」
いや、俺はこれで押し通すから。この先もな。
そう、このキャラクターを押し通す事は俺にとって、理想に近づく為の最短の手段だとおもっている。
元々口下手で喋りたくなかったから、本望だ。
「大規の分も俺が喋ってやるから安心しろ!」
そう言って蒼二は肩を組んできた。
ありがとう。その言葉以外見つからなかった。
蒼二がいなかったら、俺はこの景色を見られなかったのだろう。
「勿論、俺もな!大規の思いをしっかり歌うから、これから先もずっとな!」
悠博はそう言って別の肩を組む。悠博にも頭が上がらない。
俺の作った歌詞を予想以上の歌唱力でうたっている所を見て、何度も感動と感謝を感じていたから。
「これから先も頑張ろうぜ!!」
「おう!!」
俺はその言葉に笑顔で答えた。
「ちょっと!!私は!?」
そう言って雫も肩を組んで円陣が出来上がった。
周りからおおー!とか聞こえるけど。
「しゃあ!そしたらやるか!」
「そうだね!いい時間だし。」
蒼二と雫と俺は立ち上がってステージに向かう。
皆は話に夢中で見えていないようだ。
しかし、蒼二のドラムにすぐに振り向いた。
「みんな〜! きいてください!!『月』。」
雫が曲を紹介を終えて俺を見ながら合図を待ち始めた。
俺は頷いた後、コードをゆっくりなテンポで弾き始める。
この曲、俺の中ではかなりの傑作だと思っている。
何気ない日常を4人と過ごしていく中で、ふと思いついたメロディから生まれたのだ。
1サビが終わったのだが、みんなの目がうるうるしているのが分かる。
悠博はもう涙が垂れてるし。
その光景を見るとなんか俺も涙が…、だがしかし、ここで泣いたらダメだ俺は自分に暗示を掛ける、2人も本当は涙が出そうになっているが、我慢して演奏してるんだ。ここで俺が泣くのはキャラ的にもダメだ。
そんな自分との戦いを続けていたら、いつの間にかアウトロまで来ていた。
あぁ、終わるんだ。
でも、これから、ここから始まるんだ。
俺達の通る道はずっとアスファルトでは無いだろう。
時に砂利道、時に雪道。
でも俺達はアクセルを緩める事は無いだろう。
さあ、長いドライブの始まりだ。
あけましておめでとうございます!
今年も亀更新ニコニコなると思いますが、気長にお待ちいただけると幸いです。
今年も宜しくお願いします!。