バンドリ 無口なギタリスト Re:Try   作:NoMuSoN34

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7話

「AXELLだぁぁぁぁ!!!!!!」

 

その言葉を引き金に、俺はリフを弾き始める。

 

俺達のステージが、幕を開ける。

 

「お前ら!殺す気でかかってこいやぁ!!」

 

観客も一気にテンションが上がって行く。

 

何時もなら俺はあまり動かないのだが、今日はガンガンステージの前線へと出ていってヘドバンをかます。

 

今日だけは、特別な日にしようと、そう思った。

 

俺は一心不乱にギターをかき鳴らす。

 

理論や基礎なんて今は関係ない。俺達は思いだけをまっすぐ観客に向けている。

 

こんなにも音楽を素直に楽しんでいるのは、あの時以来だろう。

 

忘れもしない。初めてこのメンバーと一緒にライブをした時だ。

 

蒼二、雫、悠博が俺に手を差し伸べてくれたあの時、俺は光を見た。

微かにしか見えないほど小さい光だったが、それは少しづつ大きくなっていき、今は暗闇すら見つけられないほど輝いている。

 

あぁ、俺はやっと見つけたんだ。本当の居場所を、守るべき場所を。

 

そんな事を考えていると、ライブは中盤に差し掛かった。

 

今までなら本気でやる以外何も考えていなかったが、今は違う。

時を早く感じてしまう、周りに目を向けられるようなったのだろう、観客席を見回すと、この前出演していたガールズバンドのメンバー達が大きな声で俺達の名前を叫んでいる。

 

こんなにも求められていたのだろうか、俺は本気でやってるつもりだったが、それは勘違いだった。観客の声を聞こうとしていなかった俺は、ただの弾きたがりだったのだろう。こんな時に自分の不甲斐なさに気づいたのも1つの成長だな。

 

「皆!楽しんでるー?」

 

うぉぉぉ!!

 

「今日は、私達AXELLとRoseliaさんの対バンなんだけど、Roselia凄かったよね!」

 

「おう!いつにも増してやけどしそうなくらいアツく、かっこよかったぜ!」

 

「MCでね、5人が私達の事をどう思ってるか聞いた時ね、嬉しくて蒼二君思いっきり叩いちゃった!」

 

「あれマジで痛かった。多分背中に紅葉出来てるわ」

 

「私そんなに力ないもん!」

 

ははは!!

 

「まぁ、雫の気持ちも分かる。天下のRoseliaにあそこまで言わせられたんだと思うとな。」

 

「だから、私達も私達も普段言えないRoseliaの思いを言っていこう!」

 

「しゃあ!悠博、お姉さんにどうぞ!」

 

「俺からかよ!? そうだな、皆は知ってるか知らないけど、俺とRoseliaの湊友希那さんは従姉弟なんだけど、小さい頃から姉さんは先へ先へと歩いて行く人で、俺はそんなに前向きではなくて、良く姉をダシに使って叱られる日々をおくっていたんだ。その時俺は歌うのを辞めようっていつしか考えるようになって、覚悟を決めて両親に言おうとする前に、姉さんに言われたんだ。

 

「私は、悠博の歌が好き、ずっと聴いていたい。」

 

「そう言われて、俺は心底驚いた。俺の事なんか眼中にないって思ってたけど。そんな事ない、ずっと見てくれてたんだって。そっからかな、もう姉さんの後を着いていくのは辞めよう。自分だけの歌を求めていこうってな。そして、このメンバーと出会い今の自分がある。この際だから言っておこう。姉さん、何時も見守ってくれて、ありがとう!」

 

パチパチパチ!!!

 

悠博ーー!!

 

かっこいいぞ!!

 

「あっ!友希那が笑ってる!」

 

「別に……笑ってないわよ」

 

「じゃあ蒼二行こうか!」

 

「お前、いきなりいい話しやがって!俺の話が霞むじゃねぇか!まぁ、悠博みたいないい話かはわからねぇけど、俺はドラムのあこにはいつも驚かされるな。なんでそんなにもドラムに打ち込めるんだ?って聞いたらよ、お姉ちゃんが居るからって言ったんだよ。巴ともそんなやり取りがあって、俺は凄く宇田川姉妹が羨ましかった。俺は一人っ子で始めた当時周りにドラムやってる奴なんていなかったし競い合う事も無かったからな。俺にもそんなライバルがいたら、もっとちゃんとドラムもやっただろうしなって思った。以上!」

 

蒼二!!

 

蒼二兄!!

 

蒼二さーん!!

