雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
アイリスフィールの治癒魔術は、typemoon wikiのアイリスフィールのページを参照にしてください。
ケイネスがバーサーカー陣営の情報詮索をすると決めたのと同刻−
キャスター陣営の工房で、恐ろしい計画が始まろうとしていた。
「はぁー、俺たちあんまり楽しみ過ぎたせいで、もしかして、罰が当たったのかな。」
キャスターのマスター、雨生龍之介がそう言うと、キャスターは龍之介の肩を掴み言う。
「これだけは言っておきますよ、龍之介。神は決して人間を罰しない‼ただ愚弄するだけです‼」
キャスターの激しい口調に驚いた龍之介は動揺する。
「だ、旦那...?」
「かつて私は、地上で尽くせるかぎりの悪逆と篤信を積み重ねた。」
「しかし、私に下るはずの神罰はなく、私を滅ぼしたのは人間の欲望だった‼」
「でも、旦那。それでも神様はいるんだろ?」
龍之介は尋ねる。
しかし、キャスターは不思議がる。
「何故、信仰もなく奇跡も知らない貴方がそう思うのです?」
「だって、この世は退屈だらけの様に見えて、だけど探せば探す程、面白おかしい物が多すぎる。」
「昔から思ってたよ。この世界は最高のエンターテイメントだって。」
「きっと登場人物50億人の物語を書いているエンターティナーがいるんだ。」
「これはもう神様としか呼びようがない。」
「では龍之介、果たして神は人間を愛していますか?」」
「それはもうゾッコンに。」
「神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。
でなけりゃぁ――生き物のハラワタが、あんなにも色鮮やかなわけがない。
だから旦那、きっとこの世界は神様の愛に満ちてるよ」
それを聞いたキャスターは、言う。
「心服しました龍之介、我がマスターよ。」
「しかし、貴方の宗教観によるならば、我が篤信も茶番に過ぎないのでしょうか...?」
キャスターのそんな問に、龍之介は答える。
「いやさあ、汚れ役だってきちっと引き受けて笑を取るのが真のエンターティナーだろ?旦那の容赦ないツッコミには、神様も大喜びさ。」
それを聞いたキャスターは歓喜し、宣言する。
「よろしい。ならば一際色鮮やかな絶望で、神の庭を染め上げてやろうではありませんか!」
燃え盛るアインツベルンの森を駆け巡ることおよそ15分、切嗣は遂にアイリスフィールと舞弥らしき二人組を発見した。
「アイリ、舞弥、大丈夫か?」
切嗣は二人が無事であることを切望しながら叫ぶ。
切嗣のその必死の叫びを聞いたアイリスフィールは涙声で答える。
「ええ、私は大丈夫よ...」
「でも、舞弥さんが...」
それを聞き、切嗣は二人に駆け寄る。
「なに⁈舞弥がどうしたんだ⁈」
殆ど察していた切嗣の声には、明らかな焦りが含まれていた。
「舞弥さんは...遠坂時臣の炎魔術を全身に受けて...魔術で燃やされた樹も舞弥さんの上に倒れて来て...」
「その樹を魔術でどかして今、治癒魔術で必死に治療しているのだけど....」
アイリスフィールは、涙声で答える。
そう、アイリスフィールの使う治癒魔術には舞弥を癒すのには致命的な欠点があった。彼女の治癒魔術は「体組織の代用物を錬成する」という錬金術。ホムンクルスのアイリスフィールやサーヴァントのセイバーを癒すのには適しているが、生身の人間である舞弥には些か身体的負担が大き過ぎる。
「舞弥!大丈夫か⁈」
「アイリ、どいてくれ。僕がやる。」
切嗣がそう言い、舞弥に治癒魔術を掛け始めると、今まで意識がなかった舞弥が目を開き、弱々しい声で話し始めた。
「切嗣...」
「舞弥!大丈夫か⁉意識が戻ったのか?」
舞弥の声を聞いた切嗣は叫ぶ。
「切嗣....駄目だよ...私はもう....」
舞弥は呟く。それが事実だとわかっていても認めたくない切嗣は叫ぶ。
「嘘だ‼そんな事ない‼」
切嗣が泣きそうになっているのに気が付いた舞弥は、その弱々しい声で言う。
「ダメだよ...泣いたら...」
「それは...奥さんのために...取っておいて。」
「ここで泣いたら...ダメ...あなた...弱いから。」
「今はまだ...壊れちゃ...ダメ...」
「僕は...!」
最も信頼する舞弥の言葉に耐え切れなくなった切嗣は言う
しかし舞弥は続ける
「こんな事で、壊れちゃ....ダメ。」
そんな舞弥の意思を尊重しようと、切嗣は必死に平静を装い、言う。
「安心しろ。舞弥...後は僕とセイバーとアイリ任せろ。舞弥、お前の役目は、終わりだ。」
それを聞いて安心したのか、舞弥は静かに息を引き取った。
燃え盛りつつも静かなアインツベルンの森には、切嗣の嗚咽だけが響き渡った。
第四十九話です。
舞弥の死亡シーンが好きなのは僕だけですか?
ついつい無理矢理突っ込んでしまいました。
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。