雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら   作:ワカメの味噌汁

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第七十四話

聖杯の泥に飲み込まれ、聖杯の意識との会合を経て冬木市民会館に戻って来た雁夜は、今だ泥に溢れる冬木市民会館のホールで辺りを見渡し、ケイネスが自身とほぼ同時に意識を取り戻した事に気がついた。

 

「ロード=エルメロイ、貴方も意識を取り戻したようですな。」

雁夜はケイネスに話し掛ける。

 

「ええ。アレに祈る願いなど、私にはありませぬから。」

ケイネスは答え、尋ねる。

「蒼崎殿、貴方は何か願われたのですか?」

 

「いいえ。私にもありませんよ。」

「それに...本来は無色の願望機であるはずの聖杯があんな禍々しい魔力を帯びた物体に変貌しているとは。」

「願いがあったとしても願う気にも成りませんよ。」

ケイネスの問いに雁夜は答え、聖杯の内側で気がついた聖杯の変化についての懸念に関しての不安を伝える。

 

「確かに...アレが帯びていた魔力はとても無色の願望機が持つ物とは思えませんでしたな。」

「あのドス黒い魔力は何だったのですか?」

ケイネスも雁夜に同意し、尋ねる。

 

「私にもわかりません。」

雁夜はケイネス答え、持論を展開する。

「しかし、本来は万能の願望機として機能するはずの聖杯があの様な魔力を持ったままこの世に生まれ出れば、大惨事になるのは目に見えています。」

 

「でしょうな。」

ケイネスも同意し、続ける。

「私達の他にもセイバー、バーサーカー、そして言峰綺礼が聖杯の内側に取り込まれています。」

「早急に行動せねば、三人の内の誰かが祈りを捧げてしまうかもしれません。」

 

ケイネスの懸念に、雁夜は高速思考を使い考察を始める。

確かに...ロード=エルメロイの仰る様に、数分としない内にあの三人の内の誰かが祈りを捧げ、聖杯は生まれ落ちるだろう。

そうなれば...何が起こるか想像すら出来ない...

「殺」そうにも聖杯の死の線は見えない...

ロード=エルメロイと協力してアレを消滅させるだけの大魔術を行使する時間もない...

何か...何かないのか?...

 

....!

そうか、その手があったか...!!

「令呪を使って我々のサーヴァントの意識を強制的に取り戻させ、彼等の持てる最大の力を持って聖杯に攻撃させましょう。」

雁夜は考察の末の解決策をケイネスに提案する。

 

「早速、試してみましょう。」

ケイネスも同意し、二人はそれぞれの令呪に意識を集中させる。

 

「蒼崎雁夜が令呪を持って命じる。」

「バーサーカーよ、今直ぐ意識を取り戻せ。」

「ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが令呪を持って命じる。」

「セイバーよ、早速に意識を取り戻せ。」

二人がそう命じると、バーサーカーとセイバーが起き上がる。

 

「ケイネス、何事ですか⁈」

セイバーはあと一歩で願いが叶うというところで邪魔され、少し不満気に尋ねる。

「聖杯は汚染されている!」

ケイネスは答え、続ける

「重ねて令呪を持って命じる。セイバー、聖剣エクスカリバーの真名開放を持って聖杯を破壊せよ。」

「重ねて令呪を持って命じる。バーサーカーよ、己の持てる限界の力を持って、聖杯を破壊せよ。」

「第三の令呪を持って、重ねて命ずる。セイバーよ、聖杯を破壊せよ。」

 

令呪の力を受け、二騎のサーヴァントは持てる力を尽くし、聖杯に攻撃し、エクスカリバーの眩い光ぎ辺りを包み込む。

 

「やったか.....?」

雁夜はのそんな疑問は、天上に現れた聖杯の存在によって答えられた。

聖杯はその禍々しい身体から、先ほどのとは比べ物にならない量の泥を放出する。

 

「はは...こいつは俺の手には負える筈がない...」

眼前に迫る泥に雁夜はそう呟くと、残された魔力を全て使用して、自身の身体に炎のルーンを刻み、意識のシンクロを解いた。

 




第七十四話です。

雁夜は、橙子と雁夜が聖杯戦争のために用意した二体目の人形に聖杯戦争中ずっと意識をシンクロさせていました。(一体目使用時は違いますが。)
次回最終回、二体目の雁夜人形についての解説が入ります。(何故直死が使えたかなどの説明です。)

今日も駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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