雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
軍噛蟲と変臓蟲はオリジナルです。前者は軍隊蟻、後者はイトミミズの様な見た目です。
視蟲は他の二次創作の設定をお借りさせていただきました。(この蟲が登場する作品は数多くあると思います。どの二次創作がこの蟲の設定を考えたのかを明記出来ずすみません。)
雁夜の魔術の吸収が早いのは、脳機能を強化しているからです。
「対象の肉体に寄生し擬似回路として機能する刻印蟲、監視に使える視蟲、戦闘用の翅刃虫、魔術工房防衛と通常の戦闘にも用いる事が出来る軍噛蟲、損傷した身体に代わって機能する変臓蟲...」
「大分創り上げることができたな。」
蟲魔術に興味を持ち始めてからまだ数時間の時点で文献を参考に数々の蟲を創り上げる事に成功した雁夜は満足そうに言う。
臓硯が創り上だした蟲全てというわけではない(雁夜が独自に創り出した蟲の種類もあるし、意図的に創らなかった蟲もいる。)が、実戦で使うのには充分過ぎるその蟲々を間桐邸と郊外の魔術工房に配置し、雁夜は言う。
「これで更に攻めが鋭くなり、守りが硬くなったな....」
「蟲魔術を実戦で実験してみたいな。」
「今日は他マスターの詮索と行くか。」
そう呟いた雁夜は知らなかった。その実験体は直ぐに現れる事に。
雁夜(と言っても人形であるが)が間桐邸を出てから約一時間後。
遠坂家の長女にして時期遠坂家当主の筆頭候補である遠坂凛は、恐怖と後悔を同時に味わっていた。
そう、父に自分でも聖杯戦争で父の助けになるのだという事を証明するために冬木市内の河川敷までに来た。そこまでは良かったのだが、友人のコトネを含む複数人の子ども達が不気味な西洋人の男に連れ去られようとしていたので、止めようと声を掛けたのだが、その男が何かを唱えたかと思えば気色の悪い蛸の様な生物三匹に囲まれていたからである。
「うぁ....」
恐怖と後悔で声が出てしまう。
父の言いつけを守り、禅城家に残っていなければこんな事事にはならなかった筈だ。
以前、父から教わった事から推測するにこの蛸の様な生き物は使い魔だろう。
自分にはまだどうこうできる問題ではない。
「フフフッ、お嬢さん。私達と一緒に来ると言うのなら解放して差し上げますよ。」
その不気味な西洋人は言う。
しかし凛もその提案に乗ってはいけないという事がわからない程馬鹿ではない。
「誰がっ...!!」
恐怖に震える声で拒絶の意を告げる。
それを聞いた不気味な西洋人が
「そう言われては、仕方がありませんね...」
と言うと、蛸の様な生物は凛に襲いかかり、それを見た凛は恐怖で目を閉じる。
が、しかし、蛸の様な使い魔が凛に触れる事はなかった。
むしろ逆に、蛸の様な使い魔が甲高い悲鳴を上げている。
恐る恐る凛が目を開けると、蛸の様な使い魔達が、無数の蟻の様な蟲と、無数の鋭い羽と強力な顎を持った蟲に食われていた。
「キャスター、何をやっている!」
その蟲達を使役していると思われる男が現れ、不気味な西洋人を責めたてる。だがしかし、何故かその男は嬉しそうだ。
「貴様、何者?」
キャスターと呼ばれた西洋人は、尋ねる。
「俺はバーサーカーのマスター、間桐雁夜。キャスター、今直ぐにその子ども達を解放しろ!」
蟲達を使役していると思われる男は間桐雁夜と名乗り、子ども達の解放を求める。
凛には「間桐雁夜」という名前に心当たりがあった。以前父が話していた、間桐の落伍者。魔術師の面汚し。
しかし、今凛の目の前にいる「間桐雁夜」は明らかにしっかりと修行を積んだ魔術師だ。
