バンドリ 無口なギタリスト Re:Try 作:NoMuSoN34
この長い空白の中バンドリ!のコンテンツも進化していて、実は着いていくのに必死です汗
myGOもアニメは見てますので大分先にはなると思いますが何らかの形で登場、または関わりを書いてみたいとは思ってます。
ステージに上がり、センターにあるお立ち台の前に2人で来たので、折角の新メンバーである茜に登ってと手で合図する。
茜の話ではライブハウスでの演奏の経験は無いそうで、こういったパフォーマンスも実践で指導をする。
茜はお立ち台の上で両手を精一杯手を振っている。
その姿に初見のお客さんだけでなく常連のファンの皆も心ときめいているように見えた。
ある程度振り終えて、卓の前でスタンバイしたのを確認した俺はお立ち台へ登り……
投げキッスをした。
きゃーーーー!!!
NoMuSoN!!!
しゅきーーーー!!!
大くーーーーん!!!!
おい待て、なんで横から黄色い声が聴こえるんだ。
とジト目で雫を見る。
「私が!! 1番!! 愛してるからーーーー!!!!」
もはやマイクがなくても歓声に負けない声をだしているのを、俺はスルーしてギターを手に取った。
「いけず〜!」
「茜、あんな先輩になったらダメだぞ?」
「あっ、はい。」
「蒼二君も茜ちゃんも酷い〜!」
そんなやり取りをしていると悠博がステージに上がりお立ち台で観客を煽り出す。
その間に出音の確認とチューニングを見て問題無かったのでスタンバイする。
最初は茜のトランペットソロから始まるのでそれを静かに見届ける。
ライトが消え……その時は来た。
美しい金管楽器特有の音が、箱の隅々まで響き渡る。
観客も今までのAXELLからは馴染みのない音に、静寂になり、しっとりとした雰囲気になる。
私は今、初めてのステージで大好きなトランペットを吹いている。
きっかけは些細な事で、まだ小学生だった私は、両親に連れられてジャズの演奏会を見に行った。そこで演奏していた女性のトランペット奏者のソロ演奏に心を奪われた。
繊細でしっとりかと思いきや、途端に大胆で力強い音に変わり。その七変化する演奏は、私だけでなく周りにいた観客も圧倒していたのを今でも覚えている。
そこから私は、両親にお願いして、トランペットを習い始めた。
勿論最初から上手く演奏出来るはずもなく、むしろ出来ないことの数の多さや、躓き立ち上がる辛さを噛み締めながら、練習を重ね続けた。
中学生になってからは、吹奏楽部に入部して同級生や先輩、後輩と切磋琢磨し続け、コンクールで賞を取ったこともある。とても充実した中学生生活だった。
けれど、高校に入学して少し変わった。吹奏楽部に入るつもりだったのだが…見学した時に知ったのだが。よくあるカーストと呼ばれるものが存在していたのだ。
勿論先輩達が悪い人では無い。ただ私の知ってる吹奏楽とは全く違った。中学までは担当楽器等の隔たりもなく、部員全員が1つの目標、1人の指揮者の指示を真剣にこなしていたのだが。ここでは楽器別でわだかまりやすれ違いが多くみてとれた。
高校でも、楽しく、充実した演奏が出来ると勝手に思っていた。見事に打ち砕かれた私は、吹奏楽部を断念し帰宅部としてレッスンのみに打ち込むことにした。
そんな中、同級生の子にライブに行かないかと誘われ、特に用事なく少し興味が出たので一緒に行くことにした。
吹奏楽とバンドはかけ離れていて想像出来ない世界ではあるのだが。
あるバンドが私の心に衝撃をもたらした。
洗練された演奏、視線を外せないパフォーマンス、圧倒的な歌唱力、そして何より、1つに集約された気持ち。私はそんな演奏に心を奪われた。
そこから私は彼らのライブに何度も通い、曲をコピーしたりと完全に虜にされていた。
そんな中、彼らのバンドのメンバーオーディションが発表された。パートはマニピュレーターだった。私は興味本位で調べて見たところ、パソコンを操作して音源を流すのが主な役割だと知った。
どうしようか、私なんかが…、と葛藤した。マニピュレーターの経験は無し、トランペットしか吹けないけど…でも、あの人達と演奏したい。そんな思いの中、母に相談してみると。
「やりたいと思ったのなら、やらないとダメよ。貴方はまだ若いのだから、当たって砕けてきなさい。」
予想外の発言に私は呆気に取られた。音楽の世界は厳しいと分かっているはずなのに、それでも背中を押してくれた。そこからの私は素早く応募して、必要な書類も出した。ドキドキが止まらない……怖い人だったらどうしようとか考えていると、あっという間に当日になった。
私は会場に着くと、思わず声が出てしまった。
なんと、私以外に女性がいなかったのだ。
事務所の配慮で待合室は男女別になっていたのだが……一人で待つこの時間が私の緊張感をさらに煽る事になった。しかも順番は最後。どうしようかと思っていたら。
㌧㌧
誰か来たようだ。スタッフさんかな?と思ったら
「……」
「……ぇ?」
また声が出てしまった……あれ?この人…ギターの。
「……」ニコニコ
笑顔でホットミルクを持って来てくれたみたいです。
すると共にメモ用紙ももらった。
するとNoMuSoNさんは一礼して部屋を後にした。
とりあえずメモを確認しよう。大事なこと書いてるかもしれないから。
「 花見茜様、この度はオーディションに参加して頂き、誠にありがとうございます。なぜこのようなお手紙を書かせて頂いたかというと、本オーディションに女性の方が花見様だけで、肩身の狭い思いをされているという私の勝手な考えによります。
オーディションできっと緊張もされていらっしゃると思います。少しでも不安が和らげられればと思い、私のブレンドしたホットミルクを是非飲んでみて欲しいです。オーディションではしっかりとメンバーがお話をお伺いさせて頂き慎重に審査させて頂ければと思います。
それでは、お時間になりましたらスタッフの方がお迎えにあがりますのでそれまでゆっくりおくつろぎください。」
私は、心から込み上げるものがあった。
ちゃんと私の事を見てくれるんだという安心感と、ご本人に直接会えた高揚感で少し緊張が解れたような気がした。私は出してもらったホットミルクを飲んで、その優しい甘さに頬っぺが落ちそうになったのはまた別の話
私は、この人達とずっと演奏したい。ずっと、終わるその日まで。
この思いがお客さんにも伝えたい。
「いくぜ!俺達が!!」
AXELL! AXELL! AXELL!
「AXELLだぁぁ!!!!」