それにしても、少し難産気味です。中々原作キャラとの絡みが少ない立ち位置にいますからね……。
一年生が臨海学校を終えてから数週間後。学園は夏休みとなった。かほも実家へと戻り、私服姿で自分の趣味に没頭する筈だったのだが……
(接着剤を切らしていたとは、不覚……)
プラモを作るために愛用していた接着剤を切らしてしまい、買いに行っていた。最後の一個であったため、買えたのは幸運と言えるだろう。
(もう昼か……。どこかに飲食店は無いものか……)
空腹を感じ、辺りを見回す。
(む? 五反田食堂……? 入ってみるか)
食堂という文字が目に入った瞬間、かほの腹の虫は「早く食わせろ」と言わんばかりに鳴り響く。早速店へと足を進め、店に入った。
「いらっしゃいませー! お好きな席へどうぞ!」
中学生くらいだろうか。少女が元気な声で対応してくれた。厨房からは何かを炒めるような音が聞こえ、それがより空腹感を増長させる。
「注文が決まりましたら呼んでくださいね?」
「蘭ちゃーん! 注文~!」
「はーい、今いきまーす!」
賑やかな様子に内心楽しくなりながら、テーブルに置かれているメニューを取る。
(ふむ、色々あるな。サバの味噌煮や唐揚げも美味そうだが、さっきの炒める音を聞くとなると……)
野菜炒めを始めとしたメニューに目を通す。
「……すいません」
「はい、何でしょう!」
「回鍋肉定食、ご飯とおかず大盛で」
「かしこまりました!」
メニューを置き、お冷やを飲む。ふと食堂に置かれているテレビのニュースが目に入った。
『先日、海底調査団が発見した空母は、第二次世界大戦中に沈没したと見られるもので…』
(……空母、か)
前世では学園艦という存在が当たり前であり、この世界において学園艦も戦車道も存在しないと知ったときには、大きなショックを受けた。
(思えば、母さんや刀奈には迷惑をかけてしまったな……)
かほは、生まれた頃から前世のことを覚えていた訳ではない。ちょうど中学生の頃、突然の高熱と頭痛と共に思い出したのである。
前世のことを思い出した直後は、とても混乱した。前世での記憶と今の世界の記憶、そして西住という縁の深い名前。自分は西住として生きるべきか、Ⅳ号として生きるべきか、あんこうチームとして生きるべきなのか。どれだけ取り乱し、叫び、奇声をあげた事だろう。
だが、そんな自分を家族や幼馴染みは拒絶しなかった。前世のことを聞いてきた訳ではないが、それでも、瞑想を提案したり等、冷静になることに協力してくれたのだ。
(その結果私は、Ⅳ号であり、西住かほであり、どちらでもあると言うことに行き着けたのだったな)
少し笑みをこぼした所で、タイミングよく注文したものが出てきた。
「お待たせしました! 回鍋肉定食です!」
「ありがとう」
メインの回鍋肉は、野菜が多い気がするが、肉も負けず劣らずの存在感を出していた。ご飯も味噌汁も湯気が出ていて、不思議なことに安心感が生まれる。
「いただきます」
食べてみると、やはりキャベツと肉が見事に合っていた。濃い味付けの肉だからこそ、キャベツを多めに一緒に食べることでくどく感じない。そのキャベツも玉ねぎも、しっかり火が通っている。野菜ならではの甘味を感じた。
(この味付けだとご飯が進むな!)
一口ぶんの回鍋肉をご飯に乗せ、一緒に食べる。そのあとはもう止まらない。回鍋肉、ご飯、回鍋肉、ご飯、時々味噌汁も飲みながら食べ進んでいく。
「お爺ちゃん、あの人すごい食べてるよ」
「嬉しいねぇ。作り甲斐があるってもんだ!」
先程の少女や店主が何かを言ってるような気がするが、気にせずに食べていく。空腹ということも相まって、あっという間に平らげてしまった。
「ごちそうさまでした」
金を払い、店を後にする。歩きながらかほは考える。
(今度、刀奈の奴でも誘ってみるか。あいつ、外食とかの経験ほとんど無いだろうからな)
鼻歌を歌いつつ、かほは帰り道を歩いていくのだった。
読んでいただき、ありがとうございました。
最近は、また新作を考えつつあります。男オリ主によるIS学園の日記とか、トリコとモンハンのクロスオーバーとか(グルメピラミッド編まで読んでる途中ですが)。
それでは、次回もお待ちください。