凛がそんな事を疑問に思っている間にも雁夜とキャスターのやりとりは続いている。
「キサマキサマキサマキサマキサマキサマキサマッ‼」
キャスターは発狂して、更に海魔を召喚し、それに合わせて雁夜も更に無数の翅刃虫と軍噛蟲を召喚し、海魔を襲わせる。
キャスターのサーヴァントと魔術師の雁夜の戦い。それは一見、雁夜の圧倒的不利な様に見える。
だがしかし、キャスターの螺旋城教本の能力(海魔の無制限召喚、無限再生)は、雁夜の扱う蟲魔術との相性が最悪だった。
そう、海魔は無数の蟲達に捕食されるので再生する間も無く消えるし、その捕食は蟲達に魔力を与える為、雁夜の負担を劇的に減らしていた。更に無限召喚は蟲達の餌が増やすだけである。
「おのれおのれおのれおのれおのれ‼」
キャスターは更に発狂し、雁夜は蟲魔術の強力さにほくそ笑む。
しかし、サーヴァントと現代の魔術師の差は大きい。
蟲魔術のアドヴァンテージを持ってしても不十分と考えた雁夜は、バーサーカーを召喚する。
召喚された黒い霧をその身に纏う狂戦士は、二丁の拳銃らしき宝具を取り出し、キャスターを狙撃する。
それを受けキャスターは、銃弾の進路上に海魔を召喚して自身の身を守ろうとするが、それさえ充分ではない。
バーサーカーの放った銃弾は、海魔を貫通してキャスターを襲う。
「キャァァァァァァアアア‼」
キャスターは悲鳴を上げる。
「バーサーカー、そのまま殺せ‼」
雁夜の命令を受けたバーサーカーは、拳銃をキャスターの方に向けるが、キャスターは戦場から消える。
「また令呪による瞬間移動か...」
雁夜は呟き、バーサーカーを霊体化させた。
カッコイイ…
雁夜の戦いを見た凛が童心に憧れを抱いたのを知ってか知らないでか、雁夜は凛に話し掛ける。
「こんな時間に出歩いちゃだめじゃないか。今から警察を呼んであの子達を保護してもらうから、君も付いて行きなさい。」
しかし、凛は嫌がる。
「私は、遠坂の魔術師として、聖杯戦争に参加しているお父様を手伝いに来ました。」
「お父様を手伝うまで帰りません‼」
凛の頑固な態度に舌を巻いた雁夜は、なだめるために言う。
「そっか...じゃあ言峰教会まで行こうか。そこなら安全だし、そこの神父さんは君のお父さんのお友達だから、きっと何かお父さんの手伝いなれるよ。」
凛は何やら不満気だったが、雁夜に同意し、教会に向かった。
同刻−
その戦闘を使い魔越しに見ていたケイネスは、得る事が出来たバーサーカー陣営に関する情報を整理していた。
バーサーカーは何らかの隠蔽能力を持っており、ステータス等は確認出来ない。また、強力な二丁の拳銃の様な宝具を持っている。
昨日までの、いや、あの戦闘を見るまでのケイネスならば、ここで考察を終えていただろう。しかし、あの卓越した魔術を見せつけられて黙っていられるケイネスではない。
「あのレベル使い魔の使役は、急造魔術師に出来る物ではない...」
そう、ケイネスには心当たりがあった。
「ファーストネームが同じで、容赦も瓜二つ...いや、まさかな。大体、蒼崎殿の魔術は脳改造を始めとする肉体改造とルーン魔術じゃないか。」
「使い魔の大量使役とは全くと言って良い程縁がない。」
ケイネスは自己否定をしつつも、確信にいたれなかった。
第五十話です。
雁夜が更に強くなってしまいました。ケイネスと綺礼と切嗣を更に強化してパワーバランスを保つか迷っています。
凛は魔術師の雁夜に憧れを抱き、ケイネスは疑いを拭えません。
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。