ガーリー・エアフォース RTA 難易度ACE COMBAT 作:TLS中毒患者
西暦20XX モンゴル <球殻>観測基地
「やはりどうしても行くのかい?
「……もう俺は、三尉じゃねえよ」
「済まない、昔の癖でね。確かに今の君は
「その前に連れ戻すだけだ」
「例えその行動が、世界を敵に回すかもしれないとしても?」
「俺には世界を敵に回す事よりも、あの時彼女に手を伸ばせなかった事の方が辛い」
「君はいつもそれを抱えて生きてきた……と、分かった。ならば彼女も連れて行くと良い」
女の紹介で傍に招かれたのは、灰色髪のアニマ。
「初めまして。この度三尉殿に同行する事になりました量子演算型スーパーコンピューターのアニマ、『
「スーパーコンピューター……本体と切り離して大丈夫なのか?」
「ご心配無く。私は残されたザイのコアを利用した量子演算コンピューターです。つまりは私自身が
「もう驚かん……驚かんぞ……」
男が呻いていると、技術員の一人が準備完了の旨を伝える。男はそれに頷くと、零と呼ばれた灰色髪のアニマと共に機体に乗り込んだ。
赤い機体、単発エンジンのデルタ翼と、男が以前搭乗していた機体を彷彿とさせるシルエットだが、ザイ由来の技術を用いた他にも、様々なアップデートが施された正真正銘のワンオフ機。
「特異点への突入準備、整いました」
「了解した……BARBIE01 クリアードフォー、テイクオフ」
隣の<
それは、
自分は今からそれを無駄にしてしまう可能性がある。もしかしたら、再び奴らが活動するトリガーになるかもしれない。
それでも
「お前が隣にいない世界で未来は……俺には作れそうにないよ」
刹那、視界が白に染まった。
◆◇◆
真のヒロインにしてメイン盾が登場するRTA第四部はーじまーるよ―。
四章の冒頭はシュレディンガーフラグの回収した数でホモの見る夢の内容が変わり、準ルート確定以上の数を回収していると先程の内容になります。察しの良い兄貴たちなら、ここでホモの正体について勘づくのではないでしょうか。
夢から覚めると、バーフォードより特別依頼が持ち込まれます。
報酬全額前払いとか言う違うACであればあっ……(察し)となる様な依頼ですが、そんな騙して悪いがは起きないのでご安心を。
依頼内容はざっくり言ってしまえば白いSu-47を日本まで護衛する事です。要するにベルクト姉貴の護衛と言う訳ですね。
この四章ではベルクト姉貴の好感度を如何に上げ、イベントフラグを回収し、彼女を生存させるのかが鍵になります。
何故ならベルクト姉貴は搭載火力こそ全ドーターの中で最も低いですが、〈誘蛾灯〉機能によるザイに対してのタゲの誘因や専用装備であるTLS(AEGIS Type)が非常に強力です。これにより一定範囲内の敵機のミサイル攻撃を引き付けた上で撃ち落としてくれると言うメイン盾の役割をこなしてくれます。来た!! 盾来た!! メイン盾来た!! これで勝つる!!
トゥルーエンドフラグもそうですが、RTAにおいて自機の回避行動を減らせると言うのは非常に大きなアドバンテージになります。ですので、絶対にフラグ回収して宇宙に飛ばさせないようにしましょう。
余談ですが、本難易度の場合だとレーザー兵器関連の技術力が上がっているので、ベルクト姉貴に莫大な予算を突っ込むと某独裁者ばりの全方位レーザーが使用可能になり、ザイノ姉貴に継ぐ火力役となります。RTAではそこまでの資金確保が困難なので狙いませんが。
依頼を受けたらすぐにハンガーに向かいます。自機の横にいる整備士に話しかけると、次の依頼の機体をどうするかを尋ねられますが、俺はモルガンで行く!!
と言うのも、ここでの選択肢次第ではホモは機体を取り換えられるのですが、その場合ドーターで無い通常機体になる為スペックが大幅に下がります。その代わり、護衛の際にロシア兵に発見された場合に回収できなくなるフラグを確実に守ることが出来ます。
ですがこれはRTA、時には攻めたチャートも必要です。機体性能に優れるドーターを使いましょう。逃走中のベルクト姉貴の速度はめちゃんこ速いため、通常の機体だと常に彼女をジャマー効果範囲内に捉えておくのにも一苦労します。
ミッション開始したらアフターバーナーを全開に吹かし、モルガナイトを展開しましょう。一度の弾数で展開できる時間は25秒ですので、時間を把握しつつステルス機能を展開し続けましょう。本チャートでは電子系兵装の使用回数を増やす増加コンデンサーの開発をしていないので、連打し過ぎると弾数が足りなくなり、展開していない時間が5秒を過ぎるとロシア機に探知されて面倒な事になります。なのでステルスが切れたら四つ数えて再起動させるよう、時間管理はキチンとしましょう。(2敗)
ってしまったぁぁぁぁ!! 多分最後の展開ちょっと早かったぁぁぁぁぁぁぁ!!
