リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生   作:M.T.

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第2章 非日常編①

…そんな。

 

また、人が死んでしまった。

 

…どうして、君が死んでしまったんだ。

 

冷静で強く、そしてみんなに優しかった銀杏田君が。

 

あたしは、ただその場で蹲って泣いていた。

 

『はーい、じゃあみんな集合したことだし、お待ちかねの捜査ターイム!!』

 

モノクマは、悲しむ余裕も与えてくれなかった。

 

「テメェ…!」

 

佐伯君は、モノクマを睨んだ。

 

『あれ?なんかボク恨まれてない?ボクは何もしてないよ!やったのは、オマエラのうちの誰かじゃん!』

 

…全部、お前の差し金だろ。

 

あたしは、拳を握りしめながらモノクマを睨んでいた。

 

『みんな怖いな〜!もっとテンション上げていこうよ!…てなわけで、はい、モノクマファイルに資料送ったよ!この時間の後は学級裁判だから、みんなこの時間を有効に使ってね!』

 

そう言うとモノクマは上機嫌で去っていった。

 

…でも実際、悲しみに暮れている時間なんてあたしたちには無かった。

 

あたしは溢れ出る涙をしきりに拭い、調査を再開した。

 

 

まず、ファイルを確認した。

 

被害者は銀杏田 冷。

死亡時刻は、午前1時半頃。

死体発見現場となったのは、2階にある男子更衣室。被害者はそこで、血を流して死亡していた。

死因は、刺殺による失血死。

身体には、複数箇所刺し傷が見られる。また、抵抗した痕跡は見られない。

 

【コトダマ入手:モノクマファイル】

抵抗した形跡は見られない、と書いてある。

 

「妙だな…」

 

そう言ったのは、九十九君だった。

 

「どうしたの?」

 

「オレは、トレーニングルームで体を鍛えるために、更衣室に向かったんだ!!確か、6時半くらいだったかな!!?そうしたら、銀杏田君の死体を見つけてしまって…あ、一緒に小林君も来ていたから、彼女にも聞いてみてくれ!!!」

 

【コトダマ入手:九十九君の証言】

6時半に男子更衣室に行ったと言っている。

 

「…それで、妙な事って?」

 

「実は、その時は、銀杏田君の死体は普通に倒れていただけだったんだ!!…でも、みんなに知らせに行ってる間に、磔になっていて…」

 

「え?本当?あたし、モノクマのアナウンスで起きたんだけど…」

 

「すまない!!一人一人に言って回っていたから、夏川君は後の方になってしまったんだ!!!多分、オレたちが呼びに来る前にアナウンスが鳴ったんじゃないかな!!?」

 

【コトダマ入手:磔の死体】

二人が、みんなを呼びに行っている間に磔になっていたらしい。

 

「あれ!?なにこれ!!こんなの無かったのだ!!」

 

小林さんが、声を大にして言った。

 

小林さんが指を指していたのは、ハンカチだった。

 

…何やら、薬品が染み込んでいるらしい。

 

誰かが持ち込んだんだろうか?

 

【コトダマ入手:薬品の染み込んだハンカチ】

床に落ちていた。

 

【コトダマ入手:小林さんの証言】

発見した時は、ハンカチは落ちていなかった。

 

「…あの、一つ気になることが…」

 

発言したのは黒須君だった。

 

「物置から、傘が無くなっていたんです。…それから、厨房から包丁が無くなっていました。」

 

「…傘?…雨の心配なんてしなくていいのに、なんで無くなってたんだろうね。」

 

「さあ…何かに使ったんでしょうか?」

 

【コトダマ入手:消えた包丁】

厨房から包丁が無くなっていた。

 

【コトダマ入手:消えた傘】

物置から傘が無くなっていた。

 

「…なんで、レイ君こんな殺され方しちゃったの…?」

 

奴目さんが、泣きながら銀杏田君の死体の前で座っていた。

 

…本当に、誰がこんな事を…

 

【コトダマ入手:動機】

なぜ銀杏田君が殺されたのかは、わからない。

 

「ねーねー、この校則なんだけどさー。」

 

魅神君が声をかけてきた。

 

「これさ、電子生徒手帳で開閉できるって書いてあるでしょー?…もし、自分以外の電子生徒手帳で鍵を開けたらどうなんのかなー?」

 

「…え?そんな事できるの?」

 

「『自分の』電子生徒手帳で、とは一言も書いてないっしょ?」

 

「…あ。」

 

【コトダマ入手:更衣室についての校則①】

更衣室の鍵の開閉は、電子生徒手帳で行われる。

 

「…あの、やはり犯人は、男性でいらっしゃるのでしょうか…」

 

金剛寺さんは、少し俯きながら言った。

 

「…ほら、校則にあったじゃないですか。男性が女子更衣室に、女性が男子更衣室に入ろうとすると殺されると…」

 

【コトダマ入手:更衣室についての校則②】

男子が女子の、女子が男子の更衣室に入る事は出来ない。

 

「…アーニャちゃんは、何か気になった事ない?」

 

「…無くはないけど。」

 

アーニャちゃんは、めんどくさそうに返事をした。

 

「…校則では、手帳の貸与は禁止って書いてあるだろ。…借りたり、すり替える事についての記載はない。」

 

