戦車の魂を持つ少女は、大空を舞う   作:G大佐

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思いのほかサクサクと書けたので、投稿します。

オリジナル設定が多々あるので、あとでタグにも追加します。


かほに挑む者

 新学期。IS学園生の寮の食堂は、新入生たちで賑わっていた。そんな賑わいの中、海を眺めることが出来る席で朝食を取っているかほ。メニューは白米にサンマの塩焼き、ベーコンエッグに山盛りキャベツ、わかめの味噌汁だ。

 

「あの人、二年生……?」

「朝から凄い量……」

 

(やけに視線を感じるが、私は何かやらかしたのか?)

 

 頭の上にハテナマークを浮かべて、軽く首をかしげる。いつもは楯無や虚と一緒に食べているが、今は両者とも妹と朝食中だ。

 

(しかし、パジャマといい話し方といい、本音は相変わらず可愛いやつだ)

 

 布仏虚の妹、布仏 本音。更識簪のメイドもしている彼女は、かほにとって可愛い妹のような存在だ。特に気に入っているのは、お菓子をあげた時の小動物のような仕草である。

 後で会いに行ってみようか。そう考えながら味噌汁を啜っていると、声を掛けられた。

 

「お隣、よろしいでしょうか?」

「む? ……あぁ、構わんぞ」

 

 美しい金髪に青い瞳。その佇まいは貴族を思わせる。彼女の事を、かほは知っていた。

 

(セシリア・オルコット。イギリスの代表候補生……。ふっ、チャーチル戦車の奴を思い出す)

 

 前世での“戦車仲間”を思い出し、内心クスリと笑う。

 

「私、一年のセシリア・オルコットといいますの」

「二年の西住かほだ」

「……やっぱり」

「む?」

 

 何かを確信したような顔つきになるセシリア。その様子に、かほは箸の動きを止める。

 

「私、去年の学園見学に参加していましたの」

「ほう、そうだったのか」

 

 IS学園は、様々な国の人間がやって来る学校だが、受ける科目にIS関連の専門科目があること以外は、普通の高校である。すなわちこのIS学園も、高校見学と同じように見学する機会を設けている(機密情報が漏れないように厳しい監視や立ち入り制限の場所もあるが)。

 その中で、実際にISが動いているところを見せるために、在校生の代表が練習機を使ってパフォーマンスする事がある。去年は、かほが『ラファール・リヴァイブ』を使って射撃の様子を披露した。その見学生の中に、セシリアも居たのだろう。

 

「表示された電子ターゲットを次々と撃ちぬく姿、今でも覚えていますわ」

「イギリス代表候補生に覚えてもらえるとは、光栄だ」

「あら、私が代表候補生というのをご存知で?」

「代表候補生は、時にメディア出演もある。君の事も知っていた」

 

 嘘である。かほは生徒会に所属しており、それで彼女の事も知ったのだ。

 

「して、何ゆえ私に声を掛けた? ただの談笑ではあるまい?」

「……私と勝負していただけませんか?」

「……ほう?」

 

 セシリアの目つきは鋭くなり、かほは獰猛な笑みを隠せなくなった。

 

「私、去年の時点で射撃には十分な自信がありましたの。ですが、貴女の腕を見て……足りない。もっともっと腕を磨かなくてはと思ったのです。その後、本国に戻った私はひたすら訓練を重ねましたわ。だからこそ知りたい。今の私は貴女に追いついたかを」

「……良いだろう」

 

 まさか、そこまで印象に残っているとは思わなかった。しかも()()()()()()()()を見て訓練を重ねたと言うではないか。代表候補生とは、その国の中で何百人といる中から選ばれたエリート候補。そしてそれは、生半可な努力ではすぐに蹴落とされるという危うい立場。にも関わらずこの学園に入学出来たという事は、常にその立場を維持する努力を惜しまなかったという事である。

 ならば、その努力に、彼女の思いに応えようではないか。かほの獰猛な笑みはさらに強くなった。

 

「期日はいつにする。ここ一週間は、新入生への機体貸し出しが優先されるのでな。すぐ勝負という訳にはいかないぞ」

「では、来週月曜日の放課後、訓練アリーナで勝負しましょう」

「承知した。では、来週に」

「えぇ」

 

 朝食を完食すると、かほは食堂から去っていく。その後ろ姿を、セシリアはただ見つめていた。

 

 




読んでいただき、ありがとうございました。

セシリアたち代表候補生って、意外と大変な立場じゃないかと思うんです。

来年にはISの新刊というか、最終巻が出るのでしょうか……。

それでは、次回もお楽しみに。
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