雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
「…なっ、何故アサシンのマスターの手の甲を確認しなければならないのかね?」
璃正は雁夜の質問に動揺を隠せない。
クソッ、こいつ気が付いてやがるな…
だからリスクを負ってまでここに来たのか。
心の中で悪態をつきながらも、雁夜の次の言葉を待つ。
「使い魔を通じて先日の倉庫街での戦いを監視していたところ、こんな物を見つけたのでね。」
そう言って雁夜は、使い魔に取らせたアサシンの写真を見せる。勿論、璃正だけにではなく、全マスターの使い魔たちにもだ。
「俺にはこれがどうしても脱落した筈のアサシンのサーヴァントに見えてならない。」
雁夜はわかり切っている事を説明する。
「そこで、脱落したアサシンがまだ現界しているのではないか。という疑問を抱いてしまった。」
わざわざ全マスターが使い魔を通じて見ている前でアサシン陣営と教会の不正を証明するだと…
クソッ、どうやったら防げる。
などと思いながら璃正は表向きは平然を装いつつも、内心は追い詰められているのだろう。
その光景を使い魔越しに見ていた切嗣は考えた。
しかし璃正は気が付いていない。
雁夜が綺礼の令呪の有無を確認しようがしまいが、もう既に取り返しのつかない状況になってしまっていることに。
人は疑り深い生き物で、その猜疑心に一度火をつけてしまうと確証がでるまで疑ってしまう。
その猜疑心に火をつけ、アサシン陣営を確実に潰す。
これが間桐雁夜の狙いか。
切嗣は自身の先程の判断は間違っていなかったことを確認した。マスターの暗殺に特化したサーヴァントであるアサシンと教会の元代行者である言峰綺礼は自身にとっても恐るべき敵。疑いに駆られた他のマスター達が始末してくれるならとてもありがたい。
「確認させてもらえますかね?」
雁夜は尋ねる。
璃正は焦りを隠せない。表情こそ冷静なものであるが、額を流れる汗が何よりの証拠だ。
「言峰綺礼は、今外出中にて…」
璃正は苦しまみれの嘘をつくが、それは状況を雁夜にとって有利な物にするだけである。
「サーヴァントを失った元マスターは他陣営が最も排除したい存在の一人。何故なら再び令呪が宿り、マスターとして聖杯戦争に再び参戦する可能性が高いからだ。」
雁夜は聖杯戦争における鉄則を言い、続ける。
「サーヴァントを失ったマスターを教会の保護を求めるのも、教会が保護するのもそのため。そんな状況下にある言峰綺礼が外出中とは、少し可笑しな話ですな。何故外出を許したのか、いつ外出したのか、何処に向かったのかを教えて欲しい。」
雁夜はそう言い、パーカーのポケットから拳銃を二丁取り出す。
「外出中なら殺しても構わないのですよね?」
これはブラフだ。元々拳銃二丁で教会の代行者を殺せるなどと思っていない。
「それは…その…」
璃正はもう嘘を突き通す事ができない。
その光景を見ていた誰もが思ったその時、別の男の声がした。
「父上、もう良いではありませんか」
第二十六話です。
遂に綺礼登場です。
次回、令呪を隠せないアーチャー・アサシン同盟が取る行動とは?
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。