雁夜が直死の魔眼使いでそれなりに強かったら 作:ワカメの味噌汁
やっぱりこっちの設定のが好きです
凛との再会
聖杯戦争が終わって約一ヶ月経ったある日、間桐邸の整理をすべく冬木を訪れていた雁夜は、何やら聞き覚えのある声で呼び止められる。
「雁夜さん!!!」
雁夜を見つけたのがよほど嬉しかっ他のであろうその声の主、遠坂凛は雁夜のそばへと駆け寄ってくる。
「凛ちゃん、お久しぶり。」
そんな凛に対し、雁夜は穏やかでかつ落ち着いた口調で話しかける。
「お久しぶりです!」
やはり凛は嬉しそうだ。無理もない、自身の命を救ってくれた人に再会できたのだから。
しかし、この時、雁夜は思い出してしまった。凛との約束を。
…やばっ、まじかぁ。
雁夜が心中でそう呟いたのを知ってか否か、凛は雁夜に尋ねる。
「雁夜さん!以前仰っていた、容量が良くなる方法、伺っても良いですか?」
…この子は鋭いなぁ
雁夜はそう思いつつ、考える。そう、以前この話をしたとき、自身は海外にいた時は魔術に触れていない設定だったはず。いきなり脳機能を魔術で強化したなどと言って良いものなのだろうか。
…いや、本当のことを言っても良いだろう。
結局、そう考えるに至った雁夜は自身がどんな魔術を研究しているのかや、彷徨海で講師をしていることなどを、凛にもわかりやすく説明する。もちろん、橙子や直死の魔眼については伏せているが。
雁夜の話を聞いた凛は感激したのか、目を輝かせながら雁夜に問う。
「雁夜さん!私には魔術を教えてくれませんか?」
…そうくるか。
雁夜はそう思いつつも、想定外ではなかったため、あらかじめ考えておいてあった返答をする。
「うーん、そうしてあげたいんだけど、おじさんは彷徨海で仕事があるから、日本にいられる時間があまりないんだ…」
しかし、これが凛のやる気に火をつけてしまったようだ。
「じゃあ、私が将来、彷徨海に行ったら魔術を教えてくれますか⁉︎」
…またこの子は…
雁夜は思う。いや、凛の才能なら可能だろう。しかし、彷徨海は肉体改造を基調としている以上、凛にはあまり向かないだろう。
「凛ちゃんは、魔術の方向性からして、時計塔の方が良いかな?
…時計塔の一級講師に知り合いがいるから、紹介してあげるよ!」
「本当ですか!!!
でも、彷徨海にも行きますね!」
嬉々として凛は答える。
「ははっ…その時はよろしくね。」
雁夜は微笑みながら答える。数年後に凛が時計塔から彷徨海への留学をして、それが実現するとも知らずに。
・矛盾螺旋(戦闘シーンだけ)
(式は雁夜の弟子という設定です。)
「私を止められると……思っているのか?」
荒耶は問う。
無理もない。眼前の男、蒼崎雁夜が強力であることは疑う余地のない事実であろう。能力がどのようなものであるのかはわからないが、雁夜が非常に美しく、かつ繊細であり、芸術的とも言える殺意を発していることからその事実は明白極まりない。それでもここは自身の根城である魔術工房。荒耶の場所的アドヴァンテージは計り知れない。もちろん、蒼崎雁夜もその事実を十分すぎるほどに認識しているだろう。
しかし、雁夜は迷わず、荒耶をまっすぐに見て答える。
「…あぁ。危機に瀕した弟子を助けるのは師の務めだからな。」
そう言うと雁夜は、自身の魔眼封じを外し、魔術礼装である日本刀を構える。
「…貴様もその魔眼を持つか…」
雁夜が直死の魔眼を持っていることを認識した荒耶は、驚きを隠せない。
「あぁ、そうだとも…!!!」
そう言うと同時に雁夜は、蟲の軍勢を荒耶に向かい飛ばす。しかし、大量の蟲達は荒耶の空間圧縮によっていとも簡単に潰される。
だが、これは雁夜の計画通り。雁夜は魔術で全身の筋力を強化すると、荒耶に接近する。
速いッ…!!!
雁夜のスピードに荒耶は驚く。おそらく雁夜の身体能力の高さは、自身や死徒、そして聖堂教会の代行者すらをも上回るとだろう。そんなことを考えているうちに、あっと言う間に距離を詰められてしまう。
「粛」
荒耶は、雁夜の攻撃を止め、再び距離を取るべく空間圧縮を再び行うが、それが発動した時には既に自身の三重結界の内の一つが「殺された」ていた。
…奴に私の結界を全て破壊されるのも時間の問題であろう。ならば肉弾戦で倒すしかない…
幸い、自身の左手には両儀式対策の仏舎利を埋め込んである。ゆえに簡単に「殺される」ことはないだろう。
そこまで考えると、荒耶は肉弾戦を行うべく構えを取った。
荒耶の一連の動きを見た雁夜は、再び荒耶に一撃を加えるべく踏み出す。もともと、非常に高い身体能力を魔術でさらに強化している雁夜は、瞬く間に荒耶の眼前にまで移動し、荒耶に斬撃を加える。
しかし、荒耶もただ黙って攻撃を受けるわけではない。現に荒耶は、雁夜の斬撃を左手で防ぎ、右腕で雁夜に打撃を加えようとする。
荒耶の高い身体能力を持ってして繰り出されたその一撃は、恐るべき威力を持っているのだろう。しかし、その一撃が雁夜に届くことはなかった。というのも、先程よりもさらに筋力を強化した雁夜が、その右腕を切り落としたからだ。
「グッ…」
荒耶は一瞬ではあるものの、怯む。雁夜はその隙を逃さず、荒耶の鳩尾に強烈な蹴りを入れる。
…重い
雁夜の蹴りを受けて荒耶は思う。自身も魔術で身体を強化しているものの、あの威力の攻撃を何発も受ければ、もたないだろう。しかも、雁夜には直死の魔眼がある。
私には勝てない…
…今回も『 』には至れないか…
そう悟ったときには、雁夜が眼前で魔術礼装である日本刀を荒耶に振り下ろしていた。
駄文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
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