リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生   作:M.T.

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第3章 非日常編③

「ふふふ…あははははははは!!!…いやあ、実にお見事でしたよ、夏川さん!!素晴らしい!!さすが、私が見込んだ女性というだけの事はありますね。」

 

黒須君は、目を見開いて笑っていた。

 

普段、目を細めてうっすらと笑みを浮かべている彼からは、想像もつかない表情だった。

 

『うぷぷ…どうやら、クロはもう決まったようですね。ではでは、投票ターイム!!』

 

手元にあるスイッチを睨みながらも、あたしは黒須君に投票した。

 

『ではでは?結果発表ー!』

 

モノクマの座る椅子の前からスロットマシーンのようなものがせり上がり、生徒の顔を模したドット絵が描かれたルーレットが回った。

 

黒須君の顔が三つ揃ったところでルーレットが止まった。その下にはGuiltyの文字が浮かび上がり、スロットマシーンからは大量のメダルが出てきた。

 

『うぷぷぷ、お見事だいせいかーい!!『超高校級の歌姫』奴目 美羽さんと、『超高校級のネイリスト』真樹 亞里沙さんを殺害したのは、『超高校級の聖人』ミカエル・黒須 聖クンでしたー!!』

 

「黒須君!!どうして君が殺人なんて犯したんだ!!?」

 

九十九君が質問をした。

 

『うぷぷ…それはね、ボクの用意した動機が『お金』だったからだよ。』

 

「だったら、なんで金が動機で殺したんだ!!?君は、最も敬虔に神に尽くしていた聖人のはずだろ!!?…君だけは、絶対に犯人じゃないと思っていたのに!!!」

 

…そうだ。黒須君は、一番お金に対して無欲な人だった。

 

だから、あたしだって、彼がお金で人を殺すはずがないって信じてたのに。

 

「…だからこそですよ。私は、皆さんが学園長にお金の話をされた時に、全員の顔を見ていました。実は私、その時選別していたんですよ。皆さんが、我らが父の恩寵を受ける資格がある人間かどうかをね。殆どの方は合格でしたよ。…しかし、お二人だけ不合格者がいました。…奴目さんと真樹さんです。彼女達は、お金の話をされた瞬間に目の色が変わっていました。彼女達は、金銭欲に取り憑かれた魔女だったんです。だから、我らが父に代わり、あの方達に天罰を下して差し上げました。…それだけです。」

 

…は?

 

何を言ってるのこの人は。

 

奴目さんには、助けてあげなきゃいけない家族がいた。

 

真樹さんにだって、きっとどうしても生き残りたい理由があったはずなんだ。

 

…それなのに。

 

『お金を欲しがった』

 

 

 

た っ た そ れ だ け の 理 由 で ?

 

「…けるな。」

 

「…おや、何か言いましたか?夏川さん。そんな事より、喜んでくださいよ!!貴女は文句なしの100点満点ですよ!!邪心を持たず、皆のために尽くし皆を導く貴女は、正真正銘の聖女です!!!きっと我らが父も、貴女のような女性にはご加護を下さる事でしょう。…さあ、その清い心と身体を以って共に我らが父に…」

 

 

 

 

 

 

「ふざけんじゃねえよ!!!」

 

 

 

ゴッ

 

「ぐあっ!!!」

 

気がつくと、あたしは黒須君の左頬を殴っていた。

 

「…あの二人が君に何をしたっていうんだよ!!神様のためとか選別だとか色々言ってるけど、結局全部ただの自己満足じゃねえかよ!!『お金が欲しい』なんて当たり前の考えを持っただけで、君は罪のない人を殺すのか!!命を一体何だと思ってんだ!!天罰が下るべきなのは、どう考えてもそっちじゃねえか!!!『聖人』なんて肩書き使って人の命弄んでんじゃねえよ、この人殺しが!!!」

 

あたしは、黒須君の胸ぐらを掴みながら言いたいことを全部言ってやった。

 

「…どうやら、貴女はまだ神の御心に触れた事がないからそんなくだらない考えを持っているようですね…。…ですが、いずれ気付くでしょう…本当の正義とは何か、善とは何かにね…。」

 

「何が善だ!!何が正義だ!!…君の言う正義なんて、わかるわけないでしょ!!わかってたまるか!!」

 

「…哀れですね。せっかく、誰よりも清く正しい聖女になれる素質があるのに。」

 

「うるさい!!君なんかが、あたしを決めるな!!」

 

『あのー、お取り込み中悪いんだけど、そろそろおしおき始めちゃってもいいかな?』

 

「どうぞ、始めてください学園長。…早く見てみたいものです。より高みの存在になった者の景色というものをね。」

 

「…テメェ、殺されんのが怖くねえのかよ。…気色悪い。」

 

「…貴方にはわからないでしょうね。これは、勲章です。私は、悪しき者達を裁いた褒美として、今から神のもとへ行くのですよ。…貴方方は低次元の世界で生き続るのがお似合いです。…ああ、かわいそうに!!」

 

『今回は、『超高校級の聖人』黒須クンのためにスペシャルなおしおきを用意しました!…ではでは、おしおきターイム!!」

 

