リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生 作:M.T.
玄関ホールに入ると、法正君の他に14人の新入生が集まっていた。
8時に集合と書いてあったのを思い出したあたしは、集合に遅れた事を詫び、自己紹介をした。
「えっと…遅れてごめんなさい。あたしは、『超高校級の幸運』夏川 メグです。」
「君が16人目の新入生かい!?」
大柄の、応援団員風の男子生徒が声をかけてきた。
「オレは、『超高校級の応援団長』九十九 百三(ツクモ モモゾウ)!!よろしくな!!!」
「彼は、どんなに不利な試合も、選手達を鼓舞して逆転勝利に導いてきたという応援団長だよ。」
法正君が補足説明をしてくれた。
「夏川君!!いい名前じゃないか、なんかエネルギッシュな感じだぜ!!!」
(あっ、この人熱血系だ…話が盛り上がらないうちに逃げよう…)
続けて、ツインテールの女の子が話しかけてきた。
「ねえねえ、こんな所にいたら気が滅入っちゃうよね。歌ってリフレッシュしようよ!」
「…君は?」
「あっ、私は『超高校級の歌姫』奴目 美羽(ヤツメ ミウ)だよ!」
(奴目 美羽…聞いたことあるな。確か、自慢の歌声とダンスで世界中を魅了した歌姫…だっけ。)
「メグちゃん、だっけ。」
「そうだけど。」
「じゃあ…メグメグって呼ぶね!よろしくね、メグメグ!」
(明るい子だな…)
そばかすが特徴的な男の子が話しかけてきた。
「アンタ、新入生か?初っ端から遅刻はアカンで?」
「ごめん。寝坊して…君は?」
「オレは『超高校級の芸人』明石 大吉(アカシ ダイキチ)や!テレビで見た事あるやろ?」
(…ああ、去年の大喜利大会で優勝した…)
「知ってるよ。大喜利大会で優勝してたね。面白かったよ。」
「ホンマ!?おもろかった!?」
すごい食いついてきた。しばらく話をしてから、個性的な髪型の男子生徒に話しかけてみた。
「なあ、ネーちゃんいいケツしてんな。」
ガツンッ
「痛ってえ!!」
頭にきたので、一発殴ってやった。
「…悪かったって!オレは『超高校級の芸術家』佐伯 虎太朗(サエキ コタロウ)だよ。」
「数々の芸術作品を生み出し、世界中から注目を浴びるアーティスト。どうやら、実力だけじゃなくてセクハラ男っていうのも噂通りのようだね。」
法正君が嫌味を言う。
(…なんで法正君が怒ってるんだ?セクハラされたのはあたしなのに。)
「とりゃあ〜〜!!コトちゃん参・上!!」
髪がボサボサの女の子が、頭上から降ってくる。
「びっくりしたぁ…」
「ボクを忘れないでよね!!ボクは、『チョーコーコーキューのケンポーカ』小林 功里(コバヤシ コトリ)なのだ!!」
「小林さんは拳法を習い始めてからわずか2年で全国優勝を果たした天才拳法家で、元は地元で有名なヤンキーだったんだって。」
「カコなんてどーでもいいのだ!!コトちゃんは、チキューのヘーワを守るために、キョーもシュギョーチューなのだ!!」
呆気にとられていると、長髪の女子生徒と綺麗な顔立ちの男子生徒がやってきた。
「ご機嫌よう。
「はじめまして、夏川様。」
銀杏田君は、ゆっくりと頭を下げた。
「金剛寺さんは、金剛寺財閥のお嬢様で、銀杏田君は、なんでも熟せる完璧執事だよ。」
「あっ、ど、どうもよろしく…」
金剛寺さんから漂う高雅なオーラに、ついたじろいでしまった。
「普通にして頂いて構いませんわ。
(あ、この人典型的なお嬢様タイプだ…)
一歩引くと、後ろにいた生徒とぶつかってしまった。
「ぎゃうっ!ご、ごめんなさい!」
「いいんですよ、空けていた私にも非がありますから。全ての罪を赦せ、と主は仰っています。」
長髪の男子生徒は、優しく微笑みかける。
「申し遅れました、私は『超高校級の聖人』ミカエル・黒須 聖(ミカエル クロス ヒジリ)と申します。…貴女は、穢れのない目をしていますね。きっと、主も喜んで貴女をお救いになるでしょう。是非、私と一緒に祈りを捧げてみませんか?」
「言い忘れてたけど、黒須君は熱心なカトリック信者で、隙あらばすぐに入門勧誘してくるよ。」
「信じる者は救われます。さあ、共に祈りましょう!」
「遠慮しときますー!」
逃げるように黒須君から離れると、小柄な女の子に怒鳴られた。
「貴様ら、喧しいぞ!茶でも飲んで静かにせんか!」
女の子は、床に風呂敷を広げ、その上に正座してお茶を飲んでいる。
(見かけによらず図太いなこの子…)
「君は?」
「すまん。申し遅れた。余は『超高校級の茶道部』千葉崎 利夢(チバサキ リム)じゃ。」
「千葉崎さんは、一度飲んだらその味を忘れられない程おいしいお茶を淹れる茶道の名人なんだって。」
「…全く、ここには騒がしい奴しかおらんのか。せっかくの茶がまずくなるではないか。」
「こんなところでお茶飲める君の方が変わってると思うけど…。っていうかどこから持ってきたのそれ…」
「茶をくれと言ったら出てきた。」
(ええ…知らない人に出されたもの飲んじゃうんだ…)
色々ツッコミたい事は満載だったが、とりあえず近くにいた白衣を纏った男子生徒に話しかけてみた。
「はじめまして。君の名前を教えてくれないかな?」
