雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
衛宮切嗣は焦っていた。
「マズイな…」
そんな言葉が無意識に発してしまう程に。
だが、倉庫街での戦いは焦ってしまうのも無理はない程、セイバー陣営に不利な展開を見せていた。
ランサーの宝具の槍の呪いでセイバーは腱に治癒不可能の傷を負ってしまった。対城宝具であるエクスカリバーの真名解放が出来なくなってしまっていた。その呪いを解するためにランサーを撃破しようにもライダー、そしてアーチャーの乱入により場はあっという間に四騎のサーヴァントによる睨み合いになってしまった。勿論そんな展開でランサーを攻撃しようものなら、ライダーかアーチャーの格好の的になるだけだ。
ランサーを撃破出来ないなら近くで観戦している筈のランサーのマスターを殺せば良い。そう思いランサーのマスターを探して見ると、魔術で身を隠していたもののワルサーWA2000の熱探知スコープで発見する事が出来た。そこまでは良いのだが、ランサーのマスターであるケイネスは奇襲を警戒してか自身の礼装を展開しており、狙撃しようにも出来ない。
更にはアーチャー陣営本拠地である遠坂邸に奇襲を掛け、アーチャーに撃退され、聖杯戦闘から脱落した筈のアサシンが戦闘を観戦しているではないか。
基本的にサーヴァントに対抗するにはサーヴァントを用いるしかない。いかに正面からの戦闘でキャスターと並び最弱と称されるアサシンでも、魔術礼装すら持って来ていないこの装備で戦いを挑むのは分が悪過ぎる。
この状態で狙撃可能なマスターがいないか。
そう思い探して見ると、ライダーのマスターが自分のポイントからでは無理だが、舞弥のいるポイントからならギリギリ狙撃可能かもしれないことに気がついた。
「舞弥、君のいるポイントからライダーのマスターを狙撃出来ないかな?」
切嗣は聞く。
しかし返答はない。
マズイ。切嗣は思う。
舞弥が自分からの連絡に返答しないのは何者かと交戦中か、または返答出来ない時−つまり敵にやられた時ののみである。
「マズイな…」
切嗣はそう呟やいた。
切嗣が展開に頭を抱えている時、アサシンと視覚共有して戦局を観察していた言峰綺礼は、あるものを発見した。
自身のサーヴァントである筈のアサシンが、衛宮切嗣のサポーターの女を攻撃しているのだ。
おかしい。
自分はそんな命令を下していないし、そもそも倉庫街に送ったアサシンは一体だけの筈である。
そう思い、パスを繋いで攻撃をしないように命令使用としたが、パスを繋ぐ事が出来ない。
アレは自身のアサシンではないのか。
そんな疑問すら抱いてしまう。
とりあえず自身の魔術の師であり同盟関係にあるアーチャーのマスター、遠坂時臣に報告した。
「師よ、アサシンと思わしきサーヴァントがセイバー陣営関係者を攻撃しています。止めようと思いパスを繋ごうとしても繋げません。」
「成る程、それは奇妙だね。だがそれは恐らく、キャスターが何らかの魔術を行使してアサシンに擬態しているのだろう。」
時臣は言う。
「キャスター…ですか?」
綺礼は納得がいかないのか、説明を求める
「ああ。今倉庫街にいないサーヴァントはバーサーカーとキャスターの二騎のみ。そのうち、バーサーカーは理性を失っているので擬態などという高度な芸当は出来ないだろう?つまり、キャスターの仕業としか考えられない。」
時臣は説明した。
「成る程。そういう事でしたか。」
綺礼は答えた。
「そうなると、キャスターには特別な警戒が必要ですね。」
綺礼は言う。
「ああ。擬態能力は暗殺に向いている能力だ。直ぐに消さなければいけない敵だろう。」
時臣も同意する。
だが、その時にはキャスターと思わしきサーヴァントは、その姿を消していた。
その時、狙撃可能な対象がいなくなってしまった切嗣は舞弥の元に向かった。
「舞弥、大丈夫か?」
武装を全て奪われた舞弥に聞く。
「…はい…アサシンに攻撃されましたが…命までは奪われませんでした…今回のミス…すみませんでした…」
舞弥は弱々しい声で言う。
「それは問題ない。サーヴァントに攻撃されたんなら仕方がない。」
そう言いながらも、言峰綺礼は何故アサシンに舞弥を攻撃させ、しかも武器だけ奪って殺さなかったのかを考える。
挑発しているのか…
クソッ、言峰綺礼め。
切嗣は綺礼に対する警戒を強めるのであった。
第二十一話
雁夜の戦略はアーチャー、アサシン同盟にキャスターを警戒させ、討伐させるとともにセイバー陣営のアーチャー、アサシン同盟に対する敵対心を煽る目的でした。
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。