リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生   作:M.T.

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第2章 血は争えない
第2章(非)日常編①


『アンタ、新入生か?初っ端から遅刻はアカンで?』

 

『落ち着いて、君、新入生だろ?僕も同じなんだ。』

 

二人の声が、響き渡る。

 

二人が、笑いながら手を振っている。

 

待ってよ、そんなに急かさないでよ…今そっちに行くから…

 

 

 

 

次の瞬間、目の前が真っ赤に染まり、耳障りなノイズが流れる。

 

ザッ…ザザッ…ザザーーーーーーーーッ

 

視界が切り替わったと思うと、首を吊った明石君と、潰れて肉塊になった法正君が視界に映る。

 

…あれ…?…なんで…?

 

『うぷぷ…うぷぷぷぷぷ…!!』

 

不快な笑い声が聞こえる。

 

 

 

 

「はっ…!」

 

目が覚めた。

 

昨日の記憶が曖昧だ。

 

どうやら、あたしは部屋に戻った後疲れて眠ってしまったらしい。

 

鏡を見ると、目が腫れて、涙の跡がくっきり残っていた。

 

…泣き疲れて寝ちゃったのか。

 

『オマエラ、7時です!今すぐ全員起床するように!!』

 

…そっか。もう朝か。

 

あ、そうだ!今日の朝ごはん何だろ?

 

法正君と明石君はもう食堂に向かってるのかな?

 

二人を呼びに行こっと!

 

「法正く…」

 

…思い出した。

 

…そっか、もういないんだった。

 

あたしは、重い足取りで食堂へと向かった。

 

 

食堂に向かうと、何人かを除いて、一通りみんな集まっているみたいだった。

 

…相浦さんと奴目さんは来ていなかった。

 

他のみんなは、ほぼ全員やつれていた。

 

唯一魅神君だけは、いつもより肌に艶があった。

 

このままじゃいけない。そう思ったあたしは、無理矢理声を絞り出した。

 

「おっはよー!!みんな!!」

 

…スベった。…そりゃそっか。あんな事があったんだもん。元気になんてなれないよ…

 

そんな時だった。

 

「…おはようございます。」

 

朝食の準備をしていた銀杏田君が、笑顔で返してくれた。

 

「おはよう!!!」「おっはよー!」「おはようございます。」

 

続けて、みんなが挨拶を返してくれた。

 

銀杏田君が、朝食を作ってくれた。

 

「いただきます。」

 

あたしは、朝食を口の中にかき込んだ。

 

いつまでも落ち込んでちゃダメだ。

 

とにかく、今は今後のためにたくさん栄養をとっておかなきゃ。

 

「ごちそうさまでした!」

 

「…あら、夏川さん。ご飯粒付いてますわよ。」

 

向かいの席の金剛寺さんが、左頬を指差しながら言った。

 

「えっ!?嘘?どこどこ?」

 

みんなの中で、笑いが溢れた。

 

…よかった、笑う元気はあるみたいだな。

 

 

朝食の後は、報告会を開いた。

 

朝食に来なかった相浦さんと奴目さんも、報告会には出席していた。

 

銀杏田君は、朝食を食べていない二人のために、軽めのデザートを作ってあげていた。

 

「ねえ、そういえば…」

 

小林さんが、話をした。

 

「…なんか、2階が行けるようになってたのだ!!」

 

「えっ、ホント?」

 

真樹さんが聞き返した。

 

「うん、ホーコクカイの後は、みんなで探検なのだ!!」

 

 

2階の探索が終わった。

 

2階には、図書館とプールとトレーニングルームがあった。

 

寄宿舎の方は、大浴場と倉庫が解放されたようだ。

 

物置が既にあったが、それとは多分別のものだろう。

 

プールを真っ先に見つけた小林さんは、「泳ぎに行こう」と上機嫌だった。

 

あたしは更衣室を調べる事になった。

 

更衣室の扉は、鍵がかかっていて開かない。

 

『更衣室の鍵を開けるには、電子生徒手帳をカードリーダーに重ねてください!』

 

モノクマが後ろから現れた。

 

「…その現れ方、心臓に悪いからやめてよ…」

 

『いやあ、失敬失敬。』

 

モノクマは反省していない様子だ。

 

更衣室を見て、佐伯君あたりなら良からぬ事を考えそうだな、と考えた時だった。

 

『あ、そうそう。仮に男子が女子更衣室に、女子が男子更衣室に入ろうとした場合は、ガトリングガンで蜂の巣にしちゃうからね!』

 

ふと上の方を見ると、ガトリングガンがぶら下げられていた。

 

(…物騒だな。)

 

『あ、それと今後は電子生徒手帳の他人への貸与を禁止します!』

 

「…なんで?」

 

『なんでもどうしてもWhyもないの!とにかく決められたルールを守っとけばいいんだよ!…じゃーね!』

 

(…なんなんだ。)

 

更衣室を調べてみたが、特にこれといっておかしなところはなかった。

 

男性アイドルユニットのポスターが目に留まったくらいだろうか。

 

 

一通りみんなが探索を終えた後、報告会を開いて情報を共有した。

 

「みんな、どうだった?」

 

「倉庫は、お菓子とかインスタントラーメンとか色々入ってたよ!」

 

「…1階にあった物置のデカい版ってとこね。」

 

報告したのは、奴目さんと真樹さんだった。

 

「図書室でノートパソコンを発見しましたわ。」

 

「後で、相浦様に見ていただく予定でございます。」

 

報告したのは、金剛寺さんと銀杏田君だった。

 

「…他のみんなは?」

 

