リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生   作:M.T.

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第1章(非)日常編③

画面に映し出されたのは、あたしの家だった。

 

「え…」

 

 


 

「いっただっきまーす!!」

 

スクリーンに映ったあたしは、朝食を口の中にかき込んでいた。

 

「う゛ッ、ゲホッ、ゲホッ!」

 

「おいおい、そんなに急いで食べるからだろ?」

 

お父さんが、あたしの背中をさすっていた。

 

「あなただって、シャツにケチャップ付いてますよ?」

 

「えっ!?嘘!?あ゛ーッ!!今日大事な会議なのに!!」

 

「うふふっ、困ったお父さんとお姉ちゃんね。」

 

お母さんが、あたしの弟を、ユウを抱いて笑っていた。

 

「あー、あー!」

 

「あら、メグ。まだ学校行かなくていいの?」

 

「えっ、あ!そうだった!!…じゃあユウ、行ってくるね!」

 

「あ、あー。」

 

そこで映像が切り替わり、映し出されたのは、荒れたあたしの家だった。

 

窓は割られ、家具はボロボロに傷つけられ、割れた食器や花瓶が床に散乱していた。

 

そして、所々に血が飛び散っていた。

 

しかし、どこにもあたしの家族はいない。

 

「お父さん…?お母さん…?ユウ…?」

 

『4人家族の長女として、ご家族から愛されて幸せに暮らしていた夏川 メグさん!…どうやら、ご家族の身に何かあったようですね?では、ここで問題です!このご家族の身に何があったのでしょうかっ!?正解発表は『卒業』の後で!』

 


 

 

そこで映像は終わっていた。

 

「何よこれ…お父さんは…お母さんは…ユウはどうなったの…?今、みんなは無事なの…?」

 

 

「…何が何でもここから出て確かめなきゃ。」

 

その考えに行き着いたあたしは、急いで視聴覚室を後にした。

 

外には、他のみんなが待っていた。

 

どうやら、法正君がみんなを呼んできたらしい。

 

「…夏川さん?何があったの?」

 

法正君が、恐る恐る質問を投げかけてきた。

 

「…。」

 

あたしは、黙って段ボールを指差した。

 

他のみんなは、一目散に段ボールの方へと走っていき、自分のDVDを取っていった。

 

 

全員がDVDを確認し終わった。

 

みんな、青ざめた顔をして視聴覚室から出てきた。中には、泣いている人もいた。

 

きっと、みんなもあたしと同じような映像を見せられたんだ。

 

「酷い…こんな事って…」

 

「クッソ…!」

 

相浦さんと佐伯君が声を漏らす。

 

「なるほどね〜、これがクマさんの言ってた“動機”か〜。ホントいい趣味してるよね〜。」

 

魅神君は、口角を上げて不気味な笑みを浮かべながら言った。

 

「…。」

 

明石君は、虚ろな目をしていた。

 

彼には、さっきまでの生気は無かった。

 

「あ、明石君…?」

 

明石君は、返事をせず黙っているだけだった。

 

「…夏川さん。そっとしてあげよう。」

 

法正君が、あたしの肩に手を置いて言った。

 

 

ただ、時間だけが過ぎていった。

 

誰も、お互いに話し合おうとはしなかった。

 

あたしは食堂で一人、テーブルに突っ伏して考える事をやめていた。

 

「…隣、いいかな。」

 

声をかけたのは、法正君だった。

 

「あの時までずっと元気だった夏川さんが、全然元気無さそうだから、心配になって…」

 

「…まあ、あんなもの見せられたら、普通そうなるよね。」

 

あたしは、法正君に、今までずっと気になっていた事を聞いてみた。

 

「…ねえ、法正君は、どうして他の人のためにそこまでできるの…?法正君だって、あのDVDを見て、外に出たいって思ってるんでしょ?」

 

「『夫れ用兵の道は、人の和に在り』僕の尊敬する諸葛亮孔明の一番好きな名言だよ。…兵を統率する心得として、人の和を作る事が必要だ、っていう意味の名言なんだ。…僕は、そうありたいんだ。」

 

「…どんな時でも、人との和を大切にして、みんなを導ける存在になる…それが僕の目指す生き方だから。…これじゃあ答えになってないかな?」

 

「すごいね、法正君は。あたしは、そんなに強くなれないや…」

 

「…そんな、今の僕なんて、理想とは程遠いよ。僕は、夏川さんの方が勇敢で強い人間だと思う。…僕は、夏川さんの事、尊敬してるからね。」

 

「…ありがとう。…あー、なんか話聞いたらスッキリした!…あ、なんか小腹空いちゃったから、冷蔵庫にあったアイスでも食べよっかな!」

 

