ガーリー・エアフォース RTA 難易度ACE COMBAT 作:TLS中毒患者
??? ある男の独白2
さて、色々あったが何とかあの空間を脱出する事に成功した。記憶にある限り最高の戦果だ。遅かれ早かれ、味方に撃墜される未来しか見えないアニマをこちらの、少なくとも人類側の戦力に付けられたのはまさしく行幸と言って良いだろう。あの空間に触れた事で危うく意識が飲まれかけたが、今はもう記憶の固着が安定している。
しかし、駅構内の誰の嫌がらせで置かれたのか分からない置き鏡には我ながらヒヤッとさせられたよ。お陰で俺の正体がバレる所だったじゃねぇか。俺の正体を知って尚、
そう言えば、一緒に連れてきた筈のあのアニマは今頃どこをほっつき歩いているのだろうか? まぁ、俺と違って彼女は純粋な意味でアニマだから、あの空間に存在を食われたりせずにこの時代、この地球の何処かにはいるんだろうが。
……っと、そろそろお客さんが来たようだ。
レーダーを見る限り所属不明の戦闘機が6機。まーたあんた達ですか。燃料の補給が済んでいるとは言えこっちは疲労困憊なんだ、勘弁して欲しいね。
「あーっチクショウ!! 乗り捨てた機体のコンパネにプレーヤー置いてきちまった!!」
「そんな呑気なこと言っている場合ですか!?」
敵機が目の前にいると言うのに、俺の横を飛ぶ青紫の機体からジャズの兄ちゃんの呑気な叫び声が聞こえてきた。少年はそんな彼に突っ込みを入れている。
しかし、彼女の機体も随分とまぁ姿が変わった物だ。エンジンノズルは単発になった代わりに基部が折れ曲がる事で先程彼女が射出座席でベイルアウトしたジャズの兄ちゃんを回収した時に披露した通り、ザイと同等の急反転能力とVTOL能力を持ち、その推進力もホーネットの設計限界を大幅に超えている。
流石に完全にザイ化していないだけあって、アンフィジカルレイヤーから無尽蔵にミサイルとか弾薬を供給できる様子は無さそうだが、それを引いてもあの機動性とレールガンの組み合わせは強力無比だ。
「仕方ねぇ、俺達のアドリブを聞かせてやるよ!! 現在アンコールはお断りなんだがな!!」
まぁ、気合十分みたいだしこの場は何とかなるでしょうよ。
俺もそろそろ戻りますかね……
◆◇◆
エスコンだと思ったらマクロスが始まったRTAはーじまーるよー。
前回はザイノ姉貴を無事に仲間にし、アンフィジカルレイヤーを脱出した所まで来ました。
アンフィジカルレイヤーを脱出すると、再びゼロツー戦が始まります。が、このステージでは何と操作キャラが強制的にジャズ野郎&ザイノ姉貴コンビになります。ザイ化した彼女の機体はレールガンによる火力は勿論、装甲は爆発反応装甲標準装備でオプションパーツを盛りまくったA-10より硬い耐久値を誇り、速度もフルチューンしたMig31並みかそれ以上を誇ります。これがデフォルトの性能と言う攻走守全てが文句なしに全機体中トップクラスの機体ですが、惜しむらくはストーリー内で操作できるのがこのステージだけという事でしょう。僚機として選んだ場合でも非常に頼りにはなりますが。
勿論シンクロ率も最高峰なので機銃のレティクルも早く、誘導ミサイルが信じられない程グネングネン曲がります。更にザイノ姉貴限定技で、スロットルのトリガーを某ACの二段クイックブーストの要領で押し込むと、何とその場で急反転してターゲッティングした相手の方に向き直ると言うクイックターンが使用できます。あれ? この機体VFシリーズだっけ……?
圧倒的機動力を楽しみたい所ですが、僕はレールガンの練習をしていないので正直火力不足に陥りやすい場面でもあります。ですので、ホモとNRTN君にゼロツーを押さえさせ、自分は義足野郎と取り巻きに集中しましょう。この際取り巻きを倒すと資金が大量に獲得できますが、本来RTAでは狙いません。ですが、前章のやらかしが大分響いているのでオリチャーを発動し、一機は撃墜したいと思います。
「オーレリアの魂、侮って貰っては困ります」
まずはグリフィスを狙います。取り巻き達には大まかな行動傾向があり、グリフィスは中でも最も統率力に優れる為、他の仲間を引き連れて連携攻撃を行って来ます。5人に勝てる訳無いだろ!! 馬鹿野郎お前俺は勝つぞお前!!
