リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生 作:M.T.
全員が、体育館に集合した。
『オーイ、全員集まった〜?それじゃあ、そろそろ始めよっか!!』
その直後、ステージ中央に置かれた教壇の上に、白黒のクマのぬいぐるみが出てきた。
「ぎゃああああああ!!?ヌ、ヌイグルミが動いた!?」
「気持ち悪いよぉお…」
佐伯君と真樹さんがヌイグルミを気味悪がる。
『失礼な!ボクはヌイグルミじゃないよ!モノクマだよ!この学園の、学園長なのだ!あ、この校舎自体は分校だけどね〜。』
「分校…?ねえ、今分校って言った?」
法正君が咄嗟に質問する。
『うん、ちょっと色々あってね。キミたちには分校に移って貰ったのだ!!』
全員が状況を飲み込めない中、モノクマは高らかに挨拶をした。
『じゃあ、気を取り直して…えー、ではではっ!起立!礼!オマエラ、おはようございます!』
「おはようございます!!」「おはよー!」「おはようございます。」「ご機嫌よう。」「おはようございます。」「おっは〜♫」
九十九君、小林さん、銀杏田君、金剛寺さん、黒須君、魅神君は律儀(?)に挨拶を返した。…魅神君については、単なるおふざけだろうけど…
(なんなんだ、この人たち…)
『では、これより記念すべき入学式を執り行いたいと思います!まず、これから始まるオマエラの学園生活について一言…オマエラのような才能溢れる高校生は、『世界の希望』に他なりません!そんな素晴らしい希望を保護するため、オマエラには…『この学園』だけで生活を送ってもらいます!みんな、仲良く秩序を守って暮らすようにね!』
「た、ただの悪ふざけに決まってんだろ…」
佐伯君は、冷や汗をかきながら言った。
『ボクの言葉が本当かどうかは、後でオマエラ自身が確かめてみればいいよ。そうすればすぐにわかるから。』
「そんな、これからピアノのレッスンがございますのに…すっぽかしたらお父様に怒られてしまいますわ。」
金剛寺さんが、心配そうに言った。
(今そんな事気にしてる場合か!!この脳内お花畑お嬢様が!!)
『そんなに外に出たいの?この学園に望んで入ってきたのはオマエラなのに?…まあでも、ない訳じゃないよ。ここから出る方法。』
「え!?なになに!?」
真樹さんが食い気味に聞く。
『学園から出たい人のために、特別ルールを設けたよ!オマエラは、これから「秩序を守った生活」を始める。もし、この秩序を破ったら、この学園から出て行ってもらう。これが、『卒業』ルールだよ!』
「具体的には、どうしたら秩序を破った事になるんだい?」
法正君が質問をする。
『うぷぷ…それはね…』
『人を殺す事だよ。』
その場にいたほぼ全員が、驚いて顔を青くした。
平然としていたのは、アーニャちゃん、銀杏田君、黒須君、魅神君の4人だけだった。魅神君に至っては、むしろ上機嫌だ。
『どんな殺し方でもいい。「誰かを殺した生徒だけがこの学園から出られる」それが、『卒業』のルールだよ。』
「…実に不愉快ですね。そんな事を言って、一体何が目的なんです?」
宇田川君が質問する。
『ボクはね、楽しみたいんだ。「希望」同士が殺しあう、「絶望的」シチュエーションをね!』
「ふざけるな!どうしてオレたちが、同胞を殺さねばならんのだ!!!」
九十九君が怒りを露わにする。
『うるさいなあ、とにかく殺し合いをすればいいんだよ!!』
「さっきからムカつくな、この白黒オモチャが!そんなに殺しが好きなら、まずはテメェからブッ潰してやんよ!!」
佐伯君が、モノクマを掴み上げる。
『キャー!学園長への暴力は、校則違反だよ〜ッ!?』
ピピピピ…
モノクマから妙な機械音が出る。
「あ、あぶない…!…は、離れて…!」
相浦さんが、珍しく声を張り上げて叫ぶ。
「!!?」
佐伯君が、咄嗟にモノクマを投げる。
ドカァアアン!!
