リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生 作:M.T.
第5章(非)日常編①
裁判が終わった後、あたしたちは解散して、そのまま部屋に戻った。
魅神君は、まだ無菌室から出られないそうだ。
翌朝、みんなで朝食をとった。
魅神君がいなかったから、割と平和だった。
「魅神がいないと平和じゃのお…この時間がずっと続けば良いのじゃが…」
「…ねえ。そういえば千葉崎さん、まだ佐伯君の事を奴隷にしてるの?」
「奴隷とは失礼な!こやつは、余の従順な僕となったのじゃ!!」
「…はい…わたくしはりむ様の従順な僕でございます…」
「…いや、もうギャルゲーもどきも終わったんだし、解放してあげたら?」
「何を言うか!余は…」
「…千葉崎さん、私からもお願いします。…これ以上みすぼらしくなっていく佐伯さんを見ていられません。」
「…うぅ。お主らがそこまで言うなら…わかった、佐伯を平民に戻す。」
「よっしゃぁあああああああ!!!平民サイコー!!!いやー、ありがとう!!!夏川ちゃん、相浦ちゃん!!!オレの心のオアシスは君たちだけだよ〜!!!」
佐伯君が、某泥棒漫画の主人公のように、空中を平泳ぎながらあたしたちの所に飛び込もうとした。
(ル●ン泳ぎ…)
そんな佐伯君を、宇田川君が引っ掴んで床に投げる。
「あべしっ!!!」
「…つぐみに近づかないでください。」
宇田川君が、汚物を見るような目で佐伯君を見る。
「…バカじゃないの?」
アーニャちゃんは、紅茶を飲みながら、ゴミを見るような目で佐伯君を見ていた。
「…そんな事より、5階が解放された。探索の担当を決めるぞ。」
弓道場、植物園、生物室などがあるようだ。
「では、生物室は、僕とつぐみで…」
「…夏川。あんたは私と一緒に弓道場。…それと、そこのバカ2人は植物園。…これでいい?」
「バカとは何じゃ!!バカとは!!余を誰と心得る!!」
「え…別にあたしは構わないけど…他の二人はそれで大丈夫?」
「余は、ちょうど植物園が良いと思っておったところじゃ。…佐伯もそれでいいな?」
「…はい。」
(…なんだろう。…佐伯君、完全に千葉崎さんに服従してるなぁ…)
「…貴様はバカだが、調教師の素質はあるようだな。」
アーニャちゃんが、感心しながら言う。
「じゃからバカと言うな!!」
◇
二人で弓道場に行った。
弓道場には、桜が植えられ、桜吹雪が舞っていた。
「…綺麗。…でも、造花か…」
視線を右に移すと、壁にガラスケースが取り付けられているのを発見した。
最近取り付けられたもののようだ。
中には、クロスボウが入っていた。
「…鍵がかかってる。ガラスも二重になってるし、取り出すのは難しいかな。」
アーニャちゃんは、部屋の隅で蹲って何かをしている。
「…ねえ、何やってるの?」
「…急に後ろから話しかけるな。」
アーニャちゃんが、急いで何かを懐にしまった。
「あ、ごめん。びっくりした?…ねえ、それ…落し物かなんか?」
「…個人的な質問には答えたくない。」
「…ごめん。探索は一通り終わったけど…」
「ふんっ。もうこの部屋に用は無い。行くぞ。」
「…うん。」
◇
探索の後は、みんなで報告会を開いた。
「植物園の方はどうだった?」
「うむ。なんか、中央にどぎつい花が咲いておったの。奥には物置もあったぞ。あと、なぜか鶏小屋があったな。」
「あとは、スプリンクラーの制御盤があったくらいだな。」
「生物室の方は?」
「…と、扉にナマモノと書いてあって、開きませんでした。」
「セイブツと読むと思わせといてナマモノと読むっていうジョークですかね?…全く、くだらない。マイナス30点です。」
(…いや、普通そこまで考えないよな…宇田川君って、実は結構ジョークとか好きだったりする…?)
