「マドカが反抗期になった……」
「だからって生徒会室に入り浸るのは止めてもらえませんか、織斑先生」
IS学園生徒会室。その部屋で呆れたようにため息を吐くかほと、苦笑する楯無。なぜ二人がそのような表情をしているのかと言うと、目の前の教師が原因だ。
彼女の名前は、織斑 千冬。現在は一年一組の担任である。
「小学生の時は『お姉ちゃん大好き!』と言ってくれたのに、今では『近寄らないでくれないか』だぞ? どうしてしまったんだ、マドカ……」
「きっとそう言うお年頃なんですよ」
「そうですよ~。妹さんは確か中学二年生でしたよね?」
「あぁ……」
(やれやれ……。かつては世界最強だのブリュンヒルデだの呼ばれていたというのに、妹や弟が絡むとこれだもんなぁ……)
かほは再びため息をつく。
モンド・グロッソ。ISの世界大会であり、射撃や格闘など、様々な部門で競技が行われる。各部門での優勝者を『ヴァルキリー』と呼ぶのだが、総合優勝した場合は『ブリュンヒルデ』と呼ばれる。
千冬は、第一回モンド・グロッソにおいて、その名前を勝ち取ったのである。しかし第二回では『とある事件』が発生したため辞退しているが、その事件について、かほは知らない。「何か理由があるのだろうが、深くは詮索しない」と決めている。
そんな彼女だが、かほが知る限りでは一つ、問題があった。
それは……シスコン&ブラコンであるという事だ。
千冬には妹と弟がいる。それぞれ、マドカと一夏と言う。中学生と高校生だ。
流石に、異性として愛してるというレベルではないが、何かトラブルが発生すると非常に弱くなってしまうという残念ぶりだ。そして何故か生徒会室にやって来て相談したり愚痴るという。かほにとっては訳が分からなった。
「更識の妹とのトラブルを解決したのは西住だろう!? 頼む! どうすれば良いか教えてくれ!」
「えぇー……。それは自分で解決するべきじゃあ……」
「頼む……。食べきれないレベルの盛り付けで有名なラーメンを奢るから……」
「………………ひとまず過度に干渉しない方が良いんじゃないですかねぇ」
「かほちゃん、食べ物に釣られちゃ駄目でしょ!?」
悩んだ挙句解決策を提案するかほと、それにツッコミを入れる楯無。だが千冬の顔は、天啓を得たと言わんばかりに輝いた。
「確かに、今までの私は何かあるたびに話し掛けていた……。たまには一人になりたい時もあるという事か……! 感謝するぞ、西住! 約束通り、週末にラーメンを奢ろう」
「よっしゃ」
「それで良いのかしら、織斑先生……」
そして、千冬はルンルン気分で部屋を出て行った。残った二人は苦笑する。
「何だかんだで、家族の事を愛してるんだな」
「でしょうね。それにしても、懐かしいわね。『ブリュンヒルデの放課後特訓』、覚えてる?」
「覚えてるさ。どれだけ吐いて、傷まみれになったことか……」
まだ自分たちが一年生だった頃にあった、自主参加制の特訓。リタイアする者が多い中、かほと楯無は乗り越えた、いや生き残った。
千冬によるスパルタ特訓で、最初の二人は彼女に対して苦手意識があった。しかし、先程のような一面を知ってからは、何だかんだで親しみを持っているのである。
(“彼女”の事を思うと、姉妹や兄弟、家族トラブルというのは見過ごせないな……)
ふと、前世での自身の車長であった“彼女”を思い出した。家族と色々あった彼女は最後に和解したが、元気でやってるだろうか。かほは、思いを馳せるのだった。
読んでくださり、ありがとうございました。タグにキャラ崩壊も追加した方が良いかなぁ……。
次回も、お待ちください。