リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生 作:M.T.
第6章 非日常編①
「…そんな、そんな事が…高校生にできるのか…?」
「言っただろー?『あの人はバケモンだ』ってな。」
「…江ノ島 哀華…一体何者なんだ…?ねえ、魅神君…君はどうして…」
「…俺は、昔アイカ様にケンカを売って、惨敗した。俺は、それまで誰かに負けた事がなかった。俺自身、自分の事をヤベェ奴だって思ってたな。…だが、そんな幻想も、あの人に負かされて簡単に打ち砕かれた。それから俺は、あの人に言われてスパイをする事になったんだ。俺は、どんな命令をされても、あの人に従うしかなかった。…報復が怖かったからな。」
「…江ノ島 哀華は、アイツ自身の、絶望的な環境が生んだ化け物だ。」
「…いや、アイツには化け物という言葉すら生温いかもな。…断言する。『江ノ島 哀華』っつー高校生を本当の意味で殺せる奴は、この世に存在しねぇ。」
「…今でも、アイツの、穏やかな表情を見るだけで、俺は震えが止まらねぇんだよ…笑っちまうだろ?」
「君程の人が、そんなに震えているんだ。…江ノ島 哀華が怪物だって事は、よくわかったよ。」
「…やけにあっさり信じるんだな。」
「君のその反応が何よりの証拠だ。」
「…へへっ、俺とした事が…情けねえな。…それで?これからどうする?」
「まず、アイカは、自分の正体に気付いた僕を排除しに来るだろうね。…どんな方法を使って排除する気なのかは読めないけど…多分、僕は殺されると思う。…でも、ただで殺される気は無い。」
「どういう事だ?」
「…全ては、『希望』に託す。」
◆
魅神君が死んだ。
アルターエゴも、目の前で自爆して鉄片になってしまった。
それでも、あたし達は生き延びなきゃいけない。
「おい、お主ら!早よ来んか!!」
千葉崎さんが呼んだ。
「…どうしたの?」
全員、情報処理室の前に集合した。
「見よ!」
情報処理室の鍵が開いていた。
「…なんで…?探索に行った時は、鍵がかかってたはず…」
「なんでも良いではないか。とにかく、行けるようになったんじゃから探索するぞ!」
「…そうだね。」
みんなで、情報処理室に入った。
情報処理室には、コンピューターのようなものが並んでいた。
ふと床を見ると、足元に紙が落ちているのに気がついた。
…どうやら、ジョージ君の手紙らしい。
拝啓クソ共
この手紙を読んでるっつー事は、今は情報処理室にいるみたいだな。
鍵は、まあ俺からのプレゼントっつー事で。
無理矢理こじ開けておいたよん♪
そこには、この分校についてのほぼ全ての情報がある。
ロックはAIちゃんが解除してくれたから、情報を覗き放題だよ〜。
あと、夏川ちゃんは、情報処理室の探索が終わったら俺の部屋に来い。
…そこで、あるものを渡したいと思う。
それじゃ、せいぜい頑張れよ〜。
『超高校級の死刑囚』魅神嶽人改めジョージ・マクラウドより
…ジョージ君、あんだけみんなを引っ掻き回しておいて、最後は協力してくれてたんだ…
あたしは手紙をポケットにしまって、探索を始めた。
◇
まず、部屋にあるパソコンを見てみた。
ロックは解除されていて、見られるようになっていた。
そこには、絶望再生プロジェクトの概要が書かれていた。
まず、政府は人工的に『希望』を量産する計画を水面下で進めていた。希望ヶ峰学園80期生の候補生達の中から、自ら名乗り出た者達に対し、才能を急速に育成する実験を行う計画を立て、実験に必要な施設を建設した。表向きは、才能を育てる上で充実した設備を用意し、入舎した候補生達が健全な『希望』として成長できる施設であった。しかし、その実態は、被験者に違法な薬物を投与したり、苦痛を伴う人体実験を幾度となく繰り返したりなど、被験者の人権を完全に無視した実験が行われていた。実験は、0〜6のステージに分けられ、才能がある被験者ほど上のステージの実験を受ける事となる。そして、『人類史上最大最悪の絶望的事件』が起こった。施設内にも、『超高校級の絶望』によって『絶望』に堕とされた研究者達が数多く存在していた。被験者達の、実験で壊れかけた精神につけ込んだ『絶望』達は、被験者として名乗り出た者達を次々と『絶望』に堕としていった。『希望』を生み出すために建設されたはずの施設内は、『絶望』同士が殺し合うという地獄絵図へと一変した。そんな中、わずかながら『絶望』に堕とされず、施設内でまともに生き延びていた者達がいた。その者達によって、施設内の『絶望』は一掃された。彼らの『希望』の影響力は、施設の外にも及ばんとする勢いであった。そして、『人類史上最大最悪の絶望的事件』から1年後、『超高校級の絶望』が『超高校級の希望』らによってその野望を打ち砕かれ、死亡した。その事が原因となって、『絶望』の勢いは減速した。しかし、実験用の施設には、『超高校級の絶望』の後継者が紛れ込んでいた。その人物は、世界を再び『絶望』へと堕とすため、施設内で生き残っていた『希望』の卵達を『絶望』に落とす計画を立てた。それこそが、『絶望再生プロジェクト』だった。その内容は、2年前に行われたデスゲームをもう一度行い、『希望』の卵達に『絶望的シチュエーション』を体験させるというものだった。『超高校級の絶望』の後継者は、『アイカ』と名乗り、かろうじて残っていた『絶望』の残党達と共に、計画の準備を進めた。「アイカ」が動き出してから2年後、計画は実行に移された。『絶望』達は、『希望』の卵達の施設内での記憶を全てリセットし、『入舎前の生活を普通に送り、希望ヶ峰学園にスカウトされた新入生』という偽りの記憶を植え付け、殺し合いを行わせる準備を整えた。
