雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
ケイネスに敗北した時臣が決断を迫られることになるその少し前、セイバーはアサシンの軍勢に包囲されていた。
「クッ、数が多い上に一騎一騎も決して弱くはない...」
セイバーがそう苦しい気に言ったのを聞いたアサシン達は、得意気に笑う。
「フフフフフッ」
他のサーヴァントとの直接の戦闘ではキャスターと並び最弱とも称されるアサシンのサーヴァントを相手に、全ステータスが軒並み高く、直接戦闘に置いてもかなり優秀なセイバーのサーヴァントが苦戦するというのは、奇妙な話かもしれない。
だが、セイバーはその左手をランサーのゲイ・ボウの呪いで蝕まれているため、かの聖剣の真名解放を使えないため、数の利があるアサシンとの戦闘ではどうしても不利になってしまうのだ。
「左手さえ使えれば...」
セイバーはキャスターとの戦闘中にも度々表した内なる悔しさを再び呟く。
セイバーがそんな事を呟いている間にも、アサシンの攻撃の手は緩まない。
セイバーの意識が左手に向いている一瞬の隙を突いた一人のアサシンが距離を詰めて切りかかってきたのと同時に、三体のアサシンが一斉にダークを投擲してきたのだ。
「風王結界(インビジブル・エア)」
全方位からの攻撃をセイバーは風の魔力をそれらに向けて放出する事で防ぐ。
しかし、セイバーの不利は変わらない。アサシン側もアサシン側で決めてを作る事ができない。
「再び苦戦している様だな、セイバー。」
その戦いに乱入してきたのは、またもやランサーだった。
ランサーの声を聞いたセイバーは、やりせなそうに答える。
「ああ、ランサー。貴方に再び不甲斐ないところを見せる事になろうとは...」
「セイバー、お前はこの俺が倒すべき敵だ。今はそんな事は気にせずに目の前の敵を倒す事に集中しようではないか。」
ランサーは気を使いながら言い、続けた。
「アサシンんよ。お前達にも再び会ったな。」
「此度こそは必ず仕留める...!」
そう言ったランサーは二本の宝槍−ゲイ・ジャルグとゲイ・ボウ−を構え、騎士として名乗りを挙げた。
「フィオナ騎士団が一番槍、ディルムッド・オディナ。我が主、ケイネス殿の為に、押して参る!」
セイバーとランサーがアサシンとの戦闘を再開させたその頃、もう一組みの男達が白熱した闘いを見せていた。
そう、切嗣と綺礼の闘いである。
一時は絶望的な窮地までに追い込まれた切嗣は、ケイネスの介入によりなんとか立て直した。
しかし綺礼が弱くなったと言うわけでもない
現に綺礼は、固有時制御(タイムアルター)を用いて加速する切嗣の移動速度に引けを取らないスピードで移動し、着実に切嗣との間合いを測っていた。
次の一撃で確実に仕留める。
綺礼はそう決心し構えを取るのだった。
だが誰も気がつかなかった。三組の闘いが行われているアインツベルン城に、更に新たな勢力が乱入しようとしている事に。
第四十三話です。
ちょっとスケールが大き過ぎて書き辛くなってきたので、次話で一組みの戦闘を終わらせます。
後、次回で時臣がどうなるかもはっきりさせる予定です。
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。