「…あ、そうそう。実は、生物室の探索が早く終わってしまったので、『ある部屋』にも入ったんです。」
「ある部屋…?」
「…酷い有様でした。血生臭く、嫌な雰囲気が部屋中を包んでいました。」
「…言いにくいんですけど。」
「…多分、あの部屋では、人が死んでいます。」
「人が…死んでるって…どういう事だよ!?この校舎、俺ら以外にも誰かいたのかよ!!?」
「…詳しい事は、僕にもわかりません。…学園長は、『あるものをそのままにしておいただけ』と言っていましたが。」
「ねえ、アーニャちゃんは心当たり無い?…なんか、ここの事についてちょっと詳しそうだったけど。『超高校級の絶望』がどうのこうのって…」
「ふんっ。」
「だんまりですか。」
「…そんなに知りたければ、魅神にでも聞け。私から話す事は何も無い。」
「お主も性格が悪いのお…それで聞けたら、余は地道に探索などしておらんぞ。」
「放っておいてくれ。…もう報告会は終わりだいいよな?」
「…そうだね。これ以上続けても、情報は出なさそうだし…じゃあ、報告会も終わった事だし…解散でいいかな?」
◇
あたしは、アルターエゴと話をしに行った。
『夏川さん!おはようございます!』
アルターエゴ相浦さんは、笑顔で話しかけてくれた。
「ああ、おはよ。…そういえばさ、データの解析って、どうなった?」
『…それが、解析は終わったんですけど…』
「けど?」
『…有益な情報がほとんど無くて…すみません。』
「…まあ、重大な機密が入ってるなら、不用意に人目につくところにパソコン置いたりしないよね…」
『…そう思って、この学園のネットワークに侵入出来ないか試しています。』
「有能!」
『…やはり、ロックがかかっているので、時間はかかりますが…なんとか、侵入してみますね!』
「ありがとう!」
『…それで、夏川さん。一つお願いがあるんですが…』
「何?」
『ロックを解除している時は、話しかける回数を極力減らして頂けませんか?』
「…集中できないからって事?…わかった。君がそう言うなら、しばらくはお話しないね。…その代わり、ロックの解除が終わったら、またお話しようね。」
『はい!楽しみにしています。』
「…じゃ、ロックの解除頑張ってね!」
『皆さんのお役に立てるよう、精一杯頑張ります!』
あたしは、アルターエゴ相浦さんとお別れした。
◇
あたしは図書室にある資料室に行った。
…すると、前に来た時はなかった、小さな鍵が落ちているのに気がついた。
「…あれ?この鍵って、もしかして…」
置いてあった本の鍵穴に、鍵を差し込んでみた。
「…この前は、鍵が見当たらなくて読めなかったからな…」
ガチャッ
…開いた。
「…読んでみよう。」
『人類史上最大最悪の絶望的事件』によって、我が国のみならず、世界中が混沌と化した。現在も尚、事件は続いている。その対策として、我が国の政府は、才能のある者達を強固なシェルターで『希望』として再教育する計画を水面下で実行中であるが、『希望』達の多くは絶望に堕とされ、『希望』を生み出すはずの施設が、今では絶望が蔓延している。しかし、そんな状況下で『希望』として機能している個体はわずかながら存在している。この『希望』達は、『絶望的事件』を終結させる危険因子になりかねないと私は睨んでいる。そこで、私はとある計画を思い付いた。計画の名は、『絶望再生プロジェクト』。『希望』達の記憶をリセットし、絶望的シチュエーションを体験させる事によって、『希望』を『絶望』に塗り替える計画である。具体的な方法として、2年前に行われたデスゲームをもう一度行おうと考えている。2年前は、『超高校級の希望』らの活躍によってデスゲームは終結したが、今回はゲームを改良し、より『絶望的シチュエーション』を演出できるよう、準備を進めている。
…何これ。
…記憶をリセット?
絶望再生プロジェクト?
何が一体どうなってるの…?