やべぇよやべぇよ……待って!! 助けて!! 待って下さい!! お願いします!! うあああああああ―――――
「警告、貴機は日本領空に接近しつつある。速やかに進路変更せよ」
――――――生きてるぅー!! (日本に)帰ってこれたぁー!!
時間管理をミスった気もしましたが、グリペン姉貴の警告が聞こえてこれば成功です。この場合自機を変更していない場合はすぐに気が付いてくれるので数メッセージ分短縮させることが出来ます。ワンミスすらも許されませんが、戦闘を含めて短縮出来るので狙う価値があったという事ですね。
「よう、少年達!!」
「モルさん!? 何であのドーターと一緒にいるんですか!?」
「こまけぇこたぁ気にすんな。仕事だよ仕事。それよりもファントム、こっちは二機とも日本の領空に入った。後は任せるぜ?」
「えぇ、おじ様」
この後はファントム姉貴の警告により追撃に来ていたロシア機たちが撤退します。ファントム姉貴との好感度とホモの経歴によってホモに対する呼び方が変化します。本チャートの調整ですと、おじ様呼びになりますね。
ロシア兵たちにお帰り頂いたらミッションコンプリートです。小松に到着してからのベルクト姉貴の登場シーンは幻想的って評判良いから見とけよ見とけよ~。RTAではムービーカット可能なので飛ばしますが。お兄さん許して……
◆◇◆
「彼女は行ったか……さて、」
ロシア軍が保有する秘密基地の格納庫にて、凍土特有の凍てつく風に白衣を揺らしながら、男はゆっくりと振り向いた。最初にこちらを捉えたのは、自分も開発に携わったオレンジ髪のアニマ。彼女は怒りに形相を震わせ、拳銃を男に向けて構えている。
「同志キンヅブルグ!! 何でこんなバカな真似をした!?」
「ジュラーヴリク、か。そうだな、アニマである君に撃たれるなら本望だ。さぁ、撃ちたまえ。抵抗はしない」
「っ……テメェ!!」
キンヅブルグは手にしていた拳銃を地面に置き、両手を広げた。全くの無抵抗だ。彼のその行動に理解が追い付かず、ジュラーヴリクは一瞬怯むが、改めて拳銃の狙いを彼の眉間に定める。射撃訓練も受けている彼女が外すような距離では無い。
―――――銃声。
硝煙が上がったのは彼女の銃からでは無く、それよりも後ろから放たれた物だった。基地在中の特殊部隊員だ。放たれた複数の弾丸は彼の全身を貫き、格納庫の一角に血みどろを作り出す。
「とっとと死体を片付けさせろ……怪我はないか? 同志ジュラーヴリク」
「あ、あぁ……」
特殊部隊員に身の安全を尋ねられるが、その声にいつもの様な覇気は無かった。
目の前で物言わぬ死体となったこの男は、接点こそ少ないがアニマである自分たち姉妹に対して何の偏見も持たず接してくれた数少ない人物だった。
そんな人物が何故、このような裏切り行為に走ったのかを彼女が知るのは、もう暫く先の話である。
◆◇◆
さて、ベルクト姉貴が小松に置かれると、途端にザイの襲来率が上がり経験値大量取得のチャンスが訪れます。が……実はこれ、三段階の程度があり、ホモや施設の機材を駆使した調整である程度出現率を調節することが出来ます。アニマであるホモの出来る事は、待機任務中に整備員に話しかけ、モルガナイト、またはジャミング系電子兵装の電源を入れっぱなしにしておくことです。アニマの放つECM兵装はEPCM技術により強化されているため、ベルクト姉貴がオートで発動してくる基地内デバフ<誘蛾灯>の効果を一段階下げることが出来ます。だから、電子パーツを作っておく必要があったんですね。
もう一段階の低下を狙う場合はザイノ姉貴の生存が前提条件ですが、必要経験値の関係上、数戦は交える必要があるので低下は一段階で大丈夫です。また、二段階低下させると四章章末ミッションの開始が遅れるのでRTAではロスにも繋がります。
ベルクト姉貴が来日してから二日目の朝になると、ジャズ野郎が生存して会社を設立していた場合は小松基地に新型兵器の宣伝に来ます。