「…では、皆さんご機嫌よう。私は、今から神のもとへ行って参ります。残りのゲーム、せいぜい頑張ってくださいな。」

 

モノクマがハンマーを振り上げると、赤いスイッチがせり上がってきた。

 

モノクマは、スイッチをハンマーで押した。

 

 

GAME OVER

 

『クロスくんがクロにきまりました。 オシオキをかいしします。』

 

 

 

 

黒須は、ワイヤーのようなもので引っ張りあげられる。

 

天井が開き、黒須はさらに上へと引っ張り上げられる。

 

そこから、映像が切り替わる。

 

黒須を釣り上げていたワイヤーが切れ、黒須は大きな十字架に磔にされる。

 

十字架の周りは、16世紀の神聖ローマのような背景になっており、人形が十字架を取り囲んでいる。

 

そして、画面中央にタイトルが浮かび上がる。

 

 

最期の審判

 

 

黒須の磔にされた十字架に火がつけられる。

 

十字架が燃えてゆき、黒須に火が燃え移る。

 

黒須は、肉を灼かれる痛みに顔を歪めながらも、神の元へ行ける喜びで恍惚とした表情をしていた。

 

身体の殆どが灼かれ、原形を留めなくなった頃、2体の天使が黒須の身体を引っ張り上げる。

 

黒須を連れた天使たちははるか上空へと昇っていく。

 

そして、黒須が見上げた先には一筋の光が見え、その先に彼が心から信仰している者…

 

神がいた。

 

神は巨大な手を黒須の方へ向ける。

 

黒須は、涙を流しながらその手を掴もうと手を差し出した。

 

そんな黒須の額に、神は一枚の紙を貼り付けた。

 

 

そこには、「地獄行き」と書かれていた。

 

神が両手の人差し指で真下を指すと、2体の天使は頷き、黒須を振り落とす。

 

下へ下へと堕ちていく黒須は、左手を振りながら自分を見下ろしている神を、絶望で満ちた表情で見ていた。

 

黒須は、元いた場所よりさらに下へ、地獄へと堕ちていく。

 

2体の天使が自分たちの顔の皮を剥ぐ。

 

すると、その下からはモノクマの顔が現れた。

 

天使モノクマ達は大鎌を構えると、それを同時に黒須の方へと振り投げる。

 

黒須の身体を2本の大鎌が貫き、黒須の身体は地獄の底で灰となって崩れた。

 

場面が最初の十字架の場所に切り替り、人形のうちの一体が持っているプラカードがアップになる。

 

そこには、「人殺しの魔女は地獄に堕ちろ 」と書かれていた。

 

 

 

 

映像が終わった。

 

『いっやあ、神のためだの、天罰だの、何をほざいていたんでしょうねえ。敬虔な聖人の皮を被った、あの魔女は。人を殺した時点でオマエも裁きを受けるのは確定だっつーの!!バーカ!!』

 

「いっやー、今回も刺激的なエンターテインメントだったねえ!!ほら、みんなどーしたのー?もっとアゲていこーよ!!」

 

モノクマと魅神君は、相変わらず上機嫌だった。

 

『じゃ、今回もメダルあげるからみんなで仲良く分けてね!…それじゃ、まったねー!』

 

モノクマは去っていった。

 

「…奴目さん、真樹さん。真犯人は、皆さんが見つけてくれましたよ。」

 

相浦さんが奴目さんと真樹さんの遺影に話しかけている。

 

「…だから、安心して眠ってくださいね。」

 

二人の遺影に向かって微笑みかけていた相浦さんは俯き、地面に涙の雫が落ちる。

 

「う、うぅう…うあぁ…うわぁああぁあああああぁぁああぁあぁああああああぁあああ…!!!」

 

相浦さんは崩れ落ちるように膝をつき、大声で泣いた。

 

つられるように、小林さんと千葉崎さんも泣いた。

 

九十九君は、無言で涙を流しながら3人を見ていた。

 

佐伯君と宇田川君は、おしおきの映像が映っていたスクリーンから目を逸らしていた。

 

アーニャちゃんは、裁判場の片隅で座っていた。

 

…今日は、みんなずっと泣き続けた。

 

 

何時間か経ち、やっと裁判場を後にしたみんなは、泣き疲れて寝てしまった。

 

…笑い疲れて死にそうになってた魅神君と、始終冷静だったアーニャちゃんと宇田川君を除いて。

 

あたしはまだ起きている元気があったので、誰もいない図書館へと向かった。

 

そして、そこで適当に本を探していた時、資料室のようなものを見つけた。

 

そこでは、とある資料を見つけた。

 

 

絶望国家論 著・『超高校級の絶望』江ノ島 哀華

 

「…超高校級の…絶望…?…アイカって、一体…?」

 

部屋全体をよく見渡してみると、壁一面に血文字で「アイカ様万歳」と書かれていた。

 

「ーッ!!」

 

この時、あたしたちはまだ知らなかったのだ。

 

このコロシアイを影で動かしている、『絶望』の存在を。

 

 

 

第3章『Sacred Dystopia』ー完ー

 

【生徒数】残り9名

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