リボーンダンガンロンパ80th 帰ってきた絶望の高校生   作:M.T.

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第1章 非日常編①

『アンタ新入生か?初っ端から遅刻はアカンで?』

 

『厨房でアメちゃん見つけてんけど、みんないるか?』

 

『ホンマ!?おおきに!!』

 

 

 

明石君の死体を見た途端、彼の記憶が次々と脳裏に浮かぶ。

 

…明石君が、この学園の仲間が死んだ。

 

…なんでよ。昨日まで、生きてたのに。

 

一緒にごはん食べて、おしゃべりしてたのに。

 

あたしと約束した時、すごく嬉しそうにしてたのに。

 

…約束を守れなかった事、まだちゃんと謝ってないのに。

 

視界がグシャグシャになった。

 

受け入れたくなかった。

 

…これは夢だ。

 

こんな悪夢、早く覚めてくれ。

 

「うぁああああぁああああああああああああああああああああ!!!!」

 

ありったけの声で泣き叫びながら、叶う事のない願いを心の中で叫んでいた。

 

だが、すぐに現実に引きずり戻された。

 

『オマエラ!!死体が発見されました!!至急体育館倉庫まで集合してください!!』

 

モノクマのアナウンスが流れた。

 

アナウンスを聞いたみんなが集合した。

 

「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「…そんな。」

 

「おいおい、嘘だろ…!?」

 

「マジかよ…」

 

「そんな、明石さんが…どうして…!」

 

「あ、明石殿が…!」

 

「おお、神よ…」

 

「大吉ぃいいいいい!!!なぜだ、なぜだああああああああああ!!!」

 

「うわぁああああああああ!!!ダイキチが、なんでぇええええ!!!」

 

「…起きてしまいましたか。」

 

「…酷い…!」

 

「明石君…なぜ貴方が…」

 

「あーあ、死んじゃったね〜。」

 

アーニャちゃん以外が声を発した。

 

『うぷぷ…ついに死人が出ちゃったね!』

 

「お前が、お前が大吉を殺したのかあああああああ!!!」

 

九十九君が叫ぶ。

 

『失礼しちゃうな、ボクは何もしてないよ。』

 

『…殺ったのは、オマエラのうちの誰かでしょ?』

 

それを聞いた瞬間、全員がお互いの顔を見合わせた。

 

『それじゃあ全員集合した事だし、始めよっか!ドキドキワクワクの捜査タイムを!』

 

「…捜査?」

 

法正君が質問する。

 

『校則に書いてあったじゃん。『他の誰かにクロだと知られちゃいけない』って。だから、その条件がクリアできているかの確認をするんだよ。今から一定時間捜査をして、その後『学級裁判』を行います!『学級裁判』では、「誰が身内を殺したか」について議論してもらうよ!

議論の中で怪しいと思った人物に『投票』する事で、クロの決定が行われます!』

 

『決定したクロが正解だった場合は、クロを『おしおき』します!』

 

「おしおき…?何ですかそれは。」

 

黒須君が質問する。

 

『ん〜、まあ簡単に言っちゃうと処刑だね。』

 

みんながざわつき始める。

 

そんな中、宇田川君が質問をした。

 

「もし不正解だった場合はどうなるんです?」

 

『いい質問だね、宇田川クン!…その時は、クロだけ『卒業』、残りのみんなに『おしおき』するよ!』

 

「はあ!!?聞いてねえぞ、そんなルール!!」

 

「それな!!完全に後付けルールじゃん!!やってられっかっての!!」

 

佐伯君と真樹さんが異論を唱えた。

 

『うるさいなぁ、校則に書いてあったよね?『校則は増えていく事がある』って。それにさ、そんなに死にたくないならクロを見つければいいじゃん!そのための捜査タイムなんだからさ!』

 

「ふざけんじゃねえぞ!!」

 

モノクマを殴ろうとした佐伯君の首を、アーニャちゃんが腕で締め上げる。

 

「ぐえッ、な、何を…」

 

「…お前、死にたいのか?」

 

その一言で、佐伯君は抵抗をやめた。

 

『いやあ、助かったよ、アーニャちゃん!そうそう、捜査をするんだからこれを配っておかないとね!』

 

『ザ・モノクマファイル!』

 

「…これは?」

 

銀杏田君が質問をする。

 

『オマエラだけじゃ、死体を調べるのには限度があるでしょ?だから、ボクが死亡状況とか死因とかをある程度まとめといてあげたの!』

 

「なんでそんなの作れんの…」

 

奴目さんが質問をした。

 

『言わなかったっけ?ボクは、学園内の至る所に設置された監視カメラで犯行の一部始終を見てるから、そこに書いてある事くらいは把握できてるんだよ。…では後ほど、学級裁判でお会いしましょう!』

