雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
雁夜(と、言っても人形であるが)が自分自身に火を着けて身体を焼却のを見ていたケイネスは、ある結論へと達した。
「バーサーカーのマスター、間桐雁夜は間違い無く『彷徨海の天才』、蒼崎雁夜と同一人物だ。」
最早、そう考えるしかない。
先程の戦闘で自身の身体を焼却する際に間桐雁夜は強力な炎のルーンを身体に刻み込んでいた。
あのレベルのルーン魔術は、長い年月を掛けても到達出来るかわからない程のモノであり、幾ら才能が有ろうとも魔術から逃げ出して数年前に帰ってきただけの急増マスターが辿り着ける域ではない。
「しかし、何故身体を燃やす必要があったのだ」
ケイネスは長考する。
雁夜が仏教など、火葬を行う宗教を信仰していたというのなら話しは別だが、そんな話しは聞いたこともない。
「身体にそうしてまで隠したい何かがあったと考えるのが普通であろう。」
ケイネスはそう呟き、また考察に戻る。
「考えられるのは....身体の改造を解析させたくなかったという可能性と...」
そこまで考えたケイネス、湧き上がった閃きに感嘆する。
「いや、そうか!そうだ、それしかない!」
「蒼崎雁夜殿は蒼崎橙子から人形術の手解きを受けていて、さっきのは人形だったのか!」
「だから眼鏡を掛けておらず瞳の色も違ったのか!」
ケイネスは言う。
しかし、ここで新たな問題が浮上して来た。
「しかし、そうすると本体の所在は何処なんだ?」
「一番可能性が高いのは間桐邸だが...用心深い蒼崎殿の事だ、何処か別の場所に魔術工房を構えているのかもしれない。」
だが、それは今ケイネスにとってそれ程重要な問題ではなかった。
「まあそれはまた後で使い魔に探らせれば良いか。」
「それよりも重大なのはセイバーのあの宝具だ。」
そう、先程セイバーが行ったエクスカリバーの真名解放の威力に、ケイネスは驚きを隠せなかった。
「流石、ランクA++宝具ということか。」
だが、その驚嘆はケイネスを怯ませるモノではない。
「しかし、あれ程の大技はそう簡単に何度も撃てるモノではあるまい。」
「ならば攻略のしようもあろう。」
ケイネスはそういうと、パスでランサーを呼び寄せた。
数分して戻ってきたランサーに、ケイネスは尋ねる。
「ランサーよ、セイバーのあの宝具についてどう考える?」
ケイネスの質問に、ランサーは正直に感じたことを答える。
「とても強力な宝具かと。だが、セイバーは令呪の力抜きであの宝具を発動する事が出来ませんでした。つまり、ゲイ・ボウの効力が発揮されている間、セイバーはあれを殆ど撃てないに等しいです。」
ランサーの意見を聞いたケイネスは言う。
「そうか。ゲイ・ボウがあるうちは大丈夫なんだな。」
「ならばそれ程心配する必要がないだろう。」
ケイネスのランサーも同意し、二人の戦闘考察は終わった。
同刻−
キャスター陣営に次ぐ切嗣は次のターゲットを見つける事を始めていた。
「今晩は、大海魔戦の消耗からどの陣営ももう戦闘は行いたくないだろう。」
「だからこそ、このタイミングで仕掛ける。」
そう、切嗣は元来、暗殺者。敵の裏をかく戦法の方が性分にあっているのだ。
「戦闘に参加しなかったアーチャー陣営とバーサーカー陣営は避けたい。」
「つまり、ライダー陣営か、ランサー陣営だ。」
さて、どちらにしようか。
切嗣は悩むのであった。
第五十六話です。
ここからの展開は早いですよね。
でも、原作と異なる展開になる予定です。
楽しみにしていてくれると嬉しいです。