IS学園、地下の尋問室。IS学園はその取り扱う機体の情報の多さから、様々な国の特殊部隊等が潜入してくる。この部屋は、そんな“盗人”から情報を聞き出す為の場所である。
だが、それは頑丈な鉄格子に簡素なベッドと椅子と机、そしてトイレがある程度の牢屋である。仮に牢屋から出れても、捕虜の手首に巻かれたバーコード付きのタグ(しかも手で千切ることも難しい頑丈なやつ)にセンサーが反応し、警報が鳴るという徹底ぶりである。
「気分はどうかしら、レイン・ミューゼル?」
「可愛い女の子がいれば、女囚人同士っていう設定で燃えるプレイが出来たけどね」
「軽口を叩く元気はあるみたいね」
そんな牢屋のベッドに寝そべるのは、学園祭でオータムに対して情報を与えていたレインだった。鉄格子の向こうには楯無が、微笑みながら見つめている。……目は笑っていないが。
「フォルテちゃん、ショックを受けてたわよ」
「…………いきなりその話題にしてくるか。性根悪いねぇ」
フォルテという名に、顔を歪めるレイン。彼女たちは『イージス』と呼ばれるほどの名コンビだった。それはもう、お互いに愛していると言う感情が芽生えるほどに。
「性根悪いのはどちらかしら? 相棒を騙すと言うような行為をしてきたくせに。もしかして、フォルテちゃんも利用するために近付いたのかしら?」
「黙りな、更識楯無」
レインの声が低くなった。鋭くなった目付きは楯無を捉えている。
「あいつは私が選んだ女だ。亡国機業も関係なく、純粋に愛した女だ。お前に分かるか、あいつの愛らしさを。最初は先輩と呼ばれていたのが、名前で呼ばれるようになった嬉しさを」
飄々とした態度が崩れ感情的になるレインに、楯無は内心驚いていた。だが、次の言葉で彼女にも、一人の女としての感情が出る。
「愛する人が居ないお前に、私の気持ちが分かるか」
「知ったような口をきくんじゃないわよ、レイン・ミューゼル」
楯無の声も低くなった。両者の顔の距離が、鉄格子があるとはいえ近くなる。
「私には愛している人がいる。もちろん家族として妹を、家族同然の人として虚ちゃん達を愛しているわ。けれどね……私にだって、側にいてほしい、抱き締めてほしいと求めるほどに愛する人が居るのよ」
今度はレインが驚かされる番だ。これまでに、生徒会長が誰かに恋をしていると言う話は聞いたことが無かったからだ。
「残念ながら、まだ想いは伝えてないけどね」
「なんだ、片想いかい」
「けれど、愛していることには変わりはないわ。……おあいこね、私たち」
「スパイと生徒会長という違いがあるけどな」
「本当に残念よ。あなた達コンビは、本当に憧れだったもの……」
本当に残念そうに言うと、楯無は去っていった。残されたレインは……
(…………すまん、フォルテ。やっぱり巻き込むわけにはいかないや)
一筋の涙をこぼした。
読んでいただき、ありがとうございました。次回は…まだ未定です。どうか、気長にお待ちください。