 

そう言うと、モノクマは去って行った。

 

みんな、捜査を始めようとはしなかった。

 

俯いて、ガタガタと震える法正君。

 

遺体の前で祈りを捧げる黒須君。

 

泣き崩れる金剛寺さんを慰める銀杏田君。

 

仲間の死に対して大声で嘆く九十九君と小林さん。

 

声を上げて泣き続ける奴目さん。

 

その場に座り込んで俯く千葉崎さん。

 

死にたくないと泣きわめく真樹さん。

 

壁に拳を打ち付けて、歯をくいしばる佐伯君。

 

その場に座り込み、顔を手で覆いながらすすり泣く相浦さん。

 

「…皆さん、いつまでそうしている気ですか?早く捜査を始めましょう。」

 

「…賛成。」

 

「臭っせぇなぁ…早く犯人探し始めよーよ。」

 

宇田川君、アーニャちゃん、魅神君が言った。

 

「あ、貴方方には、人の心というものがございませんの!?貴方方は明石さんとあまりお話してらっしゃらなかったからそんな事を…!」

 

金剛寺さんが怒りを露わにした。

 

「命を無駄にするなと言っているんです。…僕だって、明石君が亡くなった事は悔しいと思ってます。…ですが、嘆き悲しむ事だけに時間を浪費して処刑されるなんて、無駄でしかないでしょう?」

 

「そーそー。てめーらの臭っさい臭っさい茶番劇のせいで死ぬのはごめんなの。」

 

「…お前ら、死にたくないなら黙って手を動かせ。」

 

3人の言葉を受けて、泣いていた相浦さんが立ち上がり、涙を拭う。

 

「…すみません。皆さんの言う通りです。…私、倉庫の鍵を調べてきます。」

 

他のみんなも、各々調査を始めた。

 

 

まず、ファイルを確認した。

 

被害者は明石 大吉。

死亡時刻は午後10時頃。

死体発見現場となったのは、校舎エリアにある体育館倉庫。

被害者はその天井に括り付けられたロープのようなもので首を吊った状態で死亡していた。

死因は窒息死。首に索条痕と吉川線あり。爪には、被害者のものと思われる皮膚と血液が付着している。

 

【コトダマ入手:モノクマファイル】

首に索条痕と吉川線あり。爪には、被害者のものと思われる皮膚と血液が付着している。

 

【コトダマ入手:体育館倉庫】

死体発見現場となった倉庫。明石君との待ち合わせ場所。

 

「あれ?なんでこんなもんがここに?」

 

声の主は佐伯君だった。

 

「どうしたの?」

 

「これ見ろよ。明石のジャケットの内ポケットに入ってたんだ。」

 

中にはカナヅチが入っていた。

 

【コトダマ入手:内ポケットに入ったカナヅチ】

おそらく、明石君の工具セットのものと思われる。

 

「…む?妙じゃの…」

 

声の主は、千葉崎さんだった。

 

「…このネット、ワイヤーが入っておらんぞ。」

 

【コトダマ入手:バレーのネットのワイヤー】

ワイヤーのないバレーのネットが置いてあった。ワイヤーがどこにあるのかは不明。

 

「…あの、鍵の解析が終わりました!」

 

相浦さんが、解析結果を持って走ってきた。

 

「何か手がかりになるんじゃないかと思って…鍵を外側から操作した履歴を調べてみたんですけど…」

 

「相浦君、でかした!!」

 

九十九君は、相浦さんの背中を叩いた。

 

「わ…私、これくらいしか取り柄がないので…」

 

相浦さんが照れながらメモを見せた。

 

 

13:24 開

13:48 閉

21:45 開

21:48 開

07:09 開

 

 

【コトダマ入手:倉庫の鍵の開閉履歴】

電子生徒手帳を使って鍵を開閉した履歴のメモ。

 

「すみません…個人までは特定できませんでした…」

 

「いや、十分大手柄じゃないか!!!」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

「…あれ?この履歴おかしくない?『開』が連続してる…」

 

「…この倉庫、中に手動開閉レバーがあるんです。恐らく、それで内側から閉めたんだと思います。その方法なら、履歴が残らないので…」

 

「…あれ?じゃあ、明石君は密室で死んだって事?」

 

【コトダマ入手:手動開閉レバー】

倉庫の中にある。これで鍵を施錠すれば、履歴が残らない。

 

「完全に密室ってわけじゃないけどねー。」

 

そう言ったのは魅神君だった。

 

「この倉庫、上の方に通気口があるんだよね。…まあ、人が出入りできるスキマじゃないけど。」

 

