バンドリ 無口なギタリスト Re:Try   作:NoMuSoN34

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5話

朝7時、蒼二が家に来た。

 

「はよーっす。」

 

一応説明すると、ライブハウスに行く前にここで全体の合わせを確認してから向かう予定だ。

 

もうすぐ2人も来るだろう。

 

「大規、髪セットしてねぇのか?」

 

蒼二よ、自分でセットするとどうなるかわかっているだろう?

 

爆発する。つまり雫にまかせるのだ。

 

 

「成程、俺は軽く慣らしておくかね。」

 

そう言って蒼二はドラムを軽く叩き始めた。

 

なんやかんや1番体力を使う楽器だから入念にチェックする蒼二を見て、俺も乗ってギターを弾き始める。

 

 

 

 

「おはよう!大君!セットのじかんだよ〜!」

 

「おはよう雫!大規、俺ドラムソロの練習するから行ってきな?」

 

そう言われたので、邪魔をするのは野暮だ、早々にギターを片付けてリビングに向かう。

 

 

 

「そろそろ髪空かないとね〜、ボサボサになってる。」

 

「………」

 

「私は髪切るのは専門外!ちゃんと美容院で切って!」

 

大君は、少しだるそうな目をした。仕方ない。私には美容師のスキルは備わっていないからな〜、練習しようかな。

あっ、髪の根本が黒くなってる。

 

「美容院行ったら髪も染めてもらってね?伸びてるからプリンになってる。」

 

そう言うと、彼から予想外の事を言った。

 

「え?色変えるの!?何色?」

 

「……」

 

「紗夜ちゃんと同じ色ー!?パステルグリーン似合うかな?」

 

「おはよう!……大規は、髪の毛セット中か。蒼二は?」

 

「ドラムソロの練習してるよ?」

 

「そっか、皆気合十分だな!」

 

「うん、だってRoseliaだもんね。それに……大君を取られるのは嫌だから」

 

雫はその時…少し辛い顔をしていた。

 

練習に付き合うとはいえ、相手は彼にとって異性、自分より先を越されないようにしたい思いがあるのだろう。

 

「大丈夫だよ、俺達は負けない。」

 

「え?」

 

「どんな困難だって、4人で乗り越えて来ただろ?だから絶対負けない!」

 

「おうよ!負ける前提で行ったらそりゃ負ける、だから負ける以外の事を考えようぜ!」

 

悠博君と蒼二君がそう言った。すると、彼も私の手を握って…真剣に見つめてくる。

 

3人に励まされた私は、何処か気が楽になった気がした。

 

「そうだよね、勝たないと行けないよね!」

 

「おうよ!これだけ練習したんだ。負けることなんてない!」

 

「よっし!じゃあそろそろ行きますか!」

 

「うん!」

 

私は、何を怖がっていたんだろう、こんなにも強くて、かっこいい3人がいる。それだけでいいんだ。

 

決意が固まった私は、大君のセットを終わらせて。足早にスタジオへと足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、やってきました。ライブハウスcircle

 

遠目で入り口を見ると、まだリハーサルも始まって無いのに数人は並んでいた。

 

「あの人達、来るの早いね」

 

「俺らの対バンがそれだけ待ち遠しいって訳か」

 

「そうだろうな、早く入ろう。練習したがってるやつもいるしな」

 

悠博がそう言うと、ソワソワする大規がいた。1件普通だが目が座ってる。

 

「大規、本番でそんな目したらダメだかんな?」

 

「…」

 

「ハイハイ、さっさと行こうぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう!悠博君」

 

「おはようございます!今日は宜しくお願い致します」

 

俺が頭を下げると後ろの3人も頭を下げる。

 

「Roseliaの皆はリハーサル終わって楽屋にいるから、先に挨拶に行く?」

 

「いえ、先にリハーサルをお願い致します、個人練習したがってる子がいるんで」チラッ

 

おいおい悠博君よ、俺を見るな。完璧にする為には必要な項目だろ?

 

「分かった!じゃあステージ上がって!」

 

 

 

 

 

 

「じゃあ蒼二君、全体でお願い!」

 

「うぃ!」

 

現在、サウンドチェックの最中だ。蒼二は軽い感じで16ビートを刻んでいる、仕上がりは上々の様だ。

 

俺は横目に、アンプのツマミを定位置に設定して、ボリュームゼロの状態でギターソロの練習を延々と繰り返す。いつもながら絶対これは外せない。だって時間があるからな。

 

「次、雫ちゃん!いいよ!」

 

「はーい!」

 

雫のチェックが始まり、彼女はノリノリでステップを踏みながらベースの演奏をしている。相変わらずよく動きながら弾けるよな、すげぇ尊敬するわ

 

「次ドライブお願いしまーす。」

 

次はドライブ、スラップ用の音源のチェックが始まった。

 

何時になく早いそのスラップを見て、まりなさんは苦笑いしてるよ。

 

「以上でーす!宜しくお願いしまーす。」

 

 

「次、野村君!いいよ!」

 

待ってました!そんな気持ちで、クリーンの音源でアルペジオを引き回す。 もう少し反響が欲しいな……チラッ

 

「まりなさーん!大君がリバーブあげたいって!」

 

「いいよ!あげてー」

 

こういう時雫は直ぐに分かってくれるから有難い。

 

納得が行くと俺は演奏を辞める。

 

「次ドライブだね!いいよ!」

 

おっと。まりなさんも俺の事少しは分かったみたいだな。いい兆候だ。

 

俺はドライブを迷いなく踏み、バッキングしていく

 

「大規、少し嬉しそうだな。」

 

「まりなさんが察したのが良かったんじゃない?」

 

「そうだな!」

 

さてさて、そろそろ……ソロだ。

 