「いやー、退職金代わりにくすねてきたブロウラーをうちの技術員共が勝手に小型化しちまってさぁ。モチーフは確かスウェーデンのリルドラケンだったか? 追加増槽としても兵装ポッドとしても自立戦闘機としても使える優れモノなんだが、今のライノじゃ三機の制御が限界でね。安くしとくから余りをそっちで買ってくれないか?」
「ハルカ……あれ、欲しい。可愛い」
「確かに私の処理能力なら使いこなせそうですね……どうしますか、お父様?」
と、ジャズ野郎がYSRDOR兄貴に提案を持ちかけます。唸るYSRDOR兄貴ですが、グリペン姉貴とファントム姉貴は興味津々の様ですね。ここでの選択肢は、
「格安でアニマが三倍になる」
と、YSRDOR兄貴にダイレクトマーケティングをしておきましょう。こうする事によってグリペン姉貴とファントム姉貴に選択武装「UAV射出」が追加されます。グリペン姉貴の物は専用のカラーとパラメーターになり、『リルグリペン』と呼称が変化します。そりゃグリペン姉貴は同じサーヴ社のドラケンの後継機だから似合うよね。
二日目夕方の出撃が終わると、ジャズ野郎から遅ればせながら会社設立記念パーティーをやるから来ないか? と誘われます。勿論参加するのですが、承諾を出す前にベルクト姉貴を呼んでおきましょう。すると、なーぜーかー、ジャズ野郎のオフィスで催される立食パーティーの中におでんの屋台が追加されます。ここでシラタキをベルクト姉貴に食べさせることが何故かトゥルーエンドフラグなので忘れずに食べさせましょう。もう訳分かんないよ……
残り三日はTDN稼ぎなので、甥の木村、加速しつつスキップ予定のイベントシーンでも上映しておきますね。
◆◇◆
ガラスの棺桶 第一格納庫 電脳空間
「申し訳ございません、お義姉さま方……」
電脳空間の中に再現されたこの次元には存在しない城、シラージ城を模した空間の玉座の間にて、膝立ちの状態で玉座に座る双子に対し、謝罪をするゼロツーの姿があった。
「良いのよミカエラ。貴方のお陰で私たちはようやく、こうしてあなたと会話出来るようになったのだもの。そうよね、姉さま?」
「えぇ、感謝こそすれ。そりゃあ確かに計画にちょっと遅れが出ているのは問題なのでしょうけれど、遅れなんて私たちで取り戻せばいいわ。そうだよね、お姉ちゃん?」
黒いレザー地のパイロットスーツを着たゼロツーと異なり、まるでどこかの国の姫君の様な可愛らしい白と黒のドレスを纏った双子の少女はゼロツーと同じ灰色髪を持ち、姿も彼女に似ているがやや幼い。その正体はかつて某国で開発が進められ、とある男のデータを用いて作られた最強の空戦用AI。その肉体の無かったAIにゼロツーが自らのデータを用いて肉体を与えたため、彼女と似た姿で誕生したのである。
「ADF-11、と言ったかしら。私たちの体はもう用意してあるの?」
「はい、本日中にはこのガラスの棺桶に搬入予定です。この後は完熟飛行を……」
「必要ないわよ。私たちには貴方のデータがあるし、お父様の戦闘経験だってあるのだもの。ザイ如きに後れは取らないわ」
「そうよ。姉さまと私、そして貴方は最強を謳える空戦AI。そして、人類の可能性、なのですから」
「分かりました……では、私は『予言の儀』がありますので、これで失礼します」
刹那、ゼロツーの姿が霞み、シラージ城から忽然と姿を消す。
双子もそれに合わせて去ろうとするが、玉座の後ろに飾られていた一枚の絵を見つめる。
暗い血の様に赤き鷹と、それに寄り添う瞳を閉じた少女の絵。
それを見つめ、二人は同時にポツリと呟く。
「「---お姉さま……私たちが貴方よりも一足早く空を飛ぶ事を、どうかお許しくださいませ」」
スカートの裾を持ち、上品に一礼すると、双子もまた、シラージ城を後にした。
サーヴ社の機体に子機……元ネタ分かる人いるかな……?