「あ、確かに…」

 

【コトダマ入手:更衣室についての校則③】

電子生徒手帳の貸与は禁止。

 

「あっれ!?おっかしいな…」

佐伯君が、自分の電子生徒手帳を何度も叩いている。

 

「…どうしたの?」

 

「俺の手帳が動かねえんだよ!電源すらつかねえ。クッソ!」

 

「…あんまり叩くと余計壊れるよ?…後で相浦さんに見てもらおうよ。」

 

「…お、おう。そうだな。」

 

【コトダマ入手:壊れた電子生徒手帳】

佐伯君の電子生徒手帳は、壊れていて電源がつかない。

 

「…トイレに行く途中落としたんだよな…その時壊れたのかな?」

 

「…落とした?」

 

「ああ、うん。確か1時くらいだったかな…金剛寺ちゃんとぶつかっちまって、その時に二人とも手帳を落としちまったんだよな。…その時に壊したのかなぁ。」

 

【コトダマ入手:佐伯君の証言】

佐伯君は、1時頃に金剛寺さんとぶつかってしまったらしい。その時に、二人とも電子生徒手帳を落としてしまったようだ。

 

「…あの、一ついいですか?」

 

相浦さんが、控えめに手を挙げた。

 

「どうしたの?」

 

「えっと…関係あるかどうかわからないんですけど…昨日、銀杏田さんに変な事を聞かれたんです。」

 

「変な事?」

 

「はい…電子生徒手帳をよく調べて欲しいと頼まれました。」

 

【コトダマ入手:銀杏田君の発言】

相浦さんに、電子生徒手帳をよく調べてくれと頼んだらしい。

 

「…それで、調べはしたの?」

 

「…はい、特に断る理由がなかったですし、いつも自分の事は極力自分で解決する銀杏田さんが、どうしてもと頼み込んで来たので…」

 

「…結果は?」

 

「…えっとですね、電子生徒手帳は、真空、電圧、圧力など、普通の電子機器なら壊れるようなあらゆる要素に耐久性があるんですけど、一つだけ弱点があるんです。」

 

「…弱点?」

 

「…『熱』です。」

 

『ズバリその通り!』

 

急にモノクマが現れた。

 

『電子生徒手帳は、普通の電子機器なら壊れるようなあらゆる要素に耐久性があります!ですが、『熱』にだけは弱い機器となっております!高温に長時間さらされると、熱暴走を起こして壊れちゃうよ!良い子のみんなは真似しないでね!』

 

【コトダマ入手:電子生徒手帳の弱点】

電子生徒手帳は、高温に長時間さらされると故障する。

 

「…ああ、そうだ。相浦さん。」

 

「…何でしょうか?」

 

「手帳ってさ、やっぱり熱以外に弱点とかあったりしない?例えば、うっかり落としちゃったりとか…」

 

「…いえ、その程度では壊れませんよ?…流石に、本体自体が折れたり砕けたりしたらダメですが。」

 

「…ふーん。」

 

「なぜそのような事を?」

 

「佐伯君が、手帳を壊しちゃったみたいでさ…」

 

「…よろしければ、修理出来ないか見てみますよ。…あ、でも校則が…」

 

「…あー、そうだった。人に貸しちゃいけないんだった。…でも、十分収穫はあったし…色々ありがとね。」

 

「…いえ…私に出来る事があれば、何でも言ってくださいね。」

 

【コトダマ入手:電子生徒手帳の耐久性】

本体が壊れない限り、熱以外の要因で壊れる事はまずない。

 

「…ねえ、真樹さんは何か気になることない?」

 

「えっと、確か大浴場で…」

 

「…やけに素直に教えてくれるね。」

 

「う、うるさいわねえ!」

 

真樹さんはビクビクしていた。

 

(ああ、なるほど…さすがに、むやみにメダルせびったら怒られるって学習したのか。)

 

「それで?」

 

「大浴場に行って、サウナに入ったんだけど、電子生徒手帳が中に落ちてて…勝手に動かしたらマズいかなって思って、そのままにしておいたよ。」

 

「誰のかは確認しなかった?」

 

「勝手に確認したら怒られると思って…ご、ごめん…」

 

責められると思ったのだろうか、真樹さんは身構えていた。

 

「…参考にさせてもらうね。ありがとう。」

 

「はっ、わかればいいんだよ!!」

 

真樹さんは急に高圧的になった。

 

(…最後まで責められなかったから、調子に乗ったのかな?)

 

【コトダマ入手:サウナの中の電子生徒手帳】

サウナの中に落ちていたのを、真樹さんが見つけた。

 

『オマエラ、そろそろ学級裁判始めちゃいますよー?至急、赤い扉までお集まりくださーい!!』

 

…いよいよ、始まってしまう。

 

あの、地獄のような学級裁判が。

 

…今回も、誰かがクロになってしまうのか。

 

あたしは、重い足取りでエレベーターに乗り込んだ。

 

生徒全員を乗せたエレベーターは、裁判場に向かって動き出した。

 

エレベーターの中では、1秒が1分に感じるほど、緊張した空気が流れた。

 

…そして、エレベーターの扉が開いた。

 

あたしは、一歩裁判場へと踏み込んだ。

 

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