俺は更にエフェクターのスイッチを踏む。

 

アンプから出る大きく歪んだ音に俺はひとりでに酔いしれる。

 

このライブが終わったら、また新しい音作りしよっと。

 

「OK!、他にある?」

 

そう聞かれたが、今回使う音色は無いので首を横に振る。

 

「じゃあ悠博君!声出しお願い!」

 

「あー!マイクチェーック!!」

 

悠博はキーを合わせ。シャウトする。

 

湊家のシャウトはやっぱりひと味違う。俺も都合でボーカル関連のテクニックを色々出来るが、ここまで人を魅せるシャウトは過去に数回しかない。

 

 

 

 

「以上でサウンドチェック終わります!」

 

あっという間に終わったな。さて、次は……

 

「Roseliaに挨拶しに行くか」

 

「っしゃあ、宣戦布告だな!」

 

「うん!」

 

3人とも燃えてるな、やっぱり対バンって言うのが一番の理由だろう。

最近波に乗ってるつもりの俺らだが、実は対バンはこれが初めてだ。

しかも相手は相当腕の立つバンド。これは誰でも燃えるだろう。

 

「失礼します。AXELLです。ご挨拶に伺いました。」

 

どうぞ!

 

「失礼します!」

 

俺許可が降りたので悠博が静かにドアを開ける。

 

そこに居たのは

 

クッキーをチビチビ食べている今井さん、宇田川さん白金さんと……ギターの練習をしている氷川さんに、スマホを見ながら少しニヤつく湊さんだった。

 

「友希那!紗夜!AXELLさんが来たよ!」

 

「はっ!ごめんなさい、ツイ夢中になってたわ」

 

「今日は宜しくお願いします。お互いにベストを尽くしましょう!」

 

「うん!宜しくね悠博君!」

 

「悠博、リハは終わったのかしら?」

 

「うん、終わった。」

 

「そう、それで…私達が勝ったら…彼を借りるわよ?」

 

湊さんがそういった時、雫が少し身構えた。

 

「大君は渡さないから!」

 

「友希那!それは終わってからにしよ?雫もそんなに身構えないで!」

 

「リサちゃん、私達は負けない!絶対に!」

 

「まぁ、負けるつもりなんてお互いないだろうしな。」

 

なんか湊さんと雫と蒼二が火花散らしてるのを今井さんが宥め始めた。

 

「野村さん」

 

話掛けて来たのは、Roseliaのギター担当の氷川さん。その目には闘志が宿っている。

 

「私は、今日貴方を超えます!そして、努力が天才に勝る事をここで証明してみせます!」

 

「…」コクッ

 

「氷川さん、大規がすごく楽しみにしてるって」

 

悠博が通訳してくれる。

 

「えぇ、今日は宜しくお願いします。」

 

氷川さんが手を前に差し出してきたので、俺はそっと握る。

 

全力を出し切り悔いのない演奏をしよう。俺は心の中で氷川さんに誓った。

 

「ほら、3人もあれくらい出来ないの?」

 

「……大君はそんな人だから。」

 

「おう、まぁあいつの面子を潰すのは一切ごめんだな。」

 

「……紗夜の為にも、絶対に負けられない。」

 

友希那が紗夜の為って言ったのは間違いではない。

 

野村君が練習を見てくれることで1番のメリットがあるのは間違いなく紗夜だ。同じ楽器を使う人間として、沢山の知識や技術を盗める大チャンス、そしてそれがRoseliaの成長を著しくする事だから。

 

「あっ!AXELLの皆もクッキー食べる?」

 

「食べたい!」

 

「おっ!いいのか?」

 

「持っちろん!色んな話しようよ!ライブまでまだ何時間もあるし!」

 

「ありがとうリサちゃん」

 

「野村君も食べてね?」

 

コクッ

 

 

 

 

 

「でさ!スラップした時に爪にヒビ入っちゃって焦ったんだよ〜!」

 

「分かる!私も始めた時何回もあった!」

 

「やっぱり?あれ何とかしたいな〜」

 

「ずっとやってると固くなってヒビ入らなくなるから大丈夫!ね?大君」

 

「……」

 

「俺もギター指弾きしてた時しょっちゅう入ったって!」

 

「そうなんですか?私もこれから指弾きを取り入れてみようと思ったのだけど…」

 

「……」

 

「どんどんやった方がいいだって!紗夜ちゃん!」

 

「野村さんがそう言うなら、やってみる価値はありそうね。」

 

 

「Roseliaさん!そろそろスタンバイをお願いします!」

 

「時間よ、行きましょう」

 

湊さんが声をかけると、Roseliaの皆の雰囲気が一瞬変わったきがした。

 

「OK!」

 

「頑張ろう!りんりん」

 

「うん」

 

「では、行ってまいります。」

 

「じゃあ、俺らは自分らの楽屋に戻ろうか」

 

「そうだね」

 

3人は楽屋に戻るらしい。

 

俺はRoseliaさん演奏をまじかで見たいからステージ脇へと向かう。

 

 

 

 

「あれ?大規は?」

 

「Roseliaの演奏見たいからって脇に行った。」

 

「そうか、俺らもモニターで見よう」

 

「そうだね。」

 

 

 

 

そして、いよいよライブは始まろうとしていた。

 

「……」

 

Roseliaを見るために脇に来た。彼女らはもうステージに立って少しの確認をしている。

 

今この瞬間にも俺の心はアツいモノを求めているのが分かっている。

 

負けたら面倒な事になるけど、Roseliaの俺を求める為の演奏は、どこまで俺をアツくしてくれるだろうか。

 

「行くわよ!BLACK SHOUT!」

 

そして、俺をかけた対バンは幕を開けた。

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