「僕の名前は宇田川 譲治(ウタガワ ジョウジ)、『超高校級の化学者』です。どうぞお見知り置きを。」
宇田川君は、眼鏡を上げながら答えた。
「あ、“カガク”と言ってもサイエンスの方ではありませんよ。ケミストリーの方ですからね。」
「どっちでもいいよ!あたし理科ニガテなの!!」
「…なんと、実に不愉快だ。」
宇田川君が不快そうな顔をする。どうやら理科がニガテというのが地雷だったらしい。
これ以上話しても埒があかないと思ったので、近くにいたおさげの女子生徒に話しかけてみた。
「はじめまして。君の名前は?」
「…話してあげてもいいけどさ、だったら金目の物よこしな!」
女子生徒は、高圧的な態度でお金をせびってきた。
「彼女は、『超高校級のネイリスト』真樹 亞里沙(マキ アリサ)さん。SNSで話題沸騰中のネイリストだよ。」
法正君が代わりに説明してくれた。
「ちょっ、テメェ!金ヅルをよくも…」
「話す気がない人の代わりに説明してあげたんじゃないか。君こそなんだその態度は。初対面の同級生に対して金ヅル、は無いんじゃないの?」
「や…やめてよぉ…もうしないからそんなに責めないでよぉ…」
法正君が矢継ぎ早に責め立てると、真樹さんは泣きじゃくり始めた。
(案外メンタルお豆腐なんだな、この人…)
「法正君、もう反省してるみたいだし、その辺にしてあげたら?」
「そうだね。じゃあ、行こうか。夏川さん。」
ホールの隅で蹲っているフードを被った女の子に話しかけてみた。
「はじめまして。君の名前は?」
ガタッ
女の子は、後ずさりをして壁にもたれかかる。
肉食獣を目の当たりにした小動物のように怯えきっている。
「ごめん、おどかすつもりはなかったんだけど…大丈夫、怖くないから。ゆっくりでいいから、自己紹介してくれる?」
女の子はゆっくりと話し始める。
「あ…相浦(アイウラ)…つぐみ…です…ちょ…『超高校級のエンジニア』って呼ばれてます…」
「相浦さんは、小学生の時に数字の未解決問題を証明した天才で、腕利きの技術者なんだ。」
「…臆病なのが玉に瑕だね。」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい…!…わ、私、昔から度胸がないって言われてて…すみません…!」
(しまった、地雷踏んだ…)
「ごめんね。これから一緒に学園生活送っていけば、そのうち色々慣れてくると思うから。じゃあ、あたしそろそろ行くね。」
「…は、はい…」
相浦さんを宥めてから、近くにいた髪と肌が真っ白な女の子に話しかけてみた。
「はじめまして。君の名前は?」
「…気安く話しかけるな。死にたくなければ黙ってろ。」
女の子は、猛禽類を思わせる目つきで睨みつけ、冷たく言い放つ。
「彼女は、『超高校級の処刑人』アナスタシア・パリンチェさんだよ。えっと、ベラルーシ出身って言ってたかな。処刑人の才能がどんなものかは知らないけど、とにかく語学が堪能なんだ。みんなからは『アーニャ』って呼ばれてるよ。」
「…フン。」
「よろしくね、アーニャちゃん。」
「アーニャって呼ぶのやめろ。明石に勝手につけられたあだ名だけど、正しい略称じゃない。不愉快。今すぐやめろ。」
(明石君か…あの子なら変なあだ名つけそう…)
アーニャちゃんが話してくれなくなったので、最後に、14人の中で一番異様な雰囲気を醸し出す男子生徒に恐る恐る近づいてみた。
「ん〜〜〜?」
いきなり、男子生徒が顔を覗き込んできた。
「君、ホントに真っ直ぐな眼をしてるね。いいね…そういう眼。俺は、そういう奴を搔っ捌くのが大好きなんだ…♡」
「…気持ち悪い事言わないで。君の名前は?」
「俺は、『超高校級の死刑囚』魅神 嶽人(ミカミ タケヒト)だよん♪シクヨロ〜。」
魅神君が握手を求めてきた。
「…よろしく。」
魅神君は、気色の悪い笑みを浮かべた。魅神君と握手をしてから、即座に彼から離れた。
その瞬間、チャイムが鳴り響く。
キーンコーンカーンコーン
ホールの壁に掛けられていたモニターに、丸い影が映し出される。
『あー、マイクテスッ、マイクテスッ!ちゃんと聞こえてるよね?新入生の皆さん、今から入学式を執り行いたいと思いますので、至急体育館までお集まりくださ〜い』
「何よこの胡散臭い放送…」
「罠かもしれません。迂闊に行動しない方が良さそうですね。」
「余はこんな変な声の奴の言う事など聞きとうないわ。」
真樹さん、宇田川君、千葉崎さんは体育館に向かうのを渋った。
「みんな、いつまでもこんなところにいたって、状況は何も変わらないよ!!罠かもしれない…でも、少なくともずっとここにいるよりは、行ってみたほうがいいよ、多分!!」
気づけば、口が動いていた。
あたしに続けて、法正君も言った。
「何かする気なら、とっくにそうしてるよ。どっちみち怪しいのは同じなんだから、ここに残ったって何の得にもならないよ。…この状況を理解するためにも、行ってみる価値はあると僕は思うけどね。みんなはどうしたい?」
「…確かにその通りですね。何もわからないままなのは気持ち悪いですし、行きましょう。」
「仕方ないのお、余も行くぞ。」
「え、ちょっ、ちょっとぉ!置いてかないでよぉお!」
全員、玄関ホールを出て体育館へ向かった。