1話:オワリハハジマリ
「へ?」
気がついたら俺は知らない場所にいた。
「あれ、ここどこ?」
そう思いながら、歩いていと……
トントン
誰かに肩を叩かれた。振り向くとそこには
「あー、だめだよ。はぐれちゃ。最後尾はこっち」
なんか、金髪の軽そうな兄ちゃんが。
「え、あ、ちょっと」
俺は手を引っ張られ連れていかれそうになる。
慌てて振りほどいて、
「何するんですか!? ここどこなんです? 早く帰らないと!!」
そう言うと金髪の兄ちゃんは困ったように頬を掻いて、
「そんなこと言われてもな~。あんた、覚えてないんか?」
「覚えてないんかって、一体何のことなんですか?」
金髪の兄ちゃんは息を吐き、
「やっぱりな~。あんた、死んだんだよ?」
「え?」
死んだなんてあり得ない。現に俺はここにいるじゃないか。
「信じられんのも無理ないか。けど、ほんとになんも覚えてないんか?」
そう言われると、俺の頭の中に流れるひとつの記憶。
不自然な方向に折れた手。見えない右目。腹から出る……
「っ!!!」
どうやら俺は本当に死んだらしい。記憶が物語っている。
「信じられないのもしゃーないな。皆最初はそうだよ? 覚えている人もいるけど、気持ちいいものじゃないしね」
「……死んだということは信じますが、ここは一体どこなんです? あなたは誰なんですか?」
金髪の兄ちゃんは嬉しそうに
「よくぞ聞いてくれました!! ここはいわゆる地獄のと天国の間。死者が集う場所。ちなみに俺は死者の列の誘導係。あ、これ名刺ね。」
紙切れを渡してくる。そこには、
死者の列誘導係
K・HO☆N☆DA!
「なにこれ?」
「いやー、前来た死者の人が名刺作ってた人でね。色々教えてもらったんだ~。イカスだろ?」
「ええ、まあ……」
なんというか、センスを疑う。どんな名刺作ってたんだろう?
「それはそうと、早く列に並ばなきゃ。待ち時間が延びちゃうよ?」
そう言って連れてこられたのは、人がたくさん並ぶ列。近くには、『最後尾 約一時間待ち』の文字。
「なんすかこれ?」
見ようによっては、グッズ販売の列に見える。
「これはね、死者が地獄行きか、天国行きか、生き返えるか決める場所だよ。今日は混んでるな~」
「え、そういうのって、地獄で決めるんじゃないんですか?」
「まあ、そういうのもあるけど色々だよ」
「そういうもんですか?」
「そういうもんだよ」
そういうものらしい。そうしておこう
「じゃ、俺はここで。ちゃんと並ぶんだぞ」
バイバーイ、と子供のように手を振って行ってしまう、K・HO☆N☆DA!―本名なのだろうか?―さん。
「さて、並ぶか。一時間はながいなぁ」
●●
約一時間後……
「次の方ー」
どうやらやっと、順番が来たらしい。それにしても病院のような呼び方だ。
「あー、君ね。そうだね」
何かを考え込む中年?のおじさん。人間なのか?
地獄行きかもしれないのでドキドキする。
「よし!」
おお! 決まったらしい。
「はい、じゃ目瞑ってね」
言われて瞑る俺。
「はいじゃあ、テンプレな感じでね。転生しよっか」
はい?
「ちょっ、転生ってどこにっ!?」
「とりあえず特典とかは転生してからね。それじゃバハハーイ」
ズゴンッ!
頭にくる突然の痛み。俺は意識を失うということを経験した。
「はっ!」
本日二度目の知らない場所。
「なんだったんだありゃ」
あれは夢だったのだろうか? いや、記憶は鮮明にあるので夢ではないのだろう。
「つーか、ここだこ?」
俺がいるのはどこかの室内。結構な広さだ。
「これが、転生か?」
戸惑う反面、俺は興奮していた。
転生と言えばラノベなどの世界に生き、ヒロインと結ばれるというのがよくある話だ。
どこかなー? と考えていると
トントン
これまた本日二度目の肩を叩き。またあいつならやだな、と思いながら振り向けば
「っ!?」
簡単に説明しよう。そこにいたのは青い髪に青い瞳。涼しげな雰囲気を思わせるそれは
「タバサ?」
そう、『ゼロの使い魔』のキャラであるタバサである。髪が長く、眼鏡をしていないという違いはあるがタバサだ。あと、背が165㎝くらいある。
「タバサ、というのは誰のことですか?」
タバサ? はそう聞いてきた。
「え、タバサじゃないの? ゼロ魔の世界だぜ! ヒャッホー! って喜びたかったんだけど」
「タバサだとかゼロ魔などというものは理解できませんが、私はタバサではありません」
「え、じゃなんなの?」
半ば気落ちしながら聞く。
「私は貴方の融合機。貴方は魔導師です」
どうやら、ゼロ魔の世界ではないようです。
「えーと、融合機? 魔導師? なにそれ?」
「貴方は転生者でしょう? 何も知らないのですか?」
「いや、いきなりだったし……」
「そうですか、ならば説明しましょう」
ほんと、何の世界なんでしょう? ここ。
主人公はほんとに時々チートです。