 

「ではでは、うちの姫さんにも白状してもらうぜ!」

 

「回ってくるの早!……うーん、私はね、リサちゃんとはお互いに知り合ったのは実は最近で、仲良くしてもらってからよくショッピングするんだけど、ある日リサちゃんがネイルを剥がして来た時があってね、なんで剥がしたの?って聞いたら、最近ベース始めたんだって言ったの。私はえぇ〜!?ってなって自分もベースやってるんだ。って話したら、それこそ土下座をしそうな勢いでおしえて!!ってお願いされて、そこからリサちゃんの取り巻く事情を知って、これは厳しく教えた方が良いって思った私はスパルタで修行させたの、ただ当時はもしかしたら途中で投げ出さないかな?とか縁起でもない事考えたりしたんだけど…

投げ出すどころかもっと厳しくして!って言われた時、幼馴染の為にそこまで出来るのは凄いなぁって感心しちゃった。バンド内では1番練度が低い彼女だけど、バンドに対する思いは1番だ!って私は思ってます!」

 

ふぅー!!

 

「雫……ありがとう!」

 

「リサ……」

 

「じゃあ、最後にNoMuSoNも氷川さんへの思いを手紙に書いたそうなので、僭越ながらこの悠博が読ませていただきます!」

 

俺は生憎と口を割らないのは知っての通り、今回の話の流れも打ち合わせ通りなので、事前に手紙を書いて読んでもらうようにしておいた。

悠博に読まれるのも少し恥ずかしいが、こんな機会もそうそう無いだろうし、我慢しないとな。

 

「俺は、氷川さんとは面識が無く、氷川さんが一方的に俺のライブ来てくれていたらしいです。当時は全く気づかなかったのですが、話を聞いて凄く嬉しかったです。お世辞にも万人受けする曲とは言えず、素人同然の曲だったけど、それでも好きでCDも買ってくれてくれた氷川さんですが、知り合って数日、何か思い詰めたような顔をしていて、話を聞かせて欲しいと頼んで、戸惑い、泣きながら俺に話を聞かせてくれました。家族との関係性や、それぞれのポテンシャルの違いに、ストレスを感じていた。彼女に僕は当初、解決までサポート出来るか心配でした。

蒼二と同じく、血の繋がった兄弟や姉妹がいない俺は、どんな行動で彼女を導く事が出来るだろう。俺は悩んだ結果、その家族との接触を図りそっち側の思いを教えてもらいました。

そこからは意外とあっさり解決方法が思いつき、すぐさま実行して、無事に2人は少しづつではあるけど距離は縮んだそうです。

氷川さんの何事にも熱心に取り掛かる姿勢は、凄く尊敬しています。ギターを通して、もっともっと仲良くしたいです!

これからも末永くよろしくお願いします!

 

PS、悠博、くそ恥ずいので読み終わったら燃やしてくれ〜! by NoMuSoN」

 

 

パチパチパチ!!!!

 

「悠博さん、その手紙下さい!」

 

「燃やしたら怒るわよ!」

 

「姉さん!?氷川さん!?ちょ、ステージ上がってくるなよ!」

 

読み終わった瞬間、氷川さんが半身身を乗り出し手紙を強奪した。

ふっ、そんな事想定済みだ、後でこっそり抜きだして自分で燃やすさ!

 

「氷川さんやべぇ……」

 

「紗夜ちゃん……良いなぁ」

 

「はぁ……大規、すまん」

 

俺は首を横に振る。普通強奪するとは思わないからな。俺以外

 

「なんか辛気臭くなったな!そんな訳で、俺達AXELLはRoseliaの事が大好きです!!」

 

いぇぇぇ!!!!

 

「そして、次の曲でラストです。」

 

えぇぇぇ!!!

 

もっと!!

 

「でもね皆!最後は……あんな話もしたから」

 

「Roseliaのカバーするぞ!!!」

 

 

おおーーー!!!

 

「えぇーー!?」

 

「ウソ…?」

 

「皆、そしてRoseliaの皆も聴いてください!Re:birth day!」

 

おぉぉぉ!!!

 

「友希那さん!」

 

「あこ、落ち着きなさい。今はしっかりと聴きたいから」

 

「えぇ」

 

「ヒック、これは泣いちゃうよ〜!」

 

 

 

最後の曲は Re: birth day あの余興の後に1番しっくり来る曲だと、皆で決めた。

 

俺達も、まさかここまで盛り上がるとは思っても見なかったが、嬉しい誤算である。

 

ふとRoseliaの皆を見ると、湊さんと氷川さん意外はボロボロ泣いてる。

 

他にもチラホラと感動してくれていて、やってよかったと思いつつ演奏に集中する。

 

 

 

 

 

最後の1音がなり終わり、観客から沢山の拍手や声が聞こえる。

 

「ありがとうございます!AXELLでした!」

 

俺達は楽器を置いて、ステージ脇へと履ける…すると

 

アンコール!!アンコール!!

 

なんとアンコール入りました。

 

「どうする?」

 

「いくしかねぇだろ」

 

「だな、何やるよ」

 

行く事は前提だったが、曲までは決めかねていた。なんせ来るとはおもわないからな。

 

俺はとりあえず、今やってる新曲どうよって目で訴える。

 

「新曲か、俺は大丈夫だけど…蒼二と雫は?」

 

「行けるよ!」

 

「当然俺もな!」

 

「じゃあそれで行こう!」

 

決まると4人で回れ右して再びステージへ向かう。

 

 

「アンコールありがとう!」

 

うぉぉぉ!!