「…あ、いいよ。僕が取ってくる。」

 

「え!?いいの!?」

 

「…話聞いてもらったしね。」

 

 

それからあたしたちは時間を忘れて、一緒に話し合った。

 

気づけば30分経っていた。

 

「あ、じゃあそろそろ行こっかな。」

 

「夏川さん!」

 

法正君が、あたしを呼び止めた。

 

「…これ、あげる。」

 

法正君が、桜の装飾のついたブローチをくれた。

 

「これは…?」

 

「さっきのガチャでゲットしたんだ。…気に入ってくれるかどうかわかんないけど…」

 

「…嬉しい。ありがとう。」

 

あたしはブローチを受け取って、食堂を後にした。

 

 

廊下を歩いていると、教室の隅に、明石君がいたのが見えた。

 

教室に入って、声をかけてみた。

 

「どうしたの?…まあ、あんなDVD見せられた後だもんね。無理ないよ。」

 

すると、明石君はさっきまでの暗い表情から、急にあの時までのテンションに切り替わった。

 

「おお、夏川!お前、急にどないしたん?オレは別に何もあらへんよ?」

 

「え?ホント?さっきまで…」

 

「見間違うたんちゃうか?オレはこの通り、絶好調や!」

 

「…それならいいんだけど。なんかごめんね。じゃあ、おやすみなさい。」

 

教室から去ろうとすると、明石君が、あたしを引き留めるように後ろから声をかけた。

 

「…ああ、アカン。言い忘れるとこやったわ。急に思い出してんけど、オレこの学園の、えらい重要な秘密を知ってしもうてん。」

 

「…重要な秘密?」

 

「今は場所悪いなぁ…せや、今日の9時50分に、体育館倉庫まで来てくれるか?他のみんなに聞かれたらアカン話やから、二人きりで話したいねんけど…時間大丈夫か?」

 

「…やけに中途半端な時間だね。」

 

「ゴメン、そこしか時間あらへんねん!」

 

明石君が必死に頼み込む。

 

「…わかった。9時50分に体育館倉庫ね。」

 

「ホンマ!?おおきに!!」

 

明石君は嬉しそうに言った。

 

明石君が何を知ってしまったのかはわからないけど、この学園の重要な秘密なら、聞いておかなきゃ。そう思った。

 

「…じゃあ、あたしもう行くね。体育館倉庫でまた会おう。」

 

 

…この時、あたしは気づいておくべきだった。

 

明石君の笑顔に隠された、本当の思惑を。

 

 

部屋に戻り、シャワーを浴びた。

 

9時50分まではまだ十分時間がある。その間に何かしておこうかな?

 

そんな事を考えながら、あたしはベッドの上で髪を乾かしていた。

 

…あれ?なんだろう、急に睡魔が…襲って…

 

そこからは、あたしの意識はない。

 

 

『オマエラ!7時だよ!寝坊は学園生活の乱れに繋がります!今すぐ全員起きるように!』

 

「…はっ!!」

 

モノクマのモーニングコールで目が覚めた。

 

…しまった。どうしよう。

 

「あぁあああああああ!!!やっちゃった!!あたしのバカバカバカ!!明石君との約束すっぽかしちゃった!!…ダメだ、なんで寝ちゃったのか全く覚えてない…なんでだ、なんでよりによって昨日寝ちゃったんだよぉおー!!」

 

「…うん、いつまで嘆いてても仕方ない。昨日の事は、ちゃんと謝ろう!」

 

あたしは制服に着替えて、部屋を出た。そして、いつもの集合場所である食堂に向かった。

 

 

他のみんなは、既に集まっているみたいだった。

 

「ごめーん!あたし、また1番最後?」

 

「…いえ、まだ明石様がいらっしゃいませんね。」

 

「いつもは結構早く集合する方なのにね。珍しいね。」

 

 

「…まさか。」

 

…嫌な予感がした。あたしは、一目散に体育館倉庫へと向かった。

 

 

体育館倉庫には、鍵がかかっていた。

 

「…開かない…!」

 

倉庫の横にあるパネルが視界に映った。

 

(確か、この倉庫の鍵はこれで開くはず…!)

 

あたしは、電子生徒手帳をパネルにかざした。

 

倉庫の扉がゆっくりと開く。

 

どうか、思い違いであってほしい。そう願っていた。

 

だが、その幻想はいとも容易く打ち砕かれた。

 

体育館倉庫ではー

 

 

 

 

 

糞尿を漏らし、口から泡を吹いて首を吊った

 

『超高校級の芸人』明石 大吉の死体が発見された。

 

 

 

 

【生徒数】 残り15名

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