雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
「…いたわ」
遠見用の水晶玉で侵入者、つまりキャスターを索敵していたアイリスフィールは、遂にキャスターを捕捉した。
「アイリスフィール、敵は誘いを掛けています。」
アイリスフィールの隣で共に水晶玉を覗いていたセイバーは言う。
「人質…でしょうね。きっと。」
アイリスフィールは、キャスターが連れて来ている児童たちについて触れる。
「私が直に出向いて救い出すしかありません。」
セイバーがそう言った時だった、キャスターが水晶玉越しにセイバーとアイリスフィールの方を向いて微笑んだのだ。
「…⁉千里眼を見破られている!」
アイリスフィールは酷く驚いた。
そんなアイリスフィールの心境を知ってか知らないでか、キャスターは語り始める。
「昨夜の約定通り、ジル・ド・レイ、まかりこしてございます。我が麗しの聖処女ジャンヌに今一度、お目に掛かりたい。」
そう言ったキャスターは、丁寧に頭を下げる。
それを見たセイバーは、焦り出す。
「アイリスフィール!」
「まあ取次ぎはごゆるりと。私も気長に待たせて頂くつもりです。」
そんなセイバーの焦りを見透かした様にキャスターは言う。
「それなりの準備をして参りましたからね。」
そう言ったキャスターが指を鳴らすと、キャスターの周りにいた子供たちが正気を取り戻した。
「さあさあ坊や達、鬼ごっこを始めますよ。」
「ルールは簡単。この私から逃げ切れば良いのです。」
「さもなくば…」
そう言ったキャスターは、連れていた子供たちの一人の頭を鷲掴みにして、強引に持ち上げた。
キャスターが何をしようとしているかわかったセイバーは叫ばずにはいられない。
「辞めろ!」
そんなセイバーの叫びも関係なしに、キャスターは子供の頭を握り潰した。
その動向を見ていた子供たちは一斉に逃げ出す。
「さあお逃げなさい。100を数えたら追いかけますよ。」
キャスターは呑気に宣言した。
「ねえジャンヌ、私が全員捕まるまでにどのぐらい掛かりますかね?」
それを聞いたアイリスフィールは、言う。
「セイバー、キャスターを倒して。」
勿論セイバーも同意した。
「はい!」
騎士としてあんな暴挙を許すわけにはいかない。
そんな決意と共にセイバーはキャスターの元へと走る。
絶対に止めてみせる。
セイバーがそう考えたとき、キャスターの声が響き渡った。
「ようこそジャンヌ。」
セイバーとの対面に、キャスターは嬉しそうだ。
「いかがですか?この惨状は?」
「痛ましいでしょう?」
キャスターの言葉を聞いたセイバーは、その惨劇を起こしたキャスターと、それを止められなかった自分に腹が立ち、歯を食いしばる。
「私が憎いですか?ええ、憎いでしょうね。神の愛に背いた私が断じて許せないはずだ。」
セイバーはキャスターより子供に気を取られる。
「その子を離せ、外道。」
セイバーのその言葉を聞いたキャスターは子供を解放した。
解放されたその子供はセイバーに駆け寄り、抱きつく。
しかしそれすらキャスターの計算の内。
子供の身体を突き破って海魔が出現し、セイバーを拘束した。
「⁉」
あまりのショックと怒りで、セイバーは言葉を発することが出来ない。
その間にもキャスターはセイバーを包囲すべくして海魔を召喚する。
正気を取り戻したセイバーは自分を拘束していた海魔を風の魔力で粉砕すると、剣を構え、戦いに備えるのであった。
第三十三話です。
遂に戦闘開始しました。
原作通りの展開は次話の前半で終わりで、次話の後半からは、オリジナル展開がはじまります。
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。