戦車の魂を持つ少女は、大空を舞う   作:G大佐

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お待たせしました。いや、本当に難産です。新しい小説のネタなどはポンポン浮かぶのに……。書こうとするとこちらの投稿が滞りそうで、中々難しいです。複数の小説を連載している方々には本当に尊敬します。


学園祭での追走

 夏休みが終わり、二学期となった。二学期にも、当然イベントはある。

 他の高校よりも教科が多いため、その分他の教科を出来るだけ早く勉強しなければいけない。生徒のやる気を維持するためにも、適度なイベントが必要なのである。

 

「もうすぐ、毎年恒例の学園祭が始まるな」

「去年のメイド喫茶は面白かったわよね~。かほちゃん、顔を真っ赤にして」

「止めてくれ……。凄い恥ずかしかったんだぞ……」

 

 からかうように笑う楯無と、ため息をつくかほ。

 

「でも、今年は特に代表候補生が多いから……」

「ISの機体情報を盗もうとする輩が侵入してくる可能性大、か……」

「うーん、私たちは生徒会だし、出し物は無しにしようかしらねぇ……」

「学園も警備は最大限にするだろうが、相手が上回ってる可能性も考えると、私たちが動けるようにしないとな」

 

 これが、学園祭が行われる数週間前の会話である。

 

 

 

 

 

 

 

 学園祭当日の、正午過ぎのこと。

 

「クソッ、しつけえなぁ!」

「逃がさん!」

 

 スーツを着た女性を、かほは追いかけている。

 

(まさか、生徒にスパイが紛れ込んでいたとはな……! しかも、3年生のダリル・ケイシー先輩だったとは……!)

 

 数時間前、入場者のリストを確認したところ、巻紙礼子という女性の身分が偽造されたものだと発覚した。かほと楯無は大急ぎで、女性の目撃情報を集め、校舎裏へと到着した。

 そこでは、3年生のダリル・ケイシーが、巻紙礼子と名乗る女性にマイクロチップらしきものを渡そうとしていたのである。

 楯無がダリルを拘束したものの、既にマイクロチップは渡されており、かほは急いで女性の追跡を始め、今に至るのである。

 

「しつこい女は嫌われるぜ!」

「ならば大人しく返してもらおうか!」

「それは出来ねえな!」

 

 他の入場者が敷地内にいる以上、むやみに機体を展開して発砲することは出来ない。

 そして、学園祭会場とは離れた、崖の近くまで追い詰めた。下は海で、仮に船を待機させていたとしても、その高さから着地すれば大怪我は免れないだろう。警備用として借りていたラファールの腕を部分展開し、ライフルを向ける。

 

「待機形態のISを地面に置いてもらおう」

「……チッ。これまでかよ」

 

 乱暴にネックレスを外すと、地面に置いた……その瞬間だった!

 女性の背中から蜘蛛の脚らしき物が現れると、かほと女性の間の地面を砲撃したのだ!

 

「ぐっ!? しまっ……!?」

「ハッハァー! 気の引き締めが甘いんだよ、バーカ!」

 

 女性は崖から飛び降り、機体を完全に展開した。かほもすぐにラファールを完全に展開し、追いかけようとする。

 

「くっ、当たらない……!」

 

 マシンガンを撃つが、相手は海面スレスレを飛行しているため、中々命中しない。

 

「良い腕してんなぁ。当たるかもと思って、少しヒヤッとしたぜ。だがなぁ!」

「うおっ!?」

 

 急に振り返ったかと思うと、4本の脚が海面に向けて砲撃し、大きな水飛沫を立てた。視界が封じられ、かほは一瞬だけ動きが止まってしまう。

 

「あばよ、お嬢ちゃん!」

「待て! ……逃げられたか…………」

 

 水飛沫がおさまる頃には、既に女性は遠くへと行ってしまっていた。ラファールの最大速度でも追い付けるか怪しい。

 

(あの機体は確か、『アラクネ』か。一体どこで手にいれたんだ……?)

 

 疑問に思いつつも、かほは取り逃がした事を楯無に報告するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 とある施設。かほから逃げ切った女性……オータムは、愛する者のもとへ帰還する。

 

「戻ったぜ、スコール。データは確保した」

「お疲れさま、オータム。解析班に回しておくから、ゆっくり休んで頂戴」

「そうさせてもらうぜ。生徒会に追い掛けられて疲れた」

 

 スコールと呼ばれた妖艶な女性は、眉をしかめた。

 

「確か、レインの情報ではロシア代表が生徒会長だったはずよ。よく逃げ切れたわね?」

「違う違う。会長さまはレインを押さえやがった。あたしを追い掛けたのは、別の女だったよ。黒髪のラファール使いだ。ヒヤヒヤしたぜ? 頭低くして飛んでいたのに、弾丸が装甲を掠りやがった」

「珍しいわね。貴女が他人を、ましてや敵対した相手を誉めるなんて」

「かなり真剣に捕まえようとしてきたからな。久々に楽しめた女だったよ。そんじゃ、後は頼むぜ」

 

 オータムは寝室へと戻っていく。1人になった部屋で、スコールは呟いた。

 

「……さて、お仕事をしましょうか」

 

 今回オータムが奪ったマイクロチップの中身は、ダリルことレイン・ミューゼルが盗撮した、様々な試合の内容である。

 そこには当然、各国の機体の戦闘の様子が記録されている。この映像を解析することで、機体の欠点などを明らかにするのだ。その後は、その機体を生産している国の研究機関などに売り込む。

 

『あなたの国が開発してる機体には、このような欠点がありますよ。このままでは他国に遅れをとりますよ?』

 

 このような文句を添えて、売り込むのだ。ISの開発競争が行われている今、データは非常に重要なもの。マイクロチップ1つで、莫大な金が手に入るのだ。

 

(ふふ、IS時代さまさまね)

 

 アジトを歩くスコールは、ニヤリと悪どい笑みを浮かべるのだった。

 




読んでいただき、ありがとうございました。次回もお待ちください。
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