指揮官を潰すのは戦の基本、古事記にもそう書いてありますので必ず最初に仕留めましょう。
ゼロツーチャートの練習とかをしていれば、この面は全機撃墜も余裕のボーナスステージと化するらしいのですが、自分はどうにもレールガンを使い慣れていないので安定は一機、倒せて二機です。
このステージではまだ搭乗機がSu-30なのでマシですが、後にフル改造されたF-22に乗って来られると微弱ながらステルス持ちなのでかなり厄介です。
「下がってて下さい!! 後は僕が!!」
「そろそろケリを付けようじゃねぇか、義足野郎!!」
何とかレールガン三発を当てるとグリフィスが後退するので、そうしたら義足野郎にターゲットを変えましょう。義足烏賊はミサイルはおろか、レールガンすらもスレイマニダンスでかわしてくるので、実質機銃でしかダメージを与えられません。ですが、バイパー姉貴の好感度を上げていた場合は……
『04 RUNNING IN』
ワンアプローチで当てられる機銃を全て当てただけでバイパー姉貴の支援攻撃が飛んできます。燃料気化弾頭四発同時発射とかちょっと殺意高すぎやしませんかね……? 更にイーグル姉貴とファントム姉貴も合流するのですが、最初の攻撃だけはこちらに飛んでくるのでフレアで回避しましょう。一発だけなら誤射かも知れないって、それ一番言われてるから。
「見た目こそ奇天烈だけど、一応味方だよ~。IFFを再送信~っと!!」
ライノ姉貴がIFFを再送信する事によって以後は彼女たちからも味方と識別されます。こうなってしまえば六対六のイーブンの戦況ですが、見計らったかのようにザイが出現します。ですが、資金はもう足りていますのでここから先は戦う必要はありません。逃ぃぃぃげるんだよぉぉぉぉぉ!! レールガンで突破口を開きつつNRTN君をステージ外までエスコートしたら工事完了です……。
ぬわぁぁぁぁぁん!! 疲れたもぉぉぉぉぉぉぉん!!
ホモの被弾も抑えましたし、ザイノ姉貴を味方に引き入れられたのでランクは勿論Sです。
この後はちょっと長いイベント入りまーす。
◆◇◆
<失敗>
<認識>
<再接続>
<拒否>
<理由>
<不明>
<不明>
<イレギュラー>
<要調査>
<影響度>
<小>
<経過観察>
<同意>
<同意>
<共有><固体名>
<理由>
<可能性><再接触>
<鳴谷慧>
<グリペン>
<零>
<
<記録><了承>
<閉鎖>
<閉鎖>
<切断>
◆◇◆
那覇基地 自衛隊病院
「なんでい、何やかんや言って元気そうじゃねぇか、少年」
ライノの嬢ちゃんを闇堕ちから救って早二日。ここ数日ほどは那覇基地での防衛線の維持が俺の仕事になったので、非番の時に病院に軽く顔を出してやることにした。
正直なところ、今回の出撃で少年が満身創痍になったのには俺にも非が無い訳じゃあない。だからまぁ、顔見せがてら見舞いに行ったわけなんだが。
「体中ガタガタですよ……そういうモルさんこそ、あんな右足にナイフ突き刺して平気なんですか?」
「兵器だからな、これくらいは平気さ」
「何故だろう……真夏なのに寒気が……」
お、大丈夫か? 真夏に引く夏風邪はつらいぞ?
とまぁ、冗談はさておいて少年の体は相変わらず打ち身こそ酷いが、それ以外にはこれと言って目立った外傷は無かった。まぁ、撃たれたり刺されたりしていない分、俺よりはマシだろうよ。
おっとそうだった、今日はスペシャルゲストを色々と呼んでいるんだった。
「よ~う、坊主。見舞いに来てやったぜ」
「体の具合はどう? 鳴谷慧」
最初に到着したのは右目が紫色のオッドアイになったライノとジャズ野郎だ。二人の服装はいつも着ていた軍服と制服では無く、将校服をアレンジしたような制服に変わっていた。何でも、つい先日ライノ共々DARPAに辞表を叩き付けてきたばかりらしく、シャンケル博士や上役の唖然とした顔を拝んできたのだと言う。ライノの元々の機体は破壊され、残ったのは姿が変わり果てたとはいえ、アンフィジカルレイヤーでグルームレイクの倉庫から特殊召喚された軍の払い下げ品であるジャズ野郎の所有物であるF/A-18Eその物の機体番号だったため、軍もお世話になっているレールガン製造会社の御曹司の所有物を無理に奪う訳にもいかず、結果、定期的な稼働データ提出を条件に彼の傍に置かれることになり、全世界でも珍しい、アニマを個人所有する人物が誕生した訳だ。因みに俺も一応はMS社社長の所有物と言う扱いになっている。
「もう殆んど大丈夫ですよ。それよりも、その服は……?」
「へへっ、良いだろ? こないだ知り合いにデザインして貰った制服さ。前々からレールガン完成の目途が立ったら独立して起業する気だったからな。社長は勿論、この俺さ」
「で、あたしはレオンの社長秘書。まさかアニマ特有の演算処理能力をこ~んな事に使う事になるなんてね~」