モノクマが空中で爆発した。
「ば…爆発したぁあ!?」
佐伯君が腰を抜かして驚く。
「…ねえ、みんな。アレ。」
法正君が舞台袖を指差すと、別のモノクマが出てきた。
「テ、テメェ!!いきなりこんなクソトラップ発動させやがって…相浦ちゃんが気づかなかったらオレ死んでたぞ!?」
『当たり前じゃん。校則違反するのがイケナイんだよ。今回は特別に警告だけで許すけど、次から気をつけてよね。』
「て、てかアンタなんでしれっともう一体出てきてんのよ!!」
真樹さんが、ビクビクしながら質問する。
『誰もボクが1体だけだなんて一言も言ってないでしょ?モノクマは、学園内の至るところに配置されております。校則違反には、今みたいなグレートな体罰を発動しちゃうからね!』
「要するに、僕らは君に攻撃できないし、君の言う事を聞かなければここから永遠に出られない。君が言いたいのはそういう事だろ?」
法正君は、確認をする。
『さすが法正 良馬クン!理解が早くて助かるよ。じゃあ最後に、ボクからオマエラに入学祝いをプレゼントします!』
モノクマは、あたしたちにカードのようなものを配った。
『それは、電子生徒手帳です!、学園生活を送る上での必需品になるから、くれぐれも失くさないようにね。豊かで陰惨な学園生活を楽しんでください!それじゃあ、まったね〜!』
モノクマは去っていった。
「クッソ、あの白黒オモチャ、好き放題言いやがって…!」
佐伯君は怒りを露わにする。
「ボク、激おこプンプン丸なのだ!!あのクマちゃん、ボクがやっつけていい!?」
小林さんは、戦闘態勢を取る。
「落ち着いて。そんな事したら、小林さんが体罰を受けちゃうよ。…そうだ、とりあえず電子生徒手帳を確認しよう。」
法正君は、冷静にみんなに提案する。
配られた生徒手帳を確認すると、あたしの情報が書かれていた。
「…この、校則っていうのも読んどかないとね。」
1.生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
2.夜10時から朝7時までを『夜時間』とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
3.就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
4.希望ヶ峰学園及び希望ヶ峰学園分校について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
5.学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
6.仲間の誰かを殺したクロは『卒業』となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
7.なお、校則は順次増えていく場合があります。
「クッソ、勝手にクソみてェなルール押し付けやがって…」
「こんな所でいつまでも生活するのやだよぉ…助けてよママァ…」
佐伯君と真樹さんは、不満を漏らす。
「…あの、一つ気になったのですが。」
黒須君が発言する。
「この6番の、誰にも知られてはいけない、とはどういう意味なのでしょうか…」
「…知られたら、消されるのかも。」
アーニャちゃんが、口を開く。その一言に、みんなギョッとした。
「消されるって、どういう事だよ!?」
「さあねー。でも、さっき殺されかけた佐伯クンとかはヤバいんじゃね?迂闊に行動すると、最悪死ぬよー。」
狼狽える佐伯君を、魅神君が挑発する。
「テメェ、さっきからムカつくんだよ!!こんな状況でヘラヘラしやがって…!!」
佐伯君は、魅神君の胸ぐらを掴んで右手の拳を振り上げる。
「やめなって!!」
体が勝手に動いていた。
ゴッ
気がつくとあたしは吹っ飛ばされて、壁際の床の上に倒れていた。
「…あっ、ご、ごめん…わざとじゃねえんだよ…だ、大丈夫か…?」
我に返った佐伯君が、あたしを心配した。
「夏川さん!!今すぐ手当しないと…!」
法正君が、青ざめた顔をしながらあたしを起こした。
他のみんなも、なぜか青ざめている。
「ふたりとも、あたしなら大丈夫だから…ちょっとハデに転んだだけ…」
おでこのあたりにチクチクした痛みが走ったので、おでこに左手を当てると、何やら濡れているようだった。
左手を見ると、真っ赤に染まっていた。
「え…これってまさか、血…?…ぎぃやああああああああああああああ!!!!!」
あたしは絶叫し、意識を失った。