雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら   作:ワカメの味噌汁

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補足
アイリスフィールの治癒魔術は、typemoon wikiのアイリスフィールのページを参照にしてください。


第四十九話

ケイネスがバーサーカー陣営の情報詮索をすると決めたのと同刻−

キャスター陣営の工房で、恐ろしい計画が始まろうとしていた。

 

「はぁー、俺たちあんまり楽しみ過ぎたせいで、もしかして、罰が当たったのかな。」

キャスターのマスター、雨生龍之介がそう言うと、キャスターは龍之介の肩を掴み言う。

「これだけは言っておきますよ、龍之介。神は決して人間を罰しない‼ただ愚弄するだけです‼」

 

キャスターの激しい口調に驚いた龍之介は動揺する。

「だ、旦那...?」

「かつて私は、地上で尽くせるかぎりの悪逆と篤信を積み重ねた。」

「しかし、私に下るはずの神罰はなく、私を滅ぼしたのは人間の欲望だった‼」

 

「でも、旦那。それでも神様はいるんだろ?」

龍之介は尋ねる。

 

しかし、キャスターは不思議がる。

「何故、信仰もなく奇跡も知らない貴方がそう思うのです?」

 

「だって、この世は退屈だらけの様に見えて、だけど探せば探す程、面白おかしい物が多すぎる。」

 

「昔から思ってたよ。この世界は最高のエンターテイメントだって。」

「きっと登場人物50億人の物語を書いているエンターティナーがいるんだ。」

「これはもう神様としか呼びようがない。」

 

「では龍之介、果たして神は人間を愛していますか?」」

 

「それはもうゾッコンに。」

 

「神様は勇気とか希望とかいった人間賛歌が大好きだし、それと同じくらいに血飛沫やら悲鳴やら絶望だって大好きなのさ。

でなけりゃぁ――生き物のハラワタが、あんなにも色鮮やかなわけがない。

だから旦那、きっとこの世界は神様の愛に満ちてるよ」

 

それを聞いたキャスターは、言う。

「心服しました龍之介、我がマスターよ。」

「しかし、貴方の宗教観によるならば、我が篤信も茶番に過ぎないのでしょうか...?」

 

キャスターのそんな問に、龍之介は答える。

「いやさあ、汚れ役だってきちっと引き受けて笑を取るのが真のエンターティナーだろ?旦那の容赦ないツッコミには、神様も大喜びさ。」

それを聞いたキャスターは歓喜し、宣言する。

「よろしい。ならば一際色鮮やかな絶望で、神の庭を染め上げてやろうではありませんか!」

 

 

 

燃え盛るアインツベルンの森を駆け巡ることおよそ15分、切嗣は遂にアイリスフィールと舞弥らしき二人組を発見した。

「アイリ、舞弥、大丈夫か?」

切嗣は二人が無事であることを切望しながら叫ぶ。

 

切嗣のその必死の叫びを聞いたアイリスフィールは涙声で答える。

「ええ、私は大丈夫よ...」

「でも、舞弥さんが...」

 

それを聞き、切嗣は二人に駆け寄る。

「なに⁈舞弥がどうしたんだ⁈」

殆ど察していた切嗣の声には、明らかな焦りが含まれていた。

 

「舞弥さんは...遠坂時臣の炎魔術を全身に受けて...魔術で燃やされた樹も舞弥さんの上に倒れて来て...」

「その樹を魔術でどかして今、治癒魔術で必死に治療しているのだけど....」

アイリスフィールは、涙声で答える。

 

そう、アイリスフィールの使う治癒魔術には舞弥を癒すのには致命的な欠点があった。彼女の治癒魔術は「体組織の代用物を錬成する」という錬金術。ホムンクルスのアイリスフィールやサーヴァントのセイバーを癒すのには適しているが、生身の人間である舞弥には些か身体的負担が大き過ぎる。

 

「舞弥!大丈夫か⁈」

「アイリ、どいてくれ。僕がやる。」

切嗣がそう言い、舞弥に治癒魔術を掛け始めると、今まで意識がなかった舞弥が目を開き、弱々しい声で話し始めた。

「切嗣...」

 

「舞弥!大丈夫か⁉意識が戻ったのか?」

舞弥の声を聞いた切嗣は叫ぶ。

 

「切嗣....駄目だよ...私はもう....」

舞弥は呟く。それが事実だとわかっていても認めたくない切嗣は叫ぶ。

「嘘だ‼そんな事ない‼」

 

切嗣が泣きそうになっているのに気が付いた舞弥は、その弱々しい声で言う。

「ダメだよ...泣いたら...」

「それは...奥さんのために...取っておいて。」

「ここで泣いたら...ダメ...あなた...弱いから。」

「今はまだ...壊れちゃ...ダメ...」

「僕は...!」

最も信頼する舞弥の言葉に耐え切れなくなった切嗣は言う

しかし舞弥は続ける

「こんな事で、壊れちゃ....ダメ。」

 

そんな舞弥の意思を尊重しようと、切嗣は必死に平静を装い、言う。

「安心しろ。舞弥...後は僕とセイバーとアイリ任せろ。舞弥、お前の役目は、終わりだ。」

それを聞いて安心したのか、舞弥は静かに息を引き取った。

 

燃え盛りつつも静かなアインツベルンの森には、切嗣の嗚咽だけが響き渡った。

 




第四十九話です。

舞弥の死亡シーンが好きなのは僕だけですか?
ついつい無理矢理突っ込んでしまいました。

今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
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