「…何これ。…どういう事?」
「私達は、実験体だったって事…?」
下にスクロールしてみた。
下には、表のようなものがあった。
「…え?」
才能ランク
S:空前絶後
A:史上最高
B:世界一
C:日本一
D:超高校級
E:高校一
実験段階
ステージ6:未知数。
ステージ5:精神の維持が不可能な激痛を伴う。この段階で、殆どの被験者が発狂死した。
ステージ4:激痛を伴う。この段階で、50%の被験者が発狂した。
ステージ3:重度の苦痛を伴う。
ステージ2:やや重度の苦痛を伴う。
ステージ1:軽度の苦痛を伴う。
ステージ0:非常に軽度の苦痛を伴う。
「何これ…どういう事?」
「…まだ、分からない事が多いですね。探索を進めましょう。」
「…なあ、隣の教室が開いてるんだけどよ、行ってみようぜ。」
「そこも、前に行った時は開かなかった部屋じゃな。」
佐伯君の提案で、あたしたちは隣の教室の探索に移る事にした。
◇
教室に入った。
思わず、気持ち悪さに声を漏らした。
「…う゛っ…!」
その教室は、血飛沫で真っ赤に染まり、死体と血の匂いが充満していた。
「…これ、一人二人死んだってレベルじゃねえぞ…」
教室をよく見ると、手帳のようなものが落ちていた。
どうやら、『超高校級の吹奏楽部』倉里 奏(クラサト カナデ)という生徒の手帳らしい。
手帳を拾い上げて読んでみた。
幸い、血で汚れていたのは表紙だけだったので、読む事ができた。
何ページか破れていたので、無事なページだけ読んだ。
4月7日
『希望ヶ峰研究施設』って所にスカウトされた!なんか、私は『超高校級の吹奏楽部』としての才能があるらしくて、80期生として希望ヶ峰学園に推薦したいから、その事前調査に協力してほしいって事みたい。私なんかが、希望ヶ峰の研究施設にスカウトされるなんて、チョー嬉しいんだけど!普段通りの生活は続けられなくなるみたいだけど、パパもママも喜んでくれたし、希望ヶ峰に進学できるチャンスだから、行ってみようかな!
4月8日
研究施設って聞いたから、もうちょっといづらい感じかなって思ってたけど…全然そんな事なかった!なんか、学校みたいな感じ?校舎とか寄宿舎とかメッチャキレイだし、先生達も優しいし、チョー最高!でも、希望ヶ峰に進学するためには、才能をバリバリ磨かなきゃいけないみたい。私も、夢の希望ヶ峰目指して頑張るぞ!
4月10日
私のクラスに、メッチャすごい子がいる。『超高校級の軍師』良馬君って子なんだけど、メッチャ頭が良い!先生達に、将棋とか囲碁とかで圧勝してた。アイキュー?が200もあるんだって。ヤバすぎ!『超高校級のネイリスト』亞里沙ちゃんは、メッチャおしゃれな爪をしてる。私も、ネイルお願いしたけど、片手で1万って言われた。ケチすぎない!?『超高校級の化学者』譲治君は、イケメンだし頭も良いし、メッチャタイプ!声かけちゃおっかな〜?
4月11日
才能テストの結果が返ってきたんだけど、私はクラスの中でちょっと遅れ気味みたい…才能ランクEだって。良馬君は才能ランクAで、私の憧れの譲治君は、Cだって。あと噂だけど、他のクラスにSランクの生徒が二人いるらしい。メグちゃんと哀華ちゃんって言ってたかな?みんなヤバすぎ!…私って、やっぱ才能無いのかなぁ。
4月13日
痛い。つらい。聞いてたのと全然違う。先生達も、普段はあんなに優しかったのに、急に変な部屋に連れて来て。実験だって言って、私に変な薬を打ったり、目隠しをして痛い事したり。なんで?私、何か悪い事した?私が才能無いから?もう、痛いのは嫌。早く帰りたい。パパとママに会いたい。
12月15日
死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい。神様お願いします。早く私を殺してください。もうつらいのは嫌だ。こんなの耐えられない。早く解放されたい。…楽になりたい。
2月24日
この世界に絶望した。誰も私を助けてくれない。毎日痛い事され続けて、苦しい思いをさせられた。希望なんて、最初からなかった。もう、こんな世界いらない。全部、何もかも、壊してやる。
そこで終わっていた。
「…あ、あの‥この人は、一体どうなったんでしょうか…」
「…多分、もうこの世にはいない。…誰かに殺されたか、自殺したかどっちかだろうな。」
「…そんな。」
…倉里さんのためにも、真実を解き明かしてここから出ないと。
決意を固めたあたしは、手帳をそっと懐にしまった。