(ここは……どこなんだ……?)
ラウラは暗闇の中をフワフワと漂っていた。地面に足がついている感じがなく、気持ちが悪い。
(そうだ、私はタッグトーナメントでオルコットたちを相手にしていたが……敗れたのだったな。その後にまた変な声が聞こえたと思ったら目の前が真っ暗に……)
―――――その身体、使わせてもらうぞ
かほとの模擬戦の時と同じ声が聞こえた瞬間、抵抗することも出来ずに目の前が突然真っ暗になった事を思い出した。
(だとすれば、ここは一体……)
すると、突然目の前が真っ白になった。あまりの眩しさに、一瞬だけ目をつむる。
「くっ、うっ……! ………………ん?」
目が慣れてくると、目の前の景色が鮮明になった。
「なっ!? ISも無しに飛んでいる!?」
大海原の上空を、ISも使わずに飛んでいるのだ。落ちているような感じでもなく、本当に機体に乗っているかのように飛んでいる。
「む? あれは空母か? それにしてはやけに大きいような……何!?」
大海原に浮かぶ船が形状からして空母であることに、軍人であるラウラはすぐに気が付いた。しかし近づくにつれ、その異様さに驚く。何故なら……
「く、空母の上に街があるだと!?」
大きな学校を中心に、飲食店や団地など、もはや街と言っても過言ではない光景が甲板の上にあった。
「何なんだ……ここは本当に何なんだ!」
そして、別に意識している訳でもないのに体は勝手に学校へ、そして倉庫と思われる場所へと向かっていく。
「わ、わぁぁ!? ぶつかる! ぶつかるぅ!」
扉が閉じたままの倉庫へ一直線に進む体。ラウラはぶつかりそうになる恐怖から、自然と体を守る姿勢をとるが、何とぶつかることもなく扉をすり抜けて中に入った。
「へ……? 何ともない……? まさか私は幽霊にでもなったのか!?」
次々と起こる超常現象に、ラウラは戸惑う。
『明日はいよいよ決戦だ』
『ここまで来るなんて、あの子たちは本当に凄いですね~』
声の聞こえた方へ向かうと、そこには自分の模擬戦の相手をしてくれた人物がいた。
(西住先輩!? だが、あの格好は……)
かほの登場に驚くが、すぐに違和感を抱いた。自分が知っている西住かほは、長く美しい黒髪なのだが、目の前にいる女性はそれよりも短く、また雰囲気も大人っぽい。着ている服も見慣れない物で、ダークブラウンの軍服らしきものだ。左胸には、ピンク色の丸い魚のような奇妙なワッペンがつけられている。
『あの子たちは、何十年も眠り続けていた私たちを目覚めさせ、そして走らせてくれた。私たちは人に操られる存在ではあるが、性能を最大限に発揮しよう』
『応援してます、Ⅳ号さん!』
『お前を解体になんてさせないさ、大洗』
エプロンのような物を着た女性と笑い合うかほ。だがラウラが気になったのは、かほがⅣ号と呼ばれたことだった。
「西住先輩、Ⅳ号というのは……え?」
かほに声を掛けようとした瞬間、二人の姿は消えていた。
「一体どこに……なっ!?」
不思議な空間に来てから、ラウラは驚いてばかりいる。だが無理もないだろう。彼女の目の前には、7輌ほどの戦車が並んでいるのだから。それも現代で主戦力になっているものではなく、第二次世界大戦などで使われた、まさに旧式の戦車ばかりである。
(なぜ学校にこのようなものがあるのだ……?)
そう疑問に思った瞬間、目の前が真っ白になった。
景色がハッキリしてくると、今度は廃墟のような場所に来ていた。宿舎のような建物が周りにあり、その中を2輌の戦車が走っている。キューポラから顔を出している人物に、ラウラはまたもや驚いた。
(女子が戦車を動かしているだと!? しかしこの雰囲気……戦争ではないのか?)
目の前で起きているのは、まるで漫画にあるような一騎打ちに見えた。
そして、Ⅳ号戦車とティーガーがぶつかり合う瞬間、半透明な女性が見えた気がした。
『Ⅳ号ぉぉぉぉぉ!!』
『ティーガーぁぁぁぁぁ!!』
かほと、黒い軍帽を被った女性が雄たけびを上げた。その直後、互いの砲撃による煙で見えなくなった。
『ふっ……。お見事』
そう呟いたのは、果たしてどちらだったのか。判別がつかないまま、ラウラの視界はまた白に染まった。
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