IS学園地下。荷物搬入口にて、銃撃戦が繰り広げられていた。
「アメリカの特殊部隊か。向こうもやってくれるな」
「情報を吐かせるわ。足止めしてちょうだい」
「了解」
突如学園の電源が落とされた所に、千冬から召集をかけられた楯無とかほ。彼女から頼まれたのは、潜入してきたであろう敵勢力の無力化だった。どうやら潜水艦を使っていたらしく、既に学園のレーダーが捕捉していたという。
そして、唯一侵入しやすい搬入口に、予想通り敵が現れたのだ。
「楯無。疑似AICを頼むぞ」
「もう~、少しはお茶目に言いなさいよ~。なんちゃってAICって言ってみて?」
「断る」
呑気に会話しているようにも見えるが、その表情は真剣だ。かほはISの腕部装甲を展開してシールドを持ち、展開していない方の手でハンドガンを持ち、敵の足を撃ち抜いて動けないようにしている。楯無はナノマシンが含まれている水を操って銃弾を防ぎ、そこから爆発を起こして吹き飛ばしている。
(かほちゃん、おかしいわね?)
(手榴弾やナイフを持ってる様子もなし、まるで私たちに気を引かせてるように見えるな)
(連中の狙いは恐らく、前の戦いに乱入してきた無人機の残骸)
(……別ルートからISを投入してるかもしれんな)
(予想されるもう1つのルートには、織斑先生と山田先生が向かってるわ)
(やれやれ、かなりの戦力投入だ)
連休のため、生徒たちが殆んど居ないことが幸いだった。もし平日ならば、地下で繰り広げられてる戦闘の音に気付く可能性もあるからだ。今は遠慮なく戦える。
「楯無、最後は任せた」
「お任せあれ♪」
最後は、楯無の必殺技である
まともに動けない状態の兵士たちを、2人は一人ずつ拘束していく。だが、その時だった。まだ拘束されていない兵士がかろうじて起き上がり、ピストルの銃口を楯無に向ける。
「っ! 楯無、避けろぉ!」
「っ!?」
かほがいち早く気付き、避けるように叫ぶが、相手の方が一歩早かった。
通路に銃声が一発鳴り響く。
特殊加工されていたのか、銃弾はISスーツを貫通し、楯無の腹部に命中する。
撃たれた衝撃と激痛で倒れる楯無。目を見開くかほ。
楯無が倒れた瞬間……かほは修羅と化した。
「らぁぁぁぁ!!」
誰にも見せたことのない鬼の形相でかほは走る。
まずは楯無を撃った下手人の手を踏み、その骨を砕く。叫ぶ暇も与えず、頭を蹴って意識を奪う。そして、まだ拘束されていない残りの兵士たちに、ISのライフルを突きつける。
「貴様らぁ! 次に動いてみろ! 私は貴様らを挽き肉にする覚悟がある!」
兵士の中には、拘束を解こうとする者も居た。だが、かほの殺気は手練れの特殊部隊すら怯ませ、抵抗の意思を削いだのだった。
(私は……どうしたと言うのだ……)
作戦が終わり、医務室の椅子に座って項垂れるかほ。目の前には、治療を受けて眠っている楯無の姿がある。
兵士たちを教員に受け渡した後、冷静になっていくにつれて、自分がどれほど怒り狂っていたのかを理解できた。
(刀奈……。お前が消えたら、私は……)
もし普段のかほを知る者が居たら、今の彼女の弱々しさに目を疑うだろう。それほどまでに、楯無……いや、刀奈が負傷して倒れることがショックだったのだ。
思えば、かほの側にはいつも刀奈がいた。共闘する仲間として、勉学する友として、そして……幼馴染みとして。
前世と現世との記憶が混じり錯乱した時にも、常に彼女が寄り添っていた。気付けば刀奈が居ることが、かほにとって当たり前になっていたのだ。
「刀奈……」
夕焼けの光が差し込む医務室にて、かほは弱々しく呟くのだった。
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