 

きゃーー!!!

 

「せっかくなんで、まだレコーディング途中の新曲をやります!」

 

そういうと観客のテンションはまた最高潮に到達する。

 

「じゃあ、本当にこれで最後です。Roselia、circleのスタッフの皆さん、そして観客の皆!ありがとう!! 聴いてくれ!SKY-HI!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ライブは終了した。

 

これ程にも充実したライブは、初めてかもしれない。

 

楽屋で半裸で汗を拭きながらそれが頭から離れない。

 

「大規!やばかったな!」

 

蒼二も熱が冷めやらぬままで俺の方を組んでくる。

 

「3人とも、お疲れ様!」

 

「今回は凄かった、語彙力ないけどそれしか思いつかないな。」

 

4人で黄昏ていると……

 

「蒼二兄!!」ドサッ!

 

「おう、あこ…お疲れ様!」

 

宇田川さんがドアを開けて蒼二兄!飛びかかる。

その流れで他の4人もぞろぞろ入ってくる。

 

「雫!お疲れ様!」だきっ

 

「リサちゃんもね!」

 

今井さんも感極まったのか、雫を強く抱きしめる。

 

「悠博、素晴らしい演奏だったわ」ニコッ

 

「ありがとう、姉さん」

 

湊さんは珍しく笑顔を悠博に向けて、悠博も笑い返している。

 

「野村さん、お手紙ありがとうございます。」

 

氷川さん、是非燃やしたいので返してくれ。

 

「ダメよ!これは私の宝物にするわ!」

 

「あれ?紗夜ちゃん大君の心読めるの?」

 

「え?……あっ…」

 

どうやら今回のライブを通して、心が通じあったのかもしれないな。

 

「そう、なんでしょうか…?」

 

「紗夜ちゃん凄いよ!!私たち以外で心読めたのは初めて!」

 

雫よ、なんでそんなにもテンションぶち上がってるんだ?確かに個人的には嬉しいけども察してくれるから。

 

「私も嬉しいよ!大君の理解者が増えるのは……でも…個人的にはちょっと妬いちゃうな?」

 

「し、雫!打ち上げどこでやる!?さっきつぐみが是非家で!って行ってきたのだが…」

 

「つぐちゃん!?よし!羽沢珈琲店へGO!」

 

いつまでも現金な雫でいて下さい。

そっか、つぐみの店なら落ち着けるから良いか。

 

「Roseliaも来るよな?」

 

「私達はこれから…」

 

「行くいく!!」

 

「今井さん、反省会の事を忘れたんですか?」

 

「一緒にすれば良いじゃん!こうやって細かいところから練習方法とか学べるんだから!」

 

「それは……」

 

なんか早くも打ち上げの話をしているが、まだ結果は出てないぞ?

 

「もう出てますよ、私達の負けです。」

 

「はっ?」

 

「えぇ、演奏もトークも負けたわ。完敗よ」

 

「トドメと言わんばかりのRe:birth dayに泣かされたしね!」

 

「あれ考えたの大規だぞ?」

 

蒼二のその一言で湊さんと氷川さんに睨まれる。

 

「でもでも!私達の普段やっているバージョンとは違って凄い新鮮だったよね!」

 

「えぇ、編曲したのは野村さんなの?」

 

そう聞かれたので素直に頷く。

 

「やるわね、負けたのにますます貴方には練習を見てもらいたくなったわ」

 

「もう諦めてよ〜!」

 

「雫、貴方に決定権はないはずよ?」

 

「まあまあ、姉さんも今回は退いてくれ!」

 

こんな感じのやり取りを見て、俺は少し微笑ましく思う。やっぱりバンドって良いなぁ。

 

「あっ!大規が笑ってるぞ!」

 

蒼二の言葉に一同が振り向き俺を見る。笑ってないが?

 

「いや!確かに俺は見たぞ!」

 

「ハイハイ、そろそろつぐみちゃんの家に行こうか!」

 

皆が頷き、circleを出ようとすると…

 

「すみません、AXELLさんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

ドアを開けて姿を見せたのはスーツを着た男性だった。

 

「はい、僕達がAXELLです。」

 

悠博が対応する。

 

「私は……事務所の者です。」

 

「え?」

 

「それって…」

 

確かパステルパレットの事務所だよな?日菜が受かった時に聞いた。

 

「今回、お伺いしたのはある相談をさせて頂くためです。」

 

雫と蒼二から息を飲む音が聞こえた。このタイミングで言うことなんて、俺は1つしか知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「是非、うちの事務所で活動して頂けないでしょうか?」

 

 

 




如何でしたか?

アンケート結果ですが、姉妹にした方がいいと答えてくれた方が多く見られましたので、姉妹としてこれから書かせていただきます!
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