「余は浴場を見て回ったが、特におかしな所はなかったぞ。以上じゃ。」

 

「男子の浴場の方も、特に変わった点は…」

 

報告をしたのは、千葉崎さんと黒須君だった。

 

「…ねえ、男子更衣室はどうなってた?」

 

右隣に座っていた魅神君に振ってみた。

 

「んー…特に変わったところはなかったかなー。強いて言うなら、グラドルのポスターがあったくらい?…まあ、佐伯クンはあんな写真如きでコーフンしてたみたいだけど?」

 

「う、うるせぇな!余計な事報告すんな!」

 

佐伯君は、恥ずかしくなったのか、コップに入ったコーラを勢いよく飲み干した。

 

呆れながら見ていると、暑苦しい声が響き渡った。

 

「やあ!!みんな、おまたせ!!!」

 

珍しく、九十九君と小林さんが遅刻してきた。

 

二人とも、汗をかいているようだ。

 

「…すごい汗の量だね。」

 

「暑苦しいんだよお前ら。流石に、お前らに蒸し殺されるのだけはごめんなんだけど〜?」

 

不謹慎な発言をした魅神を小突き、質問をしてみた。

 

「…どうしたの、そんなに汗かいて。」

 

「…いやあ、実は、トレーニングルームで鍛えていたんだ!!そしたら夢中になってしまって、時間を忘れてしまったというわけさ!!!」

 

「えへへ、楽しかったのだー!!」

 

「そのまま脱水起こして死ねば良かったのに〜。」

 

グリッ

 

腹の立つ発言だったので、あたしは魅神君の足を踏んづけた。

 

「痛ったぁ〜い。」

 

 

部屋に戻ろうとした時、法正君の部屋の前を通った。

 

鍵は空いていた。

 

なんでもいい。彼について、何か知りたい。

 

そう思ったあたしは、部屋の中に入った。

 

部屋の中は、綺麗に片付けられ、余計なものは散らかっていなかった。

 

あたしは、部屋のゴミ箱に捨ててあるDVDに目がいった。

 

DVDを持って、視聴覚室に行った。

 

DVDをデッキにセットして、見始めた。

 

 


 

 

和室が映った。

 

そこには、法正が、同い年くらいの少年と将棋をして、それを他の子供達と、着物を着た60代くらいの男性が観戦している様子が映っていた。

 

「…参りました。」

 

「スゲー!良馬、これで1000連勝じゃん!!」

 

「大したことないよ。」

 

「…法正君、田辺君。また腕を上げましたね。見事でしたよ。」

 

男性が、二人に拍手をおくった。

 

「…ありがとうございます。」

 

笑顔の法正が映った。

 

その瞬間画面が切り替わり、荒らされた和室が映った。

 

障子は血飛沫で赤く滲んでいた。

 

…そして、子供達が血を流して倒れていた。

 

最後に、血塗れになった男性の手が映った。

 

『地元の将棋教室に通っていた法正 良馬クン!そこには、同じように将棋に励む子供達と、彼の軍師の才能を育てた、彼の人生で最高の恩師と言える先生がいました!…いやあ、あの天才はここで育ったんですねえ。…ですが、どうやら教室は閉塾してしまったようですね?ではここで問題です!将棋教室の閉塾の理由とはっ!?正解発表は『卒業』の後で!』

 

 


 

 

映像を見終わった後、あたしはDVDを叩き割っていた。

 

…気分の悪いものを見てしまった。

 

部屋に戻ろう。

 

あたしは視聴覚室を後にし、部屋に戻った。

 

 

 

部屋に戻ったあたしは、シャワーを浴びようと、腰のブレザーを解いた。

 

すると、一枚の紙切れが落ちた。

 

「…こんなもの、持っていなかったはず…もしかして、法正君がハグした時に忍ばせてたのかな…」

 

紙を開いてみた。

 

手紙だった。

 

 

 

 

拝啓 夏川さんへ

 

 

まず、僕から謝らなければならない事があります。

 

僕は、明石君を、仲間を殺してしまいました。

 

そのため、僕はみんなより一足先に『卒業』する事になります。

 

みんなを裏切ってしまった事を、許して欲しいとは言いません。

 

ただ、あなたに伝えたい事をいくつかまとめておきます。

 

まず外に出たら、外から脱出方法と、黒幕について探ってみます。

 

無事脱出方法が見つかったら、みんなで脱出してください。

 

僕は、黒幕を見つけて捕まえたら、先生達と家族の安否を確認して、

 

それが終わったら自首するつもりです。

 

黒幕については、ある程度探っておいたので目星はついていますが、

 

まだ伝える事はできません。無事出られたら、全て話します。

 

それから、僕が出て行った後に、みんなをまとめる上で守ってほしい

 

アドバイスを、いくつかリストアップしておきました。

 

それを読んで、みんなを導いてあげてください。

 

 

 

最後に、厚かましいお願いではありますが、もし、犯した罪を償えたら、

 

その時はまた僕を仲間に入れてください。

 

しばらくの間会うことはできませんが、どうかお元気で。

 

 

 

法正 良馬より

 

 

 

 

手紙を読み終わった。気がつくと、涙が溢れていた。

 

学級裁判が無ければ、法正君は外に出られたはずだったんだ。

 

あたしは、急いで法正君の部屋に向かった。

 

 

引き出しには、ホッチキスで留められた紙の束が入っていた。

 

そこには、法正君の手書きの字で、あたしがやるべき事について事細かにアドバイスが書かれていた。

 

…あたしは、何もしてあげられなかったのに。

 

一体、どれだけ遺せば気が済むんだ。

 

涙が、とめどなく溢れ出た。

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