スケジュールブックを片手にどこか呆れたように笑うライノだが、その表情にあったのは嫌味などでは無く、寧ろ満足気だった。
「ハイスクールを卒業したら自衛隊なんかじゃなくてウチに来いよ。世界中の空を飛ばせてやるぜ?」
「あはは……前向きに検討しておきます」
「レオン、そろそろ次の予定の時間だよ~?」
「おっといけねぇ、今日は今から日本支社の視察に行くんだった。オフィスは小松に置いてあるから気軽に遊びに来いよ。じゃあな!! って、やべぇ、これ飛行機の時間に間に合わねぇぞ!! 交通手段の移動時間の計算間違えてねぇか!?」
何やってんだライノォ!! とか叫びながら走り去っていくのが聞こえたが、あんな調子の彼女に秘書なんて任せちゃって大丈夫なのかねぇ……あと、病院ではお静かに。まぁ、ジャズ好きと排気量のデカいエンジン搭載の戦闘機のコンビと言う時点でそんなのは無理に等しい気もするが。
さて、と。次のお客さんは……
「慧!!」
「み、明華!? 何でここに!?」
騒音コンビと入れ替わるようにして必死の形相で病室にエントリーして来たのは明華ちゃんだった。変化球でバイパーゼロかとも思ったが、人見知りで恥ずかしがり屋の彼女が寄越すとしたら精々メールくらいだろう。と言うか、少年とはまだ面識は無かったか。
しかしこっちもこっちで騒がしいぞ。病室ではお静かに。
「あー、俺が呼んでおいたぞ。少年の焦る顔が見たくて」
「だからって何で!?」
「慧がまた怪我したってモルガンさんから聞いたから慌てて飛んできたのよ!! 怪我の程度は? 退院はいつ頃? 後遺症とか無さそう?」
「ちょっ、落ち着けって!!」
「これが落ち着いていられる訳ないでしょう!?」
流石にちょっとエスカレートし過ぎてきたので、どうどう、と明華ちゃんを制してやる。だーから、病室ではお静かにって言っているでしょうに。何か廊下でナースのお姉ちゃんが噂話してるのが聞こえるんだが。別に三角関係とかじゃありませんよ?
まぁ、俺のイタズラ心で呼んでおいたってのはあながち間違いではないんだが、まぁ、なんだ。ちょっとした俺のお節介みたいな物だ。俺が
病室を二人きりにさせ、病院を後にする。今なら本業の事を明かすいい機会だろう。次のシフトまではあと数時間ある。どこをほっつき歩くか考えていたが……
「あ、モルさん」
視界の先にいたのは入り口前で右往左往しているペールピンク髪のアニマ、グリペンだった。服装はいつものポンチョブラウスとサンダル姿。恐らくは少年の見舞いに来たのだろう。
「少年の見舞いかい? 今は止めときな、先客がいる」
「そう……慧の具合は?」
「まぁ、あと二日もあれば元通りになるだろうよ。それよりも、少しばかりオジサンの暇潰しに付き合ってくれよ」
奢るからさ、と付け加えると涎を垂らしてホイホイ着いてきた。相変わらず分かりやすい奴め。あとレディがそう簡単に涎を垂らすんじゃありません。少年にメールを送りながらも持ち合わせのハンカチで口元を拭ってやり、不意に一つ気になる事があったので訊ねてみる。
「なぁ、グリペン。お前は運命って奴を信じるかい?」
「運命」
「東シナで出会って、小松で再開して……笑っちゃうほどの偶然が重なりあって君は今、少年と共に空を飛んでいる。ひょっとしたら初めからこうなる事が決まっていたんじゃないかって程にな。そういうのを現すとしたらこの言葉が一番似合うと思うんだが?」
「良く分からないけど、私は運命を信じない」
「ほう?」
「運命のお陰で慧と出会えたなら、運命が邪魔をしたなら慧と出会えなかったことになる。それは受け入れ難い。モルさんとも会えなかったらと思うと、それもまた受け入れ難い」
「……嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
そう言って頭を撫でてやる。ハーブ系の香水の匂いが漂い、掌にほんのり熱が伝わる。
……このまま手を取って走り去ってしまいたい気分だったが、まだ早い。
今はまだ、二人を傍で見守っててやるのがちょうどいい距離だ。だから……
「よぅし!! 少年の退院予定祝いで景気付けに一杯行くかぁ!!」
「お~!!」
その後、俺の財布から諭吉が数枚消し飛んだ。
経費で落ちるだろうか、これ。
◆◇◆
さて、三章エンディングを流す傍らで育成と武器開発を行っていましたが、何とか四章を迎えるには事足りるでしょう。TLSを強化する強化集束レンズとbiim径拡張パーツの開発資金は、オリチャー発動のお陰で何とかリカバリーが効きました。
NRTN君の調教も筋力ステータスの育成がようやく追い付いているので次のボス戦でのイベント発生フラグは起動可能です。後はフラグ回収を忘れさえしなければですが……
自機がモルガン二号機で無い場合はここでジャミング系の電装系パーツを作っておくと、四章最初のミッションが大幅に楽になります。
と言った所で今回はここまで。小時間のご拝読、ありがとうございました。