雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
キャスターを撃退した後、雁夜と凛は言峰教会に向かって歩いていた。その道中、そういえば名前を聞いていなかったなと思った雁夜は凛に尋ねる。
「そういえば、なんて言う名前なのかな?」
「遠坂凛です。遠坂家五代目当主、遠坂時臣の長女です。」
凛は名乗り、誇らしそうに自身の父が時臣で有る事を宣言した。
「おじさんは...」
「間桐雁夜さんですよね。」
凛に自己紹介をさせた雁夜は、自身もしなければと思い言おうとするが、凛は雁夜の事を知っている様子だった。
しかし、雁夜は凛が遠坂の長女ならば知っていてもおかしくはないか、と納得する
「そっか、おじさんの事を知ってるんだね。」
「はい。前にお父様が話しておられました。」
凛は説明し、先ほど抱いた疑問を解消すべく質問する。
「でも、お父様は雁夜さんは十数年前に間桐から逃げ出して聖杯欲しさに間桐に帰ってきた魔道の落伍者だと仰っていましたが、さっきの雁夜さんは明らかに熟練の魔術師でした。どうしてなんですか?」
凛の質問にどう答えれば良いのか数秒悩んだ雁夜は、自身が出奔中にも魔術を学び研究していたと言う事実を嘘をつかずに隠しながら答える。
「えーっとね、おじさんは訳あって普通の人よりも要領が良いんだ。だから間桐に帰って来て直ぐに間桐の魔術をマスターする事が出来たんだよ。」
凛は雁夜のその答えに納得した様子だが、新たな質問をぶつけて来た。
「そうなんですか。でも、そんなに簡単に間桐の魔術をマスター出来るのなら、どうして間桐から逃げ出したんですか?」
子どもの純粋さとは怖いものだ。
凛の痛いところを突いてくるその質問に雁夜はそんな事を考えながら答える。
「ちょっと魔術に縛られない人生を体験してみたかったんだ。」
今回の回答は全くの嘘だったが、凛は信じ込み、反論する。
「でも、でもお父様は魔術師の家庭に生まれた者は魔道を極めなければいけないって仰っていました。」
これに対する回答は前の二つのそれよりも格段に簡単だった。
「さっき言ったように、訳あっておじさんは要領が良くて魔術を覚えられるから、聖杯戦争の数年前に帰ってくるなら良いって条件で外での生活を許してもらえたんだ。」
その答えに凛は納得したのか、満足気に言う。
「へぇー、そうなんですか。」
が、しかし凛にはもう一つ質問があった。
「雁夜さんはどうやって要領が良くなったんですか?私も魔術を学んでいるので、要領が良くなりたいです。」
この子はまた....
凛の再び聞かれたくない事を聞く質問に雁夜はどう答えるべきか悩み、時間稼ぎをする。
「ちょっと複雑なんだけどね...」
幸運な事に目的地の言峰教会が見えたため、雁夜は話題を変える。
「えっーとね。あ!教会が見えてきたよ。」
そう言い雁夜は言峰教会を指差す。
「本当だ!」
凛は年相応の反応を見せ、教会に向かって走りだした。
何とか誤魔化せたみたいだ。
雁夜らそう思いながらも凛を追うために小走りになる。
教会の入口まで辿り着いた雁夜と凛は璃正に迎えられ、凛は別れを告げる。
「バイバイ、雁夜さん。」
「お休み、凛ちゃん。」
雁夜が立ち去ろうと教会に背を向け歩きだしたその時、凛は言った。
「今度会った時に要領が良くなる方法教えて下さいね。」
「ああ、きっと教える。それはおじさんが約束してあげる。」
本当にこの子は...
雁夜はそう思いつつも、出発するのだった。
第五十一話です。
最近ずっと戦ってた感じがしたので平和な回を入れてみましたがいかがでしたか?
今日も駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。