リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生 作:M.T.
ギャルゲーもどきゲームも、4日目を迎えた。
アーニャちゃんが、朝食の準備をしてくれた。
食堂に、宇田川君と相浦さんが手を繋いで入ってきた。
「…おや、お主らもしや…」
「…はい。僕たち、付き合う事になりました。」
「おお!よかったではないか!!」
「…本当に、良かったな…」
げっそりと痩せ細り、目の下にくっきりと隈がある佐伯君が、か細い声で二人を祝福した。
「うらやましいのだー…」
「ん?何か言ったか?小林君。」
「う、うるせえ!!何も言ってねえよ!!」
(…小林さんって、もしかして九十九君の事…)
「相浦殿!よかったのぉ!!」
「はい…ありがとうございます…」
「いやー、良かったよねー。ホント。」
魅神君が、ニヤニヤしながら二人を見ていた。
「…何か言いたそうですね。どうしたんですか?」
宇田川君が、ニヤけ魅神君を気持ち悪そうに見た。
「いや?俺はただ、二人が結ばれて良かったなーって。…あれ?なんか宇田川クン、昨日とフンイキ違くない?」
「…そうですか?」
「うん。なーんか、男らしくなったってゆーか?…やっぱ、昨日なんかあったんじゃないのー?」
「別に何もありませんよ。何を言っているんですか。」
「宇田川クンってさー、嘘つくのヘタクソだよねー。正直に言っちゃえよ〜。」
「だから何もありませんって…!」
「ふーん。じゃあ、俺が代わりに言っちゃおーっと。…みんなー!!聞いてよー!!あのねー、宇田川クンってば、昨日相浦ちゃんと…」
「ちょっと!!」
宇田川君が、魅神君の口を塞ぐ。
「何考えてるんですか貴方!!はっ倒しますよ!?…っていうか、なんで貴方がそれを知ってるんです!?」
「だってー、ずっと覗いてたから。」
「は…!!?」
宇田川君と相浦さんが顔を真っ赤にしながら驚く。
「俺の部屋さー、壁に穴開いてるんだよねー。そっから覗き放題!いやー、あの熱愛っぷりと言ったらもう…よっ!ニクいね〜、この色男ー!」
魅神君が、ニヤニヤしながら宇田川君を冷やかす。
「…や、やめてください…!…他の皆さんもいますから…!」
相浦さんは、涙目になりながら魅神君を止めた。
「なーに言ってんだよ、他の奴がいるから言いふらしてんだろー?お前らが夜中に」
ゴツンッ
痺れを切らしたアーニャちゃんが、プラスチックの器を魅神君の頭目掛けて投げた。
「…煩いぞ貴様。…飯時にそんな低俗な嫌がらせをするなど…どうやら貴様にはキツいお仕置きが必要らしいな。」
「ほぇ?」
アーニャちゃんが壁にあるボタンを押した。
すると、モノクマが現れた。
どうやらさっきのボタンは、モノクマを呼び出すスイッチだったようだ。
『アーニャちゃん、どうしたの?なんか用?』
「…この男が、壁の穴から相浦の着替えを覗いていた。今すぐキツいお仕置きをしてやってくれ。」
『ふんふん。確かに、女の子の着替えを覗くようなハレンチ野郎には、キツいおしおきが必要だね!…魅神クン!今すぐ職員室まで来なさい!』
「え、ちょっと待って。俺は…」
モノクマが魅神君の髪の毛を引っ掴んで、食堂の外まで引きずっていく。
そして…
「ぎゃぁああぁぁあああああぁぁあああぁあああぁ…!!!」
魅神君の叫び声が、スピーカーを通して聞こえてくる。
アーニャちゃんと宇田川君は、ガッツポーズをしていた。
「…学園長も、たまにはいい仕事しますね。パリンチェ君、感謝します。」
「…で、でも…さすがにやりすぎじゃ…」
「つぐみ、あんな男に同情する事無いですよ。あの男は、僕たちを弄んだんですからね。」
数分後、ボロボロになった魅神君が戻ってきた。
「…。」
魅神君は、黙って席に着いた。
(…あの魅神君を黙らせるほどのお仕置き…一体何されたんだ…?)