【コトダマ入手:通気口】

倉庫の上にあり、廊下と繋がっている。人が出入りできるスキマではない。

 

「なんだかこの部屋暑くないかい!!?」

 

「暑苦しいのはお前だろー?」

 

…確かに少し暑いな。

 

エアコンの温度を確認した。

 

「あれ?暖房ついてんじゃん!!28℃…昨日からついてたのかな?」

 

【コトダマ入手:暖房】

28℃に設定されている。昨日からついていた。

 

「あのさ、夏川ちゃんは犯人に心当たりない?」

 

「…ないけど…」

 

「ふーん…じゃあ、昨日は何してたの?」

 

「えっと…法正君とお話して、その後明石君とちょっと…」

 

「ちょっと?もしかして、ブッ殺したとか?」

 

「違うよ!バカな事言わないで!!」

 

【コトダマ入手:昨日の行動】

法正君が持ってきてくれたアイスを食べながらお話していた。

 

「あれ?何これ。」

 

奴目さんが、手動開閉レバーを見ながら首を傾げている。

 

「こんなキズ、なかったはずなんだけど…」

 

【コトダマ入手:レバーのキズ】

何かを巻きつけたようなキズが付いている。

 

「…あれ?…おっかしいな…」

 

真樹さんが、何か気づいたようだ。

 

「どうかしたの?」

 

「教えて欲しけりゃメダルよこしな!!」

 

「…真面目に聞いてるんだけど。」

 

「わ、悪かったよぉ…ここにあった錘が一個無くなってたんだよぉ…」

 

【コトダマ入手:不足した錘】

倉庫にあった錘が一つ無くなっていた。

 

「…少し、気になる事が。」

 

宇田川君と金剛寺さんたちが調査を終えたようだ。

 

「保健室にあった睡眠薬が、無くなっていました。」

 

【コトダマ入手:消えた睡眠薬】

睡眠薬が無くなっていた。

 

「冷蔵庫にあったドライアイスも無くなっていましたわ。」

 

【コトダマ入手:消えたドライアイス】

冷蔵庫にあったドライアイスが無くなっていた。

 

「…それと、寄宿舎エリアの物置にあったロープも無くなっていましたね。」

 

【コトダマ入手:消えたロープ】

寄宿舎エリアにあったロープが無くなっていた。

 

「あれ!?なんだコレ!?」

 

声の主は、小林さんだ。

 

「どうしたの?」

 

「なんか、いい匂いがするなーって思って、匂いの元を辿ってみたら、ダイキチの指になんかついてた!」

 

明石君の左手の指はなぜかベタベタしており、焦げ茶色の繊維が付着していた。

 

【コトダマ入手:焦げ茶色の繊維】

ベタベタした明石君の指に、焦げ茶色の繊維が付いていた。

 

 

その後、一応明石君のDVDを確認した。

 


 

最初は、明石の家族と思われる少女が、病室で明石と楽しそうに話している映像だった。

 

「ウチな、いつかお兄ちゃんが芸人さんになってな、漫才するところを生で見たいねん。」

 

「陽子…安心せえ!お兄ちゃん、絶対売れっ子芸人になって、陽子の病気も治せるくらい大金持ちになったる!」

 

「ホンマ?約束やで?」

 

そこから映像が切り替わる。

 

映ったのは、荒らされた病室だった。

 

明石の妹のものと思われるベッドには、血飛沫が飛び散っていた。

 

『病気の妹さんのために、売れっ子芸人になると約束した明石 大吉クン。いやあ、実に感動的ですねぇ。…ですが、その妹さんの身に何かあったようですね!?では、ここで問題です!彼の妹さんの身に何があったのでしょうかっ!?正解は『卒業』の後で!』

 


 

…そんな。明石君が、そんな事情を抱えてたなんて。

 

そんな事も知らずに、あたしは…

 

ピンポンパンポーン

 

『えー、生徒の皆さん!そろそろ、学級裁判を始めたいと思います!至急校舎エリア1階の赤い扉の前までお集まりくださいっ!』

 

 

赤い扉の前に行くと、エレベーターがあった。全員でエレベーターに乗り込んだ。

 

エレベーターの中で、法正君が震えているのに気づいた。

 

「…大丈夫?」

 

「…ああ、うん…。ちょっと、緊張してるのかな…」

 

あたしは、法正君の手を握った。

 

「一緒に、この裁判乗り切ろうね!」

 

「…ありがとう。」

 

法正君は微笑みながら言った。

 

 

裁判場に着いた。

 

今から、誰かが処刑される。

 

でも、どんな結果になっても、受け入れなきゃ。

 

あたしは覚悟を決めて、一歩踏み出した。

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