今日の朝食は、コーンフレークだった。
「…なんか、昨日のダークマ…もとい、個性的な目玉焼きといい、今日といい…なんか、朝飯のグレードが下がってねぇか…?」
「文句があるなら食うな。」
「…すいません。」
佐伯君は、黙ってコーンフレークを食べ始めた。
みんな、朝食が終わると、流れ解散となった。
あたしは、今日は魅神君と行動する事になった。
魅神君は、視聴覚室にあたしを引っ張ると、いきなりスプラッター映画を流し始めた。
「うぎゃー!!マジでそういうのやめて!!」
「はっははははwwwウケるwww」
あたしは半泣きになりながら、視聴覚室を後にした。
すると、魅神君があたしを呼び止めた。
「…夏川ちゃん。こんな俺に付き合ってくれてありがとね。…お礼と言っちゃなんだけど、これあげるよ。」
魅神君が、可愛らしい包み紙に包まれたプレゼントをくれた。
「…え?あたしに?」
「開けてみてよ。」
あたしは魅神君に言われるがまま、プレゼントを開封した。
「ッ、ぎぃやぁああああああああああああああああ!!!」
中には、本物そっくりのゴキブリのオモチャが入っていた。
「ブフッ、プクク…あ、やべっ…ちょっと待って、ツボに入った…ブフフッ、ハッハハハハハハハハハ!!!」
「いやあ、昨日ガチャでゲットした偽ゴキブリなんだけど…ブフッ…まさか、ここまで面白いリアクションしてくれるとは…ブッフフフフフ…」
「ホンット最低!!」
今日は、散々魅神君に振り回された。
夜は、千葉崎さんに振り回された佐伯君と愚痴り合って過ごした。
◇
5日目に突入した。
今日は、佐伯君と千葉崎さんが朝食を作ってくれた。
結構おいしかった。
「佐伯!お主やればできるではないか!」
「…え、えぇ…まあ…」
当の佐伯君は、ボロボロでとてもみすぼらしかった。
「…佐伯さん、お料理上手なんですね。」
「そうかな?」
相浦さんに褒められた佐伯君は、わかりやすく照れた。
(デレデレじゃん…)
「…いやあ、それほどでも…」
「…。」
宇田川君は、無言で佐伯君を睨んだ。
「…すいません。」
朝食が終わった後、アーニャちゃんに呼び出された。
「どうしたの?」
「…付いて来い。」
アーニャちゃんに呼ばれて、化学室に行った。
「…見ろ。」
ガラスの戸棚が割られ、中にあったモノウイルスが無くなっていた。
「どういう事?これ。」
「…盗まれた。」
「盗まれたって…誰に?」
「…わかんない。…でも、私の中ではあいつしかいないと思ってる。」
「…魅神君?」
アーニャちゃんは、無言で頷いた。
「…今日、夕食の後、問い詰めようと思ってる。」
◇
「ごちそうさまでした。」
夕食を食べ終わった。
みんなが解散しようとした時、
「待て。」
アーニャちゃんが止めた。
「…特に魅神。お前に聞きたい事がある。」
「何?ニャーちゃん。聞きたい事って。…好きな女の子のタイプとか?」
「…化学室のモノウイルスが消えていた。…魅神。お前が盗んだんじゃないのか?」
「モノウイルスが消えただって!!?」
「どういう事なのだー!!?」
「…はてさて。なーんの事だかさーっぱり?」
「惚けるな。お前が盗んだんだろ?」
「いや、知らねーよ。なんの根拠があって俺を疑ってるワケ?」
「物を盗みそうな奴など、この中にはお前しかいない。」
「仲間を信用してくれてないのー?俺悲しいなー。」
「黙れ。貴様など、仲間ではない。」
「酷いよ〜。」
「…と、とりあえず、パリンチェさん。お話だけでも聞いてみては?」
「相浦。こいつは、貴様らの弱みを握って冷やかそうとした男だぞ?話を聞く理由など無い。」
「僕もパリンチェ君に賛成です。つぐみ、こんな男の味方をする事無いですよ。」
「…でも、それとこれとは話が別じゃないですか。…ほ、本当に魅神さんはウイルスを盗んでいないのかも…」
「つぐみちゅわ〜ん!俺の味方は、君だけだよ〜!」
魅神君が、相浦さんにしがみつく。
宇田川君が、怖い表情をしながら魅神君を引き剝がし、床に放り投げる。
「あびゃっ!!」
「…汚い手でつぐみに触るな。」
「みんな酷いよ…俺は、ウイルスを盗んでなんかないのに…」
「どの口がほざいてるんです。言っておきますが、僕は昨日の事は絶対に許しませんからね。」
「…あ、あれは…俺なりの祝辞だったのに…酷いよぉおおおおおおおお!!うぇええええええええええん!!!」
(泣いた…!)
「…あ、あの…大丈夫ですか?…これ、使いますか?」
相浦さんが、魅神君にハンカチを差し出す。
「つぐみ、そんな事をする必要はありませんよ。どうせ嘘泣きです。放っといて行きましょう。」
「…で、でも…」
「ほら、行った行った。ゴミ処理は私に任せとけ。」
アーニャちゃんが、相浦さんを食堂の外に押し出した。
「…さてと。どういうつもりで盗んだ?私達の不安を煽るためか?…言え。」
アーニャちゃんは、魅神君への尋問を続けた。
結局、何の収穫も得られないまま、流れ解散となった。
◇
6日目
『オマエラ!!モノウイルスの感染者が出ました!!現在、無菌室にて隔離中のため、無菌室に入らないように!!』
保健室に行ってみると、みんな集まっていた。
「感染者が出たって言ってたけど…」
「…魅神が感染したらしい。」
「…だ、だから言ったじゃないですか!魅神さんは、犯人じゃなかったんです!」
「そうとは言い切れんな。自分で盗んで、混乱を招くためにわざと感染したのかもしれんぞ。」
「…うー…。」
「そういえば、九十九君の姿も見当たらないけど?」
「九十九なら、感染の疑いがあるから一緒に隔離されている。」
「モモゾー…」
「モノウイルスは、感染者の体液によって感染するウイルスだ。…高熱が出て、鼻や口から出血するらしい。そして、最悪の場合死に至るそうだ。」
「…そんな。…じゃあ、魅神さんと九十九さんは…」
「今は、抗ウイルス剤を打って様子を見ているところだそうだ。症状は落ち着いているらしい。」
「…良かった。」
「がんばれモモゾー!!!ウイルスなんかに負けるなー!!!」
その日は、相浦さんの提案で、みんなで千羽鶴を折った。
折った鶴は、無菌室の前に飾った。
みんなで、二人の回復を祈った。
…でも、起こってしまった。
あんな事になるなんて、思いもしなかった。
7日目の朝、あたしは厨房にあった果物を持って、一番に無菌室へと向かった。
…そこで、見てしまった。
ベッドに横たわりながら、血を流して死んでいる
『超高校級の応援団長』九十九 百三の死